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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1244909 
異議申立番号 異議2011-900017 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-01-18 
確定日 2011-10-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5361946号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5361946号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5361946号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年4月15日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月24日に登録査定、同年10月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、国際登録第885219号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第4820211号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第3211459号商標(以下「引用商標3」という。)、登録第4428382号商標(以下「引用商標4」という。)及び国際登録第1035144号商標(以下「引用商標5」という。)であり、その構成、出願日、登録日、指定商品等は、別掲2のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
なお、引用商標1ないし5を一括していうときは、以下「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録の取消を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、「La’Pucchi」の文字及びこれを囲む蔦状の長方形の枠組からなるところ、蔦状の長方形の枠組部分は、一般的でありふれた装飾的図柄であり、特段の自他識別機能を有しているとはいえず、自他識別機能を有する部分は、「La’Pucchi」の文字部分にあり、その構成中の「La’」の部分がフランス語又はイタリア語における冠詞であって識別力を有しないものであるから、要部となるのは「Pucchi」の部分であり、同部分より「プッチ」の自然な称呼並びにデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を生ずる。
一方、引用商標は、「PUCCI」の文字又は同文字を要部としているものであるから、いずれも「プッチ」の称呼並びにデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を生ずる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において、本件商標の要部「Pucchi」と引用商標又はその要部「PUCCI」とは、「h」の文字を含むか否かの点が異なるのみであってほとんど同一であるから、極めて類似し、また、称呼において「プッチ」の称呼を共通にし、さらに、観念においてデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似し、両者の指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、商標が類似し、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
「PUCCI」又は「EMILIO PUCCI」の標章は、申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示する標章として、日本国内のみならず、世界的に周知著名なものである。したがって、これと同一又は極めて類似する本件商標を使用することは、取引者・需要者をして、本件商標が付された商品が申立人又はその関連会社の業務に係る商品であると誤認させ、出所の混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)結語
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものであり、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)「PUCCI」商標の著名性について
申立人は、「PUCCI」の標章を商品「衣服・服飾類、バッグ・かばん・財布類、ジュエリー・アクセサリー類、靴、スポーツウェア、文房具類、傘その他のインテリア雑貨、化粧品・香水類・せっけん類」などに使用し(甲第15号証)、また日本国内12の直営店舗(甲第8号証)の店頭ガラスや壁面に極めて顕著に表示しており、「PUCCI」の標章は、日本国内において、取引者・需要者に周知著名な商標である旨主張する。
しかしながら、本件商標について商標法第4条第1項第15号を適用し得るためには、引用商標は、少なくとも本件商標の登録出願時及び査定時のいずれの時点(以下「本件判断基準時」という。)においても著名性を有しなければならないところ(商標法第4条第3項参照)、申立人の直営店12店舗のうちの3店舗の店頭に「PUCCI」の標章が表示されていることは認められる(甲第8号証)が、この標章がいかなる商品又は役務の出所を表示するのか、商標以外の社標としてのみの使用ではないのか、写真はどの店舗の使用か及び残りの9店舗は使用しているのかなどの点については明確ではなく、その使用時期も不明であり、また、甲第15号証のインターネットにおける広告は、掲載日が不明であり、プリントアウトをした日が本件商標の登録査定後の平成23年3月11日であり、使用商標は「エミリオプッチ」又は「Emilio Pucci」であって「PUCCI」の商標とは異なるものであり、申立人が本件判断基準時以前に「PUCCI」の文字のみの構成からなる商標を前記申立人主張の使用商品に使用している事実が認められず、その他の甲各号証によっても同事実が認められないから、「PUCCI」の標章は、上記認定の「PUCCI」の標章の使用事実のみによっては、本件判断基準時に、我が国において、申立人の業務に係る上記申立人主張の使用商品の出所を表示する商標として周知著名であったとするに足りないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、図案化した草花の図柄を帯状に連続させて縦長四角形状に輪郭図形を表し、その中に下から約三分の二程度の高さに「La’Pucchi」の文字を横書きしてなるところ、植物の図柄を帯状に連続させて円形状又は四角形状に表してなる模様などは装飾的な輪郭として普通に使用されている事実があり、その構成中の輪郭図形は自他商品の識別力を有するとは認められないから、その構成中自他商品の識別力を有する部分は「La’Pucchi」の文字部分にあると認められるものであるが、「La’Pucchi」の文字は、我が国において特定の意味又は称呼を有するものとして知られている語ではなく、語頭部分の「la」がフランス語の定冠詞を表したと理解されるところから、全体として、フランス語読み風に「ラプッチ」と称呼されるとみるのが相当である。
なお、申立人は、定冠詞は通常省略されるから、本件商標から「プッチ」の称呼が生ずる旨主張している。
しかしながら、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)によれば、「定冠詞」は、「名詞の前に付して、その名詞によって表される類の中の特定の個体・メンバーに限定する働きをもつ。le,la,les(フランス語)の類。」の旨が記載され、また、「伊和中辞典」(株式会社小学館)によれば、「(定冠詞としての「la」は、)母音字の前ではl’となる。」旨が記載されていることよりすれば、「La」の文字部分がフランス語の定冠詞を表したと理解されるとしても、「La’・・・」と綴られてなる本件商標の文字部分の態様からして、また、「Pucchi」が名詞であるともいい難く、請求人の主張のように、本件商標の文字部分において、「La」の文字部分が常に省略され、取引に資されるとはいい難いものである。
さらに、請求人が主張する審判決例は、本件とは商標の構成態様が異なり、参考とすることはできない。
その他、請求人の主張を裏付ける証左は、見当たらない。
イ 引用商標について
引用商標1は「PUCCI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は「PUCCI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、我が国において特定の意味又は称呼を有するものとして知られている語ではないから、引用商標1及び2は、いずれも該構成文字に相応して「プッチ」の称呼のみを生じ、観念を生じないものである。
引用商標3は「EMILIO PUCCI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標4は「EMILIO PUCCI」の欧文字と「エミリオ プッチ」の片仮名とを二段に横書きしてなるところ、該文字は、我が国においてデザイナーとしての「エミリオ プッチ」を表すものとして知られている語であるから、引用商標3及び4は、いずれも該構成文字に相応して「エミリオプッチ」の称呼及びデザイナーとしての「エミリオ プッチ」の観念を生ずるものである。
申立人は、その理由が必ずしも明確ではないが、引用商標3及び4からは「エミリオプッチ」の称呼のみならず、「プッチ」の称呼をも生ずる旨主張する。
しかしながら、引用商標3及び4は、上述したとおり、欧文字又は欧文字と片仮名をもって、同種類の文字は同じ書体及び同じ大きさでまとまりよく表され、さらに、引用商標4は欧文字と片仮名とを二段にまとまりよく配してなるものであって、構成全体より生ずる「エミリオプッチ」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものであり、我が国において「EMILIO PUCCI」及び「エミリオ プッチ」は構成文字全体をもってデザイナーとして知られていることからすれば、これから「PUCCI」又は「プッチ」の部分のみを分離抽出し、「プッチ」と称呼すべき特段の事由は認められないから、この点に関する申立人の主張は採用することができない。
引用商標5は「MISS PUCCI」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「MISS」の文字部分は、「独身女性の敬称、・・さん」を表すものとして知られており、自他商品の識別力の弱い語であるから、該構成文字に相応して「ミスプッチ」の称呼を生ずるほか「プッチ」の称呼をも生じ、「プッチさん」の観念を生ずるほか、氏としての「プッチ」の観念をも生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観について
本件商標の文字部分の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、外観上、構成文字に顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても互いに紛れるおそれがなく、十分区別し得る非類似の商標である。
(イ)称呼について
本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標1、2及び5から生ずる称呼「プッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、前者が3音構成であり、後者が2音構成であって、いずれも短い構成音からなるため、各音が聴者に与える印象は強く、しかも差異音が称呼における識別上重要な位置を占める語頭に位置し、さらに差異音は明確に聴取される「ラ」の音であるため、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。
次に、本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標3及び4から生ずる称呼「エミリオプッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、語頭において構成音に顕著な差異を有するので、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。
さらに、本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標5から生ずる称呼「ミスプッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、語頭において構成音に顕著な差異を有するので、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標とは、本件商標が特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
(エ)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において非類似のものであり、観念においては比較できないものであるから、非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
上述したとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標というべきものであり、また、「PUCCI」の標章は、本件判断基準時に、我が国において、申立人の業務に係る前記申立人主張の使用商品の出所を表示する商標として周知著名であったとは認められないものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標
(1)引用商標1(国際登録第885219号商標)
商標の構成:PUCCI
国際商標登録出願日:2005(平成17)年8月7日
設定登録日:平成19年11月22日
指定商品:第3類、第9類、第14類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)引用商標2(登録第4820211号商標)
商標の構成:PUCCI(標準文字)
登録出願日:平成16年3月24日
設定登録日:平成16年11月26日
指定商品:第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)引用商標3(登録第3211459号商標)
商標の構成:EMILIO PUCCI
登録出願日:平成5年7月22日
設定登録日:平成8年10月31日
指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(4)引用商標4(登録第4428382号商標)
商標の構成:EMILIO PUCCI
エミリオ プッチ
登録出願日:平成11年7月13日
設定登録日:平成12年10月27日
指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(5)引用商標5(国際登録第1035144号商標)
商標の構成:MISS PUCCI
優先権主張:France 2009年9月25日
国際商標登録出願日:2010(平成22)年3月12日
設定登録日:平成22年10月29日
指定商品:第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品


異議決定日 2011-09-29 
出願番号 商願2010-30316(T2010-30316) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X03)
T 1 651・ 271- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2010-10-22 
登録番号 商標登録第5361946号(T5361946) 
権利者 株式会社響
商標の称呼 ラプッチ、プッチ 
代理人 高松 薫 
代理人 鈴岡 正 
代理人 奥原 力也 

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