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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X0140 審判 全部申立て 登録を維持 X0140 審判 全部申立て 登録を維持 X0140 |
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管理番号 | 1238486 |
異議申立番号 | 異議2010-900264 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-08-26 |
確定日 | 2011-05-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5325691号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5325691号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5325691号商標(以下「本件商標」という。)は、「オルガノサイエンス」の片仮名を標準文字で表してなり、平成20年4月28日に登録出願され、第1類「芳香族有機化合物,脂肪族有機化合物,有機ハロゲン化物,アルコール類,フェノール類,エーテル類,アルデヒド類及びケトン類,有機酸及びその塩類,エステル類,窒素化合物,異節環状化合物,有機リン化合物,有機金属化合物,化学剤,原料プラスチック,有機半導体化合物,導電性有機化合物」及び第40類「有機化合物・化学品・原料プラスチックの合成及び加工処理」を指定商品及び指定役務として、同22年4月27日に登録審決、同年5月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標7件は、以下のとおりであり、その商標権者はいずれも申立人であって、また、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1490119号商標(以下「引用商標1」という。) 商標:「オルガノ」 出願日:昭和51年4月5日 設定登録日:昭和56年11月27日 書換登録日:平成14年10月16日 指定商品:第1類「界面活性剤,化学剤」 (2)登録第1490120号商標(以下「引用商標2」という。) 商標:「ORGANO」 出願日:昭和51年4月5日 設定登録日:昭和56年11月27日 書換登録日:平成14年10月9日 指定商品:第1類「界面活性剤,化学剤」 (3)登録第2723916号商標(以下「引用商標3」という。) 商標:別掲1のとおりの構成 出願日:平成4年1月20日 設定登録日:平成10年1月23日 書換登録日:平成21年4月1日 指定商品:第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニヤクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」 (4)登録第2724150号商標(以下「引用商標4」という。) 商標:別掲2のとおりの構成 出願日:平成4年1月20日 設定登録日:平成10年8月28日 書換登録日:平成21年10月28日 指定商品:第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニヤクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」 (5)登録第4669776号商標(以下「引用商標5」という。) 商標:別掲3のとおりの構成 出願日:平成14年8月27日 設定登録日:平成15年5月9日 指定商品及び指定役務:第29類、第30類及び「ゴムの加工,プラスチックの加工」を含む第40類に属する商標登録原簿に記載の商品並びに役務 (6)登録第4669777号商標(以下「引用商標6」という。) 商標:別掲4のとおりの構成 出願日:平成14年8月27日 設定登録日:平成15年5月9日 指定商品及び指定役務:第29類、第30類及び「ゴムの加工,プラスチックの加工」を含む第40類に属する商標登録原簿に記載の商品並びに役務 (7)登録第4678196号商標(以下「引用商標7」という。) 商標:「オルガノ/ORGANO」 出願日:平成14年8月26日 設定登録日:平成15年5月30日 指定商品及び指定役務:第29類、第30類及び「ゴムの加工,プラスチックの加工」を含む第40類に属する商標登録原簿に記載の商品並びに役務 (以下、引用商標1ないし7を一括して「引用商標」という。) 3 申立ての理由 申立人は、本件商標が、以下の理由に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると主張している。 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について 引用商標は、その文字に照応して、「オルガノ」の称呼が生じるものである。 一方、本件商標は、「オルガノサイエンス」の文字からなるところ、その構成中の「サイエンス」の文字部分は「科学」等の意を有する英語「science」の表音であり、本件商標の指定商品・役務との関係では商品の品質や役務の質を表し、識別標識としての機能が極めて乏しい語であるため、本件商標の要部は「オルガノ」の文字部分であり、該文字部分に照応した「オルガノ」の称呼が生じるものである。 よって、本件商標と引用商標とは「オルガノ」の称呼を共通にする類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 (2)商標法第4条第1項第10号及び第15号の該当性について ア 申立人は、昭和21年(1946年)に株式会社日本オルガノ商会を発足し、1951年(昭和26年)には日本最初の大型純水装置を完成させた。また、1961年(昭和36年)に東証2部に上場し、1966年(昭和41年)にオルガノ株式会社に商号を変更し、1985年(昭和60年)に東証1部に指定替えされた。 イ 申立人は、主として水処理装置事業と薬品事業を行っている総合水処理エンジニアリング会社であり、数多くの子会社又は関連会社が存在しており、その商号中に「オルガノ」の文字を有している。 ウ 申立人の第65期(平成21年4月1日ないし平成22年3月31日)の水処理装置事業の受注高は、45,611百万円、売上高40,338百万円、営業利益1,046百万円であり、また、薬品事業の受注高は13,165百万円、売上高13,176百万円、営業利益799百万円である。 エ 本件商標の指定商品・指定役務は申立人の事業内容と密接な関連性を有する商品・役務であるから、その構成中に「オルガノ」の文字を有する本件商標をその指定商品・指定役務に使用するときは、需要者・取引者は、申立人あるいは申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品・役務であるかの如く誤って認識し、以て、商品・役務の出所について混同を生ずるものであるといわざる得ないから、係る事態は商標「オルガノ」等に化体した信用・顧客吸引力を容易に損ない、申立人の営業上の利益が害されるばかりでなく、需要者・取引者に商品・役務の誤認混同を与える虞れがある。 オ まとめ したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号に該当するものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、「オルガノサイエンス」の片仮名を標準文字で表した構成よりなるところ、その構成中の「オルガノ」の文字部分は「器官、有機」の意味を有する英語「organo」の発音を片仮名表記したものであり、「サイエンス」の文字部分は「科学」の意味を有する英語「science」の発音の片仮名表記及び前記意味を有する外来語であるが、これらの語が我が国において一連の熟語をなすものとしては知られておらず、また特定の意味を認識できないものであるから、意味を有しない造語というべきものであり、また、各文字は標準文字でまとまりよく表され、これより生ずる称呼も無理なく一気一連に称呼しうるものであるから、「オルガノサイエンス」のみの称呼を生じるというのが相当であり、特定の観念を生じないものである。 この点について、申立人は、本件商標構成中の「サイエンス」の文字部分は本件商標の指定商品・指定役務との関係では商品の品質や役務の質を表し、本件商標の指定商品・指定役務を取り扱う当業界においては、「サイエンス」の語は業種、業態を表す用語であるから、自他商品・役務の識別標識としての機能が極めて乏しい語であるため、その構成中の「オルガノ」の文字部分から「オルガノ」の称呼を生ずる旨主張する。 しかしながら、本件商標に係る指定商品及び指定役務は化学品に関する商品又は役務であり、当業界において、業種・業態又は商品の品質若しくは役務の質を表す語として、「ケミカル」又は「化学」の語が広く使用されているとしても、「サイエンス」の語が業種・業態又は商品の品質若しくは役務の質を表す語として広く使用されている事実は甲各号証によっては認められないから、この点に関する申立人の主張は採用できない。 また、申立人は、「オルガノ」「ORGANO」の各文字は申立人の商号の略称並びに水処理装置事業及び薬品事業に使用する商標として本件商標の出願時にはすでに周知著名に至っていたものであるから、本件商標は、その構成中の「オルガノ」の文字部分から「オルガノ」の称呼を生ずる旨主張する。 しかしながら、甲各号証によれば、申立人使用する「オルガノ」「ORGANO」の標章は、主たる水処理装置事業については、申立人の商号の略称及び商標として遅くとも本件商標の出願当時までには周知性を獲得していたものと認められるとしても、本件商標に係る指定商品及び指定役務の取引分野においては、申立人は薬品事業を行っているが、未だその事業規模が大きいとはいえず、「オルガノ」「ORGANO」の各語が「器官、有機」の意味を有する既成語と認められるもので独創性があるとはいえないものであり、未だ周知著名性を獲得しているとまでは認められないものであるから、この点に関する申立人の主張は採用できない。 他方、引用商標は、前記2及び別掲1ないし4のとおりの構成からなるところ、その構成中には、「オルガノ」の片仮名又は「ORGANO」の欧文字を有するものであるから、いずれも「オルガノ」の称呼を生じ、また、これらの語が「器官、有機」の意味を有する既成語であるとしても、我が国においてさほど知られているということができないものであるから、意味を有しない造語というべきものであり、特定の観念を生じないものである。 そこで、本件商標の外観と引用商標の外観とを比較するに、両者は「サイエンス」の文字の有無、片仮名と欧文字又は文字と図形など構成上の顕著な差異を有するから、外観上互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。 同じく、本件商標より生ずる「オルガノサイエンス」の称呼と引用商標より生ずる「オルガノ」の称呼とを比較するに、両者は「サイエンス」の構成音の顕著な差異を有するから、称呼上互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。 さらに、本件商標と引用商標とは、共に特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することはできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 (2)商標法第4条第1項第10号の該当性について 本件商標と引用商標とは、上述したとおり、非類似の商標であり、本件商標の一部を構成する「オルガノ」が水処理装置事業などに周知性を獲得していたとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。 (3)商標法第4条第1項第15号の該当性について 本件商標と引用商標とは、上述したとおり、別異の商標というべきものであるから、引用商標が水処理装置事業などについて周知性を獲得していたとしても、商品又は役務の出所の混同を生じさせるおそれがないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。 (4)結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、第11号及び第15号に違反してされたと認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 引用商標3(登録第2723916号商標) 2 引用商標4(登録第2724150号商標) 3 引用商標5(登録第4669776号商標) 4 引用商標6(登録第4669777号商標) |
異議決定日 | 2011-04-27 |
出願番号 | 商願2008-33155(T2008-33155) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(X0140)
T 1 651・ 26- Y (X0140) T 1 651・ 271- Y (X0140) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人、石戸 円、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 小川 きみえ |
登録日 | 2010-05-28 |
登録番号 | 商標登録第5325691号(T5325691) |
権利者 | オルガノサイエンス株式会社 |
商標の称呼 | オルガノサイエンス、オルガノ |
代理人 | 山本 健男 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 水野 勝文 |