• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X41
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X41
管理番号 1238297 
審判番号 不服2010-10065 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-12 
確定日 2011-05-16 
事件の表示 商願2009- 11015拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「健康管理学検定」の文字を標準文字で表してなり、第41類「資格試験の実施及び資格認定並びにこれらに関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として、平成21年2月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『健康管理学』の文字と、『一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。』の意味を有する『検定』の文字を結合した『健康管理学検定』の文字を表示してなるものである。そして、大学において、健康を保持・増進するための理論や具体的な方法に関する学問についての講義が『健康管理学』と呼ばれている実情がある。そうとすれば、本願商標を、その指定役務中の、例えば『健康管理学に関する資格試験の実施及び資格認定並びにこれらに関する情報の提供』『健康管理学に関する資格試験のための知識の教授』等の、本願商標の文字に照応する役務に使用するときには、需要者は『健康管理学に関する検定試験』『健康管理学に関する検定試験のためのセミナー』等であることを認識するにすぎないものであるから、本願商標は、単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「健康管理学検定」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「健康管理学」の文字は、「健康管理に関する学問」という程の意味合いを認識させるものであり、また、「検定」の文字は、「検定試験の略。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を意味する語であるから、これらの語を一連に書してなる本願商標の構成全体からは、「健康管理の学問に関する検定試験」というほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、「健康管理学」の語に関しては、健康管理についての知識を習得することを目的とする学問の一つとして「健康管理学」の語が使用されているものであり、例えば、以下の新聞記事及びインターネット情報からも、その語の使用は認められるところである。(なお、下線については当合議体で付したものである。)
(1)「『カウンセリングまで行う』は14%--医師のインフォームド・コンセント」の見出しのもと、「医師たちは『インフォームド・コンセント』(IC=十分な説明に基づく同意)をどのようにとらえているのだろうか。筑波大健康管理学助教授の宗像恒次さんらが全国の医師に対して意識調査をしたところ、ICに最も重要だと言われるカウンセリングの必要性まで考えている医師は七人に一人と少ないことが分かった。」(1996年2月15日 毎日新聞 東京朝刊 17頁)の記載がある。
(2)「[特集ワイド2]市販薬との賢いつき合い方--東京女子医大・横山泉教授」の見出しのもと、「日本人は世界でも有数の薬好きだ。・・・横山泉・東京女子医大教授(内科学、健康管理学)に聞いた。」(1998年10月13日 毎日新聞 東京夕刊 3頁)の記載がある。
(3)「社会健康医学専攻生を募集 京大大学院医学研究科 /京都」の見出しのもと、「京大大学院医学研究科は、高度な専門性を持つ職業人を育てるため四月に新設する『社会健康医学系専攻』の学生を募集する。・・・健康解析学、健康管理学、国際保健学、社会生態学などの講座が置かれる。」(2000年1月28日 朝日新聞 大阪地方版/京都 26頁)の記載がある。
(4)「『芸術』『栄養』21世紀型人材を 名古屋学芸大学・井形学長に聞く=東海」の見出しのもと、「管理栄養学部の教授陣は。井形学長 公衆衛生学、健康管理学が専門の山中克己さん、食品学・栄養学の市川富夫さん、分子栄養学・栄養生化学の名取靖郎さん、ハーバード大学・スタンフォード大学で研究した山王義一さんら、この分野で高い研究実績を誇っています。」(2002年1月7日 読売新聞 中部朝刊 24頁)の記載がある。
(5)「寒い!朝の洗面所 暖房使用3% 大阪ガス調査」の見出しのもと、「大阪市立大医学部非常勤講師(健康管理学)の岡田邦夫さん(51)は『寒い日に起きてすぐ冷たい水に触れると、血圧は上がりやすく、低い室温でかがんだりすると、腰痛も招きやすい。」(2003年1月30日 読売新聞 大阪朝刊 15頁)の記載がある。
(6)「[支える・地域から]県厚生連健康管理センター所長 小林一久さん64=山梨」の見出しのもと、「南アルプス市出身。静岡大文理学部在学中、アフリカでへき地医療に取り組んだ医師シュバイツァーの伝記に感銘を受け、医学を志した。働きながら受験勉強に励み、北海道大医学部に進学。卒業後は北里大病院勤務などを経て山梨に戻り、今も消化器内科と健康管理学を専門とする現役医師として活躍している。」(2006年1月17日 読売新聞 東京朝刊 33頁)の記載がある。
(7)「連載 中高年健康管理学(87)生涯現役を目指す(3)閉じこもり老化進める」の見出し(2007年11月1日 日刊スポーツ 東京日刊)の記載がある。
(8)「長崎国際大学」のホームページには、「健康管理学部」の記載と、「学部長メッセージ」の項目に、「健康管理学部長メッセージ」の見出しのもと、「多彩な関連領域を包含した幅広い健康管理学を志向しています。・・・近年、我が国では、少子高齢化が急速に進展しています。その一方で人々の健康を脅かす疾病の構造も大きく変化し、健康管理に携わる専門職の重要性がますます高まってきました。こうした時代にあって、本学部では、医学、薬学、農学、臨床検査学などの関連領域を含めた幅広い健康管理学を志向。健康科学・栄養科学の2分野にわたる研究・教育を進めてきました。」の記載がある(http://www1.niu.ac.jp/)。
(9)「東京家政大学大学院」のホームページには、「健康管理学特論」の項目の記載がある(http://www.tokyo-kasei.ac.jp/ink/introduction/human/kanri_kamoku/kanri_3.html)。
(10)「産業医科大学 産業保健学部」のホームページには、「産業・地域看護学講座」の項目のもと、「健康管理学・・・健康管理とは、社会で生活している人々の健康を維持し、かつ推進していく医学活動であり、産業保健領域においては特にその重要性が認められている。この科目では、職場における健康管理の意義・方法・評価、働く人々への健康教育・生活指導の方法等について理解する。 」の記載がある(http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/ssangy/kenkoukanri_j.html)。
(11)「山口県立大学電子シラバス」のホームページには、「科目名 健康管理学」の項目のもと、「授業概要・・・健康の概念を理解し、人間のライフサイクルの中で健康を保持増進するためには健康で適切な体力水準を保持することが最も基本的な要素である。また、生活習慣病の予防、あるいは生活習慣病から脱却するためには、運動の実践は欠かせない。本講義では、幼児期から高齢期に至るライフステージ毎の体力の加齢変化について。さらに、体力科学に基づいた身体運動時の生理的応答やその効果についても学習し、充実した生活設計をするために必要な、健康や体力、疾病の基礎的知識について理解する。」の記載がある(http://kyoumu.ypu.jp/o.php?code=4011000)。
(12)「川崎医科大学 健康管理学教室」のホームページには、「教室紹介」の項目のもと、「健康管理学教室は、1999年4月1日に、地域医療学教室と保健医療学教室が合併し発足した教室です(初代教授:大橋勝彦教授)。」の記載がある(http://www.kawasaki-m.ac.jp/health/info.html)。
また、一般的に「資格試験の実施及び資格認定,知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」の役務においては、検定試験の名称、あるいは、当該試験によって取得可能な資格の名称などを、教育の場におけるカリキュラムや各種講座、各種セミナーに冠して、「○○検定講座」「○○検定セミナー」のように、その提供される役務の内容の表示とすることがしばしば行われているところである。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務中、「健康管理学に関する検定試験」及びこれに関連する役務(例えば、健康管理学に関する検定試験の実施及び資格認定,健康管理学に関する検定試験に関する知識の教授、健康管理学に関する検定試験に関するセミナーの企画・運営又は開催)に使用するときは、役務の質等を表示したものと理解させるにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものである。
また、これを上記役務以外の指定役務について使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

4 請求人の主張について
請求人は、「たとえ役務の内容を表すような意味合いを想起できる場合があるとしても、その役務を取り扱う業界において、役務の内容を表すものとして取引上普通に使用されている語ではなく、特定人に独占させても他業者に何ら支障を来たすものでなければ、識別機能を有するものと判断されるべきである。」旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解されるところ、上記3における事実からすれば、「健康管理学」の文字は、複数の大学等において研究又は講義が行われている学問の一つとして実際に使用されているものであり、また、「検定」の文字も「検定試験」の意味を認識させるものであるから、本願商標を構成する「健康管理学検定」の文字全体からは、「健康管理学に関する検定試験」の意味を容易に理解させるものというのが自然である。
そうとすれば、本願指定役務を取り扱う業界において、本願商標が、その指定役務の提供者、需要者において、該役務の質を表示するものとして認識されることは、上記認定のとおりである。
また、請求人は、「検定」と他の文字とが結合した過去の審決例、登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号等に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定役務の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それら過去の審決例、登録例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは、必ずしも適切でない。
したがって、請求人のいずれの主張も、採用することができない。

5 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-03-10 
結審通知日 2011-03-18 
審決日 2011-03-29 
出願番号 商願2009-11015(T2009-11015) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X41)
T 1 8・ 272- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長澤 祥子箕輪 秀人中島 光 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
高橋 謙司
商標の称呼 ケンコーカンリガクケンテー、ケンコーカンリガク 
代理人 橘 哲男 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ