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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1236744 
異議申立番号 異議2010-900251 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-08-20 
確定日 2011-04-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5323541号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5323541号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5323541号商標(以下「本件商標」という。)は、「elle et elles」の欧文字を横書きしてなり、平成19年6月29日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年2月23日に登録査定、同年5月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第42号証(枝番号を含む。)を提出した
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録商標等は次のとおりである。なお、これらをまとめていうときは「引用商標」という。
(1)登録第1793479号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ELLE」の欧文字をゴシック体で横書きしてなり、昭和54年7月17日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同60年7月29日に設定登録され、その後、平成18年1月4日に指定商品を第3類、第8類、第10類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4053601号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成8年3月19日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同9年9月5日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(3)商願2007-29583号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年4月1日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年12月17日に、商標登録第5377062号として設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
2 引用商標の著名性
申立人は、1945年(昭和20年)に、商標「ELLE」を付した女性向けファッション雑誌(以下「申立人雑誌」という)をフランスにおいて創刊し(甲第2号証及び甲第3号証)、現在に至るまで発行している。また、申立人は、申立人雑誌の表紙等に表示していた商標「ELLE」を婦人服等の商品に付して販売し、かつ、同商標を使用して積極的な広告宣伝活動を継続し、申立人商品は、世界中の顧客の支持を受け、人気ブランドとなっている(甲第2号証)。
その結果、申立人の使用する商標「ELLE」は、女性向けファッションを対象とした婦人服、布製身回品をはじめとして、今や子供服、紳士服から、バッグ類、履き物、装身具、時計、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食品に至るまで、申立人の商品又は営業であることを示す表示として、世界中の取引者及び需要者間において広く認識されるに至っている。
我が国においては、昭和45年3月に雑誌「アンアン(an an)」が創刊(甲第6号証)されて以来、昭和57年に至るまで毎号フランス語版雑誌「ELLE」の記事が多数掲載され、その表紙には必ず商標「ELLE」を付してきた。その後、昭和57年4月、日本版女性雑誌「ELLE」が創刊された(甲第9号証ないし甲第13号証)。
これらの雑誌に掲載される内容は、被服、布製身回品、化粧品、バッグ類、履き物、装身具、時計、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食品等、その他のファッションの紹介記事、あるいはこれらに関連する広告であり、掲載されたファッションは「ELLE」ファッション、「ELLE」カラーと呼ばれて、いわゆる「ELLE」ブランドの国内における源流となっている(甲第7号証及び甲第8号証)。
また、申立人は、昭和39年以来、ライセンシー及びサブライセンシーを通じ、「ELLEファッション」の販売・普及活動を推進してきた。2006年4月現在で、我が国の申立人のサブライセンシーの数は35社に上り、その業種も、被服、布製身回品、バッグ類、履き物、装身具、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食器等あらゆる商品に及んでいる(甲第17号証ないし甲第42号証)。
これらのサブライセンシーは、申立人のライセンス商品の出所を示すもの、すなわち、商標として引用商標及び商標「ELLE」(以下、両商標をまとめていうときは「引用商標等」という。)をその商品に付して継続して使用している。また、引用商標等の使用を通じその称呼「エル」も著名なものとなっている。それゆえ、これらの使用を通じて、引用商標を含む商標「ELLE」及びその称呼「エル」は、遅くとも本件商標の登録出願の日前から我が国において著名な商標となっている。
3 商標法第4条第1項第11号の該当性
本件商標に含まれる「e11e」は、大文字であるか小文字であるかという点を除いて、引用商標とほぼ同一である。また、同じく本件商標に含まれる「e11es」も、小文字である点、及び末尾に「s」がある点でしか引用商標と異ならない。なお、「e11es」はフランス語であるが、末尾の「s」が発音されないため、発音という意味においては「e11e」と異なるところはない。
特許庁の商標審査基準に徴すれば、需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、原則として、その他人の登録商標と類似するものとされている。本件商標は、その構成中「e11e」の部分が申立人の著名商標「ELLE」と同一であるから、引用商標と類似するものであることは明白である。
なお、本件商標は「エルエエル」と発音される単一の商標を構成するとの主張も考えられるが、母音が連続する「エエ」の部分がなめらかに発音できないため、「エル・エ・エル」又は「エルエ・エル」と分断してしか発音はできない。また、そもそも本件商標は、間に空白の存在する3つの単語として登録されているものであるから、いずれにしても、その一部分である「e11e」又は「e11es」が別個に認識され、これが本件商標と類似であることは明白である。
また、本件商標の「e11e et e11es」は、「彼女と彼女たち」とでもいう意味であり、全体がまとまって単一の意味を有する言葉であるわけでもない。したがって、意味の面でも、周知・著名商標の部分が既成の語の一部となっているというわけでもない。
したがって、著名商標「ELLE」を(小文字であれ)含む本件商標は、上記商標審査基準に照らし、引用商標と類似のものである。
また、本件商標の指定役務は、引用商標と同一又は類似の小売役務、又は対象となる指定商品の小売等役務に関するものであるから、これらに類似する。
4 商標法第4条第1項第10号の該当性
本件商標は、上記2のとおり、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「ELLE」に類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものである。
5 商標法第4条第1項第15号の該当性
上記2のとおり、引用商標等は、遅くとも本件商標の登録出願日には、我が国において「エル」の称呼をもって著名な商標となっていたものである。
特許庁の商標審査基準に徴すれば、他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取扱うものとするとされており、申立人の著名な商標である引用商標等をその構成中に含む本件商標に接した需要者については、本件商標に係る役務が申立人と少なくとも何らかの関係のある子会社等に係る役務であると誤認混同するおそれがあるのは明白である。
6 まとめ
上述のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項10号、同第11号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 引用商標等の著名性
申立人提出の甲各号証によれば、申立人は、1945年(昭和20年)にフランスにおいて、商標「ELLE」を付した女性向けファッション雑誌を創刊して以来、世界各国で当該雑誌を発行するとともに、商標「ELLE」を婦人服、バッグ類、履き物、装身具、時計、眼鏡、寝具類、テーブルウェア等に使用し、販売、広告宣伝活動を継続した結果、申立人の使用する商標「ELLE」は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、世界中の取引者及び需要者間において広く認識されるに至っていること、及び我が国においても、申立人が遅くとも1970(昭和45)年頃から、ライセンシー及びサブライセンシーを通じ、「ELLEファッション」の販売・普及活動を推進してきた結果、引用商標を含む商標「ELLE」及びその称呼「エル」は、申立人又はライセンシーなど同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であることを表示するものとして、遅くとも本件商標の登録出願の日前から著名なものとなっていたことを認めることができ、さらに、その著名性は現在も継続しているものといえる。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記第1のとおり「elle et elles」の欧文字を書してなるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「elle」、「et」、「elles」の文字の間に一字程度の間隔を有するものの、全て同じ書体、同じ大きさで表されているものであって、全体として外観上まとまりよく表されているものである。
また、本件商標を構成する「elle」、「et」及び「elles」の各欧文字は、ファッション関連商品、化粧品等の商品を取扱う業界において広く使用されている仏語であって、それぞれ「彼女」、「と」及び「彼女達」を意味する比較的親しまれている平易な語といえるものであるから、全体として「彼女と彼女達」の意味合いを容易に認識させるものというのが相当である。
さらに、本件商標から生じる「エルエエル」の称呼も、5音という短いものであって無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、たとえ、引用商標を含む商標「ELLE」及びその称呼が著名なものであるとしても、本件商標は、上述の事情から「エルエエル」のみの称呼を生じ、「彼女と彼女達」の意味合いを認識させる、その構成全体が不可分一体の商標として把握、認識されるとみるのが自然である。
他方、引用商標は、上記第2 1のとおり「ELLE」の文字及び別掲のとおりの構成からなるものであって、いずれも「エル」の称呼を生じ、「彼女」の意味を認識させるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、称呼においては、それぞれから生じる「エルエエル」と「エル」において、両者はその構成音数に明らかな差異を有するものであるから、互いに聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
また、両商標は、それぞれの構成前記のとおりであるから、外観上明らかに区別し得るものであり、観念においても、前者が「彼女と彼女達」の意味合いを認識させ、後者が「彼女」の意味を認識させるものであるから、明確に区別し得るものというのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
また、引用商標3との関係においては、同商標が本件商標の登録査定日において未登録であったことから、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたとの主張と解したとしても、上述のとおり本件商標と引用商標3を含む引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、同法第8条第1項の規定にも違反して登録されたものではない
3 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標と引用商標等とは、上記2のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標あって、別異の商標というべきものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標等を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2及び3)




異議決定日 2011-04-12 
出願番号 商願2007-70733(T2007-70733) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X35)
T 1 651・ 26- Y (X35)
T 1 651・ 271- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕紀子津金 純子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2010-05-21 
登録番号 商標登録第5323541号(T5323541) 
権利者 株式会社マイカル
商標の称呼 エルエエル 
代理人 山田 清治 
代理人 萼 経夫 
代理人 達野 大輔 

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