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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない X30 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X30 |
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管理番号 | 1243210 |
審判番号 | 無効2010-890107 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-12-20 |
確定日 | 2011-08-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5183503号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5183503号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年1月19日に登録出願、第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,菓子及びパン,即席菓子のもと」を指定商品として、同年10月21日に登録査定、同年11月28日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)請求人の引用する商標 請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は、登録第5034137号商標(以下「引用商標」という。)は、「スイーツプラス」の文字を標準文字で表してなり、平成18年3月23日に登録出願、第30類「菓子」を指定商品として、同19年3月16日に設定登録されたものである。 (2)請求の理由 ア 請求人の利害関係 (ア)請求人は、商品「菓子」に「Sweets+」との標章(以下「本件標章」という)を使用しているところ、今般、被請求人から、かかる本件標章の使用は、被請求人が商標権者である本件商標に係る商標権の侵害である旨を伝える書留内容証明郵便による「警告書」(甲第3号証)が送付された。 よって、請求人は、本件商標の商標権侵害の被疑を受けた者であるから、本件商標の無効を求める利害関係を有している。 (イ)請求人は、引用商標の商標権者であり、本件標章は引用商標と称呼同一として本件標章を使用しているものであるところ、上述の「警告書」にて、被請求人は、本件標章が本件商標に類似する旨を断言しており、そうである以上、本件商標は引用商標に類似することに相違ないが、引用商標の出願日は、本件商標の出願日よりも前である。 よって、請求人は、本件商標より出願日が前であり、かつ、被請求人の判断に基づき類似すると解釈される引用商標の商標権者であるから、本件商標の無効を求める利害関係を有している。 イ 商標法第4条第1項第16号について(1) (ア)本件商標は、別掲のとおりの構成からなるものである(甲第1号証)。 (イ)本件商標の構成中「SWEETS」及び「スゥイーツ」の文字は「菓子。ケーキ、パイなど」を意味する語(甲第6号証及び甲第7号証)であるから、「菓子」以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。 (ウ)現に、引用商標は「スイーツ」の文字が含まれているために、「『菓子』以外の商品に使用するときは商標法第4条第1項第16号に該当する」との拒絶理由通知(甲第7号証)を受け、指定商品を「菓子」のみに限定する手続補正を行なった上で登録に至っている。 (エ)よって、本件商標は、指定商品「調味料、香辛料、穀物の加工品、パン、即席菓子のもと」に関しては、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項により、その登録は無効とされるべきである。 ウ 商標法第4条第1項第16号について(2) (ア)本件商標は、別掲のとおりの構成からなるものである。 (イ)本件商標の構成中「DELI」及び「デリ」の文字は、「delicatessen」及び「デリカテッセン」の略語であり「調整食品」「調理済みの洋風惣菜」を意味する語(甲第8号証及び甲第9号証)であるから、「すぐに食べられる食料品」以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。 (ウ)よって、本件商標は、指定商品「調味料、香辛料、即席菓子のもと」に関しては、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 エ 商標法第4条第1項第11号について (ア)引用商標は、上記2(1)の記載のとおりであり、他方、本件商標は、上記1の記載のとおりであるから、引用商標の出願日は、本件商標の出願日より前であるのは明らかである。 (イ)引用商標の指定商品「菓子」は、本件商標の指定商品のうちの「菓子及びパン、氷砂糖(調味料)、水あめ(調味料)」と同一又は類似である。 (ウ)被請求人は、「警告書」において、本件標章が本件商標に類似する旨を断言しているが、何故類似するかの理由については「警告書」には何も記載されていない。 しかしながら、(a)本件商標の上段が「SWEETS +(縁取りにて表現した十字形)」と「DELI」に分断して把握され、また、本件商標の下段が「スゥイーツ プラス」と「デリ」に分断して把握される、と解した上で、「SWEETS +(縁取りにて表現した十字形)」や「スゥイーツ プラス」が本件標章に称呼上類似する、と断言しているものであるか、(b)本件商標の構成中「DELI」及び「デリ」は、「delicatessen」及び「デリカテッセン」の略語であって「調整食品」「調理済みの洋風惣菜」を意味する語(甲第8号証及び甲第9号証)であり、指定商品が「すぐに食べられる食料品」である場合には要部とならない語であるから、「SWEETS +(縁取りにて表現した十字形)」や「スゥイーツ プラス」が本件商標の要部であるから、本件商標は本件標章に称呼上類似する、と断言しているものであるか、いずれかに相違ない。そうである以上、「本件標章と称呼同一である引用商標」と「本件商標」とは類似することを、被請求人が先行して認めていることとなる。 (エ)なお、本件商標の登録日は平成20年11月28日であり、商標権の設定の登録の日から2年余りしか経過していない。 (オ)よって、本件商標は、指定商品「菓子及びパン,氷砂糖(調味料),水あめ(調味料)」に関しては、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第16号について(1)に対する反論 ア 請求人は、本件商標の構成中、「SWEETS」及び「スゥイーツ」の文字は、「菓子。ケーキ、パイなど」を意味する語であるから、「菓子」以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当すると主張する。 イ しかしながら、登録商標中、特定の指定商品の品質にかかわる普通名詞を使用したからといって、ただちに商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあることにならない。 このことは、「菓子。ケーキ、パイなど」を意味する語である「スウィーツ/SWEETS」ないし「スイーツ」という“単語”を含む標章が、『菓子』以外の指定商品にも多数商標登録されている事実から明白である(乙第1号証ないし乙第5号証、他多数)。 本件商標は、「スゥイーツ プラス デリ」という二段構成のものとなっている。「デリ」は、請求人の主張するとおり、辞書上は「調整食品」、「調理済みの洋風総菜」と意味するものであり、単に本件商標のうち「スゥイーツ」「SWEETS」の意味のみを捉えて「菓子」と誤認することはあり得ない。 ウ 請求人は現に、引用商標は「スイーツ」の文字が含まれているために、「『菓子』以外の商品に使用するときは商標法第4条1項第16号に該当する」という拒絶理由通知を受け、指定商品を「菓子」のみに限定する手続補正を行った上で登録に至っているなどとも主張する。 しかし、請求人の主張する引用商標が拒絶を受けたのは、ほかの登録商標(登録第3222227号)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであったことが主な理由である。したがって、この点の請求人の主張は、請求人の請求を根拠づけることにはならない。 (2)商標法第4条第1項第16号について(2)に対する反論 ア 請求人は、本件商標の構成中「DELI」及び「デリ」の文字は、「delicatessen」及び「デリカテッセン」の略語であり「調整食品」「調理済みの洋風総菜」を意味する語であるから、「すぐに食べられる食料品」以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1号第16号に該当すると主張する。 イ しかしながら、この点の請求人の主張が失当であることは上記で述べたことと同様である。 すなわち、登録商標中、特定の指定商品の品質にかかわる普通名詞を使用したからといって、ただちに商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるからほかの指定商品の商標登録が受けられないことにならない。 このことは、「デリ」という語を含む標章が、「すぐに食べられる食料品」以外の指定商品にも多数商標登録されている事実から明らかである(乙第6号証ないし乙第9号証、他多数)。 本件商標は、「スゥイーツ プラス デリ」という二段構成のものとなっているのであるから、「デリ」が辞書上は「調整食品」、「調理済みの洋風総菜」と意味したとしても、本件商標を見た通常人が単に本件商標のうち「デリ」「DELI」の語のみを捉え「すぐに食べられる食料品」と誤認することはにわかには考えがたい。したがって、この点の請求人の主張は失当である。 4 当審の判断 請求人が本件審判の請求をすることの請求人適格を有することについては、当事者間に争いはないので、本案に入って審理する。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲のとおり、上段に「SWEETS」の欧文字の右肩に小さな十字形を籠字状で配し(以下「SWEETS+」という。)、一文字程度の間隔を空け「DELI」欧文字を書してなり、構成各文字は同じ書体、同じ大きさで一体に表し、下段に、「スゥイーツ プラス デリ」の片仮名を同じ書体、同じ大きさで一体的に表してなるものであり、下段の片仮名は上段の文字の表音を表したものとみるのが自然である。 そして、該文字に相応する「スウィーツプラスデリ」の称呼は格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 また、かかる構成態様の本件商標にあって、その構成中の「SWEETS+」、または「スゥイーツ プラス」の文字部分を分離・抽出して検討しなければならない事情も見いだせない。 そうとすれば、本件商標は、その構成中、上段、下段の各文字部分がそれぞれ一体不可分のものであって、特定の観念を生じないものと認識されるとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、「スウィーツプラスデリ」の一連の称呼を生じるものであり、「スウィーツプラス」の称呼は生じないというべきである。 一方、引用商標は、前記2(1)のとおり「スイーツプラス」の文字からなり、構成文字に相応して「スイーツプラス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認識されるとみるのが相当である。 そこで、本件商標から生じる「スウィーツプラスデリ」と引用商標から生じる「スイーツプラス」を比較すると、両者は、後半の「デリ」の音の有無という明らかな差異があるから、これらをそれぞれ一連に称呼しても、全体としての音感が異なり相紛れるおそれはないものである。 また、本件商標と引用商標は、構成態様において外観上相紛れることおそれのないこと明らかであり、さらに、観念においては比較できないものである。 してみれば、本件商標は、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、引用商標に類似する商標ということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは認められない。 (2)商標法第4条第1項第16号について 本件商標は、別掲のとおりの構成からなるものであり、その構成中に、「SWEETS」「スゥイーツ」及び「DELI」「デリ」の文字が含まれている。そして、「SWEETS」及び「スウィーツ」の文字はケーキや菓子などの「甘いもの」を意味する語として親しまれているものであって、「DELI」及び「デリ」は「調整食品」「調理済みの洋風総菜」を意味する「delicatessen」の略語といえるものである。 しかしながら、「SWEETS」「スゥイーツ」及び「DELI」及び「デリ」の文字が上記意味合いを有する文字又は略語であるとしても、本件商標は、前記(1)のとおり、上下段の各文字部分が、それぞれの構成文字全体をもって、「スウィーツプラスデリ」の称呼を生じ特定の意味合いを生じさせない一体不可分の商標と認識されるというべきものである。 してみると、本件商標に接する取引者、需要者が本件商標中の「SWEETS」「スゥイーツ」及び「DELI」「デリ」の文字部分をとらえ、これらを商品の品質表示とみることはないといわなければならないから、本件商標は、これをその指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものと認めることはできない。 (3)まとめ 上記のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものに該当しないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標![]() |
審理終結日 | 2011-06-21 |
結審通知日 | 2011-06-27 |
審決日 | 2011-07-08 |
出願番号 | 商願2008-6797(T2008-6797) |
審決分類 |
T
1
11・
262-
Y
(X30)
T 1 11・ 272- Y (X30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤田 和美 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 2008-11-28 |
登録番号 | 商標登録第5183503号(T5183503) |
商標の称呼 | スウイーツプラスデリ、スイーツプラスデリ、スウイーツデリ、スイーツデリ、プラスデリ、デリ |
代理人 | 吉村 悟 |
代理人 | 吉村 仁 |
代理人 | 大槻 遼太 |