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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 1070809101112
管理番号 1239947 
審判番号 取消2010-300774 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-13 
確定日 2011-07-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第1600688号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第1600688号商標の指定商品中,第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」,第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」,第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」及び第12類「陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1600688号商標(以下「本件商標」という。)は,「HEIWADO」の欧文字を横書きしてなり,昭和55年6月6日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同58年7月28日に設定登録されたものであり,その後,平成5年12月22日及び平成15年6月24日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,また,平成16年9月1日に,第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」,第8類「電気かみそり及び電気バリカン」,第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」,第10類「家庭用電気マッサージ器」,第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」,第12類「陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)」及び第17類「電気絶縁材料」とする指定商品の書換登録がなされ,現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証(本件商標に係る商標登録原簿及び商標公報の写し)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第7類の全指定商品,第8類の全指定商品,第9類の全指定商品,第10類の全指定商品,第11類の全指定商品及び第12類の全指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により,取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は,本件商標を「簡易型漏水検知器」に使用していたとしているが,「簡易型漏水検知器」は,指定商品第9類の「測定機械器具」(類似群10C01)に属することが明らかであるところ,本件商標は「測定機械器具」(類似群10C01)の商品を何ら指定していない。
したがって,仮に,被請求人が本件商標をその主張どおりに「簡易型漏水検知器」に使用していたとしても,本件商標をその指定商品に使用していたことにはならない。
ちなみに,特許庁の特許電子図書館の「商品・役務名リスト」では,「漏水検知器」及び「漏水検出器」のいずれも類似群「10C01」に属するものとされている。
(2)請求人の弁駁としては,以上で十分ではあるが,乙各号証の疑わしさについて述べる。
乙第1号証の1は,被請求人から株式会社伸和電子工業への「開発委託」の契約書のようであるが,この契約書には委託内容が全く記載されていない。このような委託内容の記載の無い委託契約書は,およそ契約書といえないものであり,何ら開発委託がなされた証拠となり得るものではない。また,乙第1号証の2は,被請求人から株式会社伸和電子工業への「簡易型漏水検知器の販売等の委託」の契約書のようであるが,本件商標の通常使用権者である株式会社伸和電子工業としては自ら製造販売する機械を自ら販売すればよいだけの話であり,被請求人から販売委託をなされる余地はそもそも無いのである。
乙第2号証の1ないし3は,伸和電子工業からその顧客に対する簡易型漏水検知器の納入実績表ということである。しかしながら,乙第2号証の1ないし3には種々の会社名が羅列されているだけであり,何ら製品の納入を示すものではない。これらの会社に簡易型漏水検知器を販売したというのであるならば,それらの会社との間において,簡易型漏水検知器販売についての発注書,受注書,納品書及び納品請書が存在するはずであるから,その取引書類を提出されたい。
また,多くの取引先に対して製品を販売するには,当該製品のパンフレット,取扱説明書及び価格表が存在するはずであるから,それらの書類も提出されたい。
乙第3号証の1によれば,機械本体には「HEIWADO」の表示はなされていないようであり,乙第3号証の2及び3によれば,上記機械は透明なプラスティック袋に入れられており,そのプラスティック袋に「HEIWADO」とプリントされているということのようである。
しかしながら,機械に商標を使用する場合には,機械本体に「HEIWADO」の商標を表示するのがごく普通であるところ,何故に,本件では機械本体に商標の表示がなされていないのか説明されたい。

第3 被請求人の主張(要旨)
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人である商標権者は,株式会社伸和電子工業に通常使用権を許諾し,当該通常使用権者において,本件審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において,本件請求に係る指定商品中,第9類「電気磁気測定器」(類似群11A04)の「検漏計」若しくは「電子応用機械器具」(類似群11C01)に含まれる「超音波応用漏水検知器」と認められる商品「簡易型漏水検知器」について本件商標を使用している。
乙第1号証は,被請求人である平和堂貿易株式会社が商品「簡易型漏水検知器」について,株式会社伸和電子工業と共同で開発し製造販売を委託していた事実を証する契約書である。
乙第2号証及び同第3号証は,通常使用権者である株式会社伸和電子工業の製造販売に係る商品「簡易型漏水検知器」に商標「HEIWADO」を付し,平成21年3月まで当該商品に使用していた事実を証する当該商品の納入実績表,当該商品の外観写真及び包装紙である。
以上のとおり,本件商標は,本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において,取消しの対象となっている指定商品である第9類「電気磁気測定器」の「検漏計」若しくは「電子応用機械器具」に含まれると認められる「超音波応用漏水検知器」である商品「簡易型漏水検知器」について,商標権者が許諾した通常使用権者において使用していた事実が明らかである。
したがって,本件審判請求は成り立たないものである。

第4 被請求人に対する審尋及び回答
1 当審において,平成23年3月23日付けで被請求人に対して審尋した内容は,要旨以下のとおりである。
(1)答弁書の記載によれば,被請求人が本件商標を使用したとする商品は,「簡易型漏水検知器」であるところ,該商品は,センサーにより水漏れや液漏れの流量を検知する機器であり,第9類「測定機械器具」に含まれる商品と認められる。
(2)乙第1号証の1は,2001年8月1日付け「電気機器開発に伴う製品の開発委託について」と題する書面であり,被請求人と株式会社伸和電子工業との間で,電子回路及びその周辺技術を使った電気機器の開発業務に関する委託を内容とするものである。
しかしながら,該書面は,本件取消審判が必要とするいかなる事実を証明したものか不明である。また,委託期間は,2001年8月1日から3年間と記載されており,継続の有無は不明であって,要証期間内のものではない。
(3)乙第1号証の2は,2004年4月1日付け「簡易型漏水検知器の販売等の委託について」と題する書面であり,被請求人と株式会社伸和電子工業との間で,商品の製作から販売及び販売方法の選択までに関する一切の内容とするものである。
しかしながら,要証期間内のものではなく,本件商標の使用や取引の事実等を証するものでもない。また,株式会社伸和電子工業が,本件商標の通常使用権者であるか否かを証するものと認めることもできない。
(4)乙第2号証の1は「平成18年4月?平成19年3月 納入実績表」,乙第2号証の2は「平成19年4月?平成20年3月 納入実績表」,乙第2号証の3は「平成20年4月?平成21年3月 納入実績表」であるが,「発注者名」の記載のみであって,作成日,作成者等の記載は一切なく,被請求人との関係,具体的商品及び商標の使用等を確認することができない。また,「納入実績表」のみをもって取引の事実があったことを証する書面と認めることもできない。
(5)乙第3号証の1ないし3は,平成22年9月6日,商標権者の社内で中村氏が撮影したとする商品写真及び商品の包装用袋であるところ,包装用袋には,本件商標「HEIWADO」の文字を確認することができる。
しかしながら,商品写真が「簡易型漏水検知器」であるとしても,該商品は,本件取消請求に係る指定商品に含まれる商品ではなく,該商品が商標権者により,販売されたものであるか否かの確認もできない。
以上のとおり,提出に係る乙各号証からは,要証期間内に商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件取消請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用している事実の確認をすることができない。
ついては,本件商標を付した取消請求に係るいずれかの商品が,販売された事実を確認する必要があるため,証明を要する期間内に,実際に取引されていたことが証明できる書証,例えば,商品カタログ,定価表,チラシ,売り場の写真,注文書,納品書,請求書,領収書等,取引書類があるならば,追加提出されたい。

2 前記審尋に対し,被請求人からの回答はない。

第5 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の提出に係る乙各号証によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証の1は,2001年8月1日付で平和堂貿易株式会社と吉田真人及び株式会社伸和電子工業との間で締結された「電気機器開発に伴う製品の開発委託契約書について」と題する書面であり,「電気回路及びその周辺技術を使った電気機器の開発業務に関して,平和堂貿易株式会社(以下甲と言う)は,その開発コンセプトを吉田真人(以下乙と言う)又,開発設計を株式会社伸和電子工業(以下丙と言う)に以下の内容にて委託する。」とあり,委託期間の欄には「2001年8月1日から3年間」等と記載されており,相互確認の条件の欄には「開発内容に継続性があり,他の機器開発の可能性がある時」と記載されている。
乙第1号証の2は,2004年4月1日付で平和堂貿易株式会社と株式会社伸和電子工業との間で締結された「簡易型漏水検知器の販売等の委託について」と題する書面であり,「平和堂貿易株式会社(以下甲と言う)は,その販売等に関する事項を株式会社伸和電子工業(以下乙と言う)に以下の内容にて委託する。」とあり,委託内容の欄には「漏水検知器の開発が完了し,以降のプロトタイプ製作から販売及び販売方法の選択までに関する一切の内容」と記載されている。
上記乙第1号証の1及び2によれば,被請求人(平和堂貿易株式会社)は,2001年8月1日付で,株式会社伸和電子工業等との間で「電気回路及びその周辺技術を使った電気機器の開発業務」に関する契約を締結し,2004年4月1日付で,株式会社伸和電子工業との間で「簡易型漏水検知器の販売等の委託」についての契約を締結していたことを認めることができる。
しかしながら,被請求人が「簡易型漏水検知器」であると主張して提出している商品の外観写真(乙第3号証の1及び2)によれば,該商品自体に,製品名称や商標の表示はなく,また,該商品のパンフレットや取扱説明書等も提出されていないため,該商品が具体的にどのような構造・機能を持ち,どのように使用する商品であるのか把握することができず,漏水を検知する機器であることさえ確認することができない。
そうとすれば,該商品は,乙第1号証の1及び2の「簡易型漏水検知器の販売等の委託」契約に基づいて製造・販売された機器であるのか否か定かではないから,株式会社伸和電子工業が通常使用権者としての立場で該商品を製造し,本件商標を付して販売したものと認めることはできない。
被請求人は,該「簡易型漏水検知器」は第9類「電気磁気測定器」の「検漏計」若しくは「電子応用機械器具」に含まれると認められる「超音波応用漏水検知器」である旨主張している。
しかしながら,「検漏計」を含む「電気磁気測定器」とは,電気の単位又は磁気の単位を測定するものであって,電気又は磁気により測定するものではなく,また,「電子応用機械器具」とは,電子の作用を応用したもので電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれるものである。
そして,該「簡易型漏水検知器」が電気又は磁気により漏水を測定する機器であるならば,そもそも「電気磁気測定器」の範疇には属する商品ではなく,また,該「検知器」が電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであることについては何ら明らかにされていないものであるから,「電子応用機械器具」の範疇に属する商品ということもできない。
また,特許電子図書館の「商品・役務名リスト」によれば,「漏水検知器」や「漏水検出器」は,いずれも,第9類の「測定機械器具(類似群10C01)の範疇に属する商品と解されているところ,「測定機械器具」は,本件商標の指定商品には含まれていないものである。
してみれば,被請求人が本件商標を使用していたとする「簡易型漏水検知器」は,本件取消請求に係る指定商品には含まれないものである。
(2)乙第2号証の1ないし3は,平成18年4月ないし平成19年3月,平成19年4月ないし平成20年3月及び平成20年4月ないし平成21年3月までの各納入実績表であり,発注者名のみが記載されている一覧表形式のものであり,全部で276社(重複して記載されている会社もある)の会社名が記載されている。
該証拠は,平成18年4月ないし平成21年3月までの納入実績表として提出されているものであるところ,当該期間は,本件取消請求の要証期間内のものとは認め得るものの,発注者名のみが羅列されているにすぎず,いかなる商品に,どのような商標を付して取引に資されたものであるかを確認することができない。
したがって,該証拠をもってしては,株式会社伸和電子工業が本件商標を表示した「簡易型漏水検知器」を,具体的な日時にどれだけの数量を各発注者に納品した等の取引の事実を証するものと認めることはできない。
(3)乙第3号証の1ないし3は,「簡易型漏水検知器」とされる商品の外観写真及びビニール袋である。乙第3号証の1は,該商品自体の写真と該商品がビニール袋に収納されている状態の写真であり,乙第3号証の2は,ビニール袋に収納されている該商品4つが包装箱に収められている状態の写真である。また,乙第3号証の3は,ビニール袋であり,該ビニール袋は,縦が6cm,横が8cmであって,厚さも薄いものであり,「HEIWADO」の商標が表示されていることが認められる。
しかしながら,該商品自体に,製品名称や商標の表示はなく,また,該商品のパンフレットや取扱説明書等も提出されていないため,該商品が「簡易型漏水検知器」であるか否かを確認することができない。
加えて,添付されている「HEIWADO」の商標が表示されているビニール袋は,縦が6cm,横が8cmであり,厚さも極めて薄いものであるから,これに乙第3号証の1の写真に表されている機器が納められるとみるには疑問が残るところである。
(4)なお,被請求人に対し,本件商標を付した取消請求に係るいずれかの商品が販売された事実を確認する必要があるため,証明を要する期間内に実際に取引されていたことが証明できる取引書類を追加提出されたい旨の審尋を送付したが,被請求人からの回答はなかった。

2 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証によっては,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,その取消請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,請求に係る第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」,第8類「電気かみそり及び電気バリカン」,第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」,第10類「家庭用電気マッサージ器」,第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」及び第12類「陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)」について取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-05-06 
結審通知日 2011-05-11 
審決日 2011-05-24 
出願番号 商願昭55-45731 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (1070809101112)
最終処分 成立  
特許庁審判長 野口美代子
特許庁審判官 田中 亨子
鈴木 修
登録日 1983-07-28 
登録番号 商標登録第1600688号(T1600688) 
商標の称呼 ヘイワドウ 
代理人 又市 義男 
代理人 三嶋 景治 

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