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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X37
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X37
管理番号 1236611 
審判番号 不服2010-16063 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-16 
確定日 2011-04-28 
事件の表示 商願2008-102837拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ディスクダンパー」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,荷役機械器具の修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,土木機械器具の修理又は保守,土木機械器具の貸与」を指定役務として、平成20年12月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標を構成する『ディスク』の文字は『円盤、円板』を意味する語として一般に広く知られた語であり、『ダンパー』の文字については、指定役務に係る機械器具の分野、及び建設工事の分野においては、『振動エネルギーを吸収する制振装置。→制振ダンパー』を意味する語として知られていることから、本願商標をその指定役務に使用するときは、振動や振動エネルギー等を吸収するための円盤状の制振装置に係る役務であること、すなわち役務の質(内容)、提供の用に供するものを表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記1のとおり、「ディスクダンパー」の文字を表してなるところ、その構成中「ディスク」の文字部分は、「円盤。円板。」の意味を、「ダンパー」の文字部分は、「振動を吸収する装置。」(いずれも、広辞苑 第六版)の意味をそれぞれ有する良く知られた外来語である。
そして、以下のインターネットの情報によれば、その構成中「ダンパー」の文字部分が、本願商標の指定役務中、例えば「建設工事、建築工事に関する助言、電子応用機械器具修理又は保守」との関係では、「振動を吸収する装置」の名称として普通に採択、使用されている事実及び「ダンパー」に様々な形状や構造がある事実が認められる。

ア「ウィークリーつくばサイエンスニュース」のウェブサイトにおいて、「制振装置付き5階建て建物の震動台実験を公開:防災科学技術研究所」の見出しのもと、「(独)防災科学技術研究所は3月5日、同研究所兵庫耐震工学研究センター(兵庫・三木市)の実大三次元震動破壊実験施設「E‐ディフェンス」を使って揺れを吸収する制振装置(ダンパー)を取り付けた5階建て鉄骨構造物の震動台実験を行い報道陣に公開した。」の記載。(http://www.tsukuba-sci.com/index.php?mode=kijiid&id=1424)
イ「六本木ヒルズ」のウェブサイトにおいて、「グリーンマスダンパー 屋上緑化と耐震性向上を両立」の見出しのもと、「このシステムは、積層ゴムによって建物本体と屋上部分を切り離し、地震時には屋上部分を大きく揺らすことで、その層の間のダンパー(制振装置)が地震エネルギーを吸収し、建物本体の揺れを小さくするもの。」の記載。(http://www.roppongihills.com/jp/feature/vol033/i8cj8i000001e8cn.html)
ウ「うすき商店」のウェブサイトにおいて、「制震工法の概要」の見出しのもと、「地震の激しいゆれを感知すると、ダンパーなどの制震装置が揺れを吸収してエネルギーに変えて大地震のエネルギーを中地震程度に減衰させます。」の記載。(http://www.usukisyoten.co.jp/seisin_n.html)
エ「マンション100%」のウェブサイトにおいて、「マンション用語集」の見出しのもと、「制震構造とは、建物に取付けた制震装置(ダンパー)によって、地震エネルギーを吸収する対震構造をいいます。」の記載。
(http://mansion100.jp/word/detail/word_id/131)
オ「ランドアーク株式会社」のウェブサイトにおいて、「『激震くん』の原理」の見出しのもと、「減震くんで使用している制震装置(ダンパー)は新幹線「のぞみ」等豊富な実績を持つ信頼性の高いものです。」の記載。(http://www.landark.co.jp/genshinkun/)
カ 「SKハウジング」のウェブサイトにおいて、「木造制震工法(GVA工法)」の見出しのもと、「そして、制震とは建物自体にダンパーなどの制震装置を取り付けて揺れを建物自体で吸収する方法で、地震だけでなく台風などの強風による揺れも吸収できるメリットがあります。」の記載。
(http://www.sk-housing.net/business/gva/)
キ「weblio辞書」のウェブサイトにおいて、「建築用語大辞典/制震ダンパー/【意味】制震構造で,地震による建物の揺れを減衰させる中心となる制震部材である。制震構造にはアクティブ型(能動的)とパッシブ型(受動的)がある。また木造軸組に付加する制震ダンパーには粘弾性ダンパー・粘性ダンパー・弾塑性ダンパー・剛塑性ダンパーがある。」の記載。(http://www.weblio.jp/content/%E5%88%B6%E9%9C%87%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC)
ク「JFEスチール株式会社」のウェブサイトにおいて、「制振ダンパー/JFEの制振ダンパーは,種々の建物にフレキシブルに対応するために,3種類のダンパーをご用意しています。/制振ブレース2重鋼管タイプ・・・/制振ブレース平鋼タイプ・・・/ハーフ十字ブレースダンパー/溶接組立による十字型軸力材と補剛管の使用で,平鋼タイプの性能をさらに向上させました。高歪領域での疲労性能に優れ,設計軸力に応じた最適設計断面の選択が可能です。鋼板の組合せだけでできている軽量・コンパクトかつ高性能なダンパーです。」の記載。(http://www.jfe-steel.co.jp/products/building/seisin_danper/index.html)
ケ「清水建設株式会社」ウェブサイトにおいて、「ニュースリリース2005年/高性能粘弾性ゴムを使った壁型制震ダンパーを開発・実用化/?設置台数を6割削減し,コストの削減と室内空間の有効利用を実現?」の記載。(http://www.shimz.co.jp/news_release/2005/634.html)
コ「日本ヘルツ株式会社」のウェブサイトにおいて、「日本ヘルツは、各国の海外安全規格取得部品 各種電源廻りに使用する半導体・電子部品及びLED照明・LED照明用の電源等の環境対応製品に幅広くご用意しております。」の見出しのもと、円盤(板)状の製品の写真と共に、「●揺動ダンパー 油圧式の小型、高トルクの回転型ダンパー/●ディスクダンパー」の記載。(http://www.j-herz.com/products/rotarylineardamper/)
サ「メカトロネット事務局」のウェブサイトにおいて、円盤(板)状の製品の写真と共に、「カタログ全文検索/メカトロパーツ全文検索/不二ラテックス(株)/自動省力化総合カタログ」/「ロータリーダンパー」/「ディスクダンパー(両方向性)FDT-63/70シリーズ(固定式)仕様・価格」「ディスクダンパー(一方向性)FDN-47A/57Aシリーズ(固定式)仕様・価格」の記載。(http://www.mekatoro.net/mechatro_parts/vol3/pdf/P06-177.html)

以上のとおり、「ダンパー」の文字が、「制振装置(制震装置)」を意味する語として、普通に採択、使用されていること、「ダンパー」には様々な形状や構造,原材料のものがあり、例えば、「ハーフ十字ブレースダンパー」、「壁型制震ダンパー」等のように「ダンパー」の文字の前に形状や構造を意味する語を冠した名称の商品が流通していること及び「ディスク」がもつ意味及びその指定役務が、機械器具及び建設工事の分野であることを併せ考えれば、本願商標「ディスクダンパー」に接する取引者、需要者は、「円盤(板)状又はディスク状の制振装置(制震装置)」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。
また、本願商標の指定役務中、電子応用機械器具の分野で、円盤(板)状の製品を「ディスクダンパー」と称していることが認められる。
さらに、本願商標の指定役務に係る商品と用途は異なるが、機械部品として使用される円盤(板)状のダンパー(緩衝器)について、「ディスクダンパー」と称していることも認められる。
してみれば、本願商標をその指定役務中「円盤(板)状又はディスク状の制振装置(制震装置)の設置工事、円盤(板)状又はディスク状の制振装置(制震装置)の建築工事に関する助言、円盤(板)状又はディスク状の電子応用機械器具の修理又は保守」に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、単に役務の質(提供の用に供するもの)を表示したものと理解するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきであって、かつ、これを前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「ダンパー」の語は、本願指定役務中「機械器具の分野、及び建設工事の分野」に使用する場合であっても、「転倒装置」、「荷役人」(荷役装置)、「風道又は煙道を通過する風量又はガス量を調節又は遮断する装置」、「シュート内において荷の流れを切り換える板」等、多様な意味合いに捉えられる語であり、かつ、「免震装置」「制震装置」等が属する建築業界での該文字の使用例をみても、「調整弁」や、「粘性系ダンパー」、「オイルダンパー」等、多種多様な装置や製品であり、特定の(免震、制震)装置を表す語として使用されているものではない旨主張しているが、本願商標は、「ディスク」及び「ダンパー」の文字がもつ意味と、その指定役務が、機械器具及び建設工事の分野であることを併せ考えれば、たとえ、「ダンパー」が複数の商品の品質を表す語として使用されているとしても、本願商標に接する取引者、需要者は、それぞれの商品の品質等の意味合いを認識するにすぎないから、そのような語を商標として採択しても、自他役務の識別標識としての機能を有しないことは明らかであるから、請求人の該主張を採用することはできない。

イ 請求人は、「ディスクダンパー」の文字が、本願指定役務との関係で普通に使用されている事実はなく、かかる文字が当該商品を取引過程におく場合に必要な表示とは到底考えられず、また、将来的にも、何人もがその使用を欲するものではない旨主張しているが、商標法第3条第1項第3号は、取引者・需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)と判示されているところ、本願商標は、その指定役務との関係において、取引者、需要者が役務の質等を表示したものとして理解するに止まると判断するのが相当であること上述のとおりである。そして、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものであるから、請求人の該主張を採用することはできない。

ウ 請求人は、「ダンパー」の語を含む商標が「制震装置・免震装置」のみに限定されることなく登録を認められている旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標の構成態様に基づき、個別具体的に検討、判断されるべき性質のものであって、本願商標とはその構成態様が相違する商標が存在することに拘束されるべき理由はないから、請求人の該主張も採用することはできない。

(3)まとめ
以上よりすれば、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-02-28 
結審通知日 2011-03-01 
審決日 2011-03-16 
出願番号 商願2008-102837(T2008-102837) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X37)
T 1 8・ 13- Z (X37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 真鍋 恵美 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 田中 亨子
小田 昌子
商標の称呼 ディスクダンパー 
代理人 一色国際特許業務法人 

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