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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1246323 
審判番号 取消2010-300771 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-12 
確定日 2011-10-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4775126号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4775126号商標の指定商品中、第25類「ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),サイクリング靴,履物」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4775126号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年1月21日に登録出願、第25類「手袋,オートバイ競技用衣服,ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),スカーフ,サイクリング靴,靴下,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の外、第9類、第12類、第18類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年5月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中、第25類「ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),サイクリング靴,履物」のいずれにも使用されていないことが判明した。
したがって、請求の趣旨どおりの審決を求めるものである。

2 答弁に対する弁駁
被請求人の提出に係る乙各号証は、いずれも、本件審判の請求の登録前3年以内の日本国内における商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による審判請求に係る指定商品についての本件商標の使用を裏付けるものではない。
(1)乙第1号証によれば、本件商標が靴の中敷部分及び外側つま先部分に使用されているとされる「Talon SPD Shoes」という名の靴(シューズ)に関して、「シンプルな3ストラップを採用したクロス競技用SPDシューズ」であるとの説明がなされている。また、同じく乙第1号証においては、英語で「Cross racing adopted a simple three strap shoes SPD(クロス競技で、シンプルな3ストラップが採用された。)」との説明がなされている。
特許電子図書館(IPDL)の「商品・役務名リスト」によれば、例えば、「サイクリング競技用の靴」、「自転車競技用のレーサーシューズ」、「自転車競技用靴」といった、自転車競技(レース)の際に装着することを意図した競技用の靴(シューズ)を表す商品名が掲載されているが、これらは全て、「類似商品・役務審査基準(国際分類第9版)」(特許庁商標課編)でいうところの「運動用特殊衣服 運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」(類似群コード24C01)の範躊に属する商品であると認定されている(甲第1号証)。
これに対して、本件審判請求に係る指定商品に含まれる「サイクリング靴」は、特に、自転車競技(レース)の際に装着する特殊な用途の靴ではなく、一般用途としての自転車用、若しくは、娯楽としてのサイクリング用の靴であって、「類似商品・役務審査基準」でいうところの「履物」、より厳密には、「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」(類似群コード22A01)の範躊に属する商品である。
このことは、「商品・役務名リスト」において、例えば、「サイクル用シューズ」が「履物」のうちの「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」(類似群コード22A01)に、「サイクリング競技用の靴」が「運動用特殊衣服 運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」(類似群コード24C01)に属する商品であると認定されていることから明らかである(甲第1号証)。
即ち、特許庁で容認されている指定商品の表示においては、自転車に乗る際に使用する靴のうち、特に、自転車競技(レース)の際に装着することを意図した特殊な用途の商品であれば、「サイクリング競技用」又は「自転車競技用」といった用途を限定する文言が商品名に明示されているのに対して、そのような特殊用途表示がなければ、一般用途としての自転車用、若しくは、娯楽としてのサイクリング用の商品であるという区別がなされていることになる。このことからすれば、乙第1号証で示される商品は、前者に属するものであって、本件審判請求に係る指定商品「サイクリング靴」が後者に属することは明らかである。
したがって、乙第1号証は、「運動用特殊衣服 運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」(類似群コード24C01)の範躊に属する商品に関するものであって、「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」(類似群コード22A01)の範躊に属する「サイクリング靴」に関するものではなく、また、審判請求に係るその他の指定商品である「ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),履物」のいずれに関するものでもないから、審判請求に係る指定商品についての本件商標の使用の事実を証するとはいえないものである。
(2)次に、乙第2号証及び乙第3号証は、日本国外に所在する「ウェスタン・パワー・スポーツ,インコーポレイテッド」(以下「ウェスタン・パワー社」という。)が日本に所在する「グルーヴィーインターナショナル」(以下「グルーヴィー社」という。)に対して、「Talon SPD Shoes」という名の靴又はその他の商品を出荷、即ち、輸出したであろうことを推認させるに止まるものであって、被請求人(商標権者)であるウェスタン・パワー社が本件商標を「Talon SPD Shoes」という名の靴等の商品について、日本国内において現実に使用したことを示すものではない。なぜなら、日本国外に所在するウェスタン・パワー社がグルーヴィー社に対して商品を米国から輸出する行為は、商標の使用態様として挙げられた商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを(日本国内において)譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」のいずれにも該当せず、本件商標の使用を構成し得ないからである。
また、仮に、グルーヴィー社がウェスタン・パワー社から、「Talon SPD Shoes」という名の靴等の商品を現実に日本に輸入していたとしても、前者が本件商標に係る商標権者といかなる関係にあるか等については不知である。
さらに、乙第3号証の送り状に記載された商品が乙第1号証に示された「Talon SPD Shoes」という名の靴であるとすれば、そもそも、当該商品は「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」の範躊に属する商品であって、審判請求に係る指定商品である「ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),サイクリング靴,履物」のいずれでもないことは、上述のとおりであるから、被請求人が提出する乙第2号証及び乙第3号証が審判請求に係る指定商品について本件商標を使用したことの証拠にはなり得ないことは明らかである。
(3)以上より、被請求人が提出する証拠をもってしては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、審判請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを被請求人が証明したということはできず、また、その指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたとはいえないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
本件商標は、商標権者によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、少なくとも、「サイクリング靴」に使用されている。即ち、乙第1号証に示すとおり、被請求人の「Talon SPD Shoes」という名のサイクリング靴(特に、白黒のチェックの靴)の中敷部分及び外側つま先部分に本件商標が使用されている。そして、該靴は、日本での店舗「グルーヴィーインターナショナル」(乙第2号証)において、遅くとも2008年10月から現在に至るまで継続的に販売されている。
なお、本件商標が使用されている態様に関しては、グルーヴィー社のインターネットサイトの写真で容易に確認することができる。
そして、上記サイクリング靴が継続的に販売されていることについては、被請求人であるウエスタン・パワー社からグルーヴィー社に対して、2008年10月29日、2009年11月4日、2010年1月26日に送付した送り状からも明らかである(乙第3号証)。
したがって、本件審判請求には理由がない。

第4 被請求人に対する審尋及び回答
1 当審において、平成23年3月7日付けで被請求人に対して行った審尋の内容は、要旨以下のとおりである。
(1)商標権者によって使用されていると述べているが、どの証拠を根拠としているのかが明らかでなく、商標権者による使用が確認できない。
(2)仮に、グルーヴィー社による使用をもって、商標権者が使用しているということであれば、商標権者とグルーヴィー社の関係は何ら明らかにされていないため、商標権者との関係の不明な者による使用をもって、商標権者の使用と認めることはできない。
(3)被請求人が提出した取引書類は、送り状(乙第3号証)のみであり、該書類のみでは、本件商標「FLY」が付された取消請求に係る指定商品「サイクリング靴」が、実際に取引(輸入)されていたことを証明するものとしては、いまだ十分な証拠とはいえない。
そこで、日本国内に通常使用権者等が存在するのであれば、その旨の説明及びその証明、並びに本件審判請求登録前3年以内に、本件商標を付した「サイクリング靴」の取引が実際に行われていたことを明らかにするための取引書類を追加で提出されたい。

2 前記審尋に対し、被請求人からの回答はない。

第5 当審の判断
1 被請求人は、商標権者である被請求人が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、少なくとも、本件指定商品中の「サイクリング靴」に使用していた旨主張し、証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
そこで、被請求人の提出する乙各号証をみるに、乙第1号証は、「GROOVY/Racing Bicycles」の表示のあるインターネットサイトからのプリントアウトであり(打出日は2010年10月29日)、「Talon SPD Shoes」の表題のもとに、靴の写真とその紹介文が掲載されている。その中でも、特に、白黒のチェックの靴の中敷部分にはやや鮮明さに欠けるものではあるが、別掲に示すとおりの構成からなる商標が表示されていることが認められる。そして、商品の紹介文には、「シンプルな3ストラップを採用したクロス競技用SPDシューズです。つま先部分に補強が入った安全設計により、接触によるホイールへの巻き込みや、ダウンヒルでの岩へのヒットにも安心です!」と記載されており、また、英文の紹介文には、「Cross racing adopted a simple three strap shoes SPD(クロス競技で、シンプルな3ストラップが採用された。)」との説明がなされている。
乙第2号証は、グルーヴィー社のインターネットサイトからのプリントアウトであり(打出日は2010年10月15日)、乙第1号証と同じ「GROOVY/Racing Bicycles」の表示のあるサイトであり、「グルーヴィーインターナショナルは、アメリカを中心とした海外のダート系バイシクルブランドを専門に取り扱うディストリビューターとして2002年に誕生しました。元々ダウンヒルレースを楽しんでいた私達は、単に流行や価格に左右される製品ではなく、レースまたは過酷なダートで鍛え上げられた最高の機能と強度を誇る製品を選りすぐって皆様にお届けすることをモットーとしております。・・・大量生産に走らず、手間と時間を掛け世に送り出される素晴らしい製品をアフターサービスを含め末永くご愛用いただけるよう日夜努力し、全国のプロショップを通し販売しております。また、製品をご覧いただける機会を増やし、ユーザー様の『声』を直接お聞きできるようJCFMTBジャパンシリーズやJBMXF、JOSFなどの各種大会・イベントに出展しております。・・・住所 新潟県上越市本町5-1-8・・・」と記載されている(なお、乙第2号証は、右端が欠けているので、グルーヴィー社のインターネットサイトを確認した。)。
乙第3号証は、被請求人であるウエスタン・パワー社がグルーヴィー社に対して送付した2008年10月29日付、2009年11月4日付及び2010年1月26日付のインボイスであり、2008年10月29日付のインボイスの「DESCRIPTION」の欄には、「FLY TALON 2 SHOE WHT SZ 6」の記載があり、2009年11月4日付のインボイスの「DESCRIPTION」の欄には、「FLY CHECKMATE BMX SHOE YTH 13」等の記載があり、2010年1月26日付のインボイスの「DESCRIPTION」の欄にも「FLY CHECKMATE BMX SHOE YTH 13」等の記載があることが認められる。

2 上記において認定した乙各号証により、本件商標が「サイクリング靴」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人により使用されていた事実が証明されたといえるか否かについて判断する。
(1)本件商標は、前記したとおり、「FLY」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、乙第1号証において、「Talon SPD Shoes」として紹介されている白黒のチェックの靴の中敷部分には、別掲に示したとおり、「FLy(「y」の文字も他の文字と同じ大きさに表されている)」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されていることが認められる。そうすると、本件商標と使用商標とは、特に語尾部分の「Y(y)」の文字の態様において差異があるものの、いずれも同じ綴り字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる範囲内のものということができる。
また、「Talon SPD Shoes」として紹介されている靴は、その紹介記事によれば、「シンプルな3ストラップを採用したクロス競技用SPDシューズです。つま先部分に補強が入った安全設計により、接触によるホイールへの巻き込みやダウンヒルでの岩へのヒットにも安心です!」と記載されていることからみれば、クロス競技用に用いられるサイクリング靴(以下「使用商品」という。)と認められるものであって、これは、取消請求に係る指定商品中の「サイクリング靴」の範疇に属するものと認められる。(なお、SPDとは、シマノ・ペダリング・ダイナミクスの略で、専用シューズを専用ペダルに固定する方式の事。:「自転車・マウンテンバイク用語集」参照-http://bicycle.omakase-hp.com/word/110/spd.html)
(2)しかしながら、以下の理由により、乙各号証をもってしては、本件審判請求の登録(平成22年8月2日)前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていたことを証明したものとはいえない。
ア まず、乙第1号証及び乙第2号証をみるに、乙第1号証及び乙第2号証は、そのヘッド部分の表示が同じであることから、これらは、いずれもグルーヴィー社のインターネットサイトをプリントアウトしたものと認められるものである。そして、乙第2号証によれば、「グルーヴィーインターナショナルは、アメリカを中心とした海外のダート系バイシクルブランドを専門に取り扱うディストリビューターとして2002年に誕生しました。」と記載されてはいるが、商標権者との関係を表す記載はなく、商標権者もグルーヴィー社との間で総代理店契約を締結しているとか、グルーヴィー社に対して本件商標についての使用許諾を与えている等、両者の関係について何ら主張しておらず、また、両者の関係を示す証拠も何ら提出していない。
そうとすれば、乙第2号証から把握し得ることは、グルーヴィー社は、単に、新潟県上越市に存在し、アメリカを中心とした海外各社のダート系バイシクルブランドを仕入れて販売している卸売店であるということにとどまるものであり、本商標権についての通常使用権者として、あるいは、商標権者から本件商標についての使用許諾を受けて、乙第1号証あるいは乙第2号証のインターネットサイトに「Talon SPD Shoes」なる靴を掲載していたものとは認められない。また、乙第1号証には、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標が表示されている「サイクリング靴」が表示されていることは認められるとしても、乙第1号証がプリントアウトされたのは、その欄外の日付からみて、2010年10月29日であるから、本件審判についての要証期間内に打ち出されていたものではなく、他に、該サイトが本件審判についての要証期間内に閲覧可能な状態にあったことを証明する証拠も提出されていない。
イ 次に、乙第3号証は、2008年10月29日付、2009年11月4日付及び2010年1月26日付のインボイスであり、これらのインボイスにより、商標権者であるウエスタン・パワー社がグルーヴィー社宛てに、インボイスに記載の商品について、その数量、価格等の明細を通知したことは認められるとしても、我が国に輸入された事実を裏付ける証拠、例えば、商品代金や通関料、関税、輸入消費税等の支払いを証明する書面等の証拠が提出されていないことから、インボイスに記載されている商品が実際に我が国に輸入された事実を確認することができない。
そうとすれば、乙第3号証をもってしては、該インボイスに記載の商品が我が国に輸入されたことを証明したものとはいえない。しかも、該インボイスに表示されている「FLY TALON 2 SHOE WHT SZ 6」あるいは「FLY CHECKMATE BMX SHOE YTH 13」等の靴が乙第1号証のインターネットサイトに掲載されている靴と同一のものであることを確認することもできない。
ウ してみれば、商標権者が本件商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む)を「サイクリング靴」について使用していたとして提出した乙各号証は、いずれも、その使用の事実を証明するに足る的確なものとはいえない。
そして他に、本件商標が取消請求に係る指定商品について使用されていたことを認めるに足る証拠も提出されていない。
エ また、当合議体は、前記第4のとおり、被請求人に対し、通常使用権者の存在の説明及び証明並びに本件商標を付した指定商品の取引が実際に行われていたことを明らかにするための取引書類の追加提出を求めたが、被請求人は何ら回答(答弁)するところがない。
(3)なお、使用商品の帰属については争いがあるので、商品について補足するに、請求人は、「特許庁で容認されている指定商品の表示からみれば、『サイクリング競技用』又は『自転車競技用』といった用途を限定する文言が商品名に明示されている場合には、『運動用特殊靴(類似群コード24C01)』の範躊に属する商品といえるが、そのような特殊用途表示がなければ、一般用途としての自転車用若しくは娯楽としてのサイクリング用の商品であって、『履物』、より厳密には、『靴類(『靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具』を除く。)』(類似群コード22A01)の範躊に属する商品であるから、取消請求に係る本件商標の指定商品中の、『サイクリング靴』は、用途を限定する文言がないから、『靴類(類似群コード22A01)』の範躊に属する商品であって、『運動用特殊靴(類似群コード24C01)』の範躊に属する商品ではない。そして、被請求人が呈示する乙第1号証で示される商品は、『運動用特殊靴』の範疇に属する商品である。したがって、取消請求に係る『サイクリング靴』の使用を証明するものではない。」旨主張している。
しかしながら、例えば、東洋経済新報社発行の「商品大辞典(1996年4月15日第13刷)」の「サイクリング用品」の項によれば、「・・・サイクリングの唯一の用具は自転車で、特定の型のものでなければならないという決まりはない。・・・なお、サイクリングの普及とともに、くつ、バッグ類、テントなどの付属品も開発されている。」と記載されている。また、用語解説サイト「Kotobank」の「サイクリングシューズ(cycling shoes)」の項(http://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BA)によれば、「サイクリングの際に履く靴。ペダルを踏むのに、力を無駄にせず疲れにくいよう、靴底が硬くなっている。また、ビンディングペダルに装着できる金具が底についた専用の靴もある。」と記載されている。
そして、本件商標の指定商品中の第25類の指定商品は、「手袋,オートバイ競技用衣服,ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),スカーフ,サイクリング靴,靴下,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と指定されているところ、当該「サイクリング靴」の表示は、主として日常歩行の際に使用される靴類をまとめた概念表示である「履物」及び「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」の例示商品として指定されているのではなく、また、専らスポーツに使用され、日常一般ではほとんど使用されない靴類をまとめた概念表示である「運動用特殊靴」の例示商品として指定されているのでもなく、これらとは別個の独立した商品として、積極的に表示されているものである。
そうとすれば、本件指定商品「サイクリング靴」のように、その表示のみからでは使用商品の帰属が決しがたい商品の判断に当たっては、当該商品の用途、構造等を取引の実情、文献の記載等に照らし総合的に判断するのが相当であるから、「サイクリング靴」なる指定商品の表示に特殊用途(競技用)の表示がないからといって、これを一般用途としての自転車用若しくは娯楽としてのサイクリング用の靴であって、運動用特殊靴としてのサイクリング靴は含まれないとみる合理的な理由はないものというべきである。
そして、本件に係る使用商品は、取消請求に係る「サイクリング靴」の範ちゅうに属するものと認められるものである。

3 結び
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る第25類「ブーツ,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),サイクリング靴,履物」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲


別掲(使用商標)(乙第1号証を参照)


審理終結日 2011-05-20 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-06 
出願番号 商願2002-3323(T2002-3323) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小松 孝杉本 克治 
特許庁審判長 野口美代子
特許庁審判官 田中 亨子
鈴木 修
登録日 2004-05-28 
登録番号 商標登録第4775126号(T4775126) 
商標の称呼 フライ、エフエルワイ 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 塩谷 信 
代理人 西山 清春 
代理人 今岡 智紀 
代理人 宮城 和浩 
代理人 高田 泰彦 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 溝部 孝彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 柏 延之 
代理人 古谷 聡 

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