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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 |
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管理番号 | 1241592 |
異議申立番号 | 異議2010-900400 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-12-17 |
確定日 | 2011-08-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5353806号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5353806号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5353806号商標(以下「本件商標」という。)は、「TROTTER」の欧文字と「トロッター」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成22年5月14日に登録出願、同22年8月12日に登録査定がなされ、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,愛玩動物用被服類,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同22年9月17日に設定登録されたものである。 2 本件登録異議申立ての理由 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第57号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標 申立人が引用する登録第4243946号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成9年5月16日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,乗馬用具」を指定商品として、同11年2月26日に設定登録、その後、同20年9月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 同じく、登録第4551683号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成11年5月11日に登録出願、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同14年3月15日に設定登録されたものである。 同じく、登録第4982825号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成17年12月26日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,乗馬用具」及び第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年9月1日に設定登録されたものである。 以下、これらを一括していうときは、「引用各商標」という。 (2)申立ての理由(要点) ア 商標法第4条第1項第10号及び第15号について グローブ・トロッター社(GLOBE-TROTTER SUITCASE LTD)は、申立人「ICBMホールディングス株式会社」の傘下にある会社であり、1897年に創業、英国はもとより世界中において旅行用のスーツケース・メーカーとして著名であり、そのスーツケースに付した商標「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」は、周知・著名であり、また、取引業者・需要者をして、しばしば「グローブ」の部分を省いて「トロッター」のみで単独で使用されている事実がある。 したがって、旅行用のスーツケースや袋物に単独で「TROTTER」あるいは「トロッター」を使用することは、その取引者・需要者をして、グローブ・トロッター社、あるいは、そのグループの親会社であるICBMホールディングス株式会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとくその商品の出所について混同を生じさせるおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する。 また、「GLOBE-TROTTER」が旅行用のスーツケースとして、日本国内でも世界的にも周知・著名商標であることから、旅行用のスーツケースに限らず、第18類においても、これに特に関係の深い商品である旅行用品に関する「携帯用化粧道具入れ,愛玩動物用被服類,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、及び、第25類における旅行用品に関する「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」に本件商標を使用するときは、需要者をして、グローブ・トロッター社、あるいは、そのグループの親会社であるICBMホールディングス株式会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとくその商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する。 イ 商標法第4条第1項第11号について 本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、「トロッター」の称呼、観念を、同じくする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似する商標であるから、引用商標1及び引用商標3と本件商標とは、相互に相紛らわしい商標である。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にも該当する。 ウ 商標法第4条第1項第8号について グローブ・トロッター社は、我が国及び世界的にも有名なスーツケース・メーカーであり、「トロッター」(TROTTER)もグローブ・トロッター社の略称として著名である。 これに対して、本件商標は、上記著名な略称と同一又は類似するものであって、かつ、グローブ・トロッター社あるいは親会社である申立人の承諾を得ていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 エ 商標法第4条第1項第7号ないし第19号について。 グローブ・トロッター社は、我が国及び世界的にも有名なスーツケース・メーカーであり、その製品に付した「グローブ・トロッター」、「GLOBE-TROTTER」は、周知・著名商標であり、また、グローブ・トロッターの略称としての「トロッター」もグローブ・トロッター社の略称として広く認識されている。 これに対して、本件商標は、「GLOBE-TROTTER」、「グローブ・トロッター」を容易に認識・観念できるものであり、しかも、その指定商品は、グローブ・トロッター社及び申立人の扱うスーツケースを含むことはもちろん、極めて近似した関係にある商品である。 本件商標の出願人は、何ら、グローブ・トロッター社及び申立人の承諾を受けることなく、申立人の著名商標・著名略称と同一商標を出願し、商標登録を受けたものであって、グローブ・トロッター社及び申立人のブランド、その築き上げた信用を無断で盗用し、不当に利用しようとするものであることは明らかであり、本件商標を本件商標の各指定商品に商標登録しようとする行為は、国際商取引、国際信義、ひいては公序良俗に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。 3 当審の判断 (1)「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」及び「トロッター」の周知・著名性について グローブ・トロッター社(GLOBE-TROTTER SUITCASE LTD)は、スーツケース・メーカーとして1897年に創業された(甲第6号証)申立人の傘下にある会社(甲第7号証)である。 そして、同社が旅行用のスーツケースについて使用する商標「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」(引用各商標を含め、これらを一括して、以下「使用商標」という。)は、申立人が言うように多くの一般新聞紙(朝日、読売、毎日、日経、日経産業等 甲第8号証ないし甲第18号証、)、多くの国内雑誌(甲第19号証ないし甲第36号証)に紹介され、販売店として三越、伊勢丹等の有名デパートにブースを有し(甲第37号証ないし甲第39号証)、また、海外雑誌(甲第48号証ないし甲第57号証)にも紹介されている事実からすれば、使用商標は、商品「旅行用スーツケース」について、永年盛大に使用された結果、我が国においても、周知・著名な商標であるということができる。 また、申立人は、甲第39号証ないし甲第47号証を提出して、「グローブ・トロッター」は、取引業者・需要者をして、しばしば「グローブ」の部分を省いて「トロッター」のみで単独で使用している事実があると述べている。 しかしながら、これらの証拠を徴すると、いずれの「トロッター」の使用も、「グローブ・トロッター社」が商品「旅行用スーツケース」について使用する「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」に関連して使用されているという特殊事情にあるものであり、単に「トロッター」のみにおいて使用されているものではないことからすれば、「トロッター」が、独立して取引指標として機能しているとは、言い難いものである。 ましてや、「トロッター」が、商品「旅行用スーツケース」について使用する周知・著名な商標「グローブ・トロッター」の略称であるとか「グローブ・トロッター社」の著名な略称であるとも認められない。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「TROTTER」と「トロッター」の文字よりなるものであるから、これよりは、「トロッター」の称呼を生ずるものであり、また、「TROTTER」の文字は、「速歩する馬、精力的に動き回る人」を意味する英語(新コンサイス英和辞典)であるところからすれば、本件商標からは、「速歩する馬、精力的に動き回る人」の観念を生ずるものである。 他方、引用商標1及び3は、別掲(1)及び(3)に示したとおり、図形と文字との結合によりなるものであるところ、これら全体から、一連の意味合いが生ずる等、図形と文字とを一体のものと見るべき理由はないものであるから、それぞれの文字部分「GLOBE-TROTTER」のみにおいても独立して取引に資されるものというを相当とする。 そして、「GLOBE-TROTTER」の文字は、「地球」を意味する「GLOBE」と前記したとおりの意味を有する「TROTTER」の文字をハイフンを介して結合し、かつ、同書、同大で外観上一体的に表示されているものであり、当該文字全体から生ずる「グローブトロッター」の称呼も8音であって、一連に称呼し得るものであり、また、全体として「地球を精力的に歩き回る人」程の観念を生ずるものといえる。 そうしてみると、引用商標1及び3は、その構成中、「GLOBE-TROTTER」の文字部分は、一連一体のものとして認識し、把握されるものというべきであるから、当該文字に相応して「グローブトロッター」の称呼のみを生じ、かつ、「地球を精力的に歩き回る人」程の観念を生ずるというべきである。 そこで、本件商標と引用商標1及び3との類否について比較するに、本件商標と引用商標1及び3とは、それぞれの構成からして、外観上明らかに相違し、称呼においては、本件商標から生ずる「トロッター」の称呼と引用商標1及び3から生ずる「グローブトロッター」の称呼とは、「グローブ」の音の有無に明らかな差異を有するところから、十分に聴別し得るものであり、観念においては、本件商標の観念が「速歩する馬、精力的に動き回る人」であるのに対し、引用商標1及び3の文字部分から「地球を精力的に歩き回る人」程の観念を生ずるところから、観念上も区別し得るものである。 してみれば、本件商標と引用商標1及び3とは、外観上の比較においてはもとより、その称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号、同第15号,同第19号及び同第7号について 使用商標が、前記(1)のとおり、商品「旅行用スーツケース」について使用する周知・著名な商標であると認められるとしても、本件商標と使用商標とは、前記(2)の認定と同様に、十分に区別し得る別異の商標である。 また、申立人が略称されて使用しているとする「トロッター」は、前記(1)認定のとおり、「グローブ・トロッター社」が商品「旅行用スーツケース」について使用する「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」に関連して使用されているものであるから、一般的に独立して使用されているということができず、単に「トロッター」の使用があるからといって、これが直ちに商品「旅行用スーツケース」について使用されている商標「GLOBE-TROTTER/グローブ・トロッター」を連想・想起するものとはいい得ないところである。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その商品が、「グローブ・トロッター社」あるいは「グローブ・トロッター社」と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。 また、本件商標は、前記(2)のとおり、「速歩する馬、精力的に動き回る人」を意味する英語の成語「TROTTER」の欧文字とその表音を片仮名表記したものと認められる「トロッター」の文字よりなるものであるから、独創性はなく、引用各商標の周知・著名性を利用する等の不正の目的をもって使用をするものとはいえず、かつ、不正の目的に関する具体的な証拠も提出されていない。 さらに、本件商標をその指定商品について商標登録しようとする行為は、国際商取引、国際信義、ひいては公序良俗に反するものということもできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号,同第19号及び同第7号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第8号について 申立人は、「トロッター」が、「グローブ・トロッター社」の略称として著名であると述べているところ、提出された証拠からは、「トロッター」の使用があるとしても、前記(1)のとおり、「トロッター」が、独立して取引指標として機能しているとは、言い難いものであるばかりでなく、「グローブ・トロッター社」の著名な略称であるとも認められない。 その他、「トロッター」が、「グローブ・トロッター社」の略称として著名であることを認めるに足る証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (5)結び 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 別掲2 別掲3 |
異議決定日 | 2011-07-28 |
出願番号 | 商願2010-37617(T2010-37617) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X1825)
T 1 651・ 22- Y (X1825) T 1 651・ 23- Y (X1825) T 1 651・ 222- Y (X1825) T 1 651・ 271- Y (X1825) T 1 651・ 25- Y (X1825) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田口 善久 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 小川 きみえ |
登録日 | 2010-09-17 |
登録番号 | 商標登録第5353806号(T5353806) |
権利者 | 八木通商株式会社 |
商標の称呼 | トロッター |
代理人 | 小原 英一 |