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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1246347 
審判番号 取消2010-300851 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-08-02 
確定日 2011-10-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5028508号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5028508号商標の指定商品中「第25類 洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5028508号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年9月1日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」のほか第14類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年2月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁並びに口頭審理における陳述及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「第25類 洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が提出している答弁書からは、本件商標が、本件審判請求に係る商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されていることの証明はなされていない。
(2)反論の根拠
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人の会社概要を示すにすぎず、本件商標が使用されていることの証拠とはならない。
イ 乙第2号証ないし乙第4号証について
被請求人は、乙第2号証ないし乙第4号証を総合して一体として把握することで、本件商標の使用を証明する意図であると推察する。
しかしながら、乙第2号証ないし乙第4号証は相互につながることはなく、これらを総合して一体として把握できない。
(ア)確かに、乙第2号証には本件商標が付されている。
しかしながら、乙第2号証の写真の撮影時期を特定できる情報は、乙第2号証中にはない。また、乙第2号証のみからは誰が乙第2号証に写っているティーシャツを製造したのか全く不明である。
(イ)被請求人は、乙第2号証に写っているティーシャツは乙第3号証中の商品と同一であると主張し、乙第2号証の写真の撮影時期は2009年3月10日19時17分と主張している。
しかしながら、乙第2号証と乙第3号証とを結びける要素を発見することはできない。乙第2号証も乙第3号証も、ティーシャツのたたみ方としては極めてありふれたものである。また、タグや紫色の紙と思しき正方形の物体(乙第3号証にあっては、その素材は判別できない)も、乙第2号証と乙第3号証の同一性を確実にする程の特徴を有するものではない。
被請求人は、乙第2号証に係る商品と乙第3号証に係る商品とは同一であるのは自明であるかのごとく主張しているが、両者の同一性は全く立証されていない。
(ウ)被請求人は、乙第4号証と乙第2号証(乙第3号証)とを結びつけて、2009年1月30日に乙第2号証(乙第3号証)に係る商品が梅田大丸に納品されたことを立証しようと試みている。
しかしながら、乙第4号証に記載された商品と乙第2号証(乙第3号証)に係る商品が同一であることの立証はなされていない。
乙第4号証には、<Code>として、例えば「39 94 60 26 99」の数字が記載されているが、このコードが付された商品が乙第2号証(乙第3号証)に係る商品であるかは不明である。なぜなら、乙第2号証(乙第3号証)に係る商品のCode(コード)が分からないからである。
さらに、乙第4号証からは納品された商品の色は、「Black(黒)」、「Pink(ピンク)」、「Red(赤)」と分かるが、乙第2号証(乙第3号証)に係る商品の色彩は白である。
したがって、乙第4号証の納品書からは、乙第2号証(乙第3号証)に係る商品(白のティーシャツ)は、2009年1月30日に納品されていないことになる。
(エ)以上より、乙第2号証ないし乙第4号証を総合して一体として把握できない。
ウ 乙第5号証について
乙第5号証からは、乙第5号証に記載されているティーシャツに本件商標と同一の商標が付されている事実は確認できない。乙第5号証で被請求人が指摘している商品が、乙第2号証又は乙第3号証に記載されている商品と同一であることの立証がなされていないからである。
また、乙第5号証に記載の「着て帰られました。」の記載の信憑性を疑わざるを得ない。いかに「ティーシャツ」とはいえ、直接肌に触れる衣類を洗濯なしで着るということは通常考えられないからである。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した証拠によっては、本件商標が、審判請求に係る商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されていることは証明されていない。
3 口頭審理(口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)被請求人は、「『返品』される前提として、少なくとも当該ティーシャツが被請求人から被請求人の顧客に対して引き渡されたことは明白である。」と述べている。
しかしながら、平成23年4月18日付け通知書において、本件商標の使用が商標法第2条第3項各号のいずれに該当するかを質していることから、商品の引渡しを認めていないことは明らかである。
(2)被請求人は、「問題となっている商品を表す品番『344』、品別番号『344-4012』」と述べているが、「344」、「344-4012」なる番号が、乙第2号証及び乙第3号証の商品に対応する番号であることの説明は全くない。
(3)被請求人は、被請求人と株式会社大丸との取引の説明、及び品番「344」、品別番号「344-4013」等の説明をしているが、これらの記載は、乙第2号証及び乙第3号証に係るティーシャツについての本件商標の使用とは全く関係ないものである。
(4)被請求人は、「被請求人が本件商標を付した商品を株式会社大丸に対し」「販売していたことは明らかである。」と述べているが、取引対象物品が特定されていない以上、乙第7号証から分かる事実は、せいぜい、被請求人と株式会社大丸との間に何等かの取引があること程度にとどまる。
(5)被請求人は、商標法第2条第3項第1号に言及している。確かに、乙第2号証及び乙第3号証には、本件商標は付されているが、乙第2号証の撮影時期は不明であり、また乙第3号証の商品と乙第2号証の商品が同一であることは立証されていない。
(6)被請求人は、商標法第2条第3項第1号に規定する「使用」を行っていたことを予備的に主張しているが、本件商標がティーシャツに付された時期が特定できない以上、たとえ商標法第2条第3項第1号に規定する「使用」を予備的に主張しても、本件商標の取消は免れない。
(7)被請求人は、営業形態について説明を加えているが、営業形態と本件商標を付した商品の「使用」とは全く関係がなく、本件について全く無用な記述である。
(8)被請求人と株式会社大丸(梅田大丸)との間に取引があるとは理解できるが、梅田大丸から被請求人に支払われた金銭が、本件商標を付した商品についての代金であることは立証されていない。
(9)被請求人は、乙第2号証に写っているティーシャツは、乙第8号証に示した株式会社ダブリンイラストレイテッドが製造した旨、及び、この商品を被請求人が仕入れ梅田大丸内のショツプにて販売した旨を主張しているが、乙第8号証で示された「THE THING TS」が乙第2号証に写っているティーシャツであることは立証されていない。
(10)被請求人は、乙第2号証に掲載されているティーシャツと乙第3号証に掲載されているティーシャツの同一性を主張している。
しかしながら、被請求人は、「ティーシャツのシワのより方、タグの結びつける紐の曲がり方、付箋の配置等完全に同一」という、必ずしも客観的とはいいがたい基準をもって、乙第2号証に掲載されているティーシャツと乙第3号証に掲載されているティーシャツの同一性を主張しているにすぎず、その主張は受け入れがたい。
(11)被請求人は、乙第4号証の「item」欄の記載を指摘し、乙第4号証(納品書)は、商標「Legendry」の商品(ティーシャツ)であることは明らかである旨主張しているが、乙第4号証(納品書)が乙第2号証及び乙第3号証の商品に係る納品書であることの立証はされていない。
(12)被請求人は、「請求人は帳票と現物との同一性云々を述べるが、通常商品そのものに当該商品の販売管理上の”Code(コード)”を表記するはずもない。」と述べているが、これは、帳票(乙第4号証)と乙第2号証及び乙第3号証との結びつきは立証できないことを自認したことに他ならない。この理は、乙第7号証及び乙第8号証にも当てはまるので、結局は、被請求人は、乙第2号証及び乙第3号証と乙第4号証、乙第7号証及び乙第8号証とを結びつけることを断念していることになる。
(13)被請求人は、乙第4号証に記載されている色について、「Black」等は地色ではなく、「デザインにおいて基調にある色を表している」と説明するが、この「デザインにおいて基調にある色」とは、どの部分の色を指しているのか、全く不明である。
(14)被請求人は、新たに提出した乙第7号証に言及し、「本件商品を梅田大丸にて現に販売したことは明らかである。」と述べている。
しかしながら、乙第7号証が乙第2号証及び乙第3号証に係る支払高通知書であるか明らかでなく、また、乙第5号証記載の番号と乙第7号証記載の番号とが異なるので、乙第5号証と乙第7号証を統一的に取扱うことはできない。
4 上申書
(1)被請求人は、乙第9号証を提出して、乙第7号証記載の数字(23,344,4012)の意味を説明している。そして、それらの数字(特に、原価率を示す4012)とティーシャツの小売価格(6,500円)から、2009年2月10日に着目すれば、本件商標を付した商品(ティーシャツ)が販売されたことは証明されると述べている。
しかしながら、乙第7号証記載の数字に対応する商品は広範にわたり、これらの数字が割り当てられた商品が「ティーシャツ」であるとはいえない。「婦人部ヤング(23)」部で販売される、「ヤングアダルトトレンドI(344)」に属する、「原価率75%(4012)」の商品が、一義的に「ティーシャツ」に決定されるという理由は述べられていない。
その証左として、乙第7号証の第9行目、第10行目、第14行目及び第15行目に、被請求人が「ティーシャツ」に割り当てられたと主張する数字と同一の数字(23 344 344-4012)が記載されているが、仕入金額は「ティーシャツ」のもの(4,875円)とは異なっている。同事実は、同じ売り場の同カテゴリーに属し、かつ原価率がティーシャツと同一商品が複数存在することを暗示している。
(2)被請求人は「ティーシャツ」(6,500円)を大丸梅田店に販売したことは乙第7号証から明らかであると主張する。
しかしながら、小売価格が6,500円でかつ原価率75%の商品が「ティーシャツ」以外にないことは立証されていない。被請求人は、小売価格が6,500円でかつ原価率75%の商品は「ティーシャツ」以外にはないことを、立証すべきである。
(3)被請求人は、乙第3号証(乙第2号証)と乙第4号証との整合性について、乙第3号証(乙第2号証)に写っているティーシャツ及びタグに描かれている文字(「The thing」、「just a pleasant smile」、「dress a dress」、「Legendry」)が、乙第4号証にも記載されていることをもって、乙第4号証に記載されている商品と乙第3号証で示されている商品は同一である旨述べている。
しかしながら、乙第3号証と乙第4号証に記載されている文字が共通することをもって、直ちに乙第4号証に記載されている商品と乙第3号証で示されている商品は同一であると判断するのは早計である。しかも、乙第3号証記載の文字が「dress a dress」であるのに対し乙第4号証には「DAD」と記載されており、両者は異なる。「DAD」が「dress a dress」の省略表記であることは明らかでない。
また、「just a pleasant smile」(乙第3号証)と「pleasant Smile L/S」(乙第4号証)が一致するものとは認められない。
(4)乙第4及号証び乙第5号証には「39 94 60 26 99 00」が記載されている。
しかしながら、乙第3号証で示されている商品と乙第4号証に記載されている商品とが同一であることは立証されていない。
したがって、乙第4号証と乙第5号証との整合性が取れたことをもって、乙第3号証から乙第4号証に、さらに乙第5号証とつながり、本件商標を付した商品(乙第3号証の商品)が大丸梅田店に納品されたことは立証されない。
(5)被請求人は、大丸梅田店における仕入記録と被請求人における販売記録とは完全に符合していると主張し、「被請求人の主張には何ら疑義を挟む余地」はない旨述べている。
しかしながら、被請求人がティーシャツと主張する6,500円の商品が、本件商標を付したティーシャツであるか明らかでない。
したがって、乙第5号証と乙第7号証を合わせても、6,500円相当の何等かの商品が、大丸梅田店に販売されたことが分かるにとどまり、本件商標を付したティーシャツが販売されたことは立証されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び口頭審理における陳述並びに上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標権者の事業に関する説明
商標権者「株式会社フレックス・ファーム」は、服飾品・雑貨の企画・輸入・販売、及び出版物の企画・制作・販売を行っており、六本木の自社ショップの他、新宿伊勢丹、シブヤ西武、よこはまクイーンズイースト、有楽町西武、梅田大丸といった、名だたる百貨店等に出店している(乙第1号証)。
商標権者が企画販売しているブランドとして、衣類、服飾品のブランドである「dress a dress」、「Frances Robison」が、出版物のブランドである「CHRONICLE BOOKS」がある。本件商標「Legendry」は、これらのうち「dress a dress」の中の一アイテムとして企画・制作・販売されたものである。
(2)梅田大丸への納品の事実
乙第2号証は、商標権者が本件商標を付した商品の写真である(なお、本件写真は、当該商品に縫製上の不備があったことから返品処理を行ったものであり、その際の記録として残っているものである。)。乙第3号証に示すEXIF情報にあるように、その撮影日時は2009年3月10日19時17分である(なお、同ファイルの作成日時が2010年10月4日となっているが、これは本件EXIF情報を画面表示するためにファイルコピーを行ったその年月日である)。乙第2号証の写真からも明らかなように、本件商標「Legendry」の表示を含む商品タグがティーシャツに付されており、本件商標が指定商品「ティーシャツ」について使用されている。
この商品は、2009年1月30日に上述のとおり商標権者がショップを出店している梅田大丸に納品されている。乙第4号証はその事実を示す納品書である。一覧表のうち上3段の「item」として「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」と印字されていることが判る(なお「DAD」は上述のブランド“dress a dress”の頭文字である)。
(3)ショップにおける顧客への販売の事実
乙第5号証は、商標権者における販売管理記録の画面表示コピーである。2行目の販売記録欄に「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」のアイテム名が認められる。IDの記録がなく、カスタマープロファイルとして「50代女性、着て帰られました。」との入力があることから、当該商品の購入者は同店の会員ではなく、一見のお客様であったことが判る。
(4)小括
以上のとおり、商標権者は商品「ティーシャツ」について本件商標の使用をおこなっている。なお、乙第6号証に示すとおり「ティーシャツ」は、請求人の主張する本件商標の指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類 ,下着,水泳着,水泳帽」の範ちゅうである。
2 口頭審理(口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)「返品」される前提として、少なくとも当該ティーシャツが被請求人から被請求人の顧客に対して引き渡されたことは明白である。もちろん、この返品された商品が乙第5号証の2009年2月10日の販売のものか、あるいは別の日に販売されたものかは被請求人においても確定することは現状困難と言わざるを得ないが、今般提示する株式会社大丸からの「支払高通知書」(乙第7号証)において、問題となっている商品を表す品番「344」、品別番号「344-4012」のうち「仕入金額」4,875円のものは、2月において2月10日、11日、20日の3点実績があり、これのうちいずれかの販売商品の返品である。
(2)なお、被請求人と株式会社大丸との間の取引は「売上仕入」と呼ばれる形態をとっている。これは、被請求人は株式会社大丸の店舗(梅田大丸)内に出店しているところ、店頭にある段階では当該商品は経理上被請求人の在庫であり、実際に顧客が購入した段階(具体的には売れてレジに計上される段階)で、初めて大丸に「仕入」が発生したとする仕組みである。ここで先に提示した乙第4号証において「納品書」上の金額6,500円とのギャップが存在する。これは大丸のマージンが発生する為である。なお被請求人の販売金額(=大丸の仕入金額)として計上される率を「掛率」(=1-大丸のマージン率)というが、大丸内の被請求人会社のショップで扱っている商品によって掛率は異なる。今般の商品の掛率は75%であり、小売価格6,500円×0.75=4,875円が被請求人の販売価格として計上されるのである。
(3)ちなみに、品番「344」、品別番号「344-4013」は被請求人の取り扱うブランド「フランシス・ロビンソン」のアクセサリーを表しているが、乙第5号証の上部フィールドにおける当該商品群を表す「01:FR」の集計欄には売上が「0」と示されている。つまり2009年2月10日には当該商品群の売上はなく、そのため大丸からの支払高通知書上でも品番「344」、品別番号「344-4013」は2月10日には項目が無い。さらに、品番「344」、品別番号「344-4117」は同じく被請求人の取り扱う「ドレス・ア・ドレス」のアクセサリ一類を表している。乙第5号証における「ドレス・ア・ドレス」を表す「39:dad」の集計欄には売上が「5」点、「251,500」円である旨表示されている。このうち次の行に表示されている「zone 25」は洋服の売上集計を表すものであり、アクセサリー売上は251,500-6,500=245,000円であったことが判る。当該アクセサリー類の掛率は68%であり、小売格245,000×0.68=166,600円が乙第7号証の品番「344」「344-4117」の記帳日「21/2/10」に計上されている。
(4)このように、被請求人の販売管理データと株式会社大丸の支払高通知書とは符合しており、被請求人が本件商標を付した商品を株式会社大丸に対し(外形上は最終顧客に対し)販売していたことは明らかである。すなわち、被請求人は、本件商標につき、商標法第2条第3項第2号に規定する「使用」を行っている。
(5)さらに付言するに、商標法第2条第3項第1号にも明らかなように、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」は標章についての「使用」の一類型であり、ここでいう「商品又は商品の包装」には「商品に標章を付したタグ(を付する行為)」も当然に含まれる。被請求人が提示した乙第2号証は商品である「ティーシャツ」に標章である「Legendry」を記したタグを付する行為を行ったことを十二分に示しているというべきである。商品の返品をする顧客が自ら独自のタグを作成し、あるいは他所から借用するなどしてわざわざ返品すべき商品に付す、といった常軌を逸する行為までをも想定することは妥当でない。返品されてきた商品にタグが付されていることは、とりもなおさず店頭に陳列され販売された段階においてそのタグがその商品に付されていたことを示している。
なお乙第1号証にも示しているように、被請求人は「服飾品・雑貨の企画/輸入・販売」を業として行っており、商標法第2条第1項における「商標」の定義として第1号に「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用するもの」とあるところの「業として・・・譲渡する者」が「使用」する行為であることも明白である。
(6)被請求人は本件商標を付した「ティーシヤツ」を現に販売した結果その一部について返品を受けているのであるから、商標法第2条第3項第2号に規定する「使用」に該当する行為を行っていることを主位的に主張している。なお「譲渡」の相手方は、外形上は最終顧客であるが帳簿上は株式会社大丸である。
(7)先の答弁書及び上記主張をもって「販売」の事実を認めることができない、と万一された場合であっても、被請求人が「ティーシヤツ」に本件商標を付して梅田大丸のショップにおいて商品陳列を行っていたことは明らかであるから、少なくとも商標法第2条第3項第1号に規定する「使用」を行っていたことを、予備的に主張する。
(8)被請求人は、本件商標を付した商品「ティーシヤツ」を、少なくとも梅田大丸のショップ内で陳列していた、という事実、本件商標を付した商品「ティーシャツ」を、株式会社大丸に販売していた、という事実。但し上述のとおり、被請求人と株式会社大丸とは「売上仕入」という仕入(販売)形態での取引を行っており、外形上は被請求人が最終顧客に対して直接販売しているかのような外形を呈する。
(9)被請求人の営業形態は、画一商品を大量に製造・販売する、といったものではなく、個々の商品のコンセプトを大切にしつつ、小ロットで販売することを旨としている。そのため本件商標を付したティーシャツも、総計で最大20点程度しか販売していない、ということも事実である。乙第8号証は、本件商標を付したティーシャツの製造を委託した「株式会社ダブリンイラストレイテッド」からの請求書である。品名の欄の「THE THING TS」は、乙第2号証の写真において(付箋で隠れて全部は見えないものの)胸部に記された文字「The Thing」及び“ティーシャツの意味の「TS」を表したものであり、これを平成21年2月2日に製造業者から21点納品を受けたことを示している。そして該当商品はその小ロットゆえにほぼ全品消費者の手に渡っており、唯一提示できるものが返品された乙第2号証及び乙第3号証に示すものなのである。
そして、販売した点数の多少が商標法上の「使用」該当性について結論を左右しないことは言うまでもない。
(10)請求人は「乙第2号証には本件商標が付されている」旨認めている。写っているティーシャツの製造者は、乙第8号証に示した「株式会社ダブリンイラストレイテッド」であり、被請求人はこれを仕入れ、梅田大丸内のショップにて販売をしたものである。
(11)請求人は「乙第2号証と乙第3号証とを結びける要素を発見することはできない」旨述べているが、ティーシャツのシワのより方、タグを結びつける紐の曲がり方、付箋の配置等完全に同一であり、むしろこれを同一でない、と疑義を差し挟む余地はないものと思料する。
(12)乙第4号証には,その「item」欄に「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」とあり,商標「Legendry」の商品(ティーシヤツ)であることが明らかである。なお「DAD」は被請求人ブランド「dress a dress」の頭文字である。請求人は帳票と現物との同一性云々を述べるが、通常商品そのものに当該商品の販売管理上の“Code(コード)”を表記するはずもない。また商品の色につき述べるが、これはデザインにおいて基調にある色を表しているものであり、「Black」や「Pink」が地色を意味しているわけでもない。むしろ、本件商品製造の外注費用の請求書日付(平成21年2月2日)と、商品の梅田大丸への納品日付(乙第4号証:平成21年1月30日。但し既述のとおり実際には被請求人のショツプヘの納入日付)、該当商品の販売日付(乙第7号証:平成21年2月10日、11日、20日。平成21年2月10日については乙第5号証にも表示。)、返品された商品の撮影日付(2009年(平成21年)3月10日)を踏まえれば、被請求人が当該商品を企画し販売した一連の流れに一点の疑義を挟む余地もないものというのが妥当である。
(13)請求人は、乙第5号証の販売記録と乙第2号証との同一性に疑義を唱えている。
しかし、商品(ティーシヤツ)を梅田大丸にて現に販売したことは乙第7号証をも踏まえれば明らかである。
(14)なお、“いかに「ティーシヤツ」とはいえ、直接肌に触れる衣類を洗濯なしで着るということは通常考えられない”との指摘は全くもってあたらない。需要者によって衣類についての考え方や扱い方は千差万別である。本件商品に限らず、“購入し即着用する”顧客が存在することを「通常考えられない」とする根拠がなく、立証もされていない。
3 上申書
(1)大丸梅田店における販売記録の保管について
ア 先般の口頭審理において審判長から「大丸梅田店での販売事実を示す証拠を提示されたい。」旨の示唆があったので、被請求人は大丸梅田店に対し、本件商標を付した商品の販売時期である2009年2月頃のレシート控の提供を依頼をしたところ、大丸梅田店からの回答は以下のとおりであった。
(ア)レシート控は、記帳日から10か月を経過した段階で廃棄している。
(イ)売上データとしては、各テナント企業に対して送っている「支払高通知書」(つまり、先に提示した乙第7号証)と同じ内容のものを保管している。
イ ここで大丸梅田店における売上記録(レジ)の方法につき若干の補足をする。大丸梅田店においては、いわゆる「集中レジ」方式による売上記録を行っている。これは、同店には被請求人のようなテナントが多数出店しているところ、これら複数のテナントの売り上げについて統一されたレジにて売上記録を行う。つまり、売上として記録される情報としては、同店が定義している部門、品番、取引コードに基づいて記録されることとなる。
ウ 乙第9号証は、大丸梅田店営業第1部のマネージャーから受領した、売上記録のコード定義を記した陳述書面である。これと乙第7号証の支払高通知書の記載とを対比すると良く判るように、「部」は「婦人部 ヤング」や「紳士部」のように、同店での取扱商品の大まかなカテゴリを示したものである。「B1F・2F・4F・5Fの東側で、1グループ」とあるように、単に単一の売り場について一つの部コードを割り当てているわけではなく、より広い括りでのカテゴライズがなされている。「部」の「23」は「婦人部 ヤング」を表すものである。
エ さらに、「品番」はこれを細分化したグループであり、「344」は「ヤッグアダルトトレンドI」というグループを表すものである。実際の売り場は5F東側が該当する。そして「取引コード」は、出店しているテナント及びその取扱い品目の原価率に応じて定義されているコードであり、「4 117」は被請求人の原価率68%の商品、「4012」は同じく被請求人の原価率75%の商品(本件商標を付したTシャツは、この取引コードが付された商品である)、「4013」は同じく被請求人の原価率95%の商品を意味する。支払高通知書における「品別番号」は、「品番」及び「取引コード」から構成されている。
オ このように、数多の商品を取り扱う百貨店において集中レジ方式での売上記録を行っていることから、大丸梅田店としては、個々のテナントの個々の商品について逐一精緻に記録しているわけではない。例えて言うならば、「Aから仕入れた『野菜』」といった形で記録は残しても、「Aから仕入れた『神奈川県産ピーマン』」のように、個別の商品情報までが記録されているわけではない。
カ ただし、上記乙第9号証及び既にご提示した乙第7号証からは、2009年2月10日に着目すれば、
(ア)「品別番号344-4012、仕入金額4,875円」が発生したこと(乙第7号証第1頁目一覧表 第11行目)
(イ)「品別番号344-4117、仕入金額166,600円」が発生したこと(乙第7号証第2頁目一覧表 第1行目)の事実を読み取ることができる。
キ そこで以下、これまで提示した各証拠に基づき、被請求人が本件商標を少なくとも2009年2月10日には使用していたことを整理して述べる。
(2)乙第3号証(乙第2号証)と乙第4号証との整合性
ア 乙第3号証には、本件商標「Legendry」をタグとして付したティーシャツの写真が示されている。このティーシャツの現物は先の口頭審理において示したとおりであるが、その胸部分には欧文字のメッセージが種々配されている中、
(ア)「The Thing」の文字
(イ)「just a pleasant smile」の文字の記載を確認することができる(なお念のため、先に提示した現物の写真を乙第10号証として再度提示する)。
また、乙第2号証ないし乙第3号証から、タグにおける
(ウ)「dress a dress」
(エ)「Legendry」(本件商標)の表記を確認することができる。
イ ここで、乙第4号証の「item」欄には「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」の記載があるところ、「DAD」は上記(ウ)「dress a dress」の頭文字である他、(イ)、(エ)の各記載も一致する。つまり、乙第4号証に記載されている商品と乙第3号証で示されている商品は同一のものである。
(3)乙第4号証と乙第5号証との整合性
ア 乙第4号証と乙第5号証との記載を見比べると、乙第5号証の2行目(矢印部分)のコード(「39 94 60 26 99 00」)、及びアイテムの記載が乙第4号証と完全に一致する。
イ つまり、乙第5号証で売上が記録されている商品と乙第4号証で納品した商品とは同一のものである。
ウ なお念のため付言すると、上述のコード(「39 94 60 26 99 00」)は、被請求人会社におけるアイテム管理のために定義してあるコードである。例えば冒頭の「39」はブランド(ここでは「dress a dress」を表す)を、2番目の「94」はグループ(ここでは「Legendry」を表す)を、3番目の「60」はアイテム種類(ここではティーシャツを表す)を表すものである。なおアイテム種類に関して言えば、「01」は指輪を、「02」はイアリングを表します。4番目の「26」は商品群の通し番号を表し、「99」は色番を、「00」はサイズを表します。当然ながら、こうした番号帯は被請求人に独自のものであり、他社の整理番号との関連性はない。
(4)乙第5号証と乙第7号証との整合性
ア 乙第5号証におけるコードと、乙第7号証の品別番号とはもともと相関性があるものではない。
しかし、(1)カにおいて示した点について言及すると、大丸梅田店における仕入記録と、被請求人における販売記録とは完全に符合するものである。すなわち、乙第7号証から読み取ることができる2009年2月10日付の品別番号「344-4012」の商品の仕入金額「4,875円」と、乙第5号証第2行目の売上記録「6,500円」とは、乙第9号証において大丸マネージャーによって陳述されている原価率75%を踏まえれば完全に符合する。
イ なお、(1)カ(イ)において、乙第7号証には「品別番号344-4117、仕入金額166,600円」が発生したことが示されている旨言及しているが、この点乙第5号証における「dress a dress」(=ブランドコード「39」)のアクセサリー類(アイテムコード「01」「02」)の売り上げは245,000円(乙第5号証の第1、3、4、5行目の合計)であり、これに乙第7号証の取引コード「4117」が示す原価率68%を掛け合わせた金額と完全に一致する(¥245,000×68%=¥166,600)。
ウ このように、単に被請求人内部の情報のみでなく、大丸梅田店における記録、定義されているコードとの関係を踏まえて見ても、被請求人の主張には何らの疑いの余地もない。
(5)以上のとおり、被請求人は、乙第3号証に示す本件商標を付した商品を、乙第4号証記載の日付つまり2009年1月30日に大丸梅田店に納入し、少なくとも2009年2月10日に最終消費者に販売した事実は、乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証から十分に示されている。

第4 当審の判断
1 乙第2号証ないし乙第5号証及び乙第7号証ないし乙第10号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第2号証は、ティーシャツの写真であり、ティーシャツにつり下げられたタグに「dress a dress」、「Legendry」、「FLEXFIRM」の記載がある。
そして、この写真は、背景の模様、ティーシャツの折り方、タグの位置などから、乙第3号証のティーシャツの写真を拡大したものとみるのが自然である。
(2)乙第3号証は、「乙第2号証:EXIF 情報」の表題のあるコンピュータのディスプレイ画面の写しであり、右上と左下にティーシャツの写真が表示され、中央下部に「撮影日時:2009/03/10/19:17」「タグ:タグの追加」、その右下に「作成日時:2010/10/04 11:15」「更新日時:2010/10/04 11:15」と表示されている。
(3)乙第4号証は、納品書の写しであり、右上に「株式会社フレックス・ファーム」「東京都港区六本木6-11-7」、左上に「09年1月30日 No.557723」、その下に「梅田大丸(ご担当)様」「下記のとおり納品しました」の記載があり、その下の一覧表の1段目には、「code」欄に「39 94 60 26 99」、「item」欄に「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」、「color」欄に「Black」、「price」欄に「6,500」、「Qty」欄に「7」の記載、2段目及び3段目には、それぞれの欄に「39 94 60 26 50」、「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」、「Pink」、「6,500」、「5」及び「39 94 60 26 69」、「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」、「Red」、「6,500」、「1」の記載がある。
(4)乙第5号証は、「FileMakerPro」の表題のあるコンピュータのディスプレイ画面の写しであり、左上部に「invoice date 2009年02月10日(火)」の表示、その右下に「01:FR」「0」「0」、画面中央部に「39 94 60 26 99 00」、「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」「Black」の表示、その右下に「50代女性 着て帰られました。」の表示がある。
(5)乙第7号証は、支払高通知書の写しであり、1枚目の右上に「株式会社大丸」、左上に「2009年1月21日?2009年2月20日」、その下に「東京都港区六本木6-11-7」「株式会社フレックス・ファーム御中」の記載があり、その下の一覧表の1段目には、「店」欄に「梅田店」、10段目の「記帳日」欄に「21 2 10」、「部」欄に「23」、「品番」欄に「344」、「品別番号」欄に「344-4012」、「仕入金額 円」欄に「4875」の記載、11段目には、それぞれの欄に「21 2 11」、「23」、「344」、「344-4012」、「4875」の記載、さらに、15段目及び28段目には「21 2 20」、「23」、「344」、「344-4012」、「4875」及び「21 2 18」、「23」、「344」、「344-4013」、「950」の記載がある。
(6)乙第8号証は、請求書の写しであり、下段の請求書には、上に「21年2月2日」、その右に「(株)ダブリンイラストレイテッド」、その左に「(株)フレックスファーム様」の記載があり、その下の一覧表の1段目には、品名欄に「THE THING TS」、数量欄に「21」、単価欄に「2,300」、金額(税抜・税込)欄に「48300」の記載、2段目の品名欄に「製版費」、数量欄に「2」、単価欄に「10,000」、金額(税抜・税込)欄に「20000」の記載がある。
(7)乙第9号証は、大丸梅田店営業第1部婦人服担当マネージャーの陳述書面であり、そこには、「2009年2月?3月大丸梅田店では、」、「部 23 ・・・婦人部 ヤングのグループをあらわします。」、「品番 344 『ヤングアダルトトレンドI』というグループをあらわします。」、「取引コード 4117 ・・・ フレックスファームの通常プロパー原価率68%と紐づいています。」、「取引コード 4012 ・・・ フレックスファームのプロパー原価率75%と紐づいています。」、「取引コード 4013 ・・・ フレックスファームのプロパー原価率95%と紐づいています。」、「H23年6月5日」、「大丸 梅田店」、「営業第1部婦人服担当マネージャー」の記載とともに、氏名の記載と押印がある。
(8)乙第10号証は、ティーシャツの写真であり、その中央部に「is just a pleasant smile」の文字がプリントされている。
2 上記1及び被請求人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)被請求人の使用する商標は、乙第2号証及び乙第3号証の写真のティーシャツにつり下げられたタグに、青色で表示された「Legendry」の欧文字(以下「使用商標1」という。)及び乙第4号証の納品書に記載された「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」中の「Legendry」の欧文字(以下「使用商標2」という。)と認めることができ、また、使用商標1及び2を使用する商品(以下「本件商品」という。)は、ティーシャツである(上記1(1)ないし(3))。
(2)被請求人と株式会社大丸は「売上仕入」と呼ばれる形態の取引を行っており、大丸梅田店の「婦人服ヤング」グループ中の「ヤングアダルトトレンドI」グループの売場において、2009年(平成21年)2月に原価率75%で4,875円(販売価格は6,500円)のフレックスファーム(被請求人)の商品3点を販売した(上記1(5)及び(7))。
しかしながら、該商品が具体的にどのような商品であるかは確認できない。
(3)被請求人は、株式会社ダブリンイラストレイテッドに、品名「THE THING TS」の製造を発注し、平成21年2月頃に受領したと推認することができる。
しかしながら、「THE THING TS」がいかなる商品であるかは確認できない。なお、「TS」がティーシャツを表すものだとしても、本件商品であることは確認できない。
3 以上の認定した事実から、次のとおり判断することができる
(1)本件商標と使用商標1及び2との同一性
本件商標は別掲のとおり青色の「Legendry」の欧文字からなるものであり、使用商標1及び2はそれぞれ上記2(1)のとおり青色の「Legendry」の欧文字及び黒色の「Legendry」の欧文字からなるものである。
そこで、本件商標と使用商標1及び2とを比較すると、両者は、その綴り字、書体をほぼ同一にするものであるから、両者は同一又は社会通念上同一の商標といえる。
(2)使用商標1及び2を使用する者
ティーシャツにつり下げられたタグ及び納品書に、被請求人の名称と認められる「FLEXFIRM」の文字及び被請求人の名称が記載されている(乙第2号証ないし乙第4号証)ことから、被請求人(商標権者)が使用商標1及び2を使用しているということができる。
(3)本件商品
本件商品は、ティーシャツであり、本件取消請求に係る指定商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」の範ちゅうに含まれる商品である。
(4)商標の使用時期
上記2(2)のとおり、被請求人と株式会社大丸との間で平成21年2月に何らかの取引があったことは認められるものの、本件商品の取引があったものとは認めることができない。
なお、被請求人は、乙第3号証(乙第2号証)と乙第4号証、乙第4号証と乙第5号証、乙第5号証と乙第7号証及び乙第9号証の整合性があるから、乙第3号証に示す本件商品を最終消費者に販売した事実が示されている旨主張しているが、乙第3号証(乙第2号証)と乙第4号証、乙第5号証と乙第7号証と乙第9号証については、それらの「code」欄、「item」欄、「品番」、「品別番号」欄等をはじめとする記載内容が一致するなどの、それら乙各号証の関連性を見いだすことができず、また、乙第4号証及び乙第5号証は、「39 94 60 26 99」「DAD,Legendry,T-shirts,pleasant Smile L/S」「Black」の記載が一致しているが、両者は被請求人自身が容易に作成できるものであり、受領書等第三者の作成に係る証左は提出されていないから、被請求人の上記主張は採用することができない。
また、被請求人は、本件商品を現に販売した結果その一部について返品を受けているのであるから、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行っている旨、及び販売の事実を認めることができないとされた場合であっても、被請求人が本件商品を梅田大丸のショップにおいて商品陳列を行っていたことは明らかであるから、少なくとも商標法第2条第3項第1号に規定する使用を行っていた旨主張している。
しかしながら、被請求人と株式会社大丸との間で本件商品の取引があったと認められないこと上記のとおりであり、本件商品が販売されたとはいえないし、また、本件商品に使用商標1を付した状態で商品陳列していたことを認めるに足る証左の提出もないから、被請求人は、商標法第2条第3項第2号及び同第1号に規定する使用を行っていたということはできない。
そうとすれば、被請求人は、本件商標(社会通念上同一のものを含む。以下、同じ)を 本件審判の請求の登録(平成22年8月20日)前3年以内に使用していたと認めることはできない。
(5)してみれば、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、上記要証期間内に被請求人(商標権者)が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「ティーシャツ」について、本件商標を使用していたものと認めることはできない。
その他、本件商標が、上記要証期間内に日本国内において、請求に係る指定商品第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について使用されていると認めるに足る証拠はない。
4 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、その指定商品中「第25類 洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


(色彩については原本参照)

審理終結日 2011-08-12 
結審通知日 2011-08-16 
審決日 2011-08-29 
出願番号 商願2006-81378(T2006-81378) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2007-02-23 
登録番号 商標登録第5028508号(T5028508) 
商標の称呼 レジェンドリー 
代理人 下坂 スミ子 
代理人 中山 俊彦 
代理人 砂金 伸一 

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