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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05 |
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管理番号 | 1244726 |
審判番号 | 不服2010-26883 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-29 |
確定日 | 2011-09-21 |
事件の表示 | 商願2009- 39814拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「FIJI」の文字を標準文字で表示してなり、第5類「栄養補給用錠剤,錠剤型ビタミン剤,入浴剤」を指定商品として、平成21年5月29日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、フィジー諸島共和国を意味する『FIJI』の文字を書してなるものであるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の産地・販売地を表示するものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、前記1のとおり、「FIJI」の文字を標準文字で表示してなるものである。 (2)そして、「FIJI」の文字(語)は、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」において「フィジー【Fiji】」の項に「南西太平洋の中央部、大小300余りの島々から成る共和国。」と、また、小学館「ランダムハウス英和大辞典第2版」において「Fiji」の項に「フィジー(共和国)(Republic of Fiji):ニュージーランド北方の南太平洋上にある英連邦内の独立国」と、それぞれ記載されているものであり、また、該文字はいずれの辞書にも前記以外の意味の記載はない。 (3)我が国における「フィジー」の文字が新聞等において使用されている事実について(下線は当合議体により付記した。) ア 2008年6月21日付け 朝日新聞 東京朝刊の29頁 「ハワイ、3世代が合流 歌手・早見優さん アスパラクラブ・ネクストエージ特集」の見出しのもと、「『夏休みに行きたい海外のリゾートは?』。ネクストエージ世代(50歳以上)と49歳以下の世代のトップ10をそれぞれ紹介します。(回答総数2万2936人、うち50歳以上1万1719人、49歳以下1万1217人、複数回答)★ネクストエージTOP10 (1)ハワイ 4679人・・(中略)・・(5)フィジー 1885人・・(中略)・・◇49歳以下TOP10 (1)ハワイ 4844人・・(中略)・・(9)フィジー 1207人」の記載がある。 イ 2007年8月27日付け 繊研新聞の15面 「〈データ データ〉 海外どこ行きたい?何したい?」の見出しのもと、「『海外旅行、どこに行きたい?』の問いで最も人気だったのは、やっぱりと言うべきか、『ハワイ、グアム、フィジーのオセアニア地区』(32.3%)だった。」の記載がある。 ウ 1999年10月20日付け 朝日新聞 西部朝刊の13頁 「行きたい外国、豪州がトップ リクルート九州調査」の見出しのもと、「今後行きたい国・地域(複数回答)(1)豪・ニュージーランド 54.5%(2)カナダ・アラスカ 40.7%(3)フィジー・タヒチ ニューカレドニア 40.3%」の記載がある。 エ 「地球の歩き方」のウェブサイトにおいて、「フィジー基本情報」の見出しのもと、 「南太平洋を代表する美しいリゾート地として知られており、国の産業は観光業が第1位。次いで砂糖、魚製品などとなっている。人口の半数をフィジー人が占めており、残りの半数がインド人。ともに親日的で、特にフィジー人の底抜けに明るく人なつこい性格に魅せられ、何度も足を運ぶリピーターも多い。」の記載がある。 (http://www.arukikata.co.jp/country/resort/FJ_general_1.html) オ 「TBS『日立 世界ふしぎ発見!』」のウェブサイトにおいて、「バックナンバー 第1149回 南太平洋フィジー 楽園の秘密」の見出しのもと、「日本から南へおよそ7000キロ離れた南太平洋に浮かぶフィジー諸島共和国。大小330もの島々からなり、ダイバーが憧れる美しい海やラグビーの盛んな国として知られています。」の記載がある。 (http://www.tbs.co.jp/f-hakken/mystery1149_1.html) カ 「BS-TBS 地球絶景紀行」のウェブサイトにおいて、「#14 南太平洋の笑顔(フィジー)2010/7/16 O.A」の見出しのもと、「常夏の楽園、フィジーは300を超す島々からなる国。島ごとに多彩な自然が溢れ、美しいパノラマが旅人を迎えてくれます。」の記載がある。 (http://w3.bs-tbs.co.jp/zekkei/detail14.html) キ 「在フィジー日本国大使館」のウェブサイトにおいて、「日・フィジー二国間関係」の見出しのもとに、「(4)経済・貿易関係 貿易関係では、およそ90百万米ドルの貿易額に達している。2008年には、年間2万1千人の日本人旅行者がフィジーを訪問した」の記載がある。 (http://www.fj.emb-japan.go.jp/JapaneseVersion/Political/bilateral_fiji_J.html) ク 「フィジー旅行専門店トーホートラベル」のウェブサイトにおいて、「ご予約をする前に」の見出しのもとに、「フィジーを訪問した観光客は全世界から昨年度で年間約450,000人の観光客の方が訪れています。そのうち約25,000名の日本人観光客の方がフィジーを訪れています。」の記載がある。 (http://www.tohotravel.com/new/about-fiji.html) ケ インターネット検索サイト「Google」を使用して「フィジー旅行」の語を検索すると、約2,170,000件がヒットし、関連するウェブサイトが表示される。 (http://www.google.co.jp/search?hl=ja&source=hp&q=%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%BC%E6%97%85%E8%A1%8C&lr=&aq=f&aqi=g-r3&aql=&oq=) (4)判断 ア 前記(2)及び(3)から、次のことを認めることができる。 本願商標を構成する「FIJI」の文字は、国名「フィジー共和国(Republic of Fiji」(外務省HPよりhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/fiji/data.html参照)を意味する略称、あるいは通称として一般に使用されている。 「フィジー共和国」は、我が国から年間2万人以上の旅行者が訪れる南太平洋のリゾート地であり、さらに、新聞等による「行ってみたい海外旅行先」を問うアンケートでも、ハワイ、グアム等とならび上位に位置されている。 テレビ番組等においても、度々同国の自然、文化等を特集した番組が放映され、また、インターネット検索サイトにより「フィジー旅行」の語を検索すると、同国へのツアー情報が記載されたウェブサイトが相当数存在する。 そうとすると、同国は、我が国において、南太平洋のリゾート地として広く知られている国といえる。 イ 商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は「FIJI」の文字を標準文字で表示してなるところ、上記アからすれば、「FIJI」の文字からなる本願商標は、南太平洋のリゾート地として知られている「フィジー共和国」を容易に認識させるものとみるのが自然である。 そして、本願の指定商品は、「栄養補給用錠剤,錠剤型ビタミン剤,入浴剤」であるところ、これらは日用品等であるから、これらはどのような地域でも生産され又は販売され得る日常的な商品といえる。 そうとすると、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、「フィジー共和国」を認識させ、その商品が現実に生産され又は販売されているかは問わず、同国において生産され又は販売されたものであると認識させることが決して少なくないものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標は、その指定商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。 4 請求人の主張について 請求人は、「『FIJI』が、たとえ著名な観光地であったとしても、すべてのジャンルの商品が土産物として販売されていることはあり得ず、その土地特有の商品が販売されているのである。特に、本願指定商品は、観光地の土産物になり得る可能性が非常に低い商品である上、フィジー諸島共和国とは全く関連性のないものであるため、本願に接する需要者が、本願商標を産地・販売地表示であると思う蓋然性はほぼない」旨を主張している。 しかしながら、本願商標の指定商品がフィジー共和国において生産又は販売される可能性があることは以上のとおりであり、また、仮に、その指定商品が「フィジー共和国」において、実際に製造、販売がなされることがないとしても、観光地として知られる「FIJI」の文字からなる商標を、本願の指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該商品がフィジー共和国で製造又は販売されるものであろうと認識する蓋然性は高いものといえるから、当該名称は、産地、販売地に準ずるものと判断するのが相当である。そして、このことは判決においても、「商標法第3条第1項第3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」(最高裁昭和60年(行ツ)第68号 昭和61年1月23日判決言渡参照)と判示されている。 さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、それらの登録例は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時における、指定商品・役務や取引の実情等を勘案して個別具体的に判断されるべきものであるから、この点における請求人の主張も採用することができない。 5 結び したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-07-19 |
結審通知日 | 2011-07-22 |
審決日 | 2011-08-02 |
出願番号 | 商願2009-39814(T2009-39814) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前山 るり子 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
瀬戸 俊晶 小川 きみえ |
商標の称呼 | フィジー |
代理人 | 小谷 武 |
代理人 | 木村 吉宏 |