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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X05
審判 全部申立て  登録を維持 X05
管理番号 1243408 
異議申立番号 異議2011-900091 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-03-11 
確定日 2011-09-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5379966号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5379966号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5379966号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年8月24に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年11月12日に登録査定、同年12月24日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録を取り消されるべきものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4491357号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成12年8月11日に登録出願、第5類「薬剤,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,害虫忌避剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕輪,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同13年7月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標を比較すると、ともに上部左側に半弧を描き、左側の半弧の中央部より下に向かって右側に弧を描いてなる線を組み合わせた構成からなる。また、本件商標は引用商標に比べてやや線が太く、傾斜があるものの、その構成が酷似する。
そして、両者は、色彩の有無の差異があるが、実際に商標を使用した場合、商標を印刷した印刷物が、例えば新聞の白黒ページであるときは、両商標の区別は極めて困難である。
そうすると、時と場所を異にして取引者・需要者が両商標を観察した場合、相紛れるおそれは大きく、両者が別個のものであると判別することは難しい。
次に.本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を指定商品に含むものであるから、商品についても両者は共通するものである。
また、本件商標と引用商標は、いずれも既成の事物・具象を表したものといえないので、特定の称呼、観念を生じないものとするのが妥当である。
したがって、本件商標は、引用商標と商品が同一であって、外観上も類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、引用商標をオキサジクロメホン含有の水稲用除草剤のワンポイントマークとして使用中である(甲第3号証ないし甲第8号証)。
引用商標の使用期間は、平成12年(2000年)8月に農薬登録を受け、販売を開始した平成13年(2001年)以降現在に至るまで、10年にわたるものであり、申立人の商品カタログ(甲第9号証ないし甲第13号証)、雑誌、新聞等(甲第14号証ないし甲第33号証)により、業界内において広告宣伝に努めてきた。
これらの使用証拠から明らかなように、引用商標は、カタログのページの右肩、商品の包装袋の左上の端に商品のワンポイントマークとして使用され、商品の識別標識として機能している。現実に引用商標がこのような態様で使用されていることから、本件商標が「薬剤」の分野で使用された場合、引用商標の取引者、需要者にとって、あたかも申立人又は申立人と組織的、経済的に関係ある業務に係る商品であるかのように認識し、その商品の出所について混同を生ずることは必至である。
以上により、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは、明白である。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標及び引用商標は、それぞれ別掲(1)及び(2)のとおりの構成からなる図形商標であるから、両商標は、いずれも格別の称呼、観念を生ずるものではない。
そこで、両商標の外観上の類否について以下検討する。
本件商標は、右上から左中央部にかけ、円弧風に丸みを持って少しずつ幅を広げ、最大幅の後、急速に収束するように描いてなる図形及びこれと点対称の図形の2つの部分からなるものである。そして、各部分は細い部分が濃い紫色で描かれ、太くなるにつれて色が薄くなるように彩色され、また、図形内部の柔らかい感じの彩色に対し、光沢があるように濃く硬い感じで彩色された縁取りがされたものであって、構成全体でみると、その2つの部分が「S」字状に流れるように描かれた印象を与えるものである。
一方、引用商標は、右上から左中央部にかけ、円弧風に丸みを持って少しずつ幅を広げ、最大幅の後、直線的に鋭角に右下方向に収束するように描いてなる図形と、その右側に図形の中段の高さの位置から右下方向に、円弧風に丸みを持って少しずつ幅を広げ、最大幅の後、直線的に鋭角に左下方向に収束するように描いてなる図形からなるものである。そして、右下の図形は、左上の図形に比べてやや小さく描かれてなり、下部収束部も左右中心線付近であって左側に大きく伸びるものではなく、全体としては、左右中心線上の部分から上方に丸みを持って伸びるように描かれてなるものである。また、全体が黒色で塗りつぶされたものであって、図形全体の印象は、左右の図形が鋭角に直線的にとがった下部部分からそれぞれ上方に伸び上がる印象を与えるものである。
そうとすると、本件商標と引用商標とは、いずれも先端部からだんだん広がりその後収束するように描かれた2つの部分からなる点で共通するものの、本件商標は丸みを持って収束するのに対し、引用商標は、直線的に収束するものであり、また、本願商標は、点対称の2つの同一図形からなるのに対し、引用商標は、いずれの図形も下部が直線的に収束するものであり、かつ、左右中心線上の部分から上方に丸みを持って伸びるように描かれてなるものであるから、両者はその形状が近似しているとまではいえない。また、本件商標は、「S」字状に流れるように描かれた印象を与えるものであるのに対し、引用商標は、下部部分から2つの図形部分がそれぞれ上方に伸び上がる印象を与えるものであるであるから、その印象においても明らかに異なるものである。さらに、本願商標は、輪郭部を有し、色彩もグラデーションを有するものであるのに対し、引用商標は、黒く単色で塗りつぶしてなるものであるから、両者は、色彩においても印象を大きく異にするものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その構成態様において、明らかな差異を有しており、図形全体から受ける印象も大きく異なるものであるから、これを時と所を異にして離隔的に観察しても、外観において相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
してみれば、本願商標は、引用商標と外観において類似するものではなく、前記のとおり、称呼及び観念において比較することはできないから、両者は非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
本願商標と引用商標は、前記1のとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
また、提出された証拠(甲第3号証ないし甲第33号証)によれば、申立人は、引用商標を水稲用除草剤に使用していることは認められるものの、ハウスマークではなく、その表示も著しく顕著に表し印象づけるというような表示方法ではないし、さらに、平成13年以降使用されているとしても、その販売量等は明らかでないから、これらの提出された証拠をもって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商標として、需要者の間に広く認識されているに至っているとまでは認めることはできない。
そうとすると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用したとしても、これに接する需要者をして、申立人又は引用商標を想起させるものとは認められず、当該商品を申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(色彩については原本参照)

(2)引用商標



異議決定日 2011-08-24 
出願番号 商願2010-66458(T2010-66458) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X05)
T 1 651・ 261- Y (X05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鹿児島 直人堀内 真一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
山田 啓之
登録日 2010-12-24 
登録番号 商標登録第5379966号(T5379966) 
権利者 アステラス製薬株式会社
代理人 内藤 通彦 
代理人 橘 哲男 

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