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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 10711
管理番号 1238438 
審判番号 取消2010-300555 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-05-24 
確定日 2011-06-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2060055号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2060055号商標(以下「本件商標」という。)は、「エアーミックス」の文字を横書きしてなり、昭和61年6月5日に登録出願、第9類「化学機械器具、その他の産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和63年7月22日に設定登録され、その後、平成10年2月24日及び同20年6月10日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月30日に指定商品を第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具用粉砕機,その他の化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗り物用の動力機械の部品,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第11類「乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,汚水浄化槽,し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓」とする書換登録がされているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出している。
商標法第50条第1項には、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定されている。
そして、本件商標の権利者である被請求人は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品のいずれについても使用していない。すなわち、本件商標を使用している事実が何ら認められない。また、本件商標については、専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない(甲第2号証)。
上述のように、本件商標は、商標法第50条の要件に該当するものであり、その登録の取消を免れないものである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第8号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、商標権者の100パーセントの子会社である千葉県習志野市茜浜1-4-2所在の「アシザワ・ファインテック株式会社」(以下「アシザワファインテック」という。)によって使用されている。
よって、商標権者自身又は通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中の「混合機」について使用しているので、本件商標の登録が商標法第50条第1項の規定により取消される事由は何ら存在しないものである。
以下、本件商標をその指定商品中の「混合機」に使用している事実を立証する。
(2)本件商標の使用の事実
ア 商標の使用者と商標権者との関係
本件商標の実際の使用者は、アシザワファインテックである。本件商標権者「アシザワ株式会社」とアシザワファインテックとの関係は、2002年12月16日に被請求人の機械製造事業と不動産賃貸事業を分離し、被請求人の機械製造事業を営業とする100パーセントの子会社として設立されたものである。また,両者の法律的関係は、被請求人がアシザワファインテックの株式の100パーセント以上を所有するので、親子関係の会社であるといえる。このことを立証するために、インターネットにおけるアシザワファインテックのウェブサイト及び同社の有価証券報告書(乙第2及び第3号証)を提出する。
したがって、アシザワファインテックの商標の使用は、親会社である被請求人の商標使用といえるものである。少なくとも、被請求人による黙示の通常使用権の許諾に該当し、通常使用権者の使用といえるものである。
イ 使用に係る商品
アシザワファインテックは、本件商標をその指定商品中の「混合機」に使用している。
乙第4及び第7号証は、被請求人が使用する「混合機」が、圧縮空気による旋回流(トルネードブロー)を利用して、フェライト、各種のセラミックス、乾電池材料、カーボン等の電子部品、顔料、染料、洗剤等の化成品、ポリプロペレット、塩ビベレット、フェノール樹脂、FRP、テフロンペレット等の樹脂、化学調味料、澱粉、小麦粉、酵素、胃腸薬、ビタミン剤等の食品・医薬品、建材、セメント、肥料、飼料等の粒度分布の広範囲の粉粒体、異形の粉粒体、真比重の異なる粉粒体を旋回、流動させ均一混合させる装置であることを立証するものである。
したがって、上記「混合機」は、-種の化学機械器具に例示された「混合機」(09A06)に含まれるものである。
乙第8号証のIPDLの商品役務名リストには、「混合機」の例示があり、その商品類似群が09A03、09A06、09A08、09A69と表示されている。
ウ 商品「混合機」の専用部品としての「ミキシングヘッド」
上記「混合機」は、簡単に述べると粉粒体を入れる「タンク部分」と当該粉流体を縮空気による旋回流(トルネードブロー)を可能にする「ミキシングヘッド部分」からなり、機構的に簡単な構造である。
したがって、上記「ミキシングヘッド」は、「混合機」の部品であり、タンクの形状、粉粒体の性質、縮空気による旋回流(トルネードブロー)の方法により「ミキシングヘッド」の形状・機構等が多少変更されることになるので、商品「混合機」の専用部品といえるものである。
上述したように、上記「ミキシングヘッド」は、商品「混合機」の専用部品なので、本体の商品「混合機」と同一と判断されるものである。
すなわち、国際分類の一般的注釈の商品の(1)(d)において、「他の商品の一部となることを目的として作られた商品は、同様の商品を通常は他の用途に使用することができない場合にのみ、原則として、当該他の商品と同じ類に分類する。」と記述されている。
エ 使用に係る商標
乙第4号証は、アシザワファインテックによる2008年(平成20)年2月制作の「製品案内」のカタログであるが、その13頁に「粉混合/圧縮空気による旋回気流(トルネードブロー)を利用し、粉粒体を均一混合。」と記載され、本件商標「エアーミックスAM」が使用されている(なお、「AM」は、エアーミックスの略である。)。
乙第6号証は、電気化学工業株式会社(以下「電気化学工業」という。)とアシザワファインテックの間における商品「混合機」の専用部品「ミキシングヘッド」に関する取引書類であるが、機器名称の部分に本件商標「エアーミックスAM100」(乙第6号証の2)、取扱説明書の機種部分に本件商標「エアーミックスAM」、型式「AM100」が使用されている(乙第6号証の5)。
乙第7号証は、被請求人が2001年11月に作成した「粉粒体流動混合装置/AIR MIX」のカタログであるが、その概要、エアーミックスの構造及び動作の部分に、本件商標「エアーミックス」が使用されている。
オ 使用時期
上記「混合機」は、昭和41年に第1号機が製作されて以来改造を加えて、今日まで本件商標が使用されているものである(乙第2号証)。
乙第4号証は、アシザワファインテックによる2008年(平成20)年2月制作の「製品案内」カタログであり、現在も使用しているものである。
乙第6号証は、平成21年12月3日から平成22年4月23日まで行われた電気化学工業とアシザワファインテックとの間における商品「混合機」の専用部品「ミキシングヘッド」に関する取引関係書類である。
すなわち、乙第6号証の1は、平成21年12月3日付の電気化学工業によるアシザワファインテックに対する「見積依頼書」であり、乙第6号証の2は、該「見積依頼書」に基づいて、アシザワファインテックが平成21年12月4日に作成した仕様書「エアーミックス設計仕様書」の「見積書」である。
上記見積書には、御見積日2009年12月4日、見積番号1538、事件番号09A5003、機器名称エアーミックスAM100、数量1台、混合目的均一混合及びミキシングヘッドの設計図が表示されている。
乙第6号証の3は、電気化学工業による上記見積書に基づく平成21年12月14日付の「注文書」である。
乙第6号証の4は、アシザワファインテックによる電気化学工業への2010年4月13日付の「ミキシングヘッド取扱書」の納品書の写しと、2010年4月23日付の「ミキシングヘッド」の納品書の写しである。
乙第6号証の5は、アシザワファインテックによる電気化学工業への2010年4月13日の「ミキシングヘッド取扱書」及び「最終検査表」である。
(なお、電気化学工業の書類には、当該品名の項に「エアーブレンダーミキシングヘッド」と記載されているが、電気化学工業の混合機に使用されている名称である。)
カ これらの事実により、平成21年12月4日の時点で、本件商標がその指定商品中の「混合機」に使用されていることを証明する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録(平成22年6月8日)前3年以内に日本国内において、その指定商品中の「混合機」について使用されていることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア アシザワファインテックは、被請求人が株式の100%を所有する、被請求人の子会社である(乙第2及び第3号証)。
イ 乙第4号証は、アシザワファインテックの制作に係る商品カタログと認められるところ、その13頁には、「粉体混合」の項目に、「エアーミックスAM」と表示され、商品の写真と共に、「圧縮空気による旋回気流(トルネードブロー)を利用し、粉粒体を均一混合。」との説明がされている。なお、上記商品カタログは、被請求人の主張及び同カタログの裏表紙右下隅に記載された「0802C25PG」の記号によれば、2008年(平成20年)2月に印刷発行されたものとみて差し支えない。
ウ アシザワファインテックから電気化学工業に宛てて発行された「御見積書」及び「取扱説明書」の各写し(乙第6号証の2及び5)には、「粉体流動混合機用部品AM100」、「AM100用ミキシングヘッド」、「機種:エアーミックスAM」、「型式:AM100」、「製造番号:09A5003」等の表示がされ、上記商品カタログに示された商品と略同様の商品図形や設計図等が付されると共に、「エアーミックスとは、圧縮空気による旋回流(トルネードブロー)を利用し粉粒体を旋回、流動させ、均一混合を行う混合装置です。」等の説明がされている。また、上記「御見積書」には「御見積日2009/12/04」と記載されているほか、上記「取扱説明書」に添付された「検査報告書」には「発行日2010年3月16日」の記載があり、同じく「最終検査表」には「製造年月:2010年4月」及び「検査日2010年04月05日」の記載がある。
エ 電気化学工業からアシザワファインテックに宛てて発行された「2009/12/03」付の「見積依頼書」及び「2009/12/14」付の「注文書」の各写しには、品名として「エアーブレンダーミキシングヘッド」と記載されている(乙第6号証の1及び3)。
オ アシザワファインテックから電気化学工業に宛てて発行された2010年4月13日付及び2010年4月23日 付の各「納品通知書」の写しには、製番として「09A5003」と記載され、品名として「AM100用ミキシングヘッド」又は「エアブレンダーミキシングヘッド」と記載されている(乙第6号証の4)。上記製番及び品名の記載に照らし、上記納品通知書の対象となっている商品は、上記ウの「御見積書」及び「取扱説明書」に示された商品と同一のものとみるのが自然である。
カ 乙第7号証は、被請求人の制作に係る商品カタログと認められるところ、その表紙に、「粉粒体流動混合装置 AIR MIX」と表示されているほか、上記乙第4号証の商品カタログ及び上記乙第6号証の5の取扱説明書に示されたと同様の商品の図面が掲載され、「エアーミックスは圧搾空気による旋回気流(トルネードフロー)を利用し、粉粒体を旋回流動させミキシングを行う混合装置です。」等の説明がされている。なお、上記商品カタログは、その裏表紙右下隅に記載された「AIRMIX20011101500」の記号によれば、2001年(平成13年)11月に印刷発行されたものと推認される。
キ 上記乙第4号証の商品カタログ及び乙第6号証の1ないし5の取引書類は、いずれも本件審判の請求の登録(平成22年6月8日)前3年以内に発行されたものであり、これらに示された「エアーミックス」の表示は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。また、上記「エアーミックス」の表示が用いられている商品は、圧縮空気による旋回流(トルネードブロー)を利用して各種の粉粒体を旋回、流動させ均一混合させる、いわゆる「混合機」又はその専用部品であって、本件商標の指定商品中の第7類「その他の化学機械器具」に含まれる「混合機」の範疇に属する商品といえる。
(2)以上を総合すれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人によって、その指定商品中の「混合機」について使用されていたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-01-13 
結審通知日 2011-01-17 
審決日 2011-01-31 
出願番号 商願昭61-58017 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (10711)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小川 きみえ
小林 由美子
登録日 1988-07-22 
登録番号 商標登録第2060055号(T2060055) 
代理人 三嶋 景治 
代理人 川崎 仁 
代理人 中里 浩一 
代理人 太田 恵一 

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