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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) X0709123739 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) X0709123739 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) X0709123739 |
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管理番号 | 1238480 |
異議申立番号 | 異議2010-900076 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-03-24 |
確定日 | 2011-05-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5291087号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5291087号商標の指定商品及び指定役務中、第7類「荷役機械器具」及び第12類「自動車並びにその部品及び附属品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5291087号商標(以下「本件商標」という。)は、「テレハンドラー」の文字を横書きしてなり、平成20年10月22日に登録出願、第7類「土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,農業用機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),修繕用機械器具,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置」、第9類「保安用ヘルメット,救命用具,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,アイマスク,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」、第28類「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,荷役機械器具の修理又は保守,土木機械器具の修理又は保守,漁業用機械器具の修理又は保守,農業用機械器具の修理又は保守」、第39類「車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物の積卸し,引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,荷役機械器具の貸与」及び第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),小型自動車競走の企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、同21年12月7日に登録査定され、同年12月25日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 1 商標法第3条第1項第1号及び商標法第4条第1項第16号について 「テレハンドラー(telehandler)」とは、1本の伸縮式ブームを中央に備えた機械の普通名称であって、土木、荷役、漁業、農業、石材加工等の分野で使用される機械の一である。本件商標は「テレハンドラー」の片仮名文字を普通に表示したにすぎないから、本件商標を指定商品中、第7類「土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,農業用機械器具,石材加工機械器具」の中「テレハンドラー(telehandler)」に使用しても、商品の普通名称を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。 また、「テレハンドラー(telehandler)」は、4輪を有する乗物であり、商標法上「自動車」の概念に属するから、本件商標を第12類「自動車」の中「テレハンドラー(telehandler)」に使用しても商品の普通名称を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。 本件商標を、上記の各指定商品中「テレハンドラー(telehandler)」以外の商品について使用すると、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。 2 商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号について 「テレハンドラー(telehandler)」は、「機械」であるから、本願商標を指定商品中、第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)」,「修繕用機械器具」について使用するときは、商品の品質又は用途を普通に表示するにすぎない。 また、「テレハンドラー(telehandler)」は、4輪を有する乗物であり、土木、荷役、漁業、農業、石材加工等の産業分野で物の揚げ下ろしや移動に際して技能を要する。 したがって、本件商標を、その指定商品中、第9類「乗物運転技能訓練用シミュレーター」の中「テレハンドラー(telehandler)」の「運転技能訓練用シミュレーター」に使用しても、商品の品質又は用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。 また、本件商標をその指定役務中、第37類「建設工事」,「建設工事に関する助言」,「荷役機械器具の修理又は保守」,「土木機械器具の修理又は保守」,「漁業用機械器具の修理又は保守」,「農業用機械器具の修理又は保守」並びに第39類「貨物の積卸し」,「荷役機械器具の貸与」の中、「テレハンドラー(telehandler)」に関する役務について使用するときには、役務の質又は役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。 また、本件商標を、上記の各指定商品中、「テレハンドラー(telehandler)」以外の商品について、又は、上記各役務中「テレハンドラー(telehandler)」に関わらない役務について使用すると、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある。 3 商標法第4条第1項16号について 「テレハンドラー(telehandler)」は、荷役の用に供される機械である。したがって、本件商標をその指定商品中、第12類「荷役用策道,カーダンバー,カープッシャー,カープラー,牽引車」について使用した場合は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。 また、「テレハンドラー(telehandler)」は、4輪を有する自動車である。したがって、本件商標をその指定役務中、第39類「車両による輸送」について使用した場合は、役務の質の誤認を生ずるおそれがある。 第3 取消理由通知 当審は、平成22年12月27日付けで商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する期間を与え、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定に基づき取り消すべきものと認める旨、要旨次のとおり通知した。 1 登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)甲第1号証は、「酪農機械最前線」(酪農総合研究所 2002年(平成14年)1月30日発行)であるところ、77頁「(2)テレハンドラ」の項に、「テレハンドラの特徴は、直線的に伸縮するテレスコピックアームである。このアームは1本のコントロールレバーで操作するので、正確な操作が容易にできる…作業速度は一般道路の走行も想定されており最大で約34.5km/時となっている。…」の記載とともに「テレハンドラ」と表記されている大きなアームと四輪を装備した機械の写真が掲載されている。 (2)甲第2号証は、「写真でたどる/建設機械200年」(社団法人日本建設機械化協会 2008年(平成20年)6月25日発行)であるところ、98頁の「■新しい建設機械の動き」の見出しのもとに、「この章では最近の建設機械の流れを述べ、将来の動向を予測する。写真15-1の英JCB社537は、最近欧米で増えているテレハンドラー(テレスコピック・ハンドラー)という高い場所に荷物を上げる新しい建設機械であり、都市化が進むと一層普及すると予想される。…」と記載されている。 (3)甲第3号証の1ないし3は、特許第4038106号、特許第4386256号、特許第4395286号の特許公報であるところ、明細書中に次のような記載がある。 ア 特許第4038106号の「【0009】【発明の実施の形態】」の項に、「図1を参照すると、図示されたテレハンドラ(telehandler)のような産業用リフトトラック10は運転室14付きのキャリッジ12を有する。キャリッジ12は地面19を走行する一対の後輪16を駆動するためのエンジンまたは電池駆動モーター(図示せず)を支持している。…」と記載されている(甲第3号証の1)。 イ 特許第4386256号の「【請求項1】【0045】」の項に、「なお、以上の実施形態は本発明をホイールローダに適用した場合のものであるが、本発明はホイールショベル、テレハンドラー等他のホイール式建設機械にも同様に適用し得るものである。」と記載されている(甲第3号証の2)。 ウ 特許第4395286号の「【0008】【発明の実施の形態】」の項に、「…また、他のタイプの作業具、例えば、ブレード、テレハンドラー、グラップルなども使用できる。…」と記載されている(甲第3号証の3)。 (4)甲第4号証の1ないし15は、公開特許公報及び公表特許公報であるところ、明細書中に次のような記載がある。 ア 甲第4号証の1「【0002】」の項に、「… 作業機械は、土壌、建築材料および/または屑のような重量物を移動するために一般に使用されている。例えば、ホイールローダー、掘削機、ブルドーザ、バックホウ、テレハンドラ、およびトラックローダであり得るこれらの作業機械は、典型的に、種々の移動使命を実行するように設計された異なる種類の作業器具を含む。…」と記載されており、同号証の「【0014】」の項には、「… 作業機械12は、例えば、ホイールローダ、エクスカベータ、ブルドーザ、トラックローダ、バックホウ、テレハンドラまたは掘削具であり得る。」と記載されている。 イ 甲第4号証の2「【0048】」の項に、「本発明が適用される作業用車両は、例えばホイール式クレーン、ホイール式ショベル、ホイールローダ、テレハンドラー等であり、…」と記載されている。 ウ 甲第4号証の3「【0011】」の項に、「…例示されたテレハンドラのような産業用リフトトラック10は運転席14を持つ台車12を有する。…」と記載されている。 エ 甲第4号証の4「【0001】」の項に、「本発明は、油圧ショベルやホイールローダなど建設機械、テレハンドラー等の作業機械などの作業車両のハイブリッド駆動システムに関する。」と記載されている。 オ 甲第4号証の5「【0002】」の項に、「…こうした機械の例には、多種多様なローダ(loader)、掘削機、テレハンドラ(tele-handler)およびエアリアルリフト(aerial lift)が含まれる。…」と記載されている。 カ 甲第4号証の6「【0001】」の項に、「本発明は、ホイールローダ、テレハンドラー等の積み込み作業車両や、ホイール式油圧ショベル、クローラ式油圧ショベル等の建設機械などの走行式作業機械の冷却ファン駆動装置に関する。」と記載されている。 キ 甲第4号証の7「【0085】」の項に、「…車体を備えた他の作業機械としては例えばホイール式ショベル、クレーン車両、ホイールローダ、ブルドーザ、テレハンドラー、地雷処理機等がある。…ホイールローダ、ブルドーザ、テレハンドラー等は旋回代を備えていないが…」と記載されている。 ク 甲第4号証の8「【0012】」の項に、「図2を参照すると、テレハンドラーブーム13の制御するための油圧システム30は流体をタンク33から引き出し…供給導管34と戻り導管40は且つブーム13に沿ってテレハンドラー10のトラクター12に配置されたポンプ及びタンク32及び33から伸びている。…」と記載されており、同号証の「【0031】」の項には、「【図1】図1は本発明を内蔵するテレハンドラーの側面図である。【図2】図2はブームを動かし、且つテレハンドラーのワークヘッドを傾斜させるための油圧システムの概略図である。…」と記載されている。 ケ 甲第4号証の9「【0085】」の項に、「なお、以上の実施の形態では、作業機としてホイルローダの変速装置の学習制御に本発明を適用したが、テレハンドラー等のその他の変速装置の学習制御にも、本発明は適用可能である。…」と記載されている。 コ 甲第4号証の10「【0076】」の項に、「…図14?図18は、本発明をテレハンドラーと呼ばれる産業車両の視界評価に適用した場合のものであり、…」と記載されており、同号証の「【0077】」の項には、「図14はテレハンドラーの車両モデルの概念を示す図である。図14において、テレハンドラーの車両モデル51は、…」と記載されており、同号証の「【0080】」の項には、「図15?図17は、視界解析用の画像を取得するときに画像取得ファイルに設定されるテレハンドラーの車両モデル…を示す図である。…」と記載されており、同号証の「【0092】」の項には、「なお、本発明は、油圧ショベル及びテレハンドラー以外の車両、例えば、ホイールローダ、クレーン、ダンプトラック、乗用車等、他の車両にも適用可能である。」と記載されている。 サ 甲第4号証の11「【0010】」の項に、「図2をさらに参照すると、テレハンドラー10はブーム20、アーム20及び負荷キャリア24の動きを制御する油圧システム30を有する。…」と記載されており、同号証の「【0022】」の項には、「【図1】図1は本発明を内蔵するテレハンドラーを示している。【図2】図2はテレハンドラーの油圧回路を示す概略図である。」と記載されている。 シ 甲第4号証の12「【0004】」の項に、「もし破裂したホースがテレハンドラーや掘削機のブームのような重負荷を運ぶ機械部品に接続されていると…」と記載されており、同号証の「【0010】」の項には、「本発明はテレハンドラーでの使用に関連して記載されているが、他の型の油圧動作型装置にも実施可能である。」と記載されている。 ス 甲第4号証の13「【0022】」の項に、「テレスコピックハンドラーは、『テレハンドラー』や『リフトトラック』とも称し、…前記の運搬作業のほか種々の作業を行う。…」と記載されている。 セ 甲第4号証の14「【0012】」の項に、「…しかし、本発明は、前記装置に限定されることなく、クレーン、コンクリートポンプ、テレハンドラー等、他の用途にも応用できる。…」と記載されている。 ソ 甲第4号証の15「【0002】」の項に、「作業機械は、土、建設資材、及び/又は瓦礫などの重量物を動かすために使用され得るとともに、例としては、ホイールローダー、掘削機、フロントショベル、ブルドーザ、バックホウ、及びテレハンドラーを挙げることができる。…」と記載されている。 (5)甲第5号証は、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」であるところ、「テレハンドラー」の項には、冒頭に「テレハンドラー(telehandler)、またはテレスコピック・ハンドラー(telescopic handler)とは、農業や産業分野で幅広く使われる荷役車両の一種である。」と記載され、概要、歴史、用途、安全性、関連項目、と各項目が設けられており、以下のように記載されている。 ア 「概要」の項には、「これは外観と機能においてフォークリフトと同様であり、移動式クレーンのような一本の伸縮性ブームを中央に備え、車両の前方や上方にブームを伸ばすことが出来る。ブームの先端にはバケットやパレットフォーク、堆肥グラップル、リフトテーブル等を取りつけることが出来る。最近のテレハンドラーは四輪操舵を備え、逆位相に操舵して小回りしたり、同位相でいわゆるカニ走りを行うことが出来る。」と記載されている。 イ 「歴史」の項には、「テレハンドラーの草分けとなったのは、イギリス南部サリー州…にあるMatbro社で、オフロードを走行する中折式林業用フォークリフトがテレハンドラーの元になっている。…」と記載されている。 ウ 「用途」の項には、「テレハンドラーの最も一般的なアタッチメントはパレットフォークであり、従来のフォークリフトでは届かない場所で荷役作業に使われる。…クレーンを使う作業方法よりもテレハンドラーを使ったほうが、より効果的な場合がある。」と記載されている。 エ 「安全性」の項には、「このテレハンドラーの利点には大きな制限があり、ブームを伸ばしたり荷を積んでいる時、後部にバランスウエイトを装備しているにもかかわらず、てこの作用で不安定になり易いことである。…」と記載されている。 オ 「関連項目」の項には、「・フォークリフト」と記載されている。 2 職権において調査したところ、以下の事実が認められる。 (1)「極東開発工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「【テレハンドラ】」の見出しのもと、「不整地現場での荷揚げ作業を効率よく安全に! 従来のクレーンによる荷揚げ作業から、フォークリフトのように安定して持ち上げる作業へ! 欧米における建築現場で大活躍のテレハンドラー販売を開始しました。」と記載されている(http://www.kyokuto.com/product/kensetu/jisou/jisou_09.shtml)。 (2)「日本ニューホーランド株式会社」のウェブサイトにおいて、「What’s New!!」の見出しのもと、「2008. 9.8 ▼ 商品情報/NEW HOLLAND テレハンドラー ニューモデルNEW HOLLAND テレハンドラーのご紹介。ニューモデルNEW HOLLAND テレハンドラー」の記載とともに商品の写真が掲載されている(http://www.nh-hft.co.jp/whatsnew/contents2008.html)。 (3)「中央労働災害防止協会」のウェブサイトにおいて、「表1 揚重規則が適用される設備」の「揚重設備」の欄に「テレハンドラー及びリフトトラック」と記載されている(http://www.jisha.or.jp/international/topics/200812_02.html)。 (4)「インベスト・イン・カナダ」のウェブサイトにおいて、「リナマー・コーポレーション(Linamar Corporation)は、事業の多様化が進んだ、世界的な高度エンジニアリング製品メーカーです。同社のパワートレイン・ドライブライン事業部は、世界の自動車市場向けの精密金属部品、モジュール、システムの共同設計・開発・製造の世界的リーダー、そして産業事業部は、革新的な移動式産業用機器の設計と製造の世界的リーダーで、その代表例は業界最高水準の高所作業車やテレハンドラーです。」と記載されている(http://investincanada.gc.ca/jpn/industry-sectors/automotive/canadian_leaders/linamar.aspx)。 3 以上の事実を総合すると、「テレハンドラー」は、外観と機能においてはフォークリフトとクレーンを合わせたような機械であり、また、用途としては従来のフォークリフトでは届かない高い場所への荷役作業に使われる車両機械といえるものであって、荷役機械器具及び荷役作業用車両を取り扱う業界において、「1本の伸縮式ブームを中央に備えた荷役作業用車両機械」等の意味合いをもって、普通に使用されているものである。 してみれば、本件商標を「荷役機械器具及び荷役作業用車両」に使用しても、単に前記意味合いを有する商品であること、すなわち、商品の品質、形状、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、かつ、本件商標を「1本の伸縮式ブームを中央に備えた荷役作業用車両機械」以外の「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 4 したがって、本件商標は、指定商品中、第7類「荷役機械器具」及び第12類「自動車並びにその部品及び附属品」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 第4 取消理由通知に対する商標権者の意見 商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対し、意見書を提出していない。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第1号について 本件商標は、「テレハンドラー」の文字を横書きしてなるところ、上記第3の取消理由に示すとおり、該文字は、「テレスコピック・ハンドラー」又は「リフトトラック」とも称されているものであるから、必ずしも普通名称とはいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に違反して登録されたものではない。 2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について (1)「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」について 本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当なものであって、本件商標の登録は、その理由に示すとおり、「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。 (2)「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」以外の指定商品及び指定役務について 本件商標は、上記第3の取消理由に示すとおり、「1本の伸縮式ブームを中央に備えた荷役作業用車両機械」等の意味合いをもって使用されているものであるから、「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」以外の指定商品及び指定役務について、商品の品質、形状、用途、役務の質又は提供に供する物を、直接的、具体的に表したものということができない。 そうとすれば、本件商標は、上記指定商品及び指定役務以外の指定商品及び指定役務について、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標ということができない。 してみれば、本件商標は、「荷役機械器具」及び「自動車並びにその部品及び附属品」以外の指定商品及び指定役務について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。 3 まとめ したがって、本件商標は、指定商品中、第7類「荷役機械器具」及び第12類「自動車並びにその部品及び附属品」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。 しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については、取り消すべき理由が認められないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-03-23 |
出願番号 | 商願2008-85550(T2008-85550) |
審決分類 |
T
1
651・
11-
ZC
(X0709123739)
T 1 651・ 13- ZC (X0709123739) T 1 651・ 272- ZC (X0709123739) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 吉田 静子 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2009-12-25 |
登録番号 | 商標登録第5291087号(T5291087) |
権利者 | 株式会社花菱グループ |
商標の称呼 | テレハンドラー |
代理人 | 藤田 隆 |
代理人 | 杉山 一夫 |
代理人 | 岩田 克子 |