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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X1635
審判 一部申立て  登録を維持 X1635
審判 一部申立て  登録を維持 X1635
管理番号 1241588 
異議申立番号 異議2010-900384 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-02 
確定日 2011-08-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5350322号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5350322号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5350322号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナビケア」及び「navicare」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成22年1月15日に登録出願、同年7月23日に登録査定され、第16類「カタログ,その他の印刷物,紙類,文房具類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器」及び第35類「広告」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年9月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5310244号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ナビケア」の文字を横書きしてなり、平成21年11月13日に登録出願され、第9類「乗り物用ナビゲーション装置,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),コンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体」、第35類「コンピュータによるファイルの管理,経理事務の代行,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,事業に関する情報の提供,ワードプロセッサによる文書の作成」及び第45類「社会保険に関する手続の代理」を指定商品及び指定役務として、同22年3月19日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4830961号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ナビケア」及び「NAVI_CARE」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成16年5月27日に登録出願され、第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とするその機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」を指定役務として、同17年1月7日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び2を一括して単に「引用商標」ということがある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第16類「カタログ」及び第35類「広告」について、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。
(1)申立人が介護保険事務支援システムについて使用する「ナビケア」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)は、申立人の業務に係る商標として介護保険事業を行う需要者の間に広く認識されているから、これと同一の称呼を生ずる本件商標が、その指定商品中の「カタログ」について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(2)本件商標と引用商標とは、同一の外観及び称呼を有することは明らかであり、本件商標が第16類の指定商品中の「カタログ」及び第35類の指定役務中の「広告」について登録されていると、申立人が需要者に対して宣伝活動を行う際に妨げとなる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(ア)申立人は、介護保険制度施行(2000年)前の1999年以来、介護保険事務支援システムについて使用商標を使用しており、上記介護保険事務支援システムの累積購入者は1,175法人(平成22年11月25日現在)であって、インターネット上の試用版のダウンロード数は1万件を超えていることから、使用商標が需要者間に広く認識されている旨主張し、甲第6号証ないし甲第8号証を提出している。
しかしながら、上記累積購入者が1,175法人であること及び上記ダウンロード数が1万件を超えていることを具体的かつ客観的に示す証拠はない。仮に、これらの数値が事実であるとしても、かかる数量のみをもって使用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そして、上記甲各号証についてみるに、甲第6号証は、申立人の業務に係る「介護保険業務支援システム」について説明するパンフレットと認められるところ、その表紙に「ナビケア」の文字が大きく顕著に表され、説明文中にも「ナビケア」の文字が括弧書きで又は独立して用いられており、これらの「ナビケア」の文字は、上記「介護保険業務支援システム」について商標として使用されているものといえるが、このパンフレットの発行日、発行部数、頒布の方法・地域・期間等は明らかでない。
甲第7号証は、申立人のウェブサイトの写しと認められるところ、各ページの右下隅に記載された数字「2010/11/29」に照らし、本件商標の登録出願後である2010年11月29日にプリントアウトされたものといえるが、掲載内容中の「(*ナビケアの製品価格は2009年2月以降に改定を予定しております。)」との記述からすると、本件商標の登録出願前の事情を掲載したものと見る余地はある。そして、第1ページの上方に「ケアプラン作成システム ナビケア」との表題が付されているほか、説明文中にも、「ナビケア」の文字が括弧書きで表示されており、これら「ナビケア」の文字は申立人の業務に係る「介護保険業務支援システム」について商標として使用されているものといえるが、上記ウェブサイトの掲示期間やアクセス数等は明らかでない。
甲第8号証は、「ワムネットプラス」と称するウェブサイトの写しと認められるところ、「介護保険業務管理ソフト」を取り扱う企業及びその製品名の一つとして、申立人の「ナビケア」が紹介されているが、その掲載内容中の「ワムネットプラス2010」、「10月25日号」の記述からすると、本件商標の登録出願後の2010年10月25日時点での事情を記載したものといえる。
他に、使用商標の使用事実、例えば、使用期間、使用地域、使用商品の販売数量・売上高・市場占有率、広告宣伝の方法・媒体・回数・内容等の具体的事実を示す証左は一切ない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時において、使用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
その他、使用商標が、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠はない。
(イ)申立人は、本件商標権者が従前より発刊しているカタログ「ナビス」に掲載された商品から診療・療養・介護施設向けに商品を抜粋したカタログ「ナビケア」を創刊したという経緯からすると、本件商標が使用商標の周知性に便乗して不当に利益を受けようとするものである旨主張し、甲第4号証、甲第5号証及び甲第9号証を提出している。
しかしながら、本件商標の使用に係る甲第4号証、甲第5号証及び甲第9号証に示される商品は、印刷物たる「カタログ」であるのに対し、使用商標が使用される商品は、甲第6号証によれば、「介護保険業務支援システム」という電子計算機用プログラムと解されるから、両商品は、産業分野を異にし、用途、目的、機能、取引系統、需要者等が明らかに異なり、別異の商品といえるものであって、相互に関連性の乏しいものといえる。
なお、念のため付言するに、本件商標は、商品「カタログ」について使用されるものであり、該カタログに掲載されている商品について使用されるものではない。
加えて、上記(ア)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
かかる事情においては、本件商標と使用商標とが同一又は類似であり、かつ、上記カタログに診療・療養・介護施設向け商品が掲載されているとしても、本件商標権者が、使用商標の周知性に便乗して不当な利益を得る目的で、本件商標を上記カタログについて使用するものとは認められない。
(ウ)以上を総合すると、本件商標をその指定商品中の「カタログ」について使用しても、これに接する取引者・需要者が使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(ア)申立人は、本件商標の指定商品中の「カタログ」及び指定役務中の「広告」について、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張し、引用商標を引用しているので、まず、上記指定商品「カタログ」及び上記指定役務「広告」と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について検討する。
(イ)本件商標の指定商品中の「カタログ」は、商品目録、営業案内等を記載した印刷物といえるものである。また、本件商標の指定役務中の「広告」の概念には、「広告代理店等が依頼に基づいて行う役務が含まれる。」と解される(特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」参照)。そして、一般に、「広告」とは、「顧客を誘致するために、商品や興業物などについて、多くの人に知られるようにすること。」(岩波書店発行「広辞苑第六版」)を意味するものとされている。
他方、引用商標1の指定商品は、第9類「乗り物用ナビゲーション装置,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),コンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体」であり、いずれも機械器具の範疇に属する商品であって、電気や電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものといえるから、本件商標の指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」とは、産業分野を異にするものであり、用途、目的、機能、取引系統、需要者等が明らかに異なるものであって、たとえ、両者に同一又は類似の商標を使用しても、誤認混同を生ずるおそれはなく、互いに非類似の商品又は役務というべきものである。また、引用商標1の指定役務は、第35類「コンピュータによるファイルの管理,経理事務の代行,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,事業に関する情報の提供,ワードプロセッサによる文書の作成」及び第45類「社会保険に関する手続の代理」であるから、やはり、本件商標の指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」とは関連性の乏しいものであり、互いに類似するものとはいえない。
さらに、引用商標2の指定役務は、第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とするその機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」であるから、本件商標の指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」とは関連性の乏しいものであり、互いに類似するものとはいえない。
(ウ)そうすると、申立人が主張するように、本件商標と引用商標とは称呼及び外観を共通にする類似の商標であるとしても、本件申立てに係る本件商標の指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」と引用商標の指定商品及び指定役務とが非類似のものである以上、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとの申立人の主張は、前提を欠くものであって、認めることはできない。
その他、本件商標がその指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」について商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとすべき理由は見いだし得ない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品「カタログ」及び指定役務「広告」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-07-27 
出願番号 商願2010-2179(T2010-2179) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X1635)
T 1 652・ 264- Y (X1635)
T 1 652・ 265- Y (X1635)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2010-09-03 
登録番号 商標登録第5350322号(T5350322) 
権利者 アズワン株式会社
商標の称呼 ナビケア 

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