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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z33
管理番号 1236678 
審判番号 取消2009-301415 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-12-25 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4507037号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4507037号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4507037号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年9月4日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒,薬味酒」を指定商品として、平成13年9月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
請求人は、本件商標が、その指定商品について使用されているか否かについて調査したところ、そのいずれについても継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実を確認できなかった。
よって、本件商標は、その登録を取り消されるべきである。
2 弁駁
本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用をしていることを、被請求人は証明していない。
(1)通常使用権許諾の事実(乙1)について
ア 乙第1号証の真正に対する疑義
被請求人は、商標権者たる「Jaroslava Asgari」氏(以下「ヤロスラファ アズガリ」という。)が「Asgari Wein Export」社(以下「アズガリ社」という。)に通常使用権を許諾している旨を主張している。そして乙第1号証には、通常使用権を許諾した年月日(2001年9月14日)と商標登録番号(商標登録第4507037号)とが明記されている。
ところで、商標権者は、登録証の送付を受けてはじめて商標登録番号を知ることになるところ、登録証は登録の約10日後に商標権者に送付されるのが通常であるため、登録日時点で商標権者は商標登録番号を知り得ない。そして、本件商標の原簿謄本(甲第1号証)によると、本件商標の登録年月日は、平成13年(2001年)9月14日である。
つまり、平成13年(2001年)9月14日に作成された通常使用権の許諾証書に、その時点で商標権者が知り得ない商標登録番号が明記されているのは非常に不自然であり、乙第1号証はその真正に強い疑義がある。
イ ヤロスラファ アズガリとアズガリ社の関係
被請求人は、アズガリ社は、商標権者であるヤロスラファ アズガリが運営していると主張しているが、その証拠は示されていない。
(2)「IBN」(=lnternationa1 Beverage Network 以下「IBN」という。)における使用の事実(乙2ないし乙6)について
ア 商標の視認性及び同一性
被請求人は、通常使用権者が本件商標をドイツの白ワインのボトルラベルの一部に使用している、と主張している。
具体的には、被請求人は、乙第2号証はウェブ上の国際的な飲料市場「IBN」のウェブページの写しであって、本件商標がドイツの白ワインのボトルラベルに付されていることは、乙第2号証の記載から明らかであると主張している。
しかし、乙第2号証の写真をどれだけ拡大視しようとも、本件商標を全く視認することができない。すなわち、このウェブページに接した需要者・取引者は、本件商標を視覚的に認識することができないため、本件商標に信用が蓄積されることはない。したがって、本件商標が使用されているとは到底いえない。
また、被請求人は「ラベルの拡大写真を乙第3号証として提示する」と答弁書に記載しているが、乙第2号証には、実際にボトルに貼着されたラベルの写真が示されているのに対して、乙第3号証は展開して広げたラベル単体の写真であり、乙第2号証の写真をそのまま拡大したものではないことは明らかである。そして、乙第3号証の写真がウェブページに掲載されて需要者・取引者の目に触れた、という証拠も提示されていない。
なお、乙第2号証における文章において「全ての商品を『Beethoven』のブランド名のもとご提供しています。(A11 products are supplied with brand name Beethoven)」と記載されているが、欧文字「Beethoven」は、書体が異なるのみならず、本件商標の「Von」に相当する部分を明らかに欠いているため、これらは社会通念上同一とはいえない。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証をもって、本件商標がドイツの白ワインのボトルラベルの一部に使用されている、との被請求人の主張は失当である。
イ 日本国内における使用の該当性
被請求人は、通常使用権者が本件商標を日本国内において使用している、と主張している。
具体的には、被請求人は、乙第2号証に係るウェブページのサーバの所在地は不明であり、また、全文が英語で記載されていることを認めつつも、乙第2号証に係るウェブページは日本の取引者・需要者を対象としているものであるため、日本国内における使用に該当する、と主張している。
そして、当該ウェブページは日本の取引者・需要者を対象としているとする論拠として、被請求人は、当該ウェブページにアクセスし得る者(約4万社以上)の中に日本企業(約180社)が含まれていることを挙げている。
しかし、この事情は、アクセス制限が設けられていない通常のインターネットのサイトと何ら変わるところはなく、インターネットのウェブページである以上当然のことである。
したがって、知財高裁平成17年(行ケ)第10095号判決の判示のとおり、当該ウェブページが日本国内における商標の使用に該当するとは到底いえない。
なお、被請求人は、乙第2号証に係るウェブページを提示することにより、日本国内の業者に対して商業的効果を有する、と主張する。
しかし、乙第2号証に係るウェブページの目的は、「販売地域:」、「ターゲットは:」、「探しているのは:」の欄に記載のとおり、日本を販売地域とし、日本をターゲットとする、「ビール供給者を探している企業」を探すことであって、「日本国内の取引者」を探すことではない。すなわち当該ウェブページは、日本の取引者・需要者を対象としているとは到底いえない。このことは、被請求人自身が乙第9号証を提示して、当該ウェブページを端緒としてパナマ国籍の企業から発注を受けた、と主張していることからも明らかである。
さらに、乙第2号証に係るウェブページにおいて販売展開を意図されている商品はビールであり、本件商標の指定商品のいずれにも該当しない。
したがって、乙第2号証ないし乙第6号証をもって、本件商標が日本国内において使用されている、との被請求人の主張は失当である。
ウ 審判請求登録前3年以内の使用の該当性
被請求人は、乙第2号証を提示して、本件商標の使用事実を主張している。
しかし、乙第2号証の左上及び右下の記載によると、当該ウェブページがハードコピーされたのは本件審判の請求の予告登録後の平成22(2010)年4月18日であって、本審判の請求の登録前3年以内に当該ウェブページが閲覧可能であったか否かを確認することはできない。
したがって、乙第2号証をもって、本審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されていることは、何ら証明されていない。
エ 小括
上記のとおり、乙第2号証ないし乙第6号証をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件取消審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用をしていることは、何ら証明されていない。
(3)他の使用事実(乙7ないし乙9)について
ア 乙第7号証及び乙第8号証に係る使用事実
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証を提示して、本件商標の使用事実を主張している。
確かに、乙第7号証には、本件商標が付されたボトル用の表ラベルとともに、原産国、輸入者等が日本語で記載された裏ラベルが示されている。しかし、これらの表ラベル及び裏ラベルのいずれにも、本件商標が日本国内で使用された時期について、何ら記載されていない。表ラベル及び裏ラベルには「2003」との年号の記載があるのみであって、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されたか否かを確認することはできない。
イ 乙第9号証に係る使用事実
被請求人は、乙第9号証を提示して、本件商標の使用事実を主張している。しかし、乙第9号証に係る発注書面は、アズガリ社が、パナマ国籍の取引先「SCOTTISH SPIRITS LTD.」社(以下「スコッチスピリッツ社」という。)から受けた発注を示した書類に過ぎず、日本国内における本件商標の使用事実を何ら示していない。
また、この発注書面はスコッチスピリッツ社により発行されたものであり、この書面内に本件商標の記載があったとしても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により付されたものではない。そもそもこの発注書面に本件商標は付されていない。なお、文章中に欧文字「Beethoven」ワインと記載されているが、書体が異なるのみならず、本件商標の「von」に相当する部分を明らかに欠いているため、これらは社会通念上同一とはいえない。
したがって、乙第9号証をもって、本件商標が日本国内において使用されている、との被請求人の主張は失当である。
3 まとめ
以上のように、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用をしていることを、被請求人は証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
〈答弁の理由〉
1 商標使用の事実
(1)通常使用権許諾の事実
ア 乙第1号証は、本件商標の商標権者であるヤロスラファ アズガリからその事業体であるアズガリ社に対し、本件商標に関する日本国内での通常使用権を許諾した旨を示す許諾証書の写しである。
この許諾証書からも明らかなように、アズガリ社は本件商標を日本国内全域において、2001年9月14日から2011年9月14日まで無償で使用する権原を得ている。
なお、アズガリ社は商標権者であるヤロスラファ アズガリが運営しており、事実上商標権者自身が本件商標の使用をしているともいえる。
イ 請求人は、乙第1号証の日付が不自然であり、真正に強い疑義があると主張しているが、同号証に示されているのは、本件商標に関して登録日である2001年9月14日以降2011年9月14日まで、日本国内全土における通常使用権を無償にて許諾する、という事実である。本人が自署している以上、本件商標権の設定登録日以降の全期間について通常使用権の許諾をする意志は明確に表されているのであり、挿疑の余地はない。
(2)「IBN」における使用の事実
ア 乙第2号証は、本件商標の通常使用権者であるアズガリ社が、ウェブ上の国際的な飲料市場である「IBN」において、本件商標を付したワインの宣伝及び紹介を行っているページの写しである。このページの記載からも明らかなように、通常使用権者は本件商標をドイツの白ワイン(MOSEL-SAAR-RUWER地方のモーゼルワイン)のボトルラベルの一部に使用している(ラベルの拡大写真:乙3)。写真下部の「Distribution Territories」(=販売地域)及び「Targeting」(=販売ターゲット)の欄にいずれも「Japan」と記されているように、当該ページは日本の取引者・需要者を対象としているものである。
アズガリ社は、遅くとも2006年3月2日以降には乙第2号証の使用を行っている(乙4)。また、後述する乙第9号証にもあるように、2008年内には本件商標を付したワインに関する商談が「IBN」を端緒として進んでおり、同年に使用を行っていたことは明らかである。
なお、「IBN」につき若干の補足をする。乙第5号証に示すように、「IBN」はワイン、スピリッツ、ビール等の生産業者と輸入・流通・販売業者とを結び付けるネットワークとして10年の歴史を持つ。現時点において世界中に4万社以上の業者がメンバーとして登録している。
乙第6号証に示すように、日本の業者も大手飲料業者も含め約180社の業者が登録をしている。Googleその他の検索エンジンにおいて最上位にリストされるようになっており、日々メンバーは増え続けている。
つまり、通常使用権者による乙第2号証に示したページのウェブ上の提示は、直接これらの日本国内の業者(それも皆自発的にメンバー登録を行った業者)に対する広告行為としての商業的効果(commercial effect)を有している。
イ 使用商標に関する請求人の主張について
(ア)請求人は、「IBNにおける使用が十分に示されていない」「乙第3号証の写真は、乙第2号証の写真ををそのまま拡大したものではない。乙第3号証の写真がウェブページに掲載されて需要者・取引者の目に触れた、という証拠の提出もない」と主張している。
しかし、乙第3号証は、乙第2号証において画面表示されているワインのラベルの拡大表示であり、同ラベルと同一であることは明らかであるから、当該商品を付した商品の広告である。乙第2号証において、本件商標を記したラベルを付したワインが表示されているのであるから、その事実をもって本件商標の使用に該当することは明らかである。ワインのラベルのみを表示するなど、本商品分野において、通常行われるような行為ではなく、かかる表示がウェブページに掲載されていないから使用に該当しない、との主張はナンセンスである。
(イ)また、請求人は、乙第2号証における文章に関して、「van」に相当する部分がないことをもって、社会通念上同一ではない旨述べている。しかし、本件商標は、ベートーベン本人の直筆サインとされているものを用いたものであり、ベートーベンのフルネームは、「Ludwig van Beethoven」であり、「van」は、英語の「of」に相当する接続詞であり、需要者にとって、最も強く印象に残るのは、「Beethoven」の部分である。それゆえ、文章において、「『Beethoven』のブランドのもと」と標記しているに過ぎず、これが本件商標を事実上指し示していることは明らかである。
ウ 「IBN」における使用に係る請求人の主張について
(ア)請求人は、「IBN」における使用に関して、「当該ウェブページにアクセスし得る中に日本企業が含まれているという事実をもって、サーバーの所在地及び使用言語に変わりなく日本国内における商標の使用に該当するのであれば、日本からアクセス可能なサーバーにウェブページを登録すれば商標登録の取消しを免れることになる」などと主張しているが、日本の飲料業者180社が登録を行い、当該サイトを通じて取引を行っている事実がある(乙6)。また、サーバーの所在や言語は、その表示が日本国内における使用に該当するか否かに関してのメルクマールとなるわけでは無く、参酌されるべき事情の一要素に過ぎない。
(イ)また、請求人は、「乙第2号証に係るウェブページの目的は・・・日本を販売地域とし、日本をターゲットにする、『ビール供給者を探している企業』を探すことであって、『日本国内の取引者』を探すことではない。」などと述べているが、需要と供給が合致して取引が成立するのであるから、「ビール供給者を探している企業」は「取引者」ではないとするのはき弁である。現実に日本国内に販路を有する日本企業に対するプロモーションをウェブ上で行い、その際本件商標が付された商品の写真が電磁的に示されているのであるから、商業的効果として日本国内における商標の使用に当たらないとする理由がない。
(3)他の使用事実
ア 本件商標を使用したワインは、上述の「IBN」以外のルートでも日本国内に流通している。
乙第7号証は、本件商標を付したワインラベル(2003年物のリースリングアウスレーゼ)である。このラベルを付したワインは、日本の小売業者「株式会社ビッグ・エス」(乙8)を通じ国内で販売された。
イ また、乙第9号証は、本件商標を付したワインを日本で販売することについて、通常使用権者の取引先(「IBN」を端緒とするもの)からの2008年12月1日付け発注書面である。ここにも明らかなように、スコッチスピリッツ社から、年間264,000本(=13,200本×20コンテナ)の本件商標を付したワインのオーダーを受けている。
(4)小括
以上のように、通常使用権者アズガリ社は、少なくとも過去3年以内において、指定商品「果実酒」についての登録商標の使用をしていたことは明らかである。
2 インターネット上の商標の使用について
ここで、インターネット上の商標の使用に関して念のため付言する。
(1)乙第5号証に示されているように、「IBN」はアメリカ(カリフォルニア州)に事務所が置かれており、そのサーバの所在は明らかではない。
また、全文が英語で記されており、日本語で記されている訳ではない。この点、例えば平成17年(行ケ)第10095号(乙10)においては、インターネットのウェブページにおいて登録商標と社会通念上同一と認められる商標を表示してピザに関する広告を行い、フランチャイジーの募集を行っており、日本からもアクセス可能であったケースについて、「上記ウェブページは、米国のサーバに設けられたものである上、その内容もすべて英語で表示されたものであって、日本の需要者を対象としたものとは認められない。上記ウェブページは日本からもアクセス可能であり、日本の検索エンジンによっても検索可能であるが、このことは、インターネットのウェブページである以上当然のことであり、同事実によっては上記ウェブページによる広告を日本国内による使用に該当するものということはできない。」旨判示している点問題となる。
(2)しかし、乙第11号証に示す「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告」(WIPO一般総会において2001年採択)第2条にも明記されているように、インターネット上における標識の使用を特定国における使用と認めるか否かについては「商業的効果(commercial effect)」の有無によって判断すべきものである。ここで「商業的効果を有するか否かを決定するに当たってば、権原ある当局はすべての関連する状況を考慮する。」と同第3条に例示と共に規定されており、例示の冒頭において「(a)インターネット上でその標識が使用されている商品・サービスと同一又は類似する商品・サービスに関して、その標識の使用者がそのメンバー国においてビジネスを行っている又はビジネスを行うための重要な計画に着手した旨を示す状況」が記載されている。
(3)ここでアズガリ社は、上述のとおり、その標識(=本件商標)が使用されている商品(=ワイン)に関して、日本をターゲットとして販売展開を行うべく広告宣伝を行っており、当該行為は商標法上の使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
3 結語
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者又は商標権者により、その請求に係る指定商品中少なくとも「第33類 果実酒」について使用がされていたものであり、商標法第50条第1項に基づく請求人の主張は失当である。

第4 当審の判断
被請求人は、通常使用権者が過去3年以内において、指定商品「果実酒」についての登録商標の使用をしていたことは明らかであるとして、乙第1号証ないし乙第9号証を提出しているので以下検討する。
1 乙第1号証ないし乙第9号証によれば、以下の事実が認められる(以下、英語表記のものは訳文による。)。
(1)乙第1号証は、「通常使用権許諾証書」と題する書面であるが、書面の日付は、「2001年9月14日」であり、商標権者であるヤロスラファ アズカリがアズガリ社に対し、本件商標について、日本全域において、2001年9月14日?2011年9月14日の期間、本件商標の指定商品について、無償で通常使用権を許諾したことが記載され、商標権者の自筆のサインが記載されていることが認められる。
(2)乙第2号証は、2010年4月18日に印刷された国際的な飲料市場と認められる「IBN」の英語で記載されているウェブページの「アズガリ/アズガリ ワインエクスポート」のページ写しであり、連絡先及び代表者としていずれも「ヤロスラファ アズガリ」と記載され、それぞれにメールアドレスが記載されている。
また、該ページには、アズガリ社が、「Beethoven」のブランド名(以下「使用商標1」という。)で提供しているドイツ国モーゼル地方産のワイン及びビールについて、販売地域を日本国として、商品の供給者を探している企業を募集していることが認められ、該ページの中央にラベルの貼ったボトルの写真が掲載されている。なお、該ページ上のボトルの写真からは、本件商標の記載の有無を確認できない(この点について、当事者間に争いはない。)。
(3)乙第3号証は、「2003 Riesling」(2003年産のRiesling grapeから作られた白ワイン)のラベルであり、該ラベルには、本件商標と同一と認められる「Von Beethoven」の商標(以下「使用商標2」という。)が付されていることが認められる。
(4)乙第4号証は、「IBN」への会員を検索する「IBN」のページと認められるところ、アズガリ社が2006年3月2日にメンバー登録したことが認められる。
(5)乙第5号証は、「IBN」のウェブページの「IBN」のサービスを説明するページの写しである。サービスの説明として、a)「IBN」は、米国ロサンゼルスに所在し、2001年に設立された、ワイン、スピリッツ、ビールの輸入業者、販売業者、生産者及び関係会社のための世界的なネットワークであること。b)「IBN」のサービスにより、生産者、販売者及び他のアルコール飲料会社のバイヤーに互いに連絡を取ることができること、などが記載されている。
(6)乙第6号証は、「IBN」への会員を検索する「IBN」のページと認められるところ、2010年5月11日の日本に所在する会員が178社検索されることが認められる。
(7)乙第7号証は、2003年産のワインの表ラベルと裏ラベルであり、表ラベルには、ベートーベンの顔写真及び本件商標が記載されているほか、商標権者により出荷されたことが記載されている。裏ラベルは、日本語で書かれた、品質等に関するラベルであり、輸入者が株式会社ビッグ・エスであることが記載され、乙第8号証によれば、同社はケーズデンキグループの会社であることが認められる。しかし、乙第7号証及び乙第8号証によっては、当該ワインが株式会社ビッグ・エスにより販売された時期を示す記載は見あたらず、不明である。
(8)乙第9号証は、パナマ国所在のスコッチスピリッツ社のヘッドバイヤー「レイナルド エイチ カッツ」が、アズガリ社の「アズガリ」あての「IBNにおけるベートーベンワインに関する貴社の広告に関する件」と題する2008年12月1日付け書面と認められるところ、スコッチスピリッツ社が、ベートーベンワインの日本での販売を、2008年7月21日に提示の料金表に基づいて行うことを希望するとし、5年契約、年間20コンテナ(1コンテナ当たり13200本)を注文することなどの条件が記載されている。なお、上記書面によっては、当該ワインが我が国で販売されたとまでは認められない。
2 通常使用権者について
乙第1号証の通常使用権許諾証書は、その作成日を2001年9月14日と記載しているが、当該日は、本件商標の設定登録がされた日であり、同日に本件商標の登録番号を記載して作成することは通常できないから、上記承諾書について、その作成日について疑義があることは否定できない。
しかしながら、商標権者は、アズガリ社の代表者と認められ、「IBN」のアズガリ社のウェブページには、連絡先として商標権者の氏名及びメールアドレスが記載されていることが認められる(乙1、乙2)ことからすれば、口頭によるか黙示的であるのかは定かでないとしても、アズガリ社は、本件商標について商標権者から使用を許諾された者(通常使用権者)であるということができる。
3 使用の事実について
(1)上記1の認定事実によれば、通常使用権者は、「IBN」に2006年3月2日に会員登録をし、「IBN」のウェブページ(乙2)において、モーゼル地方産の白ワイン及びビールについて、日本での販売を行う販売業者を探していることが認められ、当該ワインの写真を掲載し、その商品説明では、「Beethoven」(使用商標1)のブランドと称していることが認められる。なお、上記ウェブページには、使用商標1のほか、本件商標に係る商標についての記載はなく、上記写真からは、本件商標を視認することはできない。
(2)そこで、上記の事実について検討するに、仮に上記ウェブページが、通常使用権者が「IBN」にメンバー登録をした2006年3月より、掲載されているとしても、上記ウェブページは、日本での通常使用権者の製造販売に係るワイン等の販売業者を探すものであることは認められるものの、当該商品の販売についての広告とはいえないし、上記ウェブページへの取引業者の登録は、世界各国の業者が登録しているものと推認できるものであって、我が国の業者が登録していることは認めうるとしても、我が国の取引者及び需要者を対象としたものとは認められない。
したがって、乙第2号証によっては、本件商標について、商品の広告行為ということができず、日本国内において使用をしているものとは認めることができない。
4 使用商標について
(1)本件商標は、「Von Beethoven.」の文字を筆記体で書してなるものであるから、「フォンベートーベン」の称呼を生じ、「Von」がドイツ語の前置詞であること及びその意味合いまで知られているということはできないから、特段の観念を生じないものというのが相当である。
一方、使用商標1は、「Beethoven」の文字を書してなるものであるから、「ベートーベン」の称呼及び「ベートーベン(作曲家)」の観念を生ずるものということができる。
そうとすると、本件商標と使用商標1とは、外観において「Von」の有無などの相違があり、称呼及び観念も相違するものであるから、社会通念上同一の商標とはいえない。
(2)被請求人は、乙第2号証の写真の商品に係るラベルの写真を乙第3号証として提出し、当該ラベルには、本件商標が使用されているから、乙第2号証により、当該ラベルを付した商品に関する広告を行っていると主張している。
しかしながら、商標の使用について、商標法第2条第1項第8号において「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定されているところ、乙第2号証が仮に広告と認められるとしても、当該ウェブページの写真からは、本件商標を視認できず、「広告・・・に商標を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものとはいえないから、乙第2号証の写真の商品が実際は本件商標を付したものであるとしても、乙第2号証をもって、本件商標の使用ということはできない。
なお、乙第3号証のラベルに記載の使用商標2を乙第2号証におけるウェブページ上の本件商標の使用ということはできないことは、上記のとおりであるが、進んで本件商標と使用商標2について検討するならば、使用商標2は、末尾のピリオドが無いものの本件商標と同一の構成文字、態様からなるものである。そして、末尾のピリオドは、自他商品の識別力に影響をしない付記的なものといえるから、本件商標と使用商標2とは、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
5 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を請求に係る指定商品について使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2010-12-02 
結審通知日 2010-12-07 
審決日 2010-12-21 
出願番号 商願2000-96796(T2000-96796) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 厚子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
井出 英一郎
登録日 2001-09-14 
登録番号 商標登録第4507037号(T4507037) 
商標の称呼 マウビーフホーベン、ベートーベン 
代理人 中山 俊彦 
代理人 向江 正幸 
代理人 川角 栄二 
代理人 下坂 スミ子 
代理人 福島 三雄 
代理人 高崎 真行 
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