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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y0928
審判 査定不服 外観類似 登録しない Y0928
審判 査定不服 観念類似 登録しない Y0928
管理番号 1238464 
審判番号 不服2010-2388 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-04 
確定日 2011-06-08 
事件の表示 商願2006-121153拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなり、第9類及び第28類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月28日に登録出願されたものである。
そして、指定商品については、当審における同22年4月9日付けの手続補正書により、第9類「業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機の筐体,業務用テレビゲーム機のプログラムを記憶させた電子回路その他の記憶媒体,業務用ゲーム機のプログラム,業務用テレビゲーム機の部品及び付属品,ダウンロード可能な業務用テレビゲーム機用プログラム及び同追加データ,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,ダウンロード可能な移動体電話用待ち受け画像・着信音用音楽・着信音用音声,電気通信機械器具(携帯電話用ストラップその他の電気通信機械器具の部品及び附属品を含む。),家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた読出し専用のカートリッジ式電子回路・同磁気テープ・同磁気カード・同磁気ディスク・同光ディスク・その他の記憶媒体,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム及び同追加データ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROMその他の記憶媒体,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラム及び同追加データ,レコード(録音済みコンパクトディスクを含む。),電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROMその他の記憶媒体,ダウンロード可能な音楽,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ダウンロード可能な画像,電子出版物,自動販売機,遊戯用メダル貸出機,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,電動式扉自動開閉装置,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,ロケット,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,メトロノーム,計算尺」及び第28類「スキーワックス,業務用ゲーム機(業務用テレビゲーム機を除く。),業務用ゲーム機の筐体(業務用テレビゲーム機用のものを除く。),業務用ゲーム機の部品・周辺装置及び附属品(業務用テレビゲーム機の部品・周辺装置及び附属品を除く。),業務用遊戯ロボット,その他の遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ(携帯用液晶画面ゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃの部品及び附属品・娯楽用ロボットおもちゃ・教育用ロボットおもちゃを含む。),人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,かるた,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具,ボードゲーム用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、それぞれ、現に有効に存続している。
(1)登録第4097446号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に表示するとおりの構成よりなり、平成6年12月26日登録出願、第16類「紙類,家庭用食品包装フィルム,型紙,遊戯用カード,文房具類,装飾塗工用ブラシ,文書細断機,郵便料金計器」を指定商品として、同9年12月26日に設定登録され、その後、同19年12月25日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4121345号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、平成8年9月5日登録出願、第25類「被服,履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年3月6日に設定登録され、その後、同20年3月18日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4216978号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、平成8年9月5日登録出願、第28類「おもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を指定商品として、同10年12月4日に設定登録され、その後、同20年12月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4370471号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、平成8年9月5日登録出願、第9類「電気通信機械器具,レコード」を指定商品として、同12年3月24日に設定登録され、その後、同22年4月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなるところ、近時、各種のレタリング文字が使用されている実情よりすれば、白く縁取りされ、ややデザイン化された黒字の「KISS」の欧文字を横書きしたものと容易に理解させるものであり、その構成文字に相応して、「キス、キッス」の称呼及び「接吻、口づけ」等(株式会社岩波書店 広辞苑 第六版)の観念が生ずるものである。
他方、引用商標1は、別掲(2)に、引用商標2ないし4は、別掲(3)に、それぞれ表示するとおり、上段には、唇をモチーフしたと思しき赤色(引用商標2ないし4は黒色)の図形内に白抜き文字で「Kiss」の欧文字を大きく顕著に表し、中段には、緑色(引用商標2ないし4は黒色)で「FM」の欧文字と、茶色(引用商標2ないし4は黒色)で「KOBE」(「O」の文字内には、錨と思しき図形を配している)の欧文字を、「FM KOBE」と一連に表し、下段には、紫色(引用商標2ないし4は黒色)で太く「89.9」の数字を表した、上下三段からなる図形と文字と数字との結合商標であるところ、その構成部分は、段を異にするとともに、図形と欧文字と数字とから構成されており、欧文字部分についても、文字の大きさに差異を有し、かつ、書体、色彩を異にし、視覚的に分離して看取され得るばかりでなく、その構成全体をもって特定の称呼、観念を生ずる等、これらが常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとする特段の事情は見出し得ないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章である数字の「89.9」の部分を除き、上段の図形と「Kiss」の欧文字との結合部分と中段の「FM KOBE」の欧文字部分のそれぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るものであるといえる。また、上段の図形と「Kiss」の欧文字との結合部分については、顕著に表された「Kiss」の文字部分が、残余の図形部分と常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の事情は見出せず、視覚的に分離して観察されるとみるのが相当である。
そして、「Kiss」及び「FM KOBE」の文字部分のうちでも、「Kiss」が引用商標の構成中、上部に配置され、「FM KOBE」に比べて大きいことに照らすと、引用商標に接する取引者、需要者が「Kiss」の文字部分のみに着目し、当該文字部分から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうとすれば、引用商標は、その構成中、上段の「Kiss」の文字部分に相応して、「キス、キッス」の称呼及び「接吻、口づけ」等の観念が生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標とを比較すると、両者は、「キス、キッス」の称呼及び「接吻、口づけ」等の観念を共通にするものであり、また、外観についても、本願商標と引用商標の要部である「Kiss」の文字とは、大文字と小文字との差異はあるものの、その綴り字を共通にするものである。 してみれば、本願商標と引用商標とは、その称呼及び観念において共通し、また、外観についても、近似した印象を与えるものであるから、互いに類似する商標というべきであり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は著名なロックバンド「KISS」を表示する著名な商標であって、本願商標からは、その指定商品の属する分野における需用者・取引者が、直ちにロックバンド「KISS」に関する商品であることを認識でき、それ以外の出所から出た商品であるという認識を持つことはない旨主張し、その根拠となる証拠として、原審において甲第1号証ないし同第11号証、同第14号証ないし同第18号証、同第20号証ないし同第22号証及び同第25号証ないし同第30号証を、当審において同第73号証ないし同第74号証(いずれも枝番号を含む。)を挙げている。
そこで、請求人の提出した証拠を見ると、甲第1号証の1ないし同第4号証及び同第73号証の1は、「KISS」に関するウェブサイトの記事であり、「KISS」は、1973年1月にアメリカで結成された、ハードロック/ヘヴィメタルバンド。特徴的な白塗りの化粧と奇抜な衣装でストレートなハードロックを演奏する等の「KISS」のプロフィールが記載されている。
甲第5号証ないし同第11号証は、「KISS」に関するウェブサイトの記事であり、その中には、本願商標と類似の「KISS」の欧文字がTシャツ、レコードジャケット、キーホルダー、ポスター等に使用されていることが確認できる。
甲第14号証ないし同第18号証及び同第74号証の1ないし9は、「KISS」に関するウェブサイトの記事であり、「Canon」の「EOS」というカメラの宣伝ポスター等の写真であるが、そこには、キッス(KISS)と同じようなメイクをした子供と「WE NEED KISS」や「WE NEED KISS JAPAN」の文字が記載されている。
甲第20号証ないし同第22号証は、「KISS」に関するウェブサイトの記事であり、2004年5月2日に放映されたNHKアーカイブスの「KISS」に関する番組について記載されている。
甲第25号証ないし同第30号証は、「KISS」に関するウェブサイトの記事であり、「KISS」に関する様々な商品(フィギュア、キーホルダー、Tシャツ等)が販売されていることが確認できる。
平成22年4月9日付け手続補正書(同年2月4日付け審判請求書に対する手続補正書)の6頁ないし8頁及び甲第73号証の2によれば、1995年から2006年の日本におけるライブの回数やプログラム、ポスター、シャツ、帽子等のグッズの売上高の記載があり、1995年に5回(60万2401ドル)、1997年に6回(資料なし)、2001年に7回(172万8732ドル)、2003年に4回(70万5984ドル)、2004年に6回(85万3070ドル)及び2006年に4回(22万607ドル)であった。また、これらのライブ興行によるグッズの販売以外にも、店舗やオンラインショッピングを通じての販売により、2005年(17万4157ドル)、2006年(10万3758ドル)、2007年(6万8781ドル)、2008年(26万2908ドル)及び2009年(14万4760ドル)との記載がある。さらに、日本における音楽アルバムの販売実績が71万6647枚であるとの記載がある。
これらを総合すると、1973年1月にアメリカで結成されたロックバンドの「KISS」は、特徴的な白塗りの化粧と奇抜な衣装で現在も活躍しており、我が国においても、1995年、1997年、2001年、2003年、2004年及び2006年に来日しており、来日時には、多くのファンがコンサート会場等に殺到し、関連商品も多数販売され、一時期においては、音楽に関する分野において、ロックファンやこれに興味を持つ人々などに一定程度知られていたものと認め得るところである。
しかしながら、「KISS」のコンサート等は、2006年以降日本で行われていないこと、請求人の使用に係る標章を使用していると思われる商品も、本願商標の指定商品の一部にすぎないものであることから、請求人の挙げる証拠によっては、本願商標が、その指定商品の取引者、需要者間に出所識別標識として広く知られるに至ったと認めることはできない。
また、請求人は、引用商標について、引用商標の商標権者は、需要者、取引者に引用商標を「キスエフエム」又は「キスエフエムコウベ」と称呼してもらい、「FM KOBE」又は「FM神戸放送のキス」と観念してもらうことを強く希望して引用商標を創出し使用していることが明らかであるから、引用商標から生じる称呼は、「キスエフエムコウベ」、「キスエフエム」又は「エフエムコウベ」のみが生ずるものであり、観念は「FM神戸放送のキス」である旨主張する。
しかしながら、商標の称呼、観念は、これを採用し構成した者の主観的意図にかかわりなく、専ら、その構成自体から客観的に定められるものであることは明らかであり、本件においても、前記3(1)のとおり、引用商標の構成は、段を異にするとともに、図形と欧文字と数字とから構成されており、欧文字部分についても、文字の大きさに差異を有し、かつ、書体、色彩を異にし、視覚的に分離して看取され得るばかりでなく、その構成全体をもって特定の称呼、観念を生ずる等、これらが常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとする特段の事情は見出し得ないものであって、しかも、「Kiss」の文字が、引用商標の構成中、上部に配置され、「FM KOBE」に比べて大きいことに照らすと、引用商標に接する取引者、需要者が「Kiss」の文字部分のみに着目し、当該文字部分から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。なお、請求人の引用商標から「FM神戸放送のキス」のみの観念が生ずるとする主張を認めるに足る的確な証拠はない。
さらに、請求人は、過去の併存している登録例を挙げて、本願商標も引用商標とは非類似である旨主張しているが、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の併存している登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
また、請求人は、外国での登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、我が国と外国とでは法制度及び商取引の実情を異にするものであるから、外国での登録例があるからといって、そのことから我が国においても直ちに本願商標を登録すべきであるとはいえないことは明らかというべきである。
したがって、これらの点についての請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 本願商標


別掲(2) 引用商標1(色彩については原本を参照)


別掲(3) 引用商標2ないし4



審理終結日 2011-01-05 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-01-26 
出願番号 商願2006-121153(T2006-121153) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (Y0928)
T 1 8・ 261- Z (Y0928)
T 1 8・ 262- Z (Y0928)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦山田 正樹 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
安達 輝幸
商標の称呼 キッス、キス 
代理人 木村 満 
代理人 磯田 一真 
代理人 木村 美穂子 

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