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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) X21 |
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管理番号 | 1238507 |
異議申立番号 | 異議2010-900219 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-07-27 |
確定日 | 2011-05-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5320003号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5320003号商標の指定商品中、「水筒,魔法瓶」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5320003号商標(以下「本件商標」という。)は、「マイボトル」の片仮名を標準文字で書してなり、平成21年8月11日に登録出願、同22年3月10日に登録査定、第21類「ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。),ガラス製栓,ガラス製ふた,なべ類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具」を指定商品として、平成22年4月30日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由(要旨) 登録異議申立人は、次のとおり申立の理由を述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第15号証を提出した。 <申立の理由> 本件商標は、「マイボトル」の片仮名文字を普通に書してなり、指定商品中、「水筒、魔法瓶」に使用しても商品の品質(用途)を表示するにすぎず、自他商品の識別標識をしての機能を果たし得ない。また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。 登録異議に係る指定商品については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきである。 3 当審における取消理由 当審において、商標権者に対して平成23年1月24日付けで通知した取消理由は、別掲のとおりである。 4 商標権者の意見 本件商標について、前記3の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。 5 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 商標法第3条第1項第3号該当性について 本件登録第5320003号商標(以下「本件商標」という。)は、「マイボトル」の片仮名文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「私の,僕の」等を意味する英語「my」と、「びん」等を意味する英語「bottle」(プログレッシブ英和中辞典 小学館発行)の読みを、「マイボトル」と一連に表したものと、容易に理解、認識させるものである。 そして、登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、本件商標「マイボトル」の文字について、以下のように一般的に使用されている事実が認められる。 (1)甲第2号証は、象印マホービン株式会社が平成18年7月に作成した「象印総合カタログ 2006 No.83」であり、ステンレスクールボトル及びステンレスマグボトルについて、その39頁には「保冷専用 ダイナミックにのどとカラダを潤すマイボトル。」、「地球にやさしいマイ・ボトル」と記載され、40頁には「マイボトルでどこでもカフェ/いつものお気に入りや自家製の飲み物を詰めた『マイボトル』で出かけると、いろいろな場所が私カフェに早がわり。使い捨てじゃないから、ちょっぴり環境へのやさしさも発揮できて、いい気分。さ、今度のお出かけから『マイボトル』を始めましょう。」、「こんな時、こんなところで、マイボトル。/ペットボトルで冷たい飲み物を買ったら、中身をマイボトルに移しましょう。・・・」等と記載して商品が掲載されている。 (2)甲第3号証は、同じく象印マホービン株式会社が平成19年3月に作成した「象印総合カタログ 2007 No.87」であり、ステンレスクールボトルについて、39頁には「地球にやさしいマイ・ボトル」と記載され、40頁には「こんな時、こんなところで、マイボトル/オリジナルドリンクを詰めた『マイボトル』で出かけると、いろいろな場所が私カフェに早がわり。使い捨てじゃないから、ちょっぴり環境へのやさしさも発揮できて、いい気分。さ、今度のお出かけから『マイボトル』を始めましょう。」、「マイボトルを持とう/お気に入りの飲み物が、おいしい温度でそばにある。自分だけのボトルでそんな素敵な生活楽しみませんか?」等と記載して商品が掲載されている。 (3)甲第4号証は、同じく象印マホービン株式会社が平成20年8月に作成した「象印総合カタログ 2008 No.93」であり、ステンレスボトル・その他について、43頁及び44頁には「マイランチ、マイボトルは毎日私のパートナー」、「ディーマグスタジオであなただけのマイボトルができる!/柄が自由に変えられる!」等と記載して商品が掲載されている。 (4)甲第5号証は、同じく象印マホービン株式会社が平成21年5月に作成した「象印総合カタログ 2009 No.96」であり、ステンレスボトル・その他について、39頁には「毎日使いたい、お気に入りマイボトル。」、「ディーマグスタジオであなただけのマイボトルができる!」、40頁には「マイボトルを持とう!!/自分だけのボトルで素敵な生活を楽しもう!」等と記載して商品が掲載されている。 (5)甲第8号証は、スイスSIGG社日本代理店の株式会社スター商事のホームページ抜粋であり、その1枚目「SIGGライフ」には「マイボトルで乾いた喉を潤す。・・・自分で飲みものを詰めたマイボトルを持って出かけませんか?SIGGは地球環境の保護と人々の快適な暮らしのために『マイボトルを持とう!』を推進しています。」、「マイボトルと暮らそう!/SIGG社の調査によるとSIGGボトルの平均使用年数は7年。毎日ペットボトル飲料を買っていた人がマイボトルに切り替えた場合、2500本以上のペットボトルの削減とお金の節約に。」、その4枚目「SIGGについて/日本でのSIGGのあゆみ」には、「2003年(平成15年)『マイボトルを持とう!』でエコボトル事業を本格スタート。・・・2009年(平成21年)「アースデイ東京2009に出展。アースデイ給水所POWERD BY SIGGを設置して、マイボトルをお持ちの皆さんにお水のサービスをしました。」との記載がある。 (6)甲第9号証は、象印マホービン株式会社のホームページ抜粋であり、「マイボトルで どこでもカフェ news 2008年」のサイトには、「12月1日 エコトレイン発車」として「神戸松蔭高校にて環境保全活動を行っていたOG3名が『お気に入りのマイボトルで温かい飲み物を飲んだり・・・生活にウォームビズを取り入れ、室温20°C設定にご協力ください』と・・・応援メッセージを送りました。これを皮切りに、神戸松蔭高校では・・・エコ活動を啓蒙するイベントでのマイボトルのPRや給茶スポットの設置も予定しています。」、「9月23日 大阪SOUNDS GREEN 2008」として「9月23日、大阪野外音楽堂で開催された音楽イベント・・・来場者にマイボトルを持参してもらうようになってから、今年で3年目。もうすっかり定着しました。・・・」、さらに、「7月19日 石見銀山 給茶スポット開設」として「観光客の増加に伴うゴミの問題を解決するためにも、マイボトルと給茶スポットの広がりが今後ますます重要になってきそうです。」、「7月11日 にほんばし島根館PRイベント」として「マイボトルの良さと、給茶スポット活動、石見銀山が取り組んでいる環境活動について紹介しました。」、「7月28日 今年も『マイボトルデザイン展』を開催」及び「2006年4月からスタートしたキャンペーン“マイボトルで『どこでもカフェ』”、今年で3年目の活動に入ります。」との記載がある。 (7)甲第10号証は、スターバックスコーヒー株式会社のホームページ抜粋であり、2009年に掲載された「埼玉県『みんなでマイボトル運動』に協力」のサイトには、「気軽に取り組める環境負荷低減の取り組みとして、スターバックスではリユースの推進を進めています。とりわけ、さいたま新都心店の従業員(パートナー)が中心となり、2008年秋から地元埼玉県の『みんなでマイボトル運動』」に参加し、リユース推進に取り組んでいます。」との記載がある。 (8)甲第12号証は、平成21年1月1日付け「生活産業新聞」であり、2009年迎春年頭所感には、ステンレス製まほうびん協議会菊池嘉聡会長が「エコ商品・マイボトル」と題して「昨年は、省エネやエコブームなどのニーズを反映した商品として『マイボトル』というキーワードを通じて大きく取り上げられ、お陰様で携帯用まほうびんや保温弁当箱の出荷数量は大幅に増加いたしました。」、象印マホービン市川典男社長が「『暮らしを創る』を理念に」と題して「地球にやさしい商品として『マイボトル』の普及を推進し、『給茶スポット』を拡大の一環として、世界遺産『石見銀山』にも開設するなど、着実に成果を上げております。」との記載がある。 (9)甲第13号証は、平成21年2月21日付け「生活産業新聞」であり、6頁には、「特集 マイ○○ 三種のエコ神器+α ブームで終わらせない/マイバッグやマイボトル、マイ箸は認知度も普及率も高まり『エコ時代の三種の神器』と言える存在になった。」、「どこでもカフェタイム『エコで割安』OLが支持/マイボトル/環境保護や節約に貢献するマイボトル。エコブームにのって一昨年ほど前から急速に普及し始めた。2008年も前年比200%の売り上げを記録したメーカーもあるほどだ。・・・また、携帯品であることから、軽量設計、コンパクトデザインは欠かせない要素。樹脂製でスリム型のマイボトルも販売されている。」との記載がある。 また、当審において、職権により証拠調べをした結果、「マイボトル」の文字について、以下の事実が認められる。 (1)象印マホービン株式会社が2006(平成18)年4月3日にウェブサイトに掲載したニュースリリース「『マイボトル』キャンペーンを展開」によれば、同社は、子供たちがステンレスボトル(水筒)を持ち歩いているように、大人もステンレスボトルを携帯することにより、環境への貢献と、健康的なライフスタイルを提案する、「マイボトル」キャンペーンを展開する旨公表し、その概要は、(i)ボトルを持っていけば給茶してもらえる給茶スポット“マイボトルで「どこでもカフェ」”を展開、給茶した方にオリジナルステッカーを配布、(ii)Webサイト“マイボトルで「どこでもカフェ」”の開設、(iii)「FUNKY MARKET」に協賛、ブース出展には、「マイボトルで『どこでもカフェ』”ブース出展」、(iv)フリーペーパー、ラジオ番組にての告知、(v)小冊子「マイボトルでどこでもカフェ」を編集製作し、当社の取引先流通業者に配布、等を内容とする記載がある(http://www.zojirushi.co.jp/corp/news/2006/0643/index.html)。 (2)東京都環境局が平成21年9月25日ウェブサイトに掲載した「『ごみをもっと減らそう!』キャンペーンの実施について」によれば、関東の八都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市)首脳会議廃棄物問題検討委員会では、ごみの発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)を進め、循環型社会を構築するために、3R普及促進事業を実施していること、また、容器包装を製造・利用する事業者が行う容器包装の減量化等の自主的な取組を支援するために、事業者の取り組みをウェブサイトでお知らせする「八都県市容器包装ダイエット宣言」を実施していること及び平成21年度は、3R推進月間である10月にキャンペーンを実施する、旨の記載がある(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/09/20j9p200.htm)。 (3)「【注目!】小林製薬 水筒用発泡洗浄剤『ステンレス水筒洗浄中』」 2009.09.15 FujiSankei Business i. 13頁 「通勤や通学に『マイボトル』として、自分専用の水筒を持ち歩く人が増えている。この背景にはエコ意識や節約志向の高まりがあるようだ。若い女性がバッグやリュックから、さりげなく水筒を出すのは、なかなかオシャレでもある。」との記載。 (4)「『マイボトル』意識調査、女性は『茶』が圧倒的人気 アイシェア調べ」 2009.07.27 日本食糧新聞 「自分専用の箸(はし)やボトルを持ち歩く人が増えている。職場にマイボトルを持ち込む男性『水筒男子』が話題となることも多い。消費者は、こうしたマイボトル利用についてどう感じているのか。男女590人に意識調査を行った。自分専用のボトルや水筒を持ち歩くことが『ある』のは37.6%。男女別では、男性27.9%に対し、女性は50.2%と『水筒女子』率の高さが目立つ。年代が上がるほどマイボトルの所持率は上がり、20代の30.1%に対し、40代では45.6%を示した。」との記載。 (5)「京都市庁舎にエコ・コンビニが開店 マイボトルに飲料 /京都府」 2009.06.24 大阪地方版/京都 24頁 「エコ・コンビニは、環境NPO団体がつくる『京都2Rシステムプロジェクト』が企画。ローソンと、コカ・コーラウエストが協力し、3カ月間の限定で出店した。客はマイボトルを店員に渡し、専用の機械でジュースやお茶を注いでもらい、料金を支払う仕組みになっている。」との記載。 上記の事実によれば、「マイボトル」の文字は、遅くとも本件商標の登録査定がなされた当時、「自分専用のボトル」程の意味合いを理解、認識させるものとして多くの企業によって使用されていたということができるから、「マイボトル」の文字からなる本件商標を、その指定商品中「水筒,魔法瓶」について使用しても、商品の用途、品質を表示する標章のみからなる商標と認められる。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第21類「水筒,魔法瓶」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。 |
異議決定日 | 2011-03-30 |
出願番号 | 商願2009-61226(T2009-61226) |
審決分類 |
T
1
652・
13-
Z
(X21)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 野口美代子 |
登録日 | 2010-04-30 |
登録番号 | 商標登録第5320003号(T5320003) |
権利者 | タイガー魔法瓶株式会社 |
商標の称呼 | マイボトル、マイ |
代理人 | 藤田 典彦 |
代理人 | 藤田 邦彦 |