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審決分類 審判 全部取消  無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1246375 
審判番号 取消2010-301345 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-12-20 
確定日 2011-10-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4801162号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4801162号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4801162号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年1月21日に登録出願、第43類「パン・コーヒーを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」を指定役務として、平成16年9月10日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 青山ロワールについて
被請求人は、東京都港区南青山1丁目1番1号で経営する喫茶店「青山ロワール」にて、本件商標を使用していると主張し、店内の写真を乙第1号証として提出した。
しかしながら、乙第1号証において、本件商標は、店内に掲示してあるのみであり、本件商標の指定役務である「パン・コーヒーを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」との具体的関係が明らかでない。
つまり、商標法第2条第3項には、第1号から第8号まで、標章についての使用の行為が列挙されているが、商標権者の行為は、そのいずれにも該当しない。
また、被請求人も述べるとおり、本件商標はパンコーナーにて掲示されており、仮に商標権者の本件商標の掲示行為が商標法上の使用行為であるとしても、商品「パン」についての使用行為である。本件商標が掲示されているのは、喫茶店「青山ロワール」の店内であり、本件商標の指定役務である「飲食物の提供」については、あくまで喫茶店の店名である「青山ロワール」又は看板に使用されている「LOIRE」が自他役務識別機能を果たしているものと考えられる。
よって、商標権者の行為は、需要者にとって、自他役務の識別標識として機能し得るように本件商標を使用する行為ではない。
さらに、仮に商標権者の行為が標章の使用行為に該当するとしても、掲示された日付が明らかでなく、審判請求の登録日前3年間に使用したかが明らかでない。
以上より、乙第1号証によっては、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定役務についての登録商標の使用をしていることを証明できるものではないと思料する。
イ 株式会社リヴァンプとの使用許諾契約について
被請求人は、株式会社リヴァンプ(以下「リヴァンプ」という。)との間で締結した「CityBakery商標使用基本合意書」(乙第2号証)をもって、本件商標の使用行為を主張する。
しかしながら、リヴァンプとの使用許諾契約を結んだとしても、本件商標の使用の事実が立証されたとはいえない。つまり、被請求人が証明すべき登録商標の使用の事実とは、現実の使用でなくてはならず、リヴァンプと使用許諾契約を締結する行為は、商標法第2条第3項各号に掲げる使用行為ではない。
また、乙第2号証からは、リヴァンプが実際に商標を使用していたかどうかは明らかでない。
ウ 以上より、乙各号証によっては、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定役務についての登録商標の使用をしていることを証明できるものではないと思料する。そのため、本件商標の登録の取消は免れない。

3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)使用の事実
ア 商標権者が東京都千代田区有楽町1丁目10番1号有楽町ビル1階に経営していたパン店「シティベーカリー(商標CityBakery)」は、業績不振により平成17年8月31日に閉店したが、商標City Bakeryについてはいずれまた、パン店等を再開し、その店名として使用する目的があったため、商標権者が東京都港区南青山1丁目1番1号で経営する喫茶店「青山ロワール」のパンコーナーを「シティベーカリー(商標CityBakery)」と命名使用し現在に至る。
イ リヴァンプが経営予定のパン店の名称として「シティベーカリー(商標CityBakery)」を使用せしめることに当社は許諾し、平成22年11月29日付「CityBakery商標使用基本合意書」を取り交わした。
(2)むすび
以上、商標権者は、本件商標を保有使用しており、今後も使用することに決めているで、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定に基づき、被請求人が、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務について当該登録商標を使用していることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。
しかるところ、被請求人は、本件商標を商標権者の経営に係る喫茶店「青山ロワール」のパンコーナーにおいて使用し、また、リヴァンプが経営予定のパン店の名称として本件商標を使用することを目的として、商標権者とリヴァンプとの間で「CityBakery商標使用基本合意書」を締結した旨主張し、乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
ア そこで、本件商標が商標権者又はリヴァンプにより、その指定役務について使用されていたか否かについて検討する。乙第1号証及び乙第2号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証は、大きく横書きした「LOIRE」(「O」の文字部分がやや図案化されている。以下同じ。)の文字と、その下に、小さく横書きした「COFFEEHOUSE」の文字を表示した比較的大きな看板が店舗の出入口の上段に掲げられた店頭部分の内側と外側から撮影した2葉の写真と認められるところ、そのうちの店頭部分の内側から撮影した上段の写真には、上記「LOIRE」等の文字が表示された看板の左下(出入口の左側)に、本件商標と同一の構成態様からなる商標が表示されたやや小さな看板が掲げられ、さらに、出入口の右側には、個々に透明の包装袋に包装された菓子パンなどのパンが多数陳列されている陳列棚が設置され、該陳列棚の上部に、本件商標と同一の構成態様からなる商標が表示された看板が掲げられている様子が写されている。
また、店頭部分の外側から撮影した下段の写真には、上記「LOIRE」等の文字が表示された看板のほか、該看板の上及び左右に、大きく横書きした「LOIRE」の文字と、その下に、小さく横書きした「COFFEEHOUSE」の文字を表示した看板などが掲げられている様子が写されているが、本件商標と同一の構成態様からなる商標が表示された看板等は存在しない。
(イ)乙第2号証は、商標権者とリヴァンプとの間で、平成22年11月29日に締結した「CityBakery商標使用基本合意書」であるところ、「第1条(本商標)」には、「商標登録番号 4801162」と記載され、「第2条(合意内容)1.」には、「スバル(審決注:スバル興業株式会社(商標権者))は、リヴァンプ又はリヴァンプが指定する第三者が本商標を日本国内において独占的に使用することを認める。」と記載され、「第3条(本契約における契約期間)1.」には、「本契約の期間は、本契約締結日より5年間とし、・・」と記載されている。
なお、本件商標の商標登録原簿には、専用使用権の設定の登録はされていない。
イ 前記アで認定した事実によれば、以下のとおり認定するのが相当である。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証によれば、店頭の内外の看板に大きく表示された「LOIRE」の文字は、看板の配置・数からみて、撮影された店舗の名称と認められ、また、該文字の下に横書きされた「COFFEEHOUSE」の文字から考察すれば、該店舗が喫茶店であることを優に推認することができ、したがって、乙第1号証に示された店舗は、「LOIRE」なる名称の喫茶店であるということができる。
そして、「LOIRE」の店舗内において使用されている本件商標と同一の構成態様からなる商標が表示された看板は、その設置場所からみて、需要者をして、陳列棚に並べられた商品「菓子パンなどのパン」、すなわち、店内における飲食用というよりは、持ち帰り用としての商品についての標識として使用されていると理解されるものといえるから、本件商標の指定役務である「パン・コーヒーを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」について使用されているものとは認めることができない。
したがって、本件商標と同一の構成態様からなる商標は、商品「菓子パンなどのパン」について、自他商品の識別標識としての機能を発揮しているものといわざるを得ない。その他、「LOIRE」なる店舗において、本件商標と同一の構成態様からなる商標が請求に係る指定役務について使用されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。
また、被請求人は、上記「LOIRE」なる名称の喫茶店について、商標権者が経営する店舗である旨主張するが、その事実、すなわち、商標権者と該喫茶店との関係を明らかにする具体的な証拠を何ら提出していない。
さらに、乙第1号証がいつ撮影されたのかも明らかではない。
してみれば、乙第1号証は、商標権者が、本件審判の請求の登録(平成23年1月19日)前3年以内に、本件請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明する証拠とはなり得ない。
(イ)乙第2号証について
乙第2号証によれば、リヴァンプは、本件商標の通常使用権者と認められる(前記アのとおり、本件商標の商標登録原簿には、専用使用権の設定の登録はされていない。)ところ、被請求人は、リヴァンプが本件審判の請求の登録(平成23年1月19日)前3年以内に、本件請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていた事実を証明する証拠を何ら提出していない。
してみれば、乙第2号証は、通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明する証拠とはなり得ない。
ウ 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったものといわざるを得ない。
また、被請求人は、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(本件商標)

(色彩については原本参照)

審理終結日 2011-08-16 
結審通知日 2011-08-24 
審決日 2011-09-09 
出願番号 商願2004-4290(T2004-4290) 
審決分類 T 1 31・ - Z (Y43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2004-09-10 
登録番号 商標登録第4801162号(T4801162) 
商標の称呼 シティーベーカリー、シイシイビイ、シイビイ、シティー 
代理人 井上 誠一 

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