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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200912366 | 審決 | 商標 |
不服20051651 | 審決 | 商標 |
不服20109379 | 審決 | 商標 |
不服200915782 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X16 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X16 |
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管理番号 | 1243256 |
審判番号 | 不服2010-29677 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-12-30 |
確定日 | 2011-09-12 |
事件の表示 | 商願2008- 87060拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類「消しゴム」を指定商品として、平成20年10月27日に立体商標として登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係からすれば、多少デザインが施されてはいるが、特殊性があるものとは認められず、通常採用し得る形状の範囲を超えているとは認識し得ないので、全体としてその商品の形状の一形態を表したものと認識させる立体的形状のみよりなるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について (1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示する自他商品・役務の識別標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。 また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 (2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、10個の小さな立方体を互い違いに組み合わせた構造からなる立体的形状の消しゴムといえるものであるところ、本願指定商品である「消しゴム」は、直方体の形状のものが最も一般的であるが、近時においては、多種の形状の消しゴムが存在し、菓子、動物、自動車や漫画のキャラクター等の形状の他、三角形、五角形、キューブの組み立てパズル形など多角形で角や面を使用し消すことができる実用的な消しゴムなどが製造、販売されている実情にあることよりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、当該商品の形状を「10個の小さな立方体を互い違いに組み合わせた構造からなる立体的形状の消しゴム」であるとする、商品の機能又は美感をより発揮させるために施されたものと理解するというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。 してみると、本願商標の立体的形状は、審決時を基準として、客観的に見れば、本願商標の立体的形状が、多少特徴を有しているものであっても、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を脱し得ないものと解するのが相当であり、「消しゴム」の形状として、需要者において予測可能な範囲内のものというべきである。 したがって、本願商標は、これを、その指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 商標法第3条第2項該当性について 請求人は、証拠方法として、原審における平成22年5月10日付提出の手続補足書に添付の甲第1号証ないし甲第155号証を援用するとして、本願商標は、使用によって自他商品の識別性を獲得しているので、商標法第3条第2項に該当する旨主張している。 (1)商標法第3条第2項について 出願に係る商標が、指定商品の品質、形状等を表示するものとして商標法第3条第1項第3号から第5号までに該当する場合に、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、商標の使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品は、原則として出願に係る商標及びその指定商品と同一であることを要するものというべきである。 そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。 (2)本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて 請求人の主張及び提出に係る各号証によれば、本願商標に係る「消しゴム」は、「カドケシ」と称され、請求人が、新しい形状の消しゴムとして2003年5月に販売し、当初の売り上げ目標を年間4万個としていたが、幅広いユーザー層から支持を得て、年間の販売実績100万個を達成し(甲第1号証、同第1号証の2、同第4号証、同第22号証、同第23号証、同第25号証ないし同第28号証、同第30号証、同第40号証、同第62号証、同第99号証、同第100号証、同第102号証、同第106号証、同第108号証、同第109号証、同第111号証ないし同第119号証、同第122号証、同第123号証、同第127号証、同第137号証、同第138号証及び同第142号証)、その後、その累計販売個数は、1年半で200万個、2006年に650万個、2007年6月までには750万個(甲第4号証、同第32号証ないし同第34号証、同第125号証、同第127号証及び同第138号証)以上に昇る商品となったという事実が認められる。 また、本願商標は、ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York -MoMA)において、日用品の中で世界的に優れたデザインと認められたものを122点集めた「Humble Masterpieces」(2004年)に選出され、その後も「MoMAデザインコレクション」として、上記美術館のミュージアムショップ及びネットショッピングを介して継続的に販売されている(甲第1号証、同第1号証の2、同第4号証、同第22号証、同第27号証、同第31号証、同第34号証、同第99号証、同第102号証、同第103号証、同第105号証、同第111号証ないし同第113号証、同第115号証、同第117号証、同第125号証ないし同第127号証、同第134号証及び同第142号証)。 さらに、国内においては、2003年度には「グッドデザイン賞」を受賞し、日本インダストリアルデザイン協会(=JIDA)の「デザインミュージアムセレクションVol.6」も受賞し(甲第1号証の2、同第4号証ないし同第6号証、同第26号証、同第46号証の2、同第57号証、同第103号証、同第108号証、同第112号証、同第126号証、同第128号証、同第134号証、同第142号証及び同第144号証)、2007年度には「新日本様式100選」に入選されるなど、国内外を問わず評価されていることが認められる。 (3)むすび してみれば、本願商標に係る「消しゴム」は、請求人(株式会社コクヨ)のユニバーサルデザイン消しゴムとして、2003年から現在に至るまで8年以上にわたって販売され、各種新聞・雑誌等に多数掲載されてきたことに照らすと、本願商標の立体的形状は、独立して自他商品識別力を獲得するに至っており、指定商品「消しゴム」を取り扱う取引者、需要者がこれをみれば、請求人の販売に係る「消しゴム」であることを認識することができ、商標法第3条第2項の要件を充足するというべきである。 したがって、本願商標は、その指定商品について、商標法第3条第2項に規定する要件を充たしているものであるから、同法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶すべき限りでない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) 第1図 第2図 第3図 第4図 |
審決日 | 2011-08-04 |
出願番号 | 商願2008-87060(T2008-87060) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
WY
(X16)
T 1 8・ 13- WY (X16) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 小林 正和 |
代理人 | 香原 修也 |
代理人 | 藤田 雅彦 |