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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y42
管理番号 1243127 
審判番号 取消2010-300223 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-02-25 
確定日 2011-08-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5102883号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5102883号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5102883号商標(以下「本件商標」という。)は、「UBCOM」の文字を横書きしてなり、平成18年11月17日に登録出願され、第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として平成20年1月11日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第6号証を提出している。
(1)被請求人である商標権者は、本件商標に係る商標権に関して、アイティオー株式会社(以下「アイティオー社」という。)に対し、独占的通常使用権を設定している(甲第3号証)。
(2)独占的通常使用権者であるアイティオー社は、本件商標を、その指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の範疇に属する「携帯電話用ホームページ自動作成サービス」について不正に使用し(甲第4号証)、その結果、請求人の業務に係る商品・役務と混同を生じている。
すなわち、請求人であるユビコムインコーポレイテッドは、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」等を指定商品とし、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務とする商標「UBICOM」に係る商標登録第4561608号(以下「引用商標」という。)を所有しているが(甲第5号証)、引用商標からは「ユビコム」又は「ウビコム」の称呼が生じ、本件商標「UBCOM」からは「ユービーコム」の称呼が生じる旨の判断が、本件商標に対する登録異議申立て事件(異議2008-900157)の「異議の決定」において、審判官合議体によって下されている(甲第6号証)。
したがって、本件商標「UBCOM」の使用に際して、片仮名で称呼を併記する場合には「ユービーコム」とすべきであるが、独占的通常使用権者であるアイティオー社は、本件商標「UBCOM」を使用しているように見せかけつつ、「ユビコム」という商標を併記して、実際には商標「ユビコム」を主たる商標として使用している。このため、請求人が所有する引用商標の下で取扱っている商品・役務との間で混同を生じている。
(3)上記異議の決定(甲第6号証)において、本件商標「UBCOM」からは「ユービーコム」なる称呼が生じ、「ユビコム」なる称呼は生じない旨の審判官合議体による判断が下されたのであるから、その後、被請求人は速やかに独占的通常使用権者に対して、本件商標の使用の際に商標「ユビコム」を併記しないように「相当の注意」をして、本件商標が正当に使用されるようにする監督義務を果たすべきであったにも拘わらず、上記異議の決定が下された平成20年10月29日以降も独占的通常使用権者が商標「ユビコム」を使用し続けている事実に鑑みると、被請求人が独占的通常使用権者に対して「相当の注意」を行わなかったことは明らかである。
(4)以上より、本件商標は、商標法第53条の規定により、全指定役務についての登録が取消されるべきであることは明らかである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し何ら答弁していない。

4 当審の判断
(1)請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア アイティオー社は、請求人に対し、平成22年5月28日付け書簡により「本件商標について商標権者より独占的通常使用権の設定を受けて使用している」旨及び「『UBCOM(ユビコム)』の標章を使用して携帯電話を利用した各種サービスを提供している」旨の回答をし、更に、「当該標章の使用を取りやめる」と述べている(甲第3号証)。
イ アイティオー社のウェブサイトには、最上欄のページ表示部分に「ネットワークUBCOM/UBCOMシステムとは?|ユビコム」、「UBCOMシステムとは?|ユビコム」、「UBCOMの特徴/UBCOMシステムとは?|ユビコム」、「ユビコム」、「携帯電話用ホームページ自動作成・環境にやさしいアイティオー株式会社」、「会社概要|ユビコム」、「防災UBCOM/UBCOMシステムとは?|ユビコム」及び「UBSYSシステムとは?|ユビシス」と記載された各ページがあり、以下のように、それぞれに応じた内容が掲載されている(甲第4号証)。
(ア)上記「携帯電話用ホームページ自動作成・環境にやさしいアイティオー株式会社」及び「UBSYSシステムとは?|ユビシス」以外の各ページには、上部冒頭部分に、図形及び図案化された「UBCOM」の文字(別掲1参照)並びにその右側に「UBIQUITOUS」、「COMMUNICATION」及び「(ユビコム)」の文字が三段に(別掲2参照)表されている。
(イ)「ネットワークUBCOM/UBCOMシステムとは?|ユビコム」のページでは、「HOME UBCOMシステムとは? ネットワークUBCOM」の見出し下に、「企業の宣伝、広告、ビジネス、20,000円でできること。たとえば・・・」として図示された下部に「『ユビコム^(TM)』なら月々20,000円で」と大きく表示されているほか、「6 ショッピングサイトも作成できます!」の項目には、「お客様のオリジナルショッピングサイトが構築できる機能を搭載しています。(ネットワークユビコム^(TM)のみ)」との記載がされている。
(ウ)「UBCOMシステムとは?|ユビコム」のページでは、「HOME UBCOMシステムとは?」の見出し下に、「UBCOM(ユビコム)システムとは、」、「携帯電話を使った」及び「ホームページ作成サービス!」の語句が大きく三段に表示されている。
(エ)「UBCOMの特徴/UBCOMシステムとは?|ユビコム」のページでは、「HOME UBCOMシステムとは? UBCOMの特徴」の見出し下に、「UBCOM(ユビコム)7つの特徴」の文字が大きく表示されている。
(オ)「携帯電話用ホームページ自動作成・環境にやさしいアイティオー株式会社」のページでは、会社名が表示された下部に、「アイティオー株式会社では、UBCOM(ユビコム)事業、ECOASPIA(エコアスピア)事業を通じ、皆様のより良い健康と生活、そして環境を目指しております。」と記述されている。
(カ)「防災UBCOM/UBCOMシステムとは?|ユビコム」のページでは、「HOME UBCOMシステムとは? 防災UBCOM」の見出し下に、「防災UBCOM(ユビコム)システムとは、」、「地域・企業・コミュニティーなどの団体単位で活用できる、」、「緊急・災害時用の」及び「携帯電話ホームページ作成サービス!」の文字が4段に大きく表示されているほか、3枚目には「『ユビコム』の仕組み」との表題の下に図形と共に解説されている。
(キ)「UBSYSシステムとは?|ユビシス」のページでは、「HOME UBSYSシステムとは?」の見出し下に、「UBCOM(ユビコム)システムとは、」、「携帯電話を使った」及び「ホームページ作成サービス!」の語句が大きく三段に表示されている。
ウ 上記各ページの上部冒頭部分に表示されている図案化された「UBCOM」の文字部分及び括弧書きされた「ユビコム」の文字部分、説明中に表示された「ユビコム^(TM)」、「UBCOM(ユビコム)システム」、「UBCOM(ユビコム)」、「UBCOM」、「防災ユビコム」等の各文字部分(以下、まとめて「使用商標」という。)は、その表示態様及び説明文の文脈に照らし、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものといえる。
エ 上記アイティオー社のウェブサイトに掲載された内容によれば、使用商標が使用されている役務は、携帯電話用のホームページの作成であり、本件商標の指定商品中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の範疇に属する役務といえる。
(2)ところで、本件は、商標法第53条第1項の規定に基づく商標登録の取消の審判であるところ、同項は、専用使用権者又は通常使用権者が指定商品・役務又はこれに類似する商品・役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって、他人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる(ただし、当該商標権者がその事実を知らなかった場合において、相当の注意をしていたときは、この限りでない。)旨定めている。
そこで、以下において、先ず、通常使用権者が使用する商標(使用商標)が本件商標と同一又は類似のものであるか否か、使用商標が使用されている役務と本件商標の指定役務とが同一又は類似のものであるか否かについて検討し、次いで使用商標の使用が他人たる請求人の業務に係る役務と混同を生ずるか否かについて検討する。
(3)本件商標は、上記1のとおり、「UBCOM」の文字からなり、「ユービーコム」の称呼を生ずるものといえる。これに対し、使用商標中の「UBCOM」の文字を図案化したもの、「ユビコム」の文字のみからなるもの又は「UBCOM」の文字に括弧書きで「ユビコム」の文字を付加したものは、本件商標とは、構成態様が異なるものであって、同一とはいい難いものであり、「ユビコム」又は「ユービーコム」の称呼を生ずるものといえる。
そして、本件商標から生ずる「ユービーコム」の称呼と使用商標から生ずる「ユビコム」の称呼とは、「ユ」及び「ビ」が長音を伴っているか否かという微差しかなく、他の音を悉く共通にするものであるから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が極めて近似し彼此相紛らわしいものである。また、使用商標中の「UBCOM」及び図案化された「UBCOM」は本件商標と綴りを同じくするものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、称呼及び外観において類似の商標といわなければならない。
また、使用商標が使用されている役務は、上記(1)エのとおりであるから、本件商標の指定役務に含まれるものである。
(4)他方、引用商標は、「UBICOM」の文字からなるものであって、「ユビコム」の称呼を生ずるものといえる。
これに対し、使用商標は、いずれも前示のとおりの構成態様からなるところ、使用商標中の、少なくとも、「ユビコム」の文字のみからなるものや「UBCOM」の文字に括弧書きで「ユビコム」の文字を表示したものは、「ユビコム」の称呼を生ずることは明らかであり、引用商標と称呼を共通にする類似の商標というべきである。使用商標中の「UBCOM」の文字にしても、引用商標とは看者の注意が比較的届き難い中間における「I」の文字有無という差異を有するにすぎず、他の構成文字・配列を悉く共通にするものであるから、外観上も近似した印象を与えるものである。
また、引用商標は役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用されるものであり、該役務と使用商標が使用されている上記(1)エの役務とは、同一又は類似のものといえる。
そうすると、使用商標を上記(1)エの役務について使用することにより、引用商標を使用する請求人の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(5)本件商標権者は、アイティオー社に対し独占的通常使用権を許諾しており(甲第3号証)、アイティオー社による本件商標の使用につては相当の注意をし監督すべき立場にあるにも拘わらず、請求人の監督義務のかい怠であるとの主張に対しても何ら反論していないところからすると、アイティオー社が使用商標を上記のように使用していることを当然知っていたというべきである。
(6)以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第53条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1



別掲2





審理終結日 2011-06-07 
結審通知日 2011-06-09 
審決日 2011-06-29 
出願番号 商願2006-107254(T2006-107254) 
審決分類 T 1 31・ 5- Z (Y42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新井 裕子堀内 真一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2008-01-11 
登録番号 商標登録第5102883号(T5102883) 
商標の称呼 ユウビイコム 
代理人 西山 清春 
代理人 古谷 聡 
代理人 溝部 孝彦 

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