• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X11
管理番号 1238509 
異議申立番号 異議2009-900356 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-09-14 
確定日 2011-05-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5238007号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5238007号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5238007号商標(以下「本件商標」という。)は、「シェブロン」の片仮名と「CHEVRON」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成21年1月15日に登録出願され、第11類「乾燥装置,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),家庭用電熱用品類,加熱器,家庭用浄水器,洗面所用消毒剤ディスペンサー,家庭用電気美顔器」を指定商品として、同年5月20日に登録査定、同年6月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)申立人の使用に係る商標の著名性について
申立人は、石油・天然ガスが始めとするエネルギー関連製品を扱う、いわゆる国際石油資本(石油メジャー)と称される企業の一つである米国系多国籍企業であり、世界約180か国以上の系列会社においてビジネス活動を展開している。
申立人は、「CHEVRON」の欧文字からなる標章、「Chevron」の欧文字からなる標章、及び「Chevron」の欧文字と上下二段の山形紋の図形との結合からなる標章(別掲参照)等を使用して、石油関連製品等の製造・販売、及びエネルギー開発等の事業を世界的に展開しており、申立人の事業は、「CHEVRON」の日本語読みである「シェブロン」の名称で日本でも紹介されている(これらの「CHEVRON」、「Chevron」又は「シェブロン」の文字からなる標章等を、以下、併せて「CHEVRON商標」という。)。
CHEVRON商標は、本件商標の出願前より、既に申立人の上記商品・役務を表示するものとして、世界的にも、また、日本においても、著名となっていたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、CHEVRON商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、著名なものとなっていた。
他方、本件商標は、申立人の著名な商標である「CHEVRON」及び「シェブロン」をそのまま含むものであって、本件商標は、CHEVRON商標と同一又は類似である。
さらに、本件商標の指定商品には、申立人の主要事業の一つである石油・天然ガス等の精製事業やエネルギー事業と密接に関連する商品が含まれているものである。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人と商標権者とが経済的又は組織的に何らかの関係があると需要者が誤認し、申立人業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
商標権者は、同社のウェブサイトによると、家電や電鋳応用品、電器事業等を行う株式会社であり(甲第18号証)、CHEVRON商標が申立人の商標として著名であることは、当然に熟知していたものであり、本件商標をその指定商品に使用した場合に前述のような需要者による誤認の可能性も当然認識していたものである。にもかかわらず、商標権者がCHEVRON商標と同一又は類似の本件商標について登録出願したのは、本件商標をその指定商品に使用し、それらの商品が申立人と何らかの関連性があると需要者に誤認させることで、商標権者の事業に需要者の目を(一時的にでも)向けさせ、それによって顧客獲得等の経済的な利益を得ようとする等、CHEVRON商標の著名性に便乗してこれを不正に利用しようとする意図があったことは明らかである。
したがって、商標権者は不正の目的をもって本件商標を使用する意図で、本件商標について登録出願したものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成22年12月24日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人の概要について
申立人は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンラモンに本社を置く石油関連企業である。そして、石油を始めとするエネルギー関連製品を扱う民間企業であり、現在世界の石油関連企業の中でも特に巨大な規模を持つ国際石油資本、いわゆるスーパーメジャーと総称される6社のうちの一社である。同社は、世界180ヶ国以上の国でビジネス展開している多国籍企業である。(フリー百科事典「ウィキペディア〔Wikipedia〕」)
申立人は、1879年、米国サンフランシスコにおいて、「パシフィック・コースト・オイル・カンパニー」の名称で設立、1900年には、スタンダード・オイル・カンパニーに買収されたが、1911年、同社の分割によって「スタンダード・オイル・カンパニー(カリフォルニア)」として独立し、1926年には、「スタンダード・オイル・カンパニー・オブ・カリフォルニア」(通称ソーカル)となった。また、申立人は、1936年にザ・テキサス・カンパニー(後のテキサコ)と合弁でカルテックスを設立した。その後、申立人は、1984年、ガルフ・コーポレーションを買収し、その際に名称を「シェブロン・コーポレーション」へと変更した。そして、申立人は、2001年にテキサコと合併して「シェブロンテキサコ・コーポレーション」となったが、2005年に再び「シェブロン・コーポレーション」へと名称を変更している。(甲第1号証の2、甲第4号証)
申立人の2006年の売上高は約2000億ドル、従業員は約6万3000人、純利益は約170億ドル、保有する石油・天然ガスの確認可採埋蔵量は約120億バレル(石油換算)である(甲第4号証)。そして、申立人の2008年度の会計報告(甲第1号証の1)によれば、2008年の売上高及び営業収益は、合計2649億5800万ドル、当期純利益は239億3100万ドル、期末総資産は、227億7500万ドルに達している。また、フォーチュン社が2009年に発表した、収益ベースで集計された世界のトップ500企業ランキングにおいては、申立人は、全世界では5位(甲第2号証の1)、米国企業に限定した場合は3位(甲第2号証の2)、石油産業に限定した場合は4位(甲第2号証の3)に位置している。
日本においても、申立人の企業グループに属するシェブロン・オロナイト・カンパニー・LLCが出資するシェブロンジャパン株式会社が、潤滑油・燃料油等の製造・販売事業を行っている(甲第5号証ないし甲第7号証)。
イ 「Chevron」及び「シェブロン」に係る標章の使用について
(ア)申立人は、1999年以降に米国で頒布した各種製品(ホワイトオイル、潤滑油、ガソリン、航空燃料等)やサービス、協賛イベントに関する広告(甲第8号証)には、「Chevron」の欧文字からなる標章や、この文字と上下二段の山形紋の図形との結合からなる標章(別掲参照)が使用されている。
(イ)申立人の「シェブロン」の名称とその事業活動は、日本において、新聞や経済誌等で繰り返し取り上げられて報道されている(甲第11号証ないし甲第17号証)。
(2)上記(1)の認定事実によれば、申立人は、「Chevron」の欧文字からなる標章及び「Chevron」の欧文字と上下二段の山形紋の図形との結合からなる標章を使用して、石油関連製品等の製造・販売及びエネルギー開発等の事業を世界的に展開し、申立人の事業は、「Chevron」の日本語読みである「シェブロン」の名称で日本でも頻繁に紹介されており、「シェブロン」の名称(以下「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には、既に申立人の上記商品・役務を表示するものとして、世界的にも、また、日本においても、取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。そして、その状態は、登録査定時においても継続していたものといえる。
(3)そこで、本件商標と引用商標とについてみるに、本件商標は、「シェブロン」の片仮名と「CHEVRON」の欧文字よりなるものであるところ、これらに相応して「シェブロン」の称呼を生ずるものであり、引用商標から「シェブロン」の称呼が生ずること明らかであるから、本件商標と引用商標とは、称呼を共通にする極めて近似した類似性を有する商標である。
また、「CHEVRON(シェブロン)」は、欧紋章学上基本的な紋章の一つを表す語であり、既成語であるものの、我が国においては広く一般に使用されている語でもないことからすれば、引用商標の「シェブロン」もある程度独創的な商標であるといい得るものである。
さらに、申立人又はその関連会社は、石油を始めとするエネルギー関連製品を扱う企業であり、石油製品の加工業務や販売及び輸送、ガソリンスタンドの経営、化学薬品の製造販売等を行っており、申立人の事業展開からみて、本件商標に係る指定商品は、申立人又はその関連会社が多角経営の一端として、進出する可能性がないとまではいえない商品である。そして、本件商標の指定商品のうち、「乾燥装置」は、化学処理用の乾燥装置を指すところ、これは申立人の事業の一つである石油・天然ガス等の精製事業と商品の用途・目的や取引者・需要者などが共通するものであり、また、「美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),家庭用電熱用品類,加熱器,家庭用電気美顔器,」は、いずれも電気やガスを使用するものであることから、商品・役務の取引者及び需要者を共通にするものである。そうすると、本件商標の指定商品は、引用商標に係る商品又は役務との間にある程度の関連性を有するものであり、また、取引者及び需要者も共通する部分があるといえるものである。
(4)かかる事情の下において、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、申立人が石油関連製品の製造・販売及びエネルギー開発の事業等に使用して、その業務に係る商品又は役務を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されている引用商標を連想、想起するものであり、本件商標は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
本件商標について、前記3の取消理由を通知し、相当な期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 <別掲>
理由中、2(1)及び3(1)イ(ア)において参照とする標章

(色彩は原本参照)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

異議決定日 2011-04-13 
出願番号 商願2009-1905(T2009-1905) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X11)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 斎浅野 真由美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2009-06-12 
登録番号 商標登録第5238007号(T5238007) 
権利者 九州日立マクセル株式会社
商標の称呼 シェブロン、チェブロン 
代理人 窪田 英一郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ