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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X43 審判 査定不服 観念類似 登録しない X43 |
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管理番号 | 1244775 |
審判番号 | 不服2011-1221 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-01-18 |
確定日 | 2011-09-28 |
事件の表示 | 商願2010-9592拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「焼肉ホルモンあか丸」の文字を標準文字で表してなり,第43類「焼肉を主とする飲食物の提供」を指定役務として,平成22年2月10日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第4885543号商標(以下「引用商標」という。)は,「赤丸ラーメン」の文字を標準文字で表してなり,平成17年1月21日に登録出願,第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として,同年8月5日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は,前記1のとおり,「焼肉ホルモンあか丸」の文字からなるところ,その構成中,前半の「焼肉」の文字は,「牛・豚などの肉をあぶって焼いたもの。」の意味を有する語(広辞苑第六版)であって,また,「ホルモン」の文字は,「(俗に)牛や豚などの臓物.」等の意味を有する語(コンサイスカタカナ語辞典 三省堂)であり,「焼肉ホルモン」の文字は,飲食物の提供の分野において,以下のとおり,「焼肉」や「ホルモン」料理を提供していることを表すものとして,その店名に冠して使用されている事実がある。 ア 「焼肉ホルモン『モリちゃん』」のウェブサイトにおいて,「焼肉メニュー」として「ネギタン塩焼き」「極上肉3点盛り合せ」等(http://www.morichan-yaki29.com/menu_yakiniku.html),「ホルモンメニュー」として「牛ホルモンミックス盛り」等(http://www.morichan-yaki29.com/menu_horumon.html)の記載。 イ 「焼肉ホルモン 福よし」のウェブサイトにおいて,「焼肉」メニューとして「福よしカルビ」「福よしロース」等(http://www.e-fukuyoshi.jp/menu/yakiniku),「ホルモン」メニューとして「福ちゃんホルモン」「シマチョウ味噌」等(http://www.e-fukuyoshi.jp/menu/ippin)との記載。 ウ 「焼肉ホルモン 空」のウェブサイトにおいて,メニュー紹介に「上ロース」「上ハラミ」等(http://www.yakinikusora.jp/menu.html)との記載。 上記事実よりすれば,飲食物の提供において,「焼肉ホルモン○○」という商標に接する需要者は,該文字より「焼肉とホルモンの料理を提供する○○という店」程を表したものと理解,認識するといえるものである。 そうとすれば,「焼肉ホルモンあか丸」の文字よりなる本願商標をその指定役務について使用したときは,取引者,需要者に「焼肉やホルモン料理を提供する飲食店,あか丸」程の意味合いを表したものと容易に理解,認識させるものであり,「焼肉ホルモン」の文字部分のみでは「焼肉やホルモン料理を提供する飲食店」,すなわち,役務の提供の質(提供物)及び場所を認識させるに止まるものであるから,本願商標は,その構成中「あか丸」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。 したがって,本願商標の要部は,「あか丸」の文字部分であり,これより,単に「アカマル」の称呼をも生じ,「あか」の文字は,日常よく親しまれた「赤」の読みを表したものと容易に認識させるものであるから,「赤いまる形,赤い円形」程の観念を生ずるものである。 (2)引用商標について 引用商標は,「赤丸ラーメン」の文字よりなるところ,その構成中,「ラーメン」の文字部分は,その指定役務である「ラーメンを主とする飲食物の提供」との関係において,役務の質(提供物)及び場所を表す文字部分であることから,「赤丸」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり,該文字に相応して,単に「アカマル」の称呼をも生じ,「赤いまる形,赤い円形」の観念を生ずるものである。 (3)本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標との類否について検討するに,本願商標と引用商標とは,その構成全体の外観においては,区別し得ることを考慮したとしても,両者は,「アカマル」の称呼及び「赤いまる形,赤い円形」程の観念を共通にする,互いに相紛らわしい類似の商標であって,かつ,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と類似するものである。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)請求人の主張について ア 請求人は,「あか」の文字は,「赤,朱,緋」等の意味を有するから,本願商標の「あか丸」の文字部分からは,「赤い丸」以外にも複数の観念が生じると主張する。 しかしながら,「あか」の文字からは,日常,極めてよく親しまれる「赤」の読みを表したものと認識される場合が多いといえるものであるから,「あか丸」の文字よりは,「赤いまる形,赤い円形」程の観念を生ずるというのが自然である。 イ 請求人は,本願商標は,同書同大で一体不可分のものと認識されると主張し,登録例を提示している。 しかしながら,商標は,その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから,みだりに,商標構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されないが,他方,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,1個の商標から2個以上の称呼,観念が生ずることがあるのは,経験則の教えるところであり,複数の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することができるというべきである。この場合,一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一又は類似であるとはいえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解すべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 そして,本願商標は,前記(1)に記載のとおり,その構成中の「焼肉ホルモン」の文字部分はその指定役務の質及び場所を表す文字部分であって,「あか丸」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当であるから,常に一体不可分のものとのみ理解,認識されるとはいえないものである。 さらに,請求人が提示する登録例は,いずれも本願商標とは,構成を異にする商標の事例であり,商標の類否は,対比する商標の具体的な構成とその指定商品(役務)との関係から,個別かつ具体的に判断がなされるべきものであるから,他の登録例などの事例により本願商標の判断が左右されるものではない。 ウ 請求人は,「主として提供する飲食物が異なるとき,たとえ同一人が営業している場合であっても,その店舗名は全く別の名称に変更することが通例となっており,需要者においてもその認識が常識となっている現況において,さらに漢字『赤丸』を『あか丸』の如く平仮名に開いたうえ配置を変更した場合に,これを需要者が『赤丸ラーメン』と同一人が運営する『焼肉ホルモンあか丸』であると誤認・混同するおそれは皆無である」旨主張している。 請求人の主張は,「焼肉ホルモン」と「ラーメン」は主たる提供に係る飲食物が異なるものである,したがって,同一人がこれらを提供する店に名称を付ける場合,その店舗名は全く別の名称を付けることが通例であり,さらに,本願商標と引用商標は類似するものではないから,需要者において誤認・混同するおそれはない旨の主張と解される。 しかしながら,「焼肉」や「ホルモン」と,「ラーメン」とが,同じ店舗(営業主)において提供され,例えば,以下のとおり,「焼肉とラーメン」の文字をその店名に冠して使用されている事実がある。 (ア)「焼肉とラーメンの店 ふくべ」において,おしながきに,麺類として「中華そば」「みそラーメン」等,焼肉として「牛カルビ」「豚ホルモン」等(http://www.geocities.jp/kanagi_hukube/menu.html)との記載がある。 (イ)「炭火焼肉とラーメン 炭華」において,七厘焼肉「炭華特性ホルモン」(http://sites.google.com/site/websumika/the-team),ラーメン「炭華特製ラーメン」(http://sites.google.com/site/websumika/project-definition)との記載がある。 そして,本願商標「焼肉ホルモンあか丸」と,引用商標「赤丸ラーメン」とは,前記(3)に記載のとおり,称呼及び観念において類似の商標であり,さらに,「焼肉ホルモン」と「ラーメン」が,同じ店舗で提供されているこれら事実からすれば,両商標の指定役務の提供の場において,本願商標と引用商標に接する取引者,需要者は,それらが同一人又は関連ある者による営業であると理解,認識することは,容易というべきである。 したがって,本願商標を引用商標の指定役務と類似の役務について使用するときは,役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるから,請求人の主張は,採用することができない。 エ 請求人は,引用商標の商標権者は,商標「赤丸ラーメン」を使用した店舗を営業していない旨主張する。 しかしながら,引用商標の商標権が現に有効に存続している以上,仮に引用商標の商標権者が登録商標を使用している事実がないとしても,本願商標と引用商標の類否判断に何らの影響を及ぼすものではなく,請求人の主張は,採用することができない。 (5)まとめ 以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-07-19 |
結審通知日 | 2011-07-25 |
審決日 | 2011-08-11 |
出願番号 | 商願2010-9592(T2010-9592) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(X43)
T 1 8・ 263- Z (X43) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 幸一、山田 正樹 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
守屋 友宏 田中 亨子 |
商標の称呼 | ヤキニクホルモンアカマル、ホルモンアカマル、アカマル |
代理人 | 中嶋 慎一 |
代理人 | 鳥巣 実 |