• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1244906 
異議申立番号 異議2010-900421 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-28 
確定日 2011-10-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5358149号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5358149号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5358149号商標(以下「本件商標」という。)は、「SANDS」の欧文字及び「サンズ」片仮名を上下二段に書してなり、平成22年6月18日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月14日に登録査定、同年10月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから,取り消されるべきものである。」旨要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する国際登録第810725号商標(以下「引用商標」という。)は、「SAND」の欧文字を書してなり、2005年3月16日に国際商標登録出願(事後指定)、第3類、第9類、第18類及び第25類に属する別掲に記載の商品を指定商品として、平成18年10月6日に設定登録されたものである。
(2)理由の要点
本件商標は、下記アないしウにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「サンズ」の称呼及び「砂」の観念を生じうる。これに対し引用商標は、「サンド」の称呼及び「砂」の観念を生ずるものであるから、両商標は、称呼及び観念が類似で、全体として類似する。
また、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者、取引者の間に広く認識されている商標であり、本件商標は、上記アに記載のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても、引用商標と類似しており、それぞれの要素を総合的に考察しても、全体として類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中、「被服」については、引用商標が用いられている「Clothing(被服)」と同一である。
したがって、本件商標は、「被服」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、同一の商品「被服」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号について
本件商標の指定商品中、「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服」については、引用商標に係る指定商品と同一又は類似でなく、上記拒絶理由に該当しない。
しかし、これらの商品は、いずれも申立人と同じアパレル業界で扱われるものであり、引用商標が周知、著名な商標と推認することができ、かつハウスマークであり、さらに申立人には多角経営の可能性がある。これらの点に鑑みれば、本件商標は、申立人と経済的、組織的に何等かの関係のある者の業務に係る商品と誤認、混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、第4条第1項第15号に該当する。
また、出所の混同が生じ得ないとしても、本件商標権者は、周知、著名な引用商標の語尾部に「S」の文字を付加したにすぎない本件商標について権利を取得し、外国で周知な引用商標の使用者である申立人の、未だ日本で販売開始していない商品についての本格的な国内参入を阻止するような「不正の目的」が推認されるため、引用商標に類似する本件商標は、第4条第1項第19号に該当する。
さらに、日本国においてその名称又は略称「SAND」をもって著名な外国の法人である申立人等と無関係な者が、その承諾を得ずに当該名称又は略称からなる商標に類似した商標の登録を受けることは、当該法人の名声をせん用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもってなされたものと認められるため、商取引の秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為というべきである。
したがって、本件商標は、第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知、著名性について
申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前より周知、著名である旨主張している。
甲第9号証は、「YAHOO!FASHION」のウェブサイトであるところ、「SAND COPENHAGEN - 長袖シャツ SAND COPENHAGEN」及び「この情報は2009/11/17現在の情報です。」の記載がある。
甲第10号証ないし甲第17号証は、ファッション専門のオンラインショッピングストア「yoox.com」のウェブサイトであるところ、「SAND COPENHAGEN」の記載があり、右下に印刷日として、本件商標の登録出願時及び査定時後の「2011/03/18」又は「2011/03/17」の記載がある。
甲第18号証及び甲第19号証は、「株式会社スミテックス・インターナショナル」のホームページであるところ、引用商標の記載はない。
甲第20号証は、「DEBIT NOTE」と題する英文の書面であるところ、「MESSERS,SAND WOMEN - WHOLESALE A/S」及び「2009/7/31」の記載がある。
甲第21号証及び甲第22号証は、本件商標の登録出願時及び査定時後に更新されたデンマークの企業登録情報サイト「CVR」であるところ、甲第21号証には、「24.03.2011」及び「SAND CPH A/S」の記載があり、甲第22号証には、「24.03.2011」及び「SAND WOMEN - WHOLESALE A/S」の記載がある。
甲第23号証は、サンプル品の概略図であるところ、引用商標の記載はない。
甲第24号証は、サンプル品の写真であるところ、襟ネームに「SAND/COPENHAGEN」の記載があるものの、撮影日の記載はない。
甲第25号証ないし甲第27号証は、「瀧定大阪株式会社」のホームページであるところ、引用商標の記載はない。
甲第28号証及び甲第29号証は、「瀧定大阪株式会社」からの請求書であるところ、甲第28号証には、「19 OKT.2009」及び「Sand Women - Wholesale A/S」の記載があり、甲第29号証には、「-6 NOV.2009」及び「SAND WOMEN - WHOLESALE A/S」の記載がある。
以上によれば、本件商標の登録出願時及び査定時において、甲各号証中、「被服」に使用されている標章は、主として、「SAND COPENHAGEN」及び「SAND WOMEN」であって、「SAND」の文字が単独で申立人を表示するものとして使用されている例は、ほとんどない。
また、申立人は、引用商標を付した商品の生産数、販売数、販売高等を明らかにしていない。
そうすると、引用商標は、上記甲各号証によっては、本件商標の登録出願時及び査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認められないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「SANDS」の欧文字及び「サンズ」の片仮名を上下二段に書してなるものであるところ、片仮名の「サンズ」が、欧文字の「SANDS」の表音として自然なものであるから、本件商標よりは、「サンズ」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、「砂」を意味する「SAND」の複数形であるとしても、「砂」は数えることができない名詞であって、複数形の場合は、「砂」とは異なる「砂地、砂浜」の意味を有するものであるから、「砂地、砂浜」の観念を生じるものである。
一方、引用商標は、「SAND」の欧文字からなるものであるから、構成文字に相応して、「サンド」の称呼を生じ、「砂」の観念を生じるものである。
しかして、本件商標の称呼「サンズ」と引用商標の称呼「サンド」を対比すると、両者は、「サ」「ン」の2音を共通にし、「ズ」と「ド」の音が相違する。そして、「ズ」の音は、舌端を前硬口蓋に寄せて発する有声摩擦子音(z)と母音(u)の結合した音節であるのに対し、「ド」の音は、舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させる有声子音(d)と母音(o)の結合した音節であり、いずれの音も、それ自体は、明瞭に発音、聴取されるものである上、末尾に位置するとはいえ、前音「ン」が、比較的弱く聴取される音であること、また、全体が3音という短い音構成であることから、かかる差異が、称呼全体に与える影響は決して小さいものとは言い難く、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感が異なり、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標の外観は、明らかに相違するから、外観上相紛れるおそれはないというべきであり、さらに、本件商標と引用商標の観念についてみれば、本件商標から生じる「砂地、砂浜」の観念と引用商標から生じる「砂」の観念とは、同一ではないから、観念上相紛れるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念を総合すると、引用商標に類似しない商標であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く認識され、周知、著名であったとは認め難いものである。
そして、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標に類似する商標ではないから、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品の類否について論及するまでもなく、本件商標は、第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標に類似しない別異の商標である。また、引用商標は、上記(1)のとおり、需要者の間に広く認識されている商標とは認められない。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、「出所の混同が生じ得ないとしても、本件商標権者には、周知・著名な引用商標の語尾部に『S』の文字を付加したにすぎない本件商標について権利を取得し、外国で周知な引用商標の使用者である申立人の、未だ日本で販売開始していない商品についての本格的な国内参入を阻止するような『不正の目的』が推認されるため、引用商標に類似する本件商標は、第4条第1項第19号に該当する。」旨主張する。
しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認められないものである。
そして、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
さらに、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
「商標法4条1項7号にいう『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』の該当の有無を判断するに際し、当該商標の構成に、非道徳的、卑わい、差別的、矯激、若しくは他人に不快な印象を与えるような文字、図形等を含まない場合においては、同項15号、19号の各規定が置かれている趣旨に照らすと、単に他人の業務に係る商品や役務と混同を生ずるおそれがあるか、あるいは、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるかが問われるときには、15号、19号に規定された各要件を充足するか否かによって、4条1項所定の障害事由の成否を検討すべきであって、そのような事実関係が存在することのみをもって7号の障害事由に該当すると解するのは相当とはいえない。」(知財高裁 平成22年(行ケ)第10040号 平成22年11月8日判決言渡)
これを本件についてみると、申立人は、「日本国においてその名称又は略称『SAND』をもって著名な外国の法人である申立人らと無関係な者が、その承諾を得ずに当該名称又は略称からなる商標に類似した商標の登録を受けることは、当該団体の名声をせん用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもってなされたものと認められるため、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為というべきである。」旨主張する。
上記申立人の主張は、商標法第4条第1項第15号又は同第19号で規定する各要件を充足するか否かについての商標登録障害事由であって、これらの要件の充足の有無により同第15号又は同第19号の障害事由の成否を判断すべきであるから、申立人主張の事実関係をもって、商標法第4条第1項第7号で規定する商標登録障害事由に該当すると解するのは相当ではない。
してみると、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する、との申立人の主張は、登録異議の理由として妥当ではなく、採用することができない。
その他、本件商標は、その構成自体が矯激、卑わい、差別的若しくは他人に不快を与えるような文字又は図形ではなく、商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合にも該当せず、他の法律によって、その使用が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標にも該当しないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
(7)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
第3類「After shave lotions, cosmetic bath preparations, aftershave, shaving soap, eau de Cologne, eau de toilet (lotions for toilet use), cosmetics, shampoo, soap, hair lotions, dentifrices.」
第9類「Spectacle frames, spectacles, glasses, spectacles cases, sunglasses.」
第18類「Leather and imitations of leather including goods made of these materials (not included in other classes), animal skins and hides, trunks and travelling bags, document holders, handbags, shopping bags, game bags, cases, nose bags, net bags for shopping, key cases, purses, rucksacks, card and note cases, school bags, shoulder bags, beach bags, wallets, sponge bags and cosmetic purses for travel use (leather goods), toilet bags (not built in), umbrellas, parasols.」
第25類「Clothing, headgear.」


異議決定日 2011-09-30 
出願番号 商願2010-48763(T2010-48763) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X25)
T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 263- Y (X25)
T 1 651・ 255- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
T 1 651・ 22- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐々木 悠源半田 正人 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2010-10-01 
登録番号 商標登録第5358149号(T5358149) 
権利者 藤島 正義
商標の称呼 サンズ 
代理人 特許業務法人ウィンテック 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ