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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0510354042
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0510354042
管理番号 1243171 
審判番号 不服2011-2528 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-03 
確定日 2011-08-10 
事件の表示 商願2010- 34597拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「FFP」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤」、第10類「医療用機械器具」、第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,医薬品の販売に関する情報の提供」、第40類「受託による医薬品の製造」及び第42類「医薬品の試験・検査又は研究・開発」の商品及び役務を指定商品び指定役務として、平成22年4月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『新鮮凍結血しょう』を意味する英語『fresh frozen plasma』の略語である『FFP』の文字を標準文字で表してなるから、これを本願指定商品中『薬剤』に使用するときは、その商品の品質を表示したにすぎず、また、指定役務のうち『新鮮凍結血しょう』に関する役務について使用するときは、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の『薬剤,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,医薬品の販売に関する情報の提供,受託による医薬品の製造,医薬品の試験・検査又は研究・開発』に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「FFP」の文字からなるものであるところ、当該文字は、その指定商品及び指定役務中の「薬剤」及び「医薬品」に関連する商品及び役務との関係において、「新鮮凍結血漿」を意味する英語「fresh frozen plasma」の略語(「看護師のための看護・医学 略語・用語辞典」、2009年3月25日「株式会社秀和システム」発行)と認められるものである。
そして、「新鮮凍結血漿」は、輸血の際に投与される血漿製剤(「南山堂 医学大辞典」、2006年5月10日「株式会社南山堂」発行)であり、実際に、医療関係の業界において、「FFP」の文字が「新鮮凍結血漿」(fresh frozen plasma)を意味するものとして、広く一般に使用されていることは、別掲に示す新聞記事情報からもうかがい知ることができるものである。
してみれば、「FFP」の文字からなる本願商標は、これを、その指定商品中「薬剤」の範疇に含まれる「血漿製剤」に使用しても、単に商品の品質を表示してなるにすぎないものであり、また、その指定役務中「新鮮凍結血漿(薬剤及び医薬品)に関連する役務」に使用しても、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものというべきであって、かつ、前記商品及び役務以外の「薬剤」及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、「『FFP』の文字は、各種業界において、種々の意味合いを示す英文字表記(一部片仮名文字表記)の略称を示すものとして広く使用されいるから、如何なるものの略称(略語)であるかを特定することができない。さらに、『血しょう(血漿)』の英語表記は、各種意味合いが理解されるところの『plasma』ではなく、『商品・役務名リスト(IPDL)』でも示すとおり、『blood plasma』である。そうとすると、『FFP』の文字は、『Fresh frozen plasma』の略称とみるより、むしろ、特定の文字の略称または特定の意味合いを理解することのできない一種の造語を表していると見るのが自然である」旨主張する。
確かに、「FFP」の文字は、各種業界において、種々の意味合いを示す英文字表記と認められるものである。
しかしながら、本願商標「FFP」の文字が、種々の意味合いを示す英文字表記であるとしても、その種々の意味合いのうち、どの意味合いを生ずるかは、その指定商品、指定役務との関係において、決せられるものであるところ、上記したとおり、「FFP」の文字は、その指定商品及び指定役務中の「薬剤」及び「医薬品」に関連する商品及び役務との関係においては、「新鮮凍結血漿」を意味するものであって、特定の文字の略称または特定の意味合いを理解することのできない一種の造語を表しているとはいえない。
そうとすると、かかる請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
新聞記事上における「FFP」の文字の使用例
(下線は、当合議体が付与。)
1 2004年3月4日 朝日新聞 東京朝刊 23頁
「輸血の安全、続く模索 ウイルス感染は防げるのか」の見出しの下、「◆保管を延長 回収に備え半年間に/日本は80年代半ば、重症のやけどの治療などに使われるアルブミン製剤を海外から輸入し、世界全体の3分の1も消費して『吸血鬼』と批判された。その後、減ったが、まだ輸血用血液の新鮮凍結血漿(FFP)の使用量は欧米の2?3倍といわれている。FFPの使用目的は、止血などに限定されているが、手術後の栄養補給としても使われているという。」との記載。
2 2006年4月23日 毎日新聞 地方版/長野 27頁
「医療トラブル:血しょう795本、電源故障で無駄に--県赤十字血液センター /長野」の見出しの下、「◇指摘まで公表せず/長野市の県赤十字血液センターで、電気系統の故障で、保管していた新鮮凍結血しょう(FFP)795本が輸血に使えなくなるトラブルがあったことが、22日までに分かった。」との記載。
3 2006年6月21日 Medical & Test Journal 4頁
「日本輸血学会 成分輸血のエビデンス蓄積を外科医は自己血輸血志向」の見出しの下、「報告によると、肝硬変合併肝がん切除例について、同種輸血+新鮮凍結血漿(FFP)投与群と貯血式自己血輸血群の比較では、術後合併症の頻度に有意差はなく、近年では肝切除術のほぼ全例が自己血輸血で対応している。また、術中出血量が2000mL以上の症例で、FFP使用群と未使用群の血液検査結果に大差はなく、『FFPは今まで言われていたほど必要ない』との見解を述べた。」との記載。
4 2007年7月11日 Medical & Test Journal 3頁
「輸血管理料 アルブミン製剤の国内自給率増に寄与血液製剤調査機構 2006年需給状況調査まとまる」の見出しの下、「●FFPにも管理料の影響/このほか、輸血用血液製剤に関しては、新鮮凍結血漿(FFP)の供給単位数が前年から19.2万単位減少し、274万単位となった。」との記載。
5 2009年6月21日 Medical & Test Journal 5頁
「第57回 日本輸血・細胞治療学会総会/輸血副作用報告の標準化が必要/ヘモヴィジランス確立に向けた厚労研究班の活動報告も」の見出しの下、「●副作用・感染症の年間報告数は1800件程度/日本赤十字社血液事業本部安全管理課の百瀬俊也氏は、1993年から2008年までの血液製剤に関する副作用・感染症報告の推移を提示。04年の1943件をピークに、現在では1700?1800件の報告が続いているとした。副作用の内容では、非溶血性副作用が報告の8割以上を占めており、04年からの5年間に非溶血性副作用として報告された7930件を原因製剤別で見た場合、血小板製剤(PC)が41.9%を占め、赤血球製剤(RCC)が37.8%、新鮮凍結血漿(FFP)が12.7%となっている。供給1万本当たりの副作用報告頻度ではPCが9.36、RCCが1.85、FFPが1.74という状況だった。」との記載。

審理終結日 2011-06-10 
結審通知日 2011-06-13 
審決日 2011-06-27 
出願番号 商願2010-34597(T2010-34597) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0510354042)
T 1 8・ 272- Z (X0510354042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
大橋 良成
商標の称呼 エフエフピイ 
代理人 市川 利光 
代理人 小栗 昌平 

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