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審決分類 |
審判 全部無効 観念類似 無効としない X03 審判 全部無効 外観類似 無効としない X03 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X03 |
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管理番号 | 1246354 |
審判番号 | 無効2010-890061 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-08-12 |
確定日 | 2011-10-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5317612号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5317612号商標(以下「本件商標」という。)は、上段に「アマゾネス」の片仮名文字と下段に「AMAZONESS」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、 平成21年6月3日に登録出願され、第3類「化粧品(「香水類,オーデコロン」を除く。),せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、同22年2月26日に登録査定、同年4月16日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人の引用する登録第2549872号商標(以下「引用商標」という。)は、「AMAZONE」の欧文字を書してなり、平成2年2月23日に登録出願され、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年6月30日に設定登録され、その後、同15年2月25日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年11月17日に第3類「せっけん類,歯磨き,香水,オーデコロン,ヘアーローション,その他の化粧品,エッセンシャルオイル,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出している。 2 請求の理由 本件商標は、引用商標と類似し、かつ、その指定商品も類似するものであるから、その登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものであり、無効とされるべきである。 (1)本件商標と引用商標の類否について ア 称呼の類似 本件商標は、「アマゾネス」及び「AMAZONESS」の文字を二段に記載して成る商標であり、他方、引用商標は、「AMAZONE」の文字から成る商標である。 ところで、商標の類否は、商標の有する外観、称呼及び観念により判断されるところ(商標審査基準)、本件商標の称呼は、本件商標に含まれるカタカナ表記のとおり「アマゾネス」である。 これに対し、引用商標は、「アマゾン」の称呼が生ずることとなる。これは、日本人に最もなじみのある英語での「AMAZON」の構成から自然に生じる称呼であるほか、「AMAZON」が南アメリカのブラジルを流れるアマゾン川またはその流域という観念を生じさせることから当然に発生するものである。また、日本においても世界最大規模のオンラインストアである「amazon.com」は極めて著名であり、これが「アマゾン」と称されていることからも、「AMAZON」に接した通常の需要者が当然に認識する称呼であるということができる。 なお、引用商標は、「AMAZON」の末尾にEが付されてはいるが、通常の日本における需要者・取引者に対し、他の称呼・観念を想起させるほどの違いを生じさせるものとはいえない。 また、請求人は、日本においても極めて著名なブランドであるエルメスの香水・オードトワレ等フレグランスを製造、販売するフランス法人であって、実際に、引用商標は「アマゾン」の称呼のもとで、女性用フレグランスに付されて取引されている(甲第1号証ないし甲第3号証)。しかも、同「アマゾン」は1974年の販売開始以降、現在に至るまで35年以上継続して販売されているのである。さらに、同商品が人気商品であることから、「アマゾン」よりさらにリフレッシュ感を高めた「アマゾン ライト」も1994年から販売され、併せて同じ香りを有するボディケア化粧品も販売されるに至った。したがって、「AMAZONE」がエルメスを代表するフレグランスとして、本件商標の指定商品である香料類・化粧品等の需要者である女性の間で「アマゾン」として広く知られていることは明らかである(甲第2号証)。 このため、本件商標と請求人の称呼の類似性を判断するにあたっては、「アマゾネス」と「アマゾン」を比較すべきところ、両者は、語尾部分が「ネス」、「ン」となっており相違する。しかしながら、語頭にあり、強く「アマゾン」を想起させる「アマゾ」の称呼は同一であるうえ、語尾音は一般に弱く聴覚されることが多く、相違する「ン」「ネス」は弱音にすぎない。したがって、このような相違にかかわらず、両商標の称呼は類似しているということができる。 以上より、両商標の称呼は、類似する。 イ 観念の類似 本件商標は、カタカナ辞典によれば、「Amazon」に女性を意味する「-ess」が付されたものであって、ギリシャ神話に登場する女性だけの狩猟民族(女人族)を意味する(甲第4号証、甲第5号証)。 他方、「アマゾン」も、ギリシャ神話に出てくる女武者からなる部族を意味する(甲第6号証)ものであるから、両者は同一の観念を有する。 引用商標中の「AMAZONE」も、同じくギリシャ神話の女戦士・アマゾネスに由来して名付けられたものである(甲第2号証、72頁)。 ただし、広辞苑には「アマゾネス」が掲載されておらず(甲第6号証)、オンライン百科事典であるWikipediaにおいて「アマゾネス」で検索しても、検索結果が直接出てこない(甲第5号証)ことからしても、そもそもギリシャ神話に由来する「アマゾネス」自体が一般に日本においてそれほど認識されている観念とはいえない。通常の日本の需要者は、「Amazon」という言葉を含むことから、南アメリカのブラジルを流れるアマゾン川またはその流域という観念を想起することが通常と考えられる。 また、「アマゾン」の観念についても、上記のとおり、ギリシャ神話及びこれに由来する「アマゾネス」が日本において広く知られているとは言い難いことから、通常の需要者は、むしろ「アマゾン川」、すなわち南アメリカのブラジルを流れるアマゾン川またはその流域という観念を想起するということが自然であって、この場合も、やはり本件商標と同一の観念を有することとなる。さらに、「アマゾン川」自体がアマゾネスにちなんで命名されたとされている(甲第7号証)ことから、結局のところ、「アマゾン」、「アマゾネス」のいずれも同一の観念を想起させるものといってよい。 以上のとおりであって、両商標は、いずれもギリシャ神話における女人族、あるいはこれにちなんで名づけられた南アメリカの「アマゾン川」及びその流域の観念を想起させるものであるから、両商標が想起させる観念は同一である。 ウ 外観の類似 本件商標及び引用商標は、「AMAZONE」「AMAZONESS」とのアルファベット表記による文字商標であり、語尾の「SS」の有無が異なるのみであるから、その外観は類似する。 エ 小括 以上より、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれも類似する。 (2)指定商品の類似 本件商標及び引用商標の指定商品は、いずれも第3類の商品を指定商品とするものであり、相互に類似する。 (3)結論 以上より、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品に類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反する。 第4 被請求人の主張 1 答弁の趣旨 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その答弁の理由要旨を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出している。 2 答弁の理由 平成11年異議第91465号異議の決定(乙第1号証)から明らかなように、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標であり、おのずと本件商標に無効理由はない。 第5 当審の判断 1 本件商標は、「アマゾネス」の片仮名と「AMAZONESS」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなるから、その構成文字に相応して「アマゾネス」の称呼を生ずる。また、及び「ギリシャ神話に出てくる勇敢な女族」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典」)の観念を生ずるものである。 一方、引用商標は、「AMAZONE」の欧文字を書した構成からなるところ、該文字は特定の意味を有しない造語と認められるものであるが、「ブラジル南米大陸最大の川」である「アマゾン川」(コンサイスカ前掲タカナ語辞典)を意味する語として日本人になじみがある英語「AMAZON」に「E」を付加したものといえるから、「アマゾン」の称呼を生ずるものである。 そこで、本件商標と引用商標との外観についてみると、欧文字部分において「AMAZONE」を共通にしているが、語尾における「SS」の欧文字の有無及び「アマゾネス」の片仮名の有無に差異を有するから、両者は、外観において、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。 次に、称呼についてみると、本件商標から生ずる「アマゾネス」の称呼と引用商標から生ずる「アマゾン」の称呼を比較すると、前者が5音で後者が4音からなるもので、また、後半部における「ネス」と「ン」の音に差異を有するところ、「ネス」の音が比較的明瞭に発音されるのに対して、「ン」の音が鼻音で前音に吸収され易く、しかも比較的聴取され難い語尾にあることも相俟って、弱く聴取されるところから、このような比較的短い音構成における該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼を一連に称呼しても、その語調、語感が異なり十分聴別することができるものである。 さらに、本件商標と引用商標とは、後者が造語であるから、両者は観念において比較することができない。 したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれがなく、非類似の商標というべきものである。 2 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものではない。 なお、本件審判の審理の終結後に、請求人は、平成23年5月25日付けで弁駁書を提出しているが、その理由及び内容を検討するも上記判断に影響を及ぼし得る程のものではないから、審理を再開する必要がないと判断した。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-04-20 |
結審通知日 | 2011-04-22 |
審決日 | 2011-06-06 |
出願番号 | 商願2009-41224(T2009-41224) |
審決分類 |
T
1
11・
263-
Y
(X03)
T 1 11・ 261- Y (X03) T 1 11・ 262- Y (X03) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 順子 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 鈴木 修 |
登録日 | 2010-04-16 |
登録番号 | 商標登録第5317612号(T5317612) |
商標の称呼 | アマゾネス |
代理人 | 泉 潤子 |
代理人 | 高松 薫 |