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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X01
審判 査定不服 外観類似 登録しない X01
管理番号 1246433 
審判番号 不服2011-4407 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-28 
確定日 2011-10-26 
事件の表示 商願2010-4380拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「モイストプールシステム」の片仮名を横書きしてなり、第1類「化学品」を指定商品として、平成22年1月25日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4620409号(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年12月18日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同14年11月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、前記1のとおり、「モイストプールシステム」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成中、「システム」の文字は、「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」を意味する語であり、また、当該文字は、他の語と組み合わせて、複合語を作るものとして広く親しまれた語であることから、商品の出所識別標識として取引者、需要者の注意を惹くものではなく、自他商品の識別標識としての機能はないか又は極めて弱いものといえる。
しかして、「モイストプール」の文字部分は、既成の語ではなく、また、本願の指定商品との関係からも直ちに特定の意味合いを理解し得ない造語と認められ、自他商品の識別標識として強い機能を有するものというのが相当である。
してみれば、本願商標中の「モイストプール」の文字部分と「システム」の文字部分とは、取引者、需要者に与える印象、記憶において格別の差異を有するものといえる。
加えて、本願商標中の「モイストプール」の文字部分と「システム」の文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情は認められない。
そうすると、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中前部に位置し、商品の出所識別標識として強く印象付けられる「モイストプール」の文字部分に着目し、当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体から「モイストプールシステム」の称呼を生ずるほか、「モイストプール」の文字部分に相応して「モイストプール」の称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
他方、引用商標は、別掲のとおり、「モイストプール」の片仮名と「MOIST POOL」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、下段に書された、「MOIST」の文字は、英語で「湿った」の意味を有し、英語読みに「モイスト」と称呼され、「POOL」の文字は、英語で「水たまり」等の意味を有し、英語読みに「プール」と称呼されるものであるから、当該欧文字部分は「モイストプール」と称呼されるものというのが相当であって、上段に書された「モイストプール」の片仮名も、当該欧文字部分の読みを特定したものと無理なく理解しうるものである。
しかして、当該欧文字部分は、英語の成語ではなく、また、「MOIST」と「POOL」の文字が組み合わされて特定の意味合いを生ずるものともいえず、一種の造語を表したものとみるのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応して「モイストプール」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものというのが相当である。
そこで、本願商標と引用商標とを比較するに、外観においては、本願商標と引用商標とは、その全体の構成において相違するものの、出所識別標識として機能し、看者の注意を惹く「モイストプール」の文字部分において、綴りを同じくするものであるから、外観上近似するものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標とは、共に「モイストプール」の称呼を生ずるものであるから、両者は「モイストプール」の称呼を共通にする、称呼上類似のものである。
さらに、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生ずるものではないから、両者は観念上比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、「モイストプール」の文字部分において外観上近似し、「モイストプール」の称呼を共通にするものであるから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品中「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」とは、類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、同書、同大で横書きされ、「湿った」の意味を有する「モイスト」の文字と、「ためること、蓄えること」等の意味を有する「プール」の文字と、「制度、形式、仕組み」等の意味を有する「システム」の文字を結合してなると述べ、「システム」の文字部分が本願商標の指定商品との関係では自他商品の識別標識として機能し得ることから、本願商標は構成全体をもって一体不可分のものとして認識され、「モイストプールシステム」の称呼のみ生じ、「湿りけを蓄えた方式」程度の意味を暗示させる造語商標と認識するのが自然である。また、「○○○システム」と表示された場合は「○○○」の文字部分は「システム」の具体的な内容を表わしてなる部分であり、一体のものとして認識されるとみるのが妥当な判断と思われる旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願商標は、その構成中の「モイストプール」の文字部分が、取引者、需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、他方「システム」の文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものではないことからすれば、本願商標は、その構成中の「モイストプール」の文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないものというべきであって、当該「モイストプール」の文字部分を引用商標と対比して、商標そのものの類否を判断することが、本件においては適切なものというべきである。
イ また、請求人は、審決の事例(甲第1号証ないし甲第10号証)を挙示して、本願商標も同様に登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、過去の審決の事例に拘束されることなく、対比する両商標の構成態様及びその指定商品との関係から個別かつ具体的に判断されるべきものである。加えて、請求人の挙示する事例は、本件の審理に係る商標とは構成を異にする商標に係る事例であって、本件の審理に適切なものということはできない。
よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)


審理終結日 2011-08-22 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-13 
出願番号 商願2010-4380(T2010-4380) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X01)
T 1 8・ 261- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古森 美和中束 としえ蛭川 一治 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
内田 直樹
商標の称呼 モイストプールシステム、モイストプール 
代理人 岡村 憲佑 

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