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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X01
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X01
管理番号 1244773 
審判番号 不服2010-20461 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-13 
確定日 2011-09-28 
事件の表示 商願2008-6099拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ICE 32」の文字を横書きしてなり、第1類「機械冷凍装置及びヒートポンプ装置の性能を向上させる為の化学添加剤,その他の化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,原料プラスチック」を指定商品として、平成20年1月30日に登録出願され、その後、指定商品については、同年9月10日付け手続補正書により、第1類「機械冷凍装置及びヒートポンプ装置の性能を向上させる為の化学添加剤,その他の化学品,高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,原料プラスチック」と補正されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第2515776号商標は、「アイス」の片仮名と「AIS」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、平成2年10月16日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)抗菌剤,その他の薬剤,医療補助品」を指定商品として、同5年3月31日に設定登録され、その後、商標権一部取消し審判により、同11年9月16日に指定商品中「単一異性体又は活性代謝生成物製剤及びその類似商品」についての登録を取り消す旨の審決が確定し、同年11月4日にその確定審決の登録がされ、同15年2月18日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同16年8月25日に指定商品を第1類「工業用抗菌剤その他の化学品」とする指定商品の書換登録がされて、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)商標の類否
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照。同旨判決:平成21年(行ケ)第10380号同22年5月12日判決)。
以下、これを踏まえて検討する。
ア 本願商標
本願商標は、前記第1のとおり、「ICE 32」の文字を横書きしてなるところ、「ICE」の欧文字と数字「32」が1文字程度の空白を空けて表されており、外観上、両者は独立しているものと容易に認識されるものである。
そして、本願商標は、「氷」等の意味を有する英語(「研究社 新英和大辞典第6版」2002年3月 株式会社研究社発行)として一般に知られている「ICE」の語と数字「32」を組み合わせた構成全体を常に一体不可分のものとしてみるべき特段の理由を見いだせないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
しかして、その構成中の数字「32」は、商取引において、商品の規格、等級等を表すための記号、符号として一般に使用されるものの一類型というべきであるから、自他商品の出所識別標識としての機能が無いか又は極めて弱いというべきである。
このことは、インターネットにおけるウェブサイトに以下のような記載があることからも十分に裏付けられるところである。
(ア)吉田商事株式会社に係るウェブサイトにおいて、「■流動パラフィン」の見出しの下、「工業用流動パラフィン オイルKP(JIS規格品;8、15、32、68、100)」及び「〈等級〉8,15,32,68,100)」との記載(http://www.yoshida-s.jp/index8-5.html)。
(イ)日揮ユニバーサル株式会社に係るウェブサイトにおいて、「水素化触媒」の見出しの下、「触媒タイプ」の項に「DHC-8、DHC-32、DHC-39、DHC-100、HC-43、HC-100、HC-120」との記載(http://www.n-u.co.jp/products1/chemistry.html)。
(ウ)出光興産株式会社に係るウェブサイトにおいて、「流動パラフィン」の見出しの下、「グレード」の項に「8」、「15」、「32」等の記載(http://www.idemitsu.co.jp/lube/products/use/materials.html)。
(エ)ダイキン工業株式会社に係るウェブサイトにおいて、「ドライエッチング剤」の項に、「グレード」として「HEC-23(CHF3)」、「HFC-32(CH2F2)」等の記載(http://www.daikin.co.jp/chm/products/etching/index.html)。
そうすると、本願商標の構成中の数字「32」は、上記のとおり、取引上普通に使用されているといえるものであるのに対し、その構成中の「ICE」の欧文字は、商品の品質等を表すものとして取引上普通に使用されているとみるべき特段の事情を見いだせないものであり、加えて、本願商標は、上記したように「ICE」の欧文字と数字「32」を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないことも相まって、その構成中の「ICE」の欧文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。
これに対して、請求人は、本願商標は、数字の部分が一種の附飾的図柄として判断され、一体として認識される旨主張する。
しかし、請求人は、本願商標に接する取引者、需要者が本願商標を一体のものとして認識することを認めるに足りる証拠を提出していないものであり、本願商標は、上記のとおり、外観上及び観念上、構成全体を一体のものとしてみることができないものであるから、「ICE」の欧文字と数字「32」を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
以上によれば、本願商標は、数字「32」を捨象して、その構成中の「ICE」の欧文字から生ずる称呼、観念をもって、引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
よって、本願商標は、構成文字に相応して「アイスサンジュウニ」の称呼を生ずるほかに、「ICE」の文字に相応して「アイス」の称呼をも生ずるものであり、「氷」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「アイス」の片仮名と「AIS」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、下段の「AIS」の欧文字は、親しまれた既成の観念を有するとみるべき特段の事情を見いだし得ないものであり、また、その構成中の「アイス」の片仮名は、「AIS」の欧文字から生ずる読みを特定したものとみるのが相当であるから、引用商標は、「アイス」の称呼を生ずるものである。
そして、引用商標は、上記のとおり、「AIS」の文字自体が造語と認められるものであるが、かかる「アイス」の称呼は、我が国において「氷」等の意味を有するものとして一般に広く知られている外来語「アイス」(「コンサイスカタカナ語辞典第4版」2010年2月10日 株式会社三省堂発行)の読みと同じものであり、ほかに、「アイス」の読みを生ずる語として一般に親しまれた語を見いだせないこと、さらに、引用商標の構成中の「アイス」の片仮名が「アイス」の外来語とつづりを同じくすることからすると、引用商標は、その構成中の「アイス」の片仮名から「氷」の観念を連想、想起する場合もあるというべきである。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「アイス」の称呼を生ずるものであり、「氷」の観念を生ずるものである。
なお、請求人は、引用商標の商標権者は、引用商標を「AIS/アイス」として使用していると主張し、証拠として添付資料1を提出する。
確かに、添付資料1を徴すれば、「AIS」の欧文字の下に「アイス」の片仮名が付されている事実が認められる。しかし、引用商標の商標権者は、同人のウェブサイト(http://www.jgccc.com/products/env/env/index2.html)において、「粉末タイプの抗菌用『アイス』」のように片仮名のみをもって使用している事実があるばかりでなく、「触媒化成工業(審決注:引用商標の商標権者の登録名義人の表示変更前の名称である。)は、・・・粉末状抗菌剤『アイス』を市場投入・・・」(2002年6月25日付け化学工業日報 7ページ)と記載した記事のほか、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社の出願に係る公開特許公報 特開平8-239577の「【発明の詳細な説明】」の「【0007】」の欄に、「無機系抗菌剤としては、・・・アイス[触媒化成工業(株)]という商品名で市販されている。」と記載され、積水化成品工業株式会社の出願に係る公開特許公報 特開平11-116725の「【発明の詳細な説明】」の「【0027】」の欄に、「銀系無機抗菌剤(触媒化成工業株式会社製、商標名:アイス)」と記載されていることなどからすると、引用商標は、その片仮名部分のみをもっても使用され、当業者に知られているというのが相当であるから、請求人の主張は、採用することができない。
ウ 商標の類否
(ア)称呼
本願商標は、前記アのとおり、「アイス」の称呼を生ずるものであり、引用商標も、前記イのとおり、「アイス」の称呼を生ずるものであるから、両称呼は、同一である。
(イ)観念
本願商標は、前記アのとおり、「氷」の観念を生ずるものであり、引用商標も、前記イのとおり、「氷」の観念を生ずるものであるから、両者は、同一である。
(ウ)外観
本願商標は、前記第1のとおり、「ICE」の欧文字と数字「32」を特別特殊な態様で表してなるものではなく、普通に用いられる書体からなるものであり、引用商標も、前記第2のとおり、「アイス」の片仮名と「AIS」の欧文字を特別特殊な態様で表してなるものではなく、普通に用いられる書体からなるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、類似するとはいえないものであるとしても、その称呼及び観念の共通性を凌駕する程までに、外観の印象が強いということができない。
(エ)小括
以上によると、本願商標と引用商標とは、その外観が異なるが、いずれも「アイス」の称呼と「氷」の観念を有する類似の商標ということができる。
(2)指定商品の類否
本願商標の指定商品は、前記第1のとおり、「化学品」を含むこと明らかであり、引用商標の指定商品も、前記第2のとおり、「化学品」を含むものであるから、両者は、「化学品」において同じくするものである。
(3)取引の実情
本願商標と引用商標とは、その商品の出所について混同を生ずるおそれがないとみるべき特段の取引の実情が見当たらない。
(4)まとめ
以上を総合して考慮すれば、本願商標と引用商標とは、称呼を共通にし、観念を同じくする場合があるから、外観の相違をもって、これらの共通性を凌駕するということができず、両商標は、類似するものというのが相当であり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合には、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張について
請求人は、他の登録例及び審決例を挙げて、本願商標は登録されるべきである旨主張する。
しかし、請求人の挙げた登録例及び審決例は、いずれも商標の構成等において本願とは事案を異にするものであって、出願された商標と引用商標との類否判断は、両商標について個別具体的に行えば足り、過去の登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、この点についての請求人の主張は、理由がない。
また、請求人は、化学品の取引に当たる取引者、需要者は、必然的に高度な知識を有し、取扱いも専門的であり細分化されていることが充分察せられるため、商品の出所に高度の注意を払うのが当然であり、本願指定商品と引用商標の指定商品、その出所においても取引者、需要者が誤認、混同する可能性はない旨主張し、証拠として添付資料2を提出する。
添付資料2は、山口大学理学部に係るウェブサイトの写しであり、実験室で取り扱う化学薬品について、危険物の種類、内容、法令により指定された化学物質の管理などが記述されていることを認められるものであるが、これによっては、化学品の範ちゅうに含まれるすべての商品が法令によって規制されているものとはいえず、しかも、すべての化学品に係る取引者、需要者のいずれもがその取扱いにあたり、何らかの資格や専門的な知識を取得していなければならないなどといった事実を見いだせないのであるから、たとえ、化学品は、食料品などのように一般の需要者が日常頻繁に購入するものではないとしても、そのことをもって、直ちに本願商標と引用商標とは、商品の出所の混同を生ずるおそれがないとはいえず、両商標は、前記(4)のとおり、同一又は類似の商品に使用した場合に、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
2 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-04-28 
結審通知日 2011-05-06 
審決日 2011-05-18 
出願番号 商願2008-6099(T2008-6099) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X01)
T 1 8・ 263- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人古森 美和石戸 円蛭川 一治 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 末武 久佳
大島 勉
商標の称呼 アイスサンジューニ、アイスサンニ、アイス、アイシイイイ 
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所 

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