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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1244912 
異議申立番号 異議2011-900024 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-01-24 
確定日 2011-10-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5362504号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5362504号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5362504号商標(以下「本件商標」という。)は、「そば処山形伊右ェ門」の文字を横書きしてなり、平成22年7月9日に登録出願、第30類「山形県産のそばの麺,山形県産の中華そばの麺,山形県産のそばつゆ,山形県産の中華そば用スープ」を指定商品として、同年9月29日に登録査定、同年10月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人株式会社福寿園及びサントリー食品インターナショナル株式会社(以下、両者を併せて「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次のとおりである。
(ア)登録第4766195号商標(以下「引用商標1」という。)は、「伊右衛門」の漢字を標準文字で表してなり、平成15年9月11日に登録出願、第16類「懐紙及びその他の紙類,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ」、第20類「木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,せんす,盆(金属製のものを除く。)」、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,食器類(貴金属製のものを除く。),泡立て器,茶筅,棗,盆(貴金属製のものを除く。),ひしゃく,茶しゃく,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,花瓶(貴金属製のものを除く。 ),香炉」、第30類「茶」及び第32類「清涼飲料」を指定商品として、同16年4月23日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(イ)2008年商標登録願第51153号商標(以下「引用商標2」という。)は、「IYEMON」の欧文字を横書きしてなり、平成20年6月26日に登録出願、第30類「穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」を指定商品とするものであって、現在、審査に係属しているものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標構成中の「そば処」の文字は、「そばの名産地」の意味を認識させるものであり、「山形」の文字は、山形県の県名を直感させ、商品の産地、販売地を認識させるものであるから、「そば処山形」の文字部分からは、「そばの名産地山形県」の意味合いを容易に認識させるものであって、それ自体では自他商品の識別機能を有しないものである。
そうとすれば、本件商標からは、「山形県産の伊右ェ門という名称のそば」の意を容易に認識させるものであって、「伊右ェ門」の文字部分が要部として機能するものであり、これより「イエモン」の称呼が生じ、人名を観念させるものである。
したがって、本件商標と「伊右衛門」の文字よりなる引用商標1とは、「イエモン」の称呼において共通し、共に人名を観念させる点においても共通するものであるから、互いに類似するものである。
(イ)申立人は、「伊右衛門」ブランド(引用商標1)の緑茶飲料、茶葉を製造、販売しており、引用商標1は「緑茶飲料」の分野において、本件商標の出願日前から著名性を有するものである。
そして、本件商標の指定商品である「そばの麺」は、「茶そば」というカテゴリーがあるように、お茶が原料として使用されることがあり、商品としては近い関係にあって、需要者・取引系列等も共通するものであり、申立人が運営する「福寿園宇治工房」や横浜市の大丸ららぽーと横浜店に出店している茶そばを扱う飲食店「慶茶」、大丸大阪心斎橋店に出店している「京の茶寮伊右衛門」等において茶を使用した飲食物を提供している(甲第17号証及び甲第18号証)。
してみれば、福寿園の創業者の名であって特異な名称からなる著名な引用商標1と明らかに類似する本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、その商品が恰も申立人あるいは申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如くに誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれのあることは必至である。
このことは、平成21年(行ケ)第10378号判決に照らしてみても明らかである(甲第7号証)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第8条第1項について
引用商標2は、「IYEMON」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「イエモン」の称呼が生じるものであって、本件商標と引用商標2とは、称呼上類似するものである。そして、本件商標と引用商標2の指定商品とは、同一又は類似の関係にあり、引用商標2は、本件商標の先願に係るものである。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当するものである。
(4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2の規定に基づき取消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標は、前記1のとおり、「そば処山形伊右ェ門」の文字よりなるところ、該文字は、同じ書体、同じ間隔をもって一連に軽重の差なく表示されており、全体として外観上まとまりよく一体的に表されているものである。そして、その構成中の「そば処」の文字は、「そば屋」を意味する語として看板やのれん等にしばしば見受けられる表示であって、商品の提供場所あるいは販売場所を表すものといえるから、これを捨象して把握、認識されることはあり得るとしても、「山形伊右ェ門」の文字部分については、たとえ、「山形」の文字が商品の産地、販売地を表す場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、その構成全体をもって、姓名の表示としての「山形伊右ェ門」なる一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、「伊右ェ門」の文字部分のみを殊更、分離、抽出して認識されるとみるべき格別の理由は見出せない。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ソバドコロヤマガタイエモン」あるいは、「そば処」の文字が捨象された「ヤマガタイエモン」なる一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
これに対して、引用商標1は、前記2(1)(ア)のとおり、「伊右衛門」の漢字を標準文字で表してなるものであるから、該構成文字に相応して「イエモン」の称呼を生ずるものと認められる。
そうすると、本件商標より生ずる「ソバドコロヤマガタイエモン」あるいは「ヤマガタイエモン」の称呼と引用商標1より生ずる「イエモン」の称呼とは、音構成、構成音数において著しい差異が認められるものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものといわなければならない。
そして、両商標は、外観においても明らかな差異が認められ、本件商標は造語と認められるものであるから、観念においては比較すべくもない。
この点について、申立人は、本件商標構成中の「山形」の文字は、商品の産地、販売地を認識させるものであることから、その指定商品には全て「山形県産の」という限定が加えられている旨の主張もしているが、指定商品の表示に「山形県産の」という表示が付されていることと、取引の場において、商標がどのように把握されるかということとは別異のことというべきであり、必ずしも常に同一に把握されるものとはいえない。
また、申立人は、平成21年(行ケ)第10378号判決を挙げて主張しているが、該判決において争われた商標は、右上に縦書きの「そば処」の文字を小さく表し、中央部分に江戸文字風の漢字と片仮名からなる縦書きの「伊右ェ門」の文字を大きく表し、中央の右寄りに縦書きの「いえもん」の文字を小さく表し、さらに、「門」の文字の左下に、細い白線で枠取りした印影状の「伊右ェ門」を小さく配した構成からなるものであり、中央部分の「伊右ェ門」の文字のみが顕著に表されているものであるから、本件商標とは、その構成態様において明らかな差異を有するのであって、本件とは事案を異にするものというべきである。
(イ)本件商標と引用商標1との出所の混同について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、本件商標の登録出願時において、引用商標1が申立人の業務に係る商品「緑茶飲料,茶葉」を表示する商標として、我が国における取引者、需要者の間において広く知られていたことは認められるとしても、上記したとおり、本件商標と引用商標1とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、加えて、「伊右衛門」の文字は、もともと人名であって、必ずしも希有な名前というわけでもなく(上記判決においても、商標権者の代表者の親戚の祖先にも「伊右ェ門」の名を有する者がいた旨認定されている。)、屋号等にも使用されている例が認められることをも併せみれば、商標権者が「山形伊右ェ門」と「そば」の文字とを結合させた本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標1を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は、上記において認定したとおり、「そば処山形伊右ェ門」あるいは、「そば処」の文字が捨象された「山形伊右ェ門」なる一体不可分の造語からなる商標として認識し把握されるものであり、その構成文字全体に相応して「ソバドコロヤマガタイエモン」あるいは「ヤマガタイエモン」なる一連の称呼のみを生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標から「伊右ェ門」の文字部分も独立して認識され、「イエモン」の称呼をも生ずることを前提に、本件商標と「IYEMON」の欧文字を横書きしてなる引用商標2とが称呼において類似するものとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標2とを類似するものとすべき理由は見出せない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものとはいえない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同法第8条第1項に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-09-30 
出願番号 商願2010-54692(T2010-54692) 
審決分類 T 1 651・ 4- Y (X30)
T 1 651・ 271- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2010-10-22 
登録番号 商標登録第5362504号(T5362504) 
権利者 有限会社 はせ川製麺所
商標の称呼 ソバドコロヤマガタイエモン、ヤマガタイエモン、イエモン、ヤマガタソバ 
代理人 幡 茂良 
代理人 小林 正英 
代理人 橋本 良樹 
代理人 幡 茂良 
代理人 吉田 親司 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小林 正治 
代理人 小出 俊實 
代理人 石川 義雄 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 橋本 良樹 
代理人 潮崎 宗 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 吉田 親司 
代理人 潮崎 宗 

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