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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X16 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X16 |
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管理番号 | 1243253 |
審判番号 | 不服2010-273 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-07 |
確定日 | 2011-08-24 |
事件の表示 | 商願2008- 69483拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「のりかえ便利マップ」の文字を標準文字で表してなり、第16類「鉄道の乗り換え・出口情報が記載された印刷物その他の印刷物,鉄道の乗り換え・出口情報が記載された書籍その他の書籍,鉄道の乗り換え・出口情報が記載された小冊子その他の小冊子」を指定商品として、平成20年8月25日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定は、「本願商標は、『乗り換えに便利な地図』の意を認識され、指定商品『鉄道の乗り換え・出口情報が記載された地図』等との関係において商品の品質表示として理解される『のりかえ便利マップ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品中、前記の商品に使用するときは、単に商品の品質について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における平成23年2月3日付け審尋について 当審において、請求人に通知した審尋の内容は、別掲のとおりである。 4 当審の判断 (1)本願商標は、「のりかえ便利マップ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「のりかえ」の文字は、「乗りかえること。」の意味を有し、また、「便利」の文字は、「都合のよいこと。うまく役立つこと。『これは?な道具だ』」の意味を有し、そして、「マップ」の文字は、「地図。多く、特定の用途を持ったものをいう。『ロード?』『観光?』」の意味を有する語(語意はいずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)としてそれぞれ良く親しまれる語であることから、これらを結合した本願商標からは、全体として「乗り換えのために便利なマップ(地図)」という程の意味合いを容易に認識させるものであるというのが相当である。 そして、上記3の審尋で例示した新聞記事情報及びインターネット情報からすれば、「のりかえマップ」「便利マップ」などの用語が「電車などの乗り換えに役立つ情報を内容とするマップ(案内図)」などとして、一般に使用されている状況にあることがうかがえるものであることからすれば、本願商標は、「電車などの乗り換えに役立つ情報を内容とするマップ(案内図)」の意味合いを容易に認識させるものというべきである。 してみれば、本願商標を、その指定商品中、例えば「鉄道の乗り換え・出口情報が記載された地図,鉄道の乗り換え・出口情報が記載された地図を内容とする冊子」などに使用しても、これに接する取引者・需要者は、「鉄道などの乗り換えに役立つ情報を内容とする地図,鉄道などの乗り換えに役立つ情報を内容とする冊子」であるというほどの、商品の品質、内容を表したにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。 また、前記商品以外の商品に使用するときは、それが前記意味合いに照応する商品であるかのごとく、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるといわなければならない。 (2)請求人の主張(要旨)について ア 請求人は、本願商標の構成中、「マップ」の語は、その動名詞「マッピング」との関係からも、「地図」以外の意味合いを有することから、本願の指定商品との関連において、本願商標全体として商品の品質を具体的かつ直接的に表示するものではなく、自他商品識別力を有する一種の造語として認識される旨を主張する。 しかしながら、「マップ」の文字は、「マッピング」の語と関係なく、通常、「地図」の意味合いで一般に広く親しまれる外来語であること、また、本願の指定商品である「印刷物」には、例えば、「地図」、「地図付きムック」、「地図帳」、「地図付きガイドブック」などといった商品が含まれることからすれば、これに接する取引者、需要者は、該「マップ」の語より「地図」の意味合いを容易に理解するものというのが相当である。 そうとすれば、請求人の主張は採用できない。 イ 請求人は、本願商標を、インターネット上で検索エンジンにより検索した際に、請求人に関係するサイトがヒットすることから、本願の指定商品を取り扱う業界において、本願商標が、商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実はない旨主張する。 しかしながら、前記4(1)で述べたとおり、本願の指定商品との関係において、本願商標を構成する文字に相応して、「乗り換えのために便利なマップ(地図)」という意味合いを理解させるものであるから、インターネット検索で請求人に関係するサイトがヒットした事実のみをもって、品質表示ではないとすることはできないから、請求人の主張は採用できない。 その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(審尋の内容) 本願商標は、「のりかえ便利マップ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「のりかえ」の文字は、「乗りかえること。」の意味を有し、また、「便利」の文字は、「都合のよいこと。うまく役立つこと。『これは?な道具だ』」の意味を有し、そして、「マップ」の文字は、「地図。多く、特定の用途を持ったものをいう。『ロード?』『観光?』」の意味を有する語(語意はいずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)としてそれぞれ良く親しまれる語であることから、これらを結合した本願商標からは、全体として「乗り換えのために便利なマップ(地図)」という程の意味合いを容易に認識させるものであるというのが相当である。 そして、以下の新聞記事情報及びインターネット情報によれば、「のりかえ」、「便利」及び「マップ」等の文字を結合した「のりかえべんりマップ」「乗換えマップ」「便利マップ」などの語が、一般に用語として使用されている実情が見受けられるところである。 1 「のりかえべんりマップ」「のりかえ便利マップ」の使用例 (1)「地下鉄乗り換えがひと目で分かる便利マップ 東京に続き京阪神版」の見出しのもと、「地下鉄が交差する駅のホームを立体的に描き、乗り換えがしやすいよう工夫を凝らした地下鉄マップの京阪神版『京阪神ちかてつのりかえべんりマップ』が、このほどお目見えし、大阪市交通局の地下鉄各駅で無料配布されている。先発の『TOKYO METRO ACCESS(東京メトロアクセス)』は、すでに隠れたベストセラーになっている。マップを作ったのは、元NHKアナウンサーで、現在フリージャーナリストの行宗蒼一さん。2年前、『自分の足で確かめ、便利な地図を作ってみよう』と東京版を手がけたところ、大好評。都営地下鉄の各駅と営団地下鉄定期券発売所などで、これまで約600万枚も配布されている。・・・マップは、二つ折りにすると、定期入れに収まるくらいの大きさ。京阪神の地下鉄と私鉄の路線がびっしり書き込まれている。乗換駅でホームとホームがどうつながっているかを、図解したのが第1の特徴。駅によって、電車の前方後方どちらに乗ったら便利か、一目でわかる。」の記載がある(1989.10.14 朝日新聞 東京朝刊)。 (2)「愛・地球博:県外の人も迷わない?HPに駅案内図--愛知県が作製」の見出しのもと、「鉄道や地下鉄の乗り換えに役立つ情報をまとめた『愛知 鉄道のりかえ便利マップ』が愛知万博開幕の25日、インターネット上に登場する。愛知県が作製した。どの車両に乗ったら乗り換えしやすいかや、乗り換えにかかる時間などを紹介し、万博を訪れる県外、海外の人が迷わないようにサポートする。・・・駅構内図では、ホームの並びやエレベーター、階段の場所、構内の図面やトイレ、公衆電話、タクシー乗り場、売店などの配置を紹介するほか、車いすの人が乗り換える場合の経路が示されている。また乗り換え案内図では、何号車に乗れば、乗り換えやすいかや、乗り換えにかかる時間が分かる。愛知県は、ホームページの内容をまとめた冊子も作製。・・・」の記載がある(2005.03.22 毎日新聞 中部朝刊)。 2 「乗換えマップ」「のりかえマップ」等の使用例 (1)「新山口駅マップ完成 障害者、お年寄りに優しく=山口」の見出しのもと、「中国運輸局山口運輸支局(山口市)は、身体障害者や高齢者らがJR新山口駅(小郡町)を利用する際、スムーズな乗り換えなどが出来るように、同駅の見取り図やトイレの位置などを記した『新山口駅乗換えマップ』(A3判)を五千部作製した・・・マップでは、在来線と新幹線の各ホームやコンコースの見取り図に、障害者用トイレやエレベーター、公衆電話などの位置を掲載。駅前のバスやタクシー乗り場も記した。県身体障害者団体連合会などに配布しているほか、駅の案内所などにも置いている。・・・」の記載がある(2004.06.22 読売新聞 西部朝刊)。 (2)「はこだて観光のりかえマップ:バスや市電の乗り換え一目で--無料配布 /北海道」の見出しのもと、「函館圏を訪れる観光客向けに、バスや市電の乗り換えが一目で分かる地図『はこだて観光のりかえマップ』が出来上がった。JR函館、五稜郭駅や函館空港などで無料配布されている。函館開発建設部、函館地区バス協会など14機関でつくる『函館都市圏渋滞対策協議会』が作成。函館開建によると、関係機関が連携した本格的な乗り換え地図は道内で初めて。・・・函館開建は『函館圏には見どころが点在し、スムーズに乗り換えできるよう工夫した』(道路課)と話す。B3判で、折りたたむとポケットに入る大きさだ。11万部発行。」の記載がある(2006.12.19 毎日新聞 地方版/北海道)。 (3)「バリアフリー:情報、一目で 京都地下鉄でイラスト地図 /京都」の見出しのもと、「京都市交通局は、市営地下鉄の主要駅のバリアフリー情報が立体イラストで分かりやすく掲載された『京都らくらく乗換マップ』を3万部作製し、31ある地下鉄全駅で配布している。・・・大阪市のNPO法人『まちの案内推進ネット』が製作に協力。同ネットは『駅の方向表示などは健常者の視点でつくられ、障害者らへの配慮が足りない』として06年、大阪市営地下鉄のバリアフリー情報をホームページ上で公開した。現在は名古屋や神戸など全国9都市の地下鉄計727駅を網羅している。」の記載がある(2010.12.21 毎日新聞 地方版/京都)。 (4)「北海道開発局函館開発建設部」のウェブサイトにおいて、「はこだて観光のりかえマップ」の見出しのもと、「観光客の皆様に函館をもっと満喫していただくために、函館都市圏渋滞対策協議会が、『はこだて観光のりかえマップ』を発行しました。市電・バスの乗り換えをスムーズにし、函館観光を楽しんでください!」の記載がある(http://www.hk.hkd.mlit.go.jp/doro/related/norikae/index.html)。 (5)「上高地観光旅館組合事務所」による「上高地公式Website」において、「沢渡・平湯乗換えマップ 」の見出しのもと、「各地からのお乗換えは、以下の地図をご参照下さい。」の記載がある(http://www.kamikochi.or.jp/modules/info_access/index.php?content_id=20)。 (6)「えきペディア」のウェブサイトにおいて、「京都 らくらく乗換マップ」の見出しのもと、「京都市地下鉄全駅と案内所で配布中の『えきペディア京都らくらく乗換マップ』です。京都駅を出発点として京都観光をするのに便利な地下鉄+バスを利用した参考ルート付。主要8駅の立体構内図は手元で進行方向へ回転させても読み取りやすく設計された、らくらくマップ。」の記載がある(http://www.ekipedia.jp/kyoto001.html)。 (7)「水道橋グランドホテル」のウェブサイトにおいて、「水道橋グランドホテルオリジナル <乗り換えマップ>」の記載がある(http://www.hatago.co.jp/norikae-map/norikae-map.htm)。 (8)「大津市」のウェブサイトにおいて、「大津市バス&電車乗り換えマップ」の見出しのもと、「そこで、市民の皆様にもっとバスや鉄道などの公共交通のことを知ってもらい、便利に使ってもらおうと、『大津市バス&電車乗り換えマップ』を作成しました。この『大津市バス&電車乗り換えマップ』は、マップ作成に賛同していただいた市民の皆様や鉄道、バス事業者の皆様のご協力のもと検討を重ね、公共交通を使った主要な公共施設や観光地、病院への行き方が一目でわかるように工夫しております。」の記載がある(http://www.city.otsu.shiga.jp/www/contents/1269940510729/index.html)。 3 「便利マップ」「べんりマップ」等の使用例 (1)「車いすでの外出に便利マップ 横浜・旭区が作成 /神奈川」の見出しのもと、「横浜市旭区は、車いすを利用する身体障害者のための区内ガイドマップ『おでかけ便利マップ95』を作製した。・・・福祉保健サービス課などによると、これまであったガイドマップは、対象範囲が駅周辺などに限られたものが多かった。車いす利用者のための専用トイレの情報が不足しているものもあり、『もっと分かりやすい地図ができないものか』といった要望が、区内の身体障害者団体から寄せられていたという。・・・マップは、区内で買い物や娯楽のための施設が集中している十一地域を対象にしている。道路は、段差が少なく幅が広いものを『特におすすめのルート』と緑色で区分けし、逆にこう配のきつい坂などは『注意の必要なルート』として赤色にした。レストランなど店舗、施設の説明では、『入り口に段差はあるが、店員が介助してくれる』『トイレの入り口がせまく車いすでは入れないが、店内にはエレベーターがある』などの説明がある。」の記載がある(1995.07.15 朝日新聞 東京地方版/神奈川)。 (2)「山手線10駅便利マップ JR東日本が無料配布」の見出しのもと、「JR東日本は、山手線の主要10駅の駅構内図や周辺マップをまとめた小冊子『山手線便利MAP』を12万部作り・・・小冊子は、縦17センチ、横10センチで、カラー刷りの計46ページ。掲載しているのは、東京、有楽町、新橋、品川、渋谷、原宿、新宿、池袋、上野、秋葉原の10駅で、駅員が乗客から道を聞かれることが多い駅を選んだという。構内図には、主な目的地までの最寄りの改札口やホームの位置などが示してあり、乗り換えや改札に近い車両がわかる図も一緒に掲載している。また各駅の周辺地図には、駅から徒歩で『5分』『10分』のエリアが書き入れてあり、目的地までの所要時間の目安になりそうだ。」の記載がある(2006.10.18 読売新聞 東京朝刊)。 (3)「便利マップを作成、近鉄四日市駅周辺ガイド 障害者やお年寄りのために=三重」の見出しのもと、「近鉄四日市駅周辺の飲食店や公共施設などが、障害者やお年寄りにとって利用しやすいかを調べた『四日市駅前ユニバーサルデザインマップ』が完成し、一般にも販売を始めた。・・・カフェやすし店、レストランなど11店と、大型ショッピングセンター、百貨店8店、ホテル5軒などを取り上げ、車いす用の駐車場があるかや、車いすで入りやすいか、トイレの状態などを簡潔にまとめている。・・・『お出かけマップのような、妊婦や乳幼児を連れた人、外国人などみんなが使えるマップを目指した』と話している。A5判、53ページ。1冊300円。同市諏訪町の市総合会館などで販売している。郵送もする。」の記載がある(2007.04.10 読売新聞 中部朝刊)。 (4)「和泉市」のウェブサイトにおいて、「市内電車・バスべんりマップ」の見出しのもと、「市内の電車・バスの公共交通マップです。いずみ電車・バスべんりマップ北部(表)」の記載がある(http://www.city.izumi.osaka.jp/entry.aspx?id=3349)。 (5)「旭川市」のウェブサイトにおいて、「流通支援」の項目に、「旭川まちなかたのしみ/べんりMAP・・・中心市街地への来街者の増加を目的にして,中心市街地の彫刻や歴史,アンケート調査で抽出した食事,買物店舗等といった中心市街地の魅力を紹介するとともにバス乗り場や車椅子対応トイレ,オムツ換えスペース,ATMなどの利便施設を紹介したマップを作成しました。」の記載がある(http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/keizaisomu/menu/ryuutuumenu01.html)。 上記の事実からすれば、「のりかえマップ」「便利マップ」などの用語が「電車などの乗り換えに役立つ情報を内容とするマップ(案内図)」などとして、一般に使用されている状況にあることがうかがえるものである。 そうとすれば、本願商標を、その指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「電車などの乗り換えに役に立つマップ(案内図)」、あるいは「電車などの乗り換えに役に立つマップ(案内図)を内容とする小冊子」などの商品であると理解するものであって、その商品の品質、内容等を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは理解し得ないものというべきである。そして、本願商標を前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。 |
審理終結日 | 2011-06-29 |
結審通知日 | 2011-06-30 |
審決日 | 2011-07-13 |
出願番号 | 商願2008-69483(T2008-69483) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X16)
T 1 8・ 13- Z (X16) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 高橋 謙司 |
商標の称呼 | ノリカエベンリマップ、ノリカエベンリ |
代理人 | 沢田 雅男 |
代理人 | 山内 博明 |