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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X182528 審判 全部申立て 登録を維持 X182528 |
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管理番号 | 1244922 |
異議申立番号 | 異議2010-900422 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-12-28 |
確定日 | 2011-10-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5358329号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5358329号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5358329号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXT GEAR」の文字を標準文字で表してなり、平成22年5月21日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」を指定商品として、平成22年10月1日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりである。 (1)登録第2272314号商標(以下「引用商標1」という。)は、「NEXT」の文字を書してなり、昭和60年2月27日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年10月31日に設定登録され、同12年10月10日及び同22年5月25日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。その後、指定商品については、同14年2月13日に第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (2)登録第4772640号商標(以下「引用商標2」という。)は、「NEXT」の文字を標準文字で表してなり、平成15年10月17日に登録出願、第18類「傘」を指定商品として、同16年5月21日に設定登録されたものである。 (3)登録第4845247号商標(以下「引用商標3」という。)は、「NEXT」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月26日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同17年3月11日に設定登録されたものである。 以下、これらの登録商標をまとめていうときは「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第11号該当について 本件商標は「NEXT」と「GEAR」との欧文字を標準文字で表した結合商標である。本件商標中、「NEXT」の語は「〈時が〉この次の;〈順序・配列が〉次の;〈位置が〉一番近い;隣の」の意味を有する中学校程度で習う馴染みのある英語である(甲5)。他方、本件商標中、「GEAR」の語は機械で使用される「ギヤ;歯車」のほか、「道具」や「用具」という意味をも有する語である(甲6)ので、単に道具や用具の意味合いを有する「GEAR」の語は、本願商標の指定商品との関係でみると、格別識別力が強い語であるとはいえない。 さらに、本件商標中、「NEXT」と「GEAR」の両語には一文字程度の間隔が空いており、両語は視覚上分離して看取されることから、識別力の乏しい「GEAR」の語を省略して、語頭部に位置することで印象に残りやすい「NEXT」の語をもって取引にあたる場合も多いと判断するのが取引の実情に照らして相当である。つまり、外観上の一体性が弱いことから、「NEXT」と「GEAR」とが分断して認識され、本件商標の要部は「NEXT」部分であると判断される場合があることは明らかである。 かかる構成から、本件商標からは「ネクストギア」なる称呼のみならず、単に「ネクスト」なる称呼をも生じると認められる。また、「NEXT」の部分に対応した「次の;隣の」という観念が生ずるものである。 他方、引用商標は、いずれも「NEXT」の欧文字からなる商標であり、これに相応して「ネクスト」の称呼及び「次の;隣の」という観念が生ずるものである。 そこで、本件商標と引用商標との類否について検討すると、本件商標の要部は「NEXT」であり、これと引用商標「NEXT」とは、称呼、観念、外観上同一であることは明らかである。 次に、本件商標と引用商標の指定商品についてみると、本件商標の指定商品中、「被服」は、引用商標1の指定商品中、「洋服,コート,セータ一類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服」等を包括する商品である。 また、本件商標及び引用商標2の指定商品には、いずれも「傘」を含んでいる。 さらに、本件商標及び引用商標3の指定商品には、いずれも「履物」を含んでいる。 以上要するに、本件商標の要部「NEXT」と引用商標とは称呼、観念、外観上同一である。そして、本件商標の指定商品中、第18類「傘」及び第25類「被服、履物」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当について 申立人の親会社であるネクスト ピー エル シー(以下「ネクスト社」という。)は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、同社ホームページにあるBusiness Overview(会社慨要)に示すように、1982年に「Next」ブランドの婦人服の販売を開始し、その後、紳士服、子供服、小物、靴、アクセサリー及びインテリア等とその取扱いを広げ、現在ではイギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む外国においても180以上の店舗を有している(甲9)。同社を含むグループ全体の2010年度の総収入は?34億(約4,462億円)であり、税引前の利益は?5億5百万(約662億円)にも及んでいる。上記利益から判断して、申立人及びネクスト社を含むグループ会社はイギリス最大級の製造販売グループであることが窺われる。 なお、日本においては、ゼビオ株式会社(以下「ゼビオ社」という。)が「1997年、イギリス最大の製造小売業ブランドであるNEXT社と提携・・・」(甲11)し、この提携先のゼビオ社によって「next」の名称で20店舗が運営され(甲12)、加えて、「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服を販売するオンラインショップが運営(甲13)されている。 「NEXT」商標は、申立人及びネクスト社を含むネクストグループのハウスマークであり、日本において現在に至るまでの10年余にわたり、商品「被服」、「靴類」、「かばん類」、「身飾品」について使用されている。即ち、本件商標の出願日である平成22年5月21日以前から現在まで我が国において積極的に使用されてきた事実が存在する。 これを裏付ける証拠として、宣伝広告活動のごく一例を挙げると次のとおりである。 ・NEXT2000年春/夏カタログ(甲14) ・NEXT2004年秋/冬カタログ「2004 NEXT AUTUMN WINTER」(甲15) ・next2007年秋/冬カタログ「秋から冬までnextカジュアル」(甲16) ・NEXT2007年紳士服宣伝用チラシ「Tailoring Fair」(甲17) ・NEXT新生児服の販促キャンペーンチラシ「Welcome to NEXT」(甲18) ・2006年セール案内「NEXT 『X’tyle』オープン協賛セール」(甲19) ・NEXT婦人服カタログ「季節をつなぐキレイめカジュアル」(甲20) 加えて、「next Japan」のホームページによると、「next」商品が女性向けファッション誌や子供向け雑誌等に多数紹介されている旨の記載がある(甲21)。それらの雑誌のごく一例を挙げると、「GINGER」、「Mart」、「美STORY」、「たまごくらぶ」及び「小学3・4年生」等である。これらは2010年8月号から2011年3月号発行の雑誌であるが、その短い期間に「next」商品が紹介された雑誌数を合計すると延べ50誌にも達するのである。このように「next」商品が大々的に雑誌で取り上げられている事実を鑑みると、申立人の所有する「NEXT」商標が需要者間に周知であると判断することができる。 即ち、これらの証拠(甲9ないし甲22)から総合すると、申立人所有の周知商標「NEXT」を明瞭に含む本件商標「NEXT GEAR」が第18類の全指定商品、第25類の全指定商品および第28類の全指定商品について使用された場合、申立人及びネクスト社を含むグループ会社の業務に係る商品との間で出所の混同を生じるおそれがあることは明白である。 してみれば、本件商標の出願日である平成22年5月21日以前から我が国において申立人及びネクスト社を含むネクストグループが提供する商品「被服」、ほかについて市場において積極的に商標「NEXT」を使用した結果、本件商標の出願時にはすでに周知、著名なものとなっている事実があることから、申立人の周知な商標「NEXT」に「GEAR」を結合した本件商標「NEXT GEAR」がその指定商品について使用された場合、需要者や取引者は、それらの商品が恰も申立人又はその関連会社により製造販売された商品であるかの如く、出所の混同を生ずるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 (3)以上のとおり、本件商標は、その全ての指定商品について商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に該当するため、商標法第43条の3第2項の規定により登録を取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「NEXT GEAR」の文字からなるところ、これは、「次の」を意味する「NEXT」の英語と「道具、用具」等の意味を有する「GEAR」の英語からなると容易に認識し得るものである。 しかして、本件商標は、その構成態様上、前記の両文字は、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体的に表されており、視覚上いずれかが特に強い印象を与える部分とは見て取れないものである。また、たとえ、後ろの「GEAR」の文字が「道具、用具」等の意味合いを表す語であるとしても、前の「NEXT」の文字が「次の」の意味をもって後続の文字を形容する働きをする語として一般に知られ親しまれていることからすると、「NEXT GEAR」の全体で「次の道具(用具)」程の一体的な意味合いを看取させるものというのが相当であるから、「NEXT」の文字部分のみが殊更に強く印象づけられるものとはいえない。 そうすると、本件商標は、「NEXT GEAR」の全体をもって、自他商品の識別標識として認識し、理解されるものというのが相当であるから、これよりは、「ネクストギア」の一連の称呼、及び「次の道具(用具)」の観念が生じるものというべきである。 一方、引用商標は、いずれも、「NEXT」の構成文字に相応して、「ネクスト」の称呼、及び「次の」の観念が生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、その外観において明らかに相違するものである。 称呼においては、本件商標から生ずる「ネクストギア」と引用商標から生ずる「ネクスト」とは、構成音数が6音と4音であって、相違する「ギア」の音の有無に明らかな差異を有するものであるから、明確に区別し得るものである。 観念においては、両者は、それぞれから生じる観念が明らかに異なるものであるから、観念上相紛れるおそれはないというべきである。 してみれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、「NEXT」商標は、申立人及び親会社であるネクスト社を含むネクストグループのハウスマークであり、日本においては、提携先のゼビオ社によって、「next」の名称で20店舗が運営されており、引用商標(使用に係る「NEXT」「next」の商標を含む。以下この項において同じ。)は、「被服」等の商品について使用して著名になっている旨主張している。 そして、申立人の提出に係る証拠によれば、申立人及び親会社であるネクスト社を含むネクストグループは、申立人の業務に係る商品「被服」等について、「NEXT」の文字からなる商標を使用していることを窺い知ることはできるが、提出に係る証拠は、申立人会社や株式会社ゼビオ等のホームページ、カタログ、チラシ等であり、それらの配布部数や配布地域も明らかではなく、また、我が国における商品の販売数量、売上高、広告宣伝の状況等、引用商標の著名性を具体的に裏付ける証拠も何ら提出されていないから、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 しかも、前記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、加えて、「NEXT」の語は、我が国においても、「次の、今度の」等の意味を表す英語として広く一般に理解、認識されている成語であって、引用商標は、独創性のある標章ではないこと、商標「NEXT」「next」が申立人に係る商品等を表示する商標として需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないことを勘案すれば、たとえ、本件商標の構成中に「NEXT」の文字が含まれているとしても、単に「NEXT」を含むことをもって、当該部分のみに印象を留め、本件商標と引用商標とを関連あるものとして看取するとはいい難いものである。 そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-09-26 |
出願番号 | 商願2010-39916(T2010-39916) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X182528)
T 1 651・ 271- Y (X182528) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小川 敏 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2010-10-01 |
登録番号 | 商標登録第5358329号(T5358329) |
権利者 | 株式会社アシックス |
商標の称呼 | ネクストギア、ネクスト |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |