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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X18 |
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管理番号 | 1241587 |
異議申立番号 | 異議2010-900370 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-11-16 |
確定日 | 2011-08-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5350989号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5350989号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5350989号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年4月14日に登録出願、第18類「かばん類,財布,その他の袋物,皮革製包装用容器」及び第25類「レザージャケット,その他の被服,バンド,ベルト」を指定商品として、同年7月21日に登録査定され、同年9月3日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録第4762269号商標(以下「引用商標」という。)は、「天神」の文字を縦書きしてなり、平成15年7月9日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ」を指定商品として、同16年4月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 (1)本件商標について ア 本件商標は、まず「テンジン」「マルテンジン」「テンジンワークス」「マルテンジンワークス」等々の自然的称呼を生じるのは明らかである。 しかし、この様な称呼が生じても、その全てが常に呼称されるものではなく、現実の取引において、呼称し易くかつ迅速に呼称できる称呼が、取引者・需要者に浸透して行くことは、経験則上明らかなことである。 そうであれば、本件商標から生じる呼称上、比較的短く呼称される呼称は、「テンジン」「マルテンジン」等であり、他は少々冗長すぎる嫌いがあり、取引の迅速には馴染まないものと思われる。 これ故、本件商標から生じる自然的称呼の中、取引上取引者・需要者に自然に呼称される呼称は、「テンジン」「マルテンジン」等と見るのが、最も自然で妥当だと思われる。 イ 「TENJIN WORks」 からは、「テンジン」「テンジンワークス」「ワークス」等々の自然的呼称が生じる。 しかし、この「WORks」の文字は、ほとんど識別力を有しないものである。何故なら、この文字「WORKS」を含む商標が、単独で「WORKS」(例えば、登録4591074号商標、甲4)の登録商標があっても、他に数多く登録されているので(甲2、甲3、甲5ないし甲22)、この文字自体に何ら特別顕著性を有しないものとみられるからである。 これら登録商標は、全て、「WORKS」の文字をその構成中に含んでおりながら、何ら相互に抵触するものではない、として登録されているものであるから、「WORKS」の文字は、何ら識別力を有しないものであること明らかである。 そうであれば、「TENJIN WORks」の文字から「テンジンワークス」の呼称が生じたとしても、呼称上識別力を有するのは、「テンジン」の呼称であって、それ以外の呼称でないこと、明らかである。 したがって、「TENJIN WORks」から生じる自然的称呼も「テンジン」として、取引者・需要者に認識されるのは、経験則上明らかなことである。 上記のことから、本件商標からは、「テンジン」「マルテンジン」等の識別力ある自然的呼称が生じるものである。 ウ 本件商標は、その構成に「天神」及び「TENJIN」の文字を含み、その文字が、商品識別力を有するものであることは、上記イで述べた如く「WORks」の文字が、ほとんど識別力を有しないことから、これ故、本件商標からは、「天神」の意味観念が生じるものとするのが自然である。 「天神」とは、(a)天の神。あまつかみ。(b)天界に住して仏法を守護する神。天。諸天。(c)菅原道真の神号。(d)袍・直衣などを着た公家風の人。(e)遊女の階級の一。太夫に次ぐもの。天職。(f)天神髷の略。(g)「転軫」の当て字。(h)三味線の海老尾の俗称(以上、広辞苑第五版)等々の意味観念を有するものである。 したがって、本件商標の「天神」及び「TENJIN」も、当然前記の意味観念を有するものであることは、明白である。 (2)引用商標について 引用商標の構成「天神」から、「テンジン」の自然的呼称の生じることは、明白であり、これ以外の呼称の生じることは、余程のことのない限りあり得ない。呼称が生じたとしても、それは不自然な呼称であり、経験則上自然的呼称とはいえない。現実社会的に「天神」の文字から「テンジン」と呼称されるのが最も一般的自然的だからである。 これ故、引用商標の自然的呼称は、「テンジン」であるといわなければならない。 また、引用商標の「天神」から、「天神」の意味観念の生じることは、明らかであり、その意味観念は、前記(1)ウにおいて述べた意味観念と全く同じである。 本件商標も「天神」、引用商標も「天神」であるから、その意味観念が同一であることは、当然のことである。この他に意味観念の生じないことも、明らかである。 引用商標は、その指定商品を、上記のとおり、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ」としており、また、本件商標は、その指定商品を、第18類「かばん類,財布,その他の袋物,皮革製包装用容器」としており、「かばん類,袋物」において、同一の商品を指定しているものである。 (3)上記(1)及び(2)から明らかな如く、本件商標と引用商標とは、同一又は類似する商標であることは、明白である。 本件商標からは、「テンジン」「マルテンジン」等の自然的称呼が生じるのに対し、引用商標からは、「テンジン」の自然的称呼が生じるものであるから、両者は、称呼上同一又は類似する商標である。 また、本件商標の識別力を有する部分は、「天神」「TENJIN」であり、引用商標のそれも「天神」であり、双方とも「天神」の意味観念を有するから、本件商標と引用商標とは、意味観念上同一又は類似する商標である。 さらに、その指定商品「かばん類,袋物」において、本件商標と引用商標とは、共に、同一の商品を指定しているものである。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であり、その指定商品についても同一又は類似するものであって、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、別掲のとおり、細い線の円輪郭の中に一見して文字とは認識されない図形と思しきものを配し、その右側に、デサイン化された「TENJIN WORKS」の欧文字を横書きしてなるものである。 そして、本件商標の構成中の「TENJIN WORKS」文字部分は、別掲のとおり、文字の大きさが不揃いではあるものの、全体としてまとまりよくデサイン化された書体及び構成で一体に表されているものであって、これより生ずるものと認められる「テンジンワークス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。なお、該「TENJIN WORKS」文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものである。 また、本件商標の図形と思しき部分は、別掲のとおり、細い線の円輪郭の中に如何なる図形、あるいは文字を配しているか、にわかには把握できないものであって、たとえ、極端にデフォルメされた「天神」の文字を表したものとしても、該図形部分よりは、直ちに特定の称呼及び観念を生じないというのが相当である。 そうすると、本件商標からは、「テンジンワークス」の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。 以上よりすると、本件商標は、「テンジンワークス」の称呼のみ生じ、特定の観念を有しない造語というべきである。 一方、引用商標は、「天神」の漢字を縦書きしてなるところ、これは、「天の神。あまつかみ。」などを意味する語(広辞苑第六版:株式会社岩波書店)であって、一般によく知られているものである。 そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応する「テンジン」の称呼を生じ、「天神」の観念を生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標を比較するに、外観において、両者は、明らかな差異を有し、称呼においても、本件商標より生ずる「テンジンワークス」の称呼と引用商標より生ずる「テンジン」の称呼とは、「ワークス」の音の有無により、その音構成、構成音数において著しい差異が認められるものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものである。 また、観念については、本件商標は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、両者は、観念上比較すべくもないものである。 してみれば、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れることのない十分に区別し得る非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 (2)申立人の主張について 申立人は、登録商標を挙げ、「これら登録商標は、全て、『WORKS』の文字をその構成中に含んでおりながら、何ら相互に抵触するものではない、として登録されているものであるから、『WORKS』の文字は、何ら識別力を有しないものであること明らかである。そうであれば、『TENJIN WORks』の文字から『テンジンワークス』呼称が生じたとしても、呼称上識別力を有するのは、『テンジン』の呼称であって、それ以外の呼称でないこと、明らかである。」旨の主張をしている。 しかしながら、「WORKS」の文字からなる登録商標(甲4)が存在し、また「WORKS」の文字をその構成中に含む登録商標が現に併存しているとしても、これらの登録商標は、いずれも本件商標の場合と同様に他の文字との組み合わせよりなるものか、あるいはそれに加えてデザイン化されているものである。 そうすると、これらの登録例があるとしても、「WORKS」の文字部分が、直ちに自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとはいえないというべきである。 したがって、本件商標構成中の「WORKS」の文字部分には、識別力がないことを前提に、本件商標から単に「テンジン」の称呼をも生ずるものとし、その上で、本件商標と引用商標とが称呼上類似するものとする申立人の主張は、採用できない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る商品中、第18類「かばん類,財布,その他の袋物,皮革製包装用容器」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別 掲(本件商標)![]() |
異議決定日 | 2011-07-28 |
出願番号 | 商願2010-29819(T2010-29819) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(X18)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 手塚 義明、菅沼 結香子 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2010-09-03 |
登録番号 | 商標登録第5350989号(T5350989) |
権利者 | 有限会社ワイ工房 |
商標の称呼 | テンジンワークス、テンジン |
代理人 | 丸山 幸雄 |