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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z38
管理番号 1246367 
審判番号 取消2010-300618 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-06-04 
確定日 2011-10-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4468798号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4468798号商標(以下「本件商標」という。)は、「efax」の文字を標準文字で表してなり、平成10年3月4日に登録出願され、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,衛星による通信,電子計算機端末による通信の利用に関する助言及びその情報の提供,電子計算機端末の通信ネットワークの提供,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」を指定役務として、平成13年4月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年6月22日にされた。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標について調べてみると、本件商標は、いずれの指定役務についても、過去3年間商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もなく、それらの者による使用の形跡もない。よって、本件商標は不使用の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取消すべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件商標の使用例として乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているが、これらの証拠及び答弁の内容からは被請求人が真に本件商標を指定役務に使用していることはうかがえない。
(2)乙第1号証について
(ア)客観性の欠如
乙第1号証は、被請求人のライセンス先である株式会社コスモスクエア(以下「コスモスクエア社」という。)が運営するウェブサイト中のウェブサイトの写しであるところ、このウェブサイトが本件審判の請求の登録前に存在しているとする客観的事実は証明されていない。
この点、被請求人は、それを示す資料として乙第4号証を示しているが、乙第4号証も被請求人が作成した資料で客観性は無い。したがって、乙第1号証は、証拠としての客観性に乏しく、採用されないものであることは明らかである。
また、乙第1号証の1頁目中の運営会社に関する情報であるが、住所が特定できる程度に開示されておらず、問い合わせ先となる電話番号やファクシミリ、電子メールアドレスの情報が欠けている。被請求人は乙第6号証で運営会社であるコスモスクエア社の登記簿謄本を提出しているが、住所が一致せず、被請求人のいうライセンス先であるかどうか不明である。
(イ)「役務」性の欠如
乙第1号証の1頁目中には、ビジネスモデルと題して「当センターは、『efax』サービスを提供するシステム運用センターです。(中略)当センターのビジネスモデルは、同サービスの利用者から収集したメールアドレスを活用し、当センターが受託する企業の広告やイベント情報等を配信することで収益を獲得するモデルです。したがって、利用者には、このサービスを無料でお使いして頂けます。」と紹介している。
すなわち、被請求人(コスモスクエア社を含む。)の行為の本質は、広告であり、広告料によってファクシミリ送信の費用(実費)を補っているのである。つまり、広告収入が無いと被請求人のビジネスモデルは成り立ち得ないのである。
広告費の収入をもってefaxサービスを無料で提供しているのであれば、被請求人は広告主への営業資料や広告主からの取引書類、実際に送った広告類を持ち合わせているはずである。それらの資料が無い状況で、被請求人が第38類の「役務」を提供しているとはいえない。
商標法上における「役務」は、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいい、「役務」の成立には対価性が求められる。ここで、対価と労務・便益は直接交換される必要が無いことは許されても、対価性を間接的に補填する事実の証明が無い限り、商取引の目的となっているとは認められない。なお、乙第1号証の2頁及び3頁は、efax利用者への説明であり、広告主に対する説明資料ではない。
(ウ)指定役務との関係性の欠如
さらに、被請求人は、本件商標を第38類の指定役務に使用している旨主張するが、被請求人及びコスモスクエア社は電気通信事業者ではなく、本来的に第38類に属する通信役務を提供する者ではない。
乙第1号証によると、被請求人は、ファクシミリ送信する書類をインターネット経由で利用者から受け取り、それを指定された送信先に送ることとしているが、これは、インターネットを利用して行うファクシミリ送信事務の代行であり、第35類に属する役務である(甲第2号証)。被請求人がファクシミリ送信の際に発生する通信料がまさに第38類における役務なのであり、これは被請求人が行っている役務ではない。
したがって、被請求人は指定役務のいずれにも使用しているとはいえない。
(エ)以上のとおり、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前に存在しているとする客観的事実に欠けており、役務性の証明も不十分であり、第38類に属する役務について本件商標を使用しているとはいえない。
(3)乙第2号証について
乙第2号証の陳述書は、被請求人が作成したものであり、客観性に欠くもので採用できないものである。
(4)乙第3号証について
乙第3号証は、ドメインネームに関する資料で、ドメインネームの取得と商標の使用は無関係であり、本件商標の使用に関する証拠及び乙第1号証のインターネット上での公開の資料にはなりえない。
(5)乙第4号証について
乙第4号証は、乙第1号証と同様、被請求人自ら作成したものであり、真に被請求人のefaxサービスにおける記録なのかは不明である。利用者についても、それが被請求人以外の第三者が利用したものか否か不明である。したがって、乙第4号証は証拠能力を欠くものである。
(6)乙第5号証について
乙第5号証は、通常実施権設定契約証書と題する書面であるが、商標権者と通常使用権者の代表者は同一人であり、被請求人は取締役会設置会社であるため、コスモスクエア社に通常使用権を設定するにあたり、取締役会の承認を受けている必要がある(会社法第365条及び第356条)。しかし、取締役会の承認資料がなく、通常使用権の登録をも行っていないため、乙第5号証をもって、平成22年1月20日に通常使用権が適法に設定されたとは考えることはできない。
(7)乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人の登記簿謄本であるが、元の名義である株式会社アクセルリンケーラボとの関係が示されておらず、名称変更が本当にあったのか確認できない。
(8)以上述べたとおり、被請求人が使用証拠として提出した資料は、いずれも本人が作成できるもので、客観性を欠いており、本件商標の使用を立証するものではない。
したがって、本件商標は、第38類の指定役務のいずれについても、本件審判の請求の登録前3年以内に、使用されているとはいえないため、その登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、本件商標の指定役務につき、2010年2?3月頃、被請求人のライセンス先であるコスモスクエア社が運営するサイト「CosmoSquare efax Service」(http://efax.csq.jp/)上で乙第1号証ないし乙第5号証に示す如く、「efax」の標章を表示して提供しており、該表示は、本件商標を使用した事実に相当する。
(2)そこで、上記本件商標の使用事実の一例を示すべく、乙各号証を提出すると共に、以下にその説明をする。
(ア)乙第1号証(「CosmoSquare efax Service」ホームページの内容写し)
この「ホームページ」は、「Web」と「電話fax」間で相互に利用可能であるサービスが「efax」の標章で提供されていることを示している。該サービスは、乙第4号証に示す如く、遅くとも、2010年2月には、一般にサービスが提供されている。
すなわち、本件商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標「efax」を少なくとも、役務「電子計算機端末による通信,ファクシミリによる通信,衛星による通信,電子計算機端末による通信の利用に関する助言及びその情報の提供,電子計算機端末の通信ネットワークの提供,電子計算機端末による通信ネットワークヘの接続の提供」について使用していた事実を示している。
(イ)乙第2号証(柳政壮の「陳述書」写し)
乙第2号証の陳述書は、efaxサービスの開発経緯及びその後のサイト再構築に関する開発・推進責任者「柳政壮」の事情説明を陳述するものである。
上記陳述書に記載のとおり、開発・推進責任者柳政壮を中心とする開発グループは、1998年2月頃に「efax.ne.jp」のドメインを取得すると共に、efaxサービスを提供すべく、同年4月にサイトを立ち上げている。
しかし、その後のビジネス展開で他の事業に忙しく、本件efax事業にあまり熱心でなかったこともあり、また、インターネットの急速な普及によりその必要性が問われ、一時事業を中断していたが、その後、請求人のefax事業の事例を参考にしたり、世界各地におけるデジタル・デバイドの状況や、電話fax機はあるがPC環境のないケース、あるいは、電話faxがない旅行先の利用性等を勘案し、上記「efax.ne.jp」のドメインの更新時期に併せて、再度上記「efax」のインターネット・サービスを開始し、目下事業の拡大を目指しているところである。
なお、「efax.ne.jp」のドメインを取得していることは、公式サイト「http://whois.jprs.jp/」において「efax.ne.jp」が検索・表示されること(乙第3号証の1)、及び同ドメインの登録先である「社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター」(以下「JPNIC」という。)が上記開発・推進責任者柳政壮が代表取締役である「パールビジョン株式会社」(以下「パールビジョン社」という。)に宛てた「ドメイン名に関する申請(届け出)受理通知」に関する電子メール(乙第3号証の2)から明らかである。柳政壮の陳述書には、上記事情説明が記載されている。
さらに、パールビジョン社がJPNICの正会員であったこと(乙第3号証の3)、及び柳政壮が上記JPNICにおけるパールビジョン社を代表する委員であったこと(乙第3号証の4)からも明らかである。
また、乙第5号証に示す如く、2010年1月20日に商標権者株式会社オール・キャピタルからコスモスクエア社(東京都品川区西五反田一丁目21番8号)に通常実施権が付与されている。
(ウ)乙第3号証の1(「whois.jprs.jp」ドメイン検索結果の写し)
乙第3号証の1は、「efax.ne.jp」のドメインの検索結果を表示する公式サイト「http://whois.jprs.jp/」の画面の写しであり、この公式サイトには、ドメイン「efax.ne.jp」が、1998年2月2日に登録され、同年4月3日に接続が開始され、さらに、2010年3月1日に更新されていることが示されている。
(エ)乙第3号証の2(JPNIC受理通知メールの写し)
乙第3号証の2は、JPNICが2001年2月9日にパールビジョン社に宛てた「ドメイン名に関する申請(届け出)受理通知」に関する電子メールの写しであり、同電子メールには、「efax.ne.jp」が、被請求人の代表者である柳政壮が当時のJPNICにおける代表委員を務めたパールビジョン社の登録によるものであることが示されている。
(オ)乙第3号証の3(JPNIC正会員リストの写し)
乙第3号証の3は、JPNICの正会員リストの写しであり、同正会員リストには、パールビジョン社が第57番目の正会員であることが示されている。
(カ)乙第3号証の4(「第6回JPNIC総会議事録」の写し)
乙第3号証の4は、JPNICが、平成8年5月17日に開催した総会の議事録の写しであり、同議事録には、被請求人の代表者が1998年当時にJPNICの正会員である「PearlVision」の代表委員であったことが示されている。
(キ)乙第4号証(ユーザ使用履歴の写し)
乙第4号証は、ユーザ使用履歴の写しであり、上記「efax」の「Web」と「電話fax」間で相互に利用可能であるサービスが、2010年2?4月頃に使用されている事実の使用ログの例を示している。なお、それ以降のログの記載は、省略されている。
すなわち、本件商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標「efax」を少なくとも、役務「電子計算機端末による通信,ファクシミリによる通信,衛星による通信,電子計算機端末による通信の利用に関する助言及びその情報の提供,電子計算機端末の通信ネットワークの提供,電子計算機端末による通信ネットワークヘの接続の提供」について、使用している事実の証拠を示している。
(ク)乙第5号証(商標権者株式会社オール・キャピタルからコスモスクエア社に付与された「通常実施権契約書」の写し)
乙第5号証は、被請求人(商標権者)とそのライセンス先であるコスモスクエア社との間に交わされた通常実施権契約証書の写しを示す。
(ケ)乙第6号証(コスモスクエア社(東京都港区芝浦3丁目12番5号)の登記簿謄本)
この登記簿謄本は、通常実施権者コスモスクエア社(東京都品川区西五反田一丁目21番8号)のものである。同社は、その後、東京都港区芝浦3丁目12番5号に住所変更した。登記手続きは、10月中旬に行う予定である。
(コ)乙第7号証(「株式会社オール・キャピタル」の登記簿謄本)
この登記簿謄本は、商標権者株式会社オール・キャピタル(東京都中央区日本橋二丁目14番1号)のものであり、代表者は「柳政壮」である。
(サ)乙第8号証(パールビジョン社の登記簿謄本)
この登記簿謄本は、パールビジョン社(東京都中央区日本橋二丁目14番1号)のものであり、代表者は「柳政壮」である。
(3)以上のとおり、本件商標「efax」は、その指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(権利者)のライセンス先であるコスモスクエア社が運営するサイト「CosmoSquare efax Service」(http://efax.csq.jp/)上で乙第1号証ないし乙第5号証に示す如く、「efax」の標章を表示して継続して使用されてきているものである。
したがって、本件商標は決して取り消されるべき商標ではないと確信する。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
本件は、商標法第50条の規定に基づく商標登録の取消しの審判であるところ、不使用取消審判制度の趣旨は、一定期間登録商標の使用をしない場合には、そのような信用が発生しないか、又は消滅してその保護すべき対象がなくなること及び不使用に係る登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておく理由はなく、かつ、その存在により商標使用を希望する第三者の商標選択の余地を狭めることから、そのような商標登録を取り消すことにあると解される(知的財産高裁平成18年(行ケ)第10185号、同年10月26日判決参照)。
かかる観点から、本件について検討するに、被請求人の提出に係る証拠によれば、以下のようにいうことができる。
(1)本件商標権者である被請求人は、平成22年1月20日付けでコスモスクエア社との間で本件商標について通常実施権設定契約を締結している(乙第5号証)。
もとより、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、口頭による契約や黙示の契約によっても可能であり、商標法50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知的財産高裁平成21年(行ケ)第10290号、同22年2月25日判決参照)。
そうすると、被請求人は、コスモスクエア社にライセンス(使用許諾)した旨主張し、コスモスクエア社も何ら異議を述べるところもないから、コスモスクエア社に対し本件商標について使用許諾したものというべきであるし、上記設定契約の締結により、本件商標に係る通常使用権の存在はより一層明確であるといえるから、コスモスクエア社は本件商標に係る通常使用権者とみるのが自然である。
(2)コスモスクエア社のウェブサイトの写しと認められる乙第1号証には、「ようこそゲストさん[ログイン][会員登録]」との表題のあるページ及び「ようこそ高橋さん[ファックス送信][ログアウト]」との表題のあるページに、「efaxは、世界のデジタル・デバイドを解消!」、「世界中のFAXに、いつでもアクセス!」の見出しの下に説明図が掲載され、さらに、「サービスセンター概要」として、「ビジネスモデル」の項には、「当センターは、『efax』サービスを提供するシステム運用センターです。同サービスは、インターネットに接続されたサーバーと一般電話回線網に接続された複合交換機を駆使し、WEBサイトから入力された文章や図面などを世界中のFAXに送信するサービスです。当センターのビジネスモデルは、同サービスの利用者から収集したメールアドレスを活用し、当センターが受託する企業の広告やイベント情報などを配信することで収益を獲得するモデルです。従って、利用者には、このサービスを無料でお使いして頂けます。」と記載され、「サービスコンセプト」の項には、「・・・同サービスは、1998年3月に最初のサービスが行われましたが、・・・久しく休止していましたが、・・・2010年2月、サービスを再スタートさせることにしました。・・・」と記載されている。
また、「efaxサービスとは・・・」との表題のあるページには、「『efax』サービスは、WEBサイトからFAXにアクセスして、文書や図面などを簡単に送信できるサービスです。IT環境のない相手先でもFAXさえあれば、世界中、いつでも、どこからでも送信できます。ご利用は無料!当センターのサイトで会員登録を済ませば、すぐにご利用頂けます。」の説明文と共に、該サービスについて図解され、利用方法が記載されている。
さらに、「efaxファックス送信」との表題のあるページには、「以下のフォームに必要項目を入力して、送信ボタンをクリックしてください。」としてフォーマットが掲載されている。
(3)上記ウェブサイトの各ページには、紫色地に白抜きで「efax」の文字を表した図形をはじめ、「efax」の文字が他の文字よりも目立つように太字で又はかぎ括弧付きで随所に表示されている。これら「efax」の文字は、上記ウェブサイトに示された役務(以下「本件役務」という。)の出所識別標識として認識し理解されるものというべきであり、また、本件商標と社会通念上同一といえるものである。
そして、上記ウェブサイトにおいて上記「efax」の文字を表示する行為は、商標法第2条第3項第7号にいう標章の使用に該当するものといえる。
(4)上記ウェブサイトの写しは、各ページの右下に表示された「2010/09/24」の数字に照らし、本件審判の請求の登録(平成22年6月22日)後である2010年9月24日にプリントアウトされたものといえる。しかしながら、「List for Send Fax Log」と題する「ユーザ使用履歴」(乙第4号証)によれば、「Send Date,Time」の欄に「02/Feb/2010:10:31:54 +0900」・・・「24/Feb/2010:02:38:07 +0900」、「01/Mar/2010:11:11:34 +0900」・・・「30/Mar/2010:03:01:19 +0900」、「02/Apr/2010:10:29:18 +0900」・・・「30/Apr/2010:12:04:29 +0900」等の数字が記載されると共に、「IP Address」及び「Send Fax to」の各欄には相応する数字が記載されていること、さらに、乙第1号証のウェブサイトに「2010年2月、サービスを再スタートさせた」旨の記述があること、被請求人の代表者が「同サービス(efaxサービス)を2010年2月1日に再スタートさせた」旨陳述していること(乙第2号証)を併せ考慮すれば、少なくとも、本件審判の請求の登録前3年以内である2010年(平成22年)2月ないし4月頃に、本件役務が提供されていたものと推認される。
(5)以上からすれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者によって、本件役務について使用されていたものというべきである。
2 本件商標の使用に係る役務について
(1)上記ウェブサイトに記載された説明によれば、「efax」と称される役務(本件役務)は、インターネットを利用してパソコン等から入力された文章や図面を指定されたファックスに送信する役務といえるものであり、本件商標の指定役務である「電子計算機端末による通信,ファクシミリによる通信,電子計算機端末の通信ネットワークの提供,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」の範疇に属する役務というべきものである。
(2)この点に関し、請求人は、本件役務はインターネットを利用して行うファクシミリ送信事務の代行であり、第35類に属する役務であって、第38類に属する役務ではない旨主張する。
しかしながら、第35類には、主として、人又は組織が提供する役務が含まれるものであって、一般的な事務の代行は含まれるが専門的な事務の代行は含まれないと解されるところ、本件役務は、一般的な事務の代行の範疇に属するものはいえないものであり、第38類に属する上記指定役務の範疇に属する役務とみるのが相当である。
もとより、本件役務が、仮に第35類に属する役務であるとしても、商標法第6条第2項にいう「商品及び役務の区分」は、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり、いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品や役務もあり、いずれか一つに属するとは決し難い商品や役務が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品又は役務は常にいずれか一つの分類に属すべきものであって、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品又は役務の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品又は役務であれば、当該二つの分類に属する商品又は役務について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべきである(東京高裁昭和57年(行ケ)第67号、同60年5月14日判決参照)。
(3)また、請求人は、乙第1号証のウェブサイト写しに記載された「当センターが受託する企業の広告やイベント情報等を配信することで収益を獲得するモデルです。従って、利用者には、このサービスを無料でお使いして頂けます。」との点を捉え、本件役務には「役務」性が欠如しており、被請求人が第38類の役務を提供しているとはいえない旨主張する。
しかしながら、商標法上の役務は、請求人も主張するように、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得べきものといえるが、必ずしも有償のものに限られるとはいえない。例えば、民間のラジオ・テレビジョン放送は、主に広告収入により放送という役務を提供しており、一方、視聴者との関係では無料で役務を提供していることになる。
同様に、本件役務にあっても、利用者との関係では無料であるとしても、依頼者(利用者)のために、インターネットを利用してパソコン等から入力された文章や図面を指定されたファックスに送信する行為は、他人のために行う労務又は便益といえるものであり、独立した経済勘定の上に成り立つ、商取引の対象となるものというべきである。
なお、乙第1号証のウェブサイトの説明によれば、本件役務の提供を受けるためには、会員登録をする必要があり、誰でも全く自由に利用できるというものでもない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、その指定役務中の「電子計算機端末による通信,ファクシミリによる通信,電子計算機端末の通信ネットワークの提供,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」の範疇に属する役務について使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-05-24 
結審通知日 2011-05-26 
審決日 2011-06-14 
出願番号 商願平10-16956 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z38)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 芦葉 松美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2001-04-20 
登録番号 商標登録第4468798号(T4468798) 
商標の称呼 エファックス、イイファックス 
代理人 西村 雅子 
代理人 田畑 浩美 
代理人 宮永 栄 

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