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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y07 |
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管理番号 | 1236564 |
審判番号 | 取消2010-300562 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-05-24 |
確定日 | 2011-04-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4986313号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4986313号商標の指定商品中、第7類「風水力機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4986313号商標(以下「本件商標」という。)は、「FLOWMAX」の文字を標準文字で表してなり、平成18年4月5日に登録出願、第7類「風水力機械器具」及び第16類「観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由並びに口頭審理における陳述を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標の権利者である被請求人は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中、第7類「風水力機械器具」について使用していない。 また、本件商標を使用している事実が何ら認められない。さらに、本件商標については、専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない。 よって、本件商標は、その指定商品中、第7類「風水力機械器具」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人が提出している乙号証は、本件商標が、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件取消請求に係る指定商品「風水力機械器具」について使用された事実を証明するに足るものではない。 (1)使用に係る商標・商品及び本件取消請求に係る商標・指定商品について ア 使用に係る商標と本件商標 使用に係る商標は、乙第1号証の1で確認できるように、やや斜体の「FLOWMAX」(以下「使用商標」という。)の欧文字であり、取消請求に係る本件商標は「FLOWMAX」であるから、両者は実質的に社会通念上同一と認められ得る商標といえる。したがって、この点については争わない。 イ 使用に係る製品と取消請求に係る指定商品 被請求人は、本件商標を「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」(以下「使用商品」という。)について使用しているとしている。使用商品は、「風水力機械器具」の範疇に属するといえるので、この点については争わない。 (2)本件商標の「風水力機械器具」の範疇に属する「商品」についての「使用」の実績 乙第1号証の1は、型番がFC-2030Gの「燃料昇圧ブロワ」についての商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)と思しき書類であるが、該カタログ上では「HIBLOW」の文字の他に使用商標の表示も確認できるから、「FLOWMAX」製品は、どうやら「HIBLOW」シリーズで展開される空気送風機又は空気圧縮機に類する製品の一つのようである。 そして、被請求人の全主張及び乙第1号証の1ないし同号証の3を総合すると、被請求人の答弁内容は結局、本件商標が、「風水力機械器具」の範疇に属する製品のカタログ上に表示されている、と要約することができる。そうすると、形式的には商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告…に標章を付して…配布」する行為に該当することになる。 しかしながら、本件における被請求人の主張は、「商標『FLOWMAX』が『家庭用燃料電池システム専用ブロワ』について使用されている」、「したがって、本件商標がその指定商品について…使用されたことが明らかである」、「以上述べたとおり、本件商標は…使用されたものであるから…」において、単に「登録商標が(その指定商品について)使用された」という抽象的事実を述べるに留まり、その具体的事実について何ら主張するところがない。 使用商標が確認できる単なるカタログ・パンフレット類のみでは、「商標」の「使用」という具体的事実、つまり現実に取引が行われた事実が裏付けられることはない。被請求人は、「風水力機械器具」の範疇に属する製品が現実に取引された具体的事実、つまり、市場において被請求人製品が独立して商取引の対象として流通に供されている事実を主張すべきであり、その具体的事実を客観的に裏付ける資料、例えば取引書類(商品の注文書、納品書、請求書、領収書等)を提出しなければならない。 また、本件カタログは、通常の用紙に両面印刷されたものであり、しかも表面の中央部に大きく表示された燃料昇圧ブロワ製品は、現物の製品写真ではなく製品の「絵」であること、裏面の仕様表において、項目欄の横が「目標仕様」となっていること、製品の「絵」と寸法図からは「燃料昇圧ブロワ」の構造・機構が全く把握できないこと、本件カタログには全体として極めて大ざっぱな情報しか記載されていないこと、等の点において極めて不自然な商品カタログである。また、被請求人のwebサイト上では製品一覧が可能だが、燃料昇圧ブロワ(使用商品)である「FLOWMAX」の掲載はなく、型番がFC-2030Gの製品も存在しない。そのため、被請求人の主張及び提出書類を検討するも、本件カタログに掲載された製品名「FLOWMAX」なる製品は現実には未完成であり、未だ商取引の対象として流通に供されていないのではないか、という疑問を持たざるを得ない。上記述べたとおり、商取引の対象として流通に供されていない製品は、商標法上の「商品」と認めることができないから、使用商標をそのような製品のカタログに表示しても、商標法第2条第3項各号に列挙された、標章の「使用」の行為には該当しない。 (3)まとめ 以上のように、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に取消請求に係る指定商品「風水力機械器具」について、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって我が国において「使用」された事実は証明できていないものである。 3 口頭審理における陳述 (1)商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に規定する「使用」に該当する事実が示されたか否か 被請求人の製品には、本件商標「FLOWMAX」又は「フローマックス」の文字は付されていないようであり、そもそも被請求人は、平成22年12月28日付けの口頭審理陳述要領書において、使用商品に本件商標を付していないことを自白している。 したがって、型番が「FC-2030G」である被請求人製造のエアーポンプ製品の輸出・販売の行為は、商標法第2条第3項第2号に照らし、本件商標の「使用」には該当しない。 (2)商標法第2条第3項第8号に規定する「使用」に該当する事実が示されたか否か ア インボイスについて 乙第2号証及び乙第3号証(枝番号含む。)として提出されたインボイス等において、本件商標は全く見られない。したがって、「商品若しくは役務に関する(…)取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」は、立証されていない。 イ 本件カタログの頒布の事実について 平成22年11月19日付けの通知書においては、被請求人には使用商品の商品カタログの原本及び該カタログの配布先等に係る証拠の提出が求められたのである。 しかしながら、被請求人は本件カタログが実際に要証期間内に作成され頒布、展示された事実を証明する証拠を一切提出していない。 つまり、原本そのものであると被請求人が説明する乙第1号証の1(本件カタログ)が、要証期間内に実際に作成(印刷)され顧客に頒布されたという事実は、客観的資料をもって裏付けられていないことになる。 ウ まとめ 以上述べたとおり、被請求人の主張及び証拠をもってしては、本件商標について、商標法第2条第3項第8号に規定された具体的な事実を立証しているとはいえない。 第3 平成22年11月24日付け通知書 1 口頭審理陳述要領書について(被請求人側) (1)本件カタログの原本を提出されたい。 また、当該カタログの作成時期等(例えば、作成に係る取引書類)及び使用方法、使用時期、配布先等に係る証拠を提出されたい。 (2)本件商標を付した使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内の販売されたことを示す取引書類を提出されたい。そのほか、本件商標の使用の事実を証する書面等があれば提出されたい。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、答弁書、口頭審理陳述要領書、上申書並びに口頭審理における陳述においてその理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標は、その指定商品について本件審判の請求の登録日である平成22年6月9日前3年以内に使用されている。 (1)乙第1号証の1(本件カタログ)は、被請求人「株式会社テクノ高槻」により頒布された商品カタログの一例であるが、その中には本件商標「FLOWMAX」が使用商品について使用されている。 また、使用商品は、本件カタログに示されるように、燃料昇圧ブロワであり、家庭用燃料電池システムに採用されており、都市ガスなどの原燃料を昇圧し、燃料電池ユニットの改質器に送り込むために使用される(乙第1号証の2)。被請求人は、エアーポンプを総称して「HIBLOW」と呼んでおり(乙第1号証の3)、乙第1号証の2には、「HIBLOWシリーズは、家庭用燃料電池コジェネレーションシステム『エネファーム』にて採用されています」と記載されており、その説明として、前記「燃料昇圧ブロワ」のほかに「燃焼バーナ空気ブロワ」、「選択酸化空気ブロワ」及び「カソード空気ブロワ」が記載されている。したがって、前記「燃料昇圧ブロワ」は、エアーポンプであることが容易に理解できるのであり、第7類「風水力機械器具」の範疇に属する商品である。 (2)本件カタログの裏面右下に「0809.500S」と記載されており、これは2008年9月に当該カタログが500部作成された事実を示しているのである。商品カタログにおけるこのような記載は取引界において通常になされていることである。したがって、本件商標がその指定商品について商標権者により本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことが明らかである。 (3)以上述べたとおり、本件商標は、商標権者によりその指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものであるから、本件商標は商標法第50条第1項の規定に何ら該当するものではない。 2 口頭審理における陳述 (1)本件カタログについて 使用商品は、家庭用燃料電池システムに組込む仕様であるため、最終消費者に直接販売する商品のように使用商品に直接本件商標を付したり、使用商品の包装容器に本件商標を付したりしておらず、世界的に少数しか存在しない燃料電池を開発・製造している限られた顧客へ顧客の専用仕様として出荷しているのが実態である。 被請求人の製造・販売に係る製品群のうち、型番が「FC」で始まるものはすべて使用商品である。使用商品は、限られた顧客に専用仕様として出荷しているため、最終消費者に直接販売する場合のようにカタログ等で商品を詳細に説明したり、大々的に広告宣伝したりする必要がないので、本件カタログは外注せずに、被請求人が自社で作成したものである。したがって、乙第1号証の1が原本であり、本件カタログに関する取引書類(商品カタログの作成依頼書や印刷依頼書、納品書など)は存在しない。 本件カタログの作成時期は、答弁書において述べたとおり2008年9月である。また、同カタログを2009年2月25日?27日まで東京ビッグサイトで開催された「第5回国際水素・燃料電池展」で不特定多数に配布したが、配布先のリストなど配布先を特定するような書類は存在しない。 (2)本件商標を付した使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内に販売されたことを示す取引書類について 乙第2号証の1は、被請求人の作成に係る2009年6月11日付けインボイスであり、乙第2号証の2は、関西空港税関支署長の発行に係る輸出許可通知書兼輸出申告控(少額)であり、乙第3号証の1は、被請求人の作成に係る2010年2月22日付けインボイスであり、乙第3号証の2は、関西空港税関支署長の発行に係る輸出許可通知書(大額)であるが、これによって、本件カタログに掲載された商品である「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」のひとつである「燃料昇圧ブロワ FC-2030G」が、被請求人により、少なくとも2009年6月11日及び2010年2月22日に輸出されたことがわかる。 被請求人の「燃料昇圧ブロワ FC-2030G」の輸出は商標法で規定する使用に該当する。 (3)平成22年9月14日付け弁駁書について ア 被請求人は燃料昇圧ブロワ製品を完成品として現実の商取引の対象として流通に供しているのは前記のとおりである。燃料昇圧ブロワ製品が完成品として現に存在することを示すために、燃料昇圧ブロワ製品、すなわち「燃料昇圧ブロワ FC-2030G」の写真を乙第4号証として提出する。かかる写真の商品は、本件カタログに掲載された「絵」の商品と同一であることが明らかである。 イ 本件カタログの裏面の仕様表において、「目標仕様」と記載している理由は、前記のとおり顧客が開発・製造している燃料電池システムにおけるブロワに対する要求仕様が個々に異なるので、どの燃料電池システムにも適合する汎用的な仕様を記載することができず、あえて「目標仕様」として「燃料昇圧ブロワ FC-2030G」の一般的な能力を開示しているからである。 ウ 被請求人の作成に係る製品カタログは、ほとんどの製品が写真または絵、仕様、性能曲線および寸法図という構成になっている(乙第5号証の1及び同号証の2)を提出する。 被請求人のwebサイト上では製品一覧が閲覧可能だが、燃料昇圧ブロワ(使用商品)である『FLOWMAX』の掲載はなく、型番がFC-2030Gの製品も存在しないからといって、直ちに商取引の対象として流通に供されていないことにはならないので、請求人の主張は失当である。 (4)むすび 以上詳述したごとく、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と判断される使用商標が付された乙第1号証の1の本件カタログに掲載された使用商品のひとつである「燃料昇圧ブロワ FC-2030G」を本件審判の請求の登録(平成22年6月9日)前3年以内である2009年6月11日及び2010年2月22日に輸出した事実が存在するから、本件商標は、取消に係る「第7類 風水力機械器具」についてその登録を取消されるべきものではない。 第5 当審の判断 被請求人は、本件商標の使用について、本件カタログを2009年8月に作成し、2009年2月25日から27日に開催した「第5回国際水素・燃料電池展」において頒布したと主張しているので、以下、この点について検討する。 1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件カタログ(乙第1号証の1)は、被請求人の主張によれば、「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」の商品カタログであるところ、表面の右上角部に「HIBLOW」の欧文字が記載され、その左下部分に使用商標の文字が大きく記載され、その下に「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」の文字が併記されている。 そして、上記二段に併記されている文字の下部に、「テクノ高槻のブロワ『HIBLOW』は、/燃料電池システム『ENE-FARM』に採用されています」と記載され、中央部には製品の写実的な図が表示され、該図の右側部分と重なるように「燃料昇圧ブロワ」の文字と「FC-2030G」とが上下に記載され、最下部に、「TECHNO TAKATSUKI CO.,LTD.」の欧文字と「http://www.takatsuki.co.jp/」とが表示されている。 さらに、乙第1号証の1の裏面の右上角部に使用商標が大きく記載され、その下に「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」の文字が同じ幅にて二段に併記され、その左側部分に「燃料昇圧ブロワ」の文字と「FC-2030G」とが上下に記載され、最下部の欄外部分一番下の左から「※『HIBLOW』『ハイブロー』『FLOWMAX』『AIRTRONICS』『エアトロニクス』は(株)テクノ高槻の登録商標です」の記載があり、その右側部分に「0809.500S」と記載されている。 (2)被請求人は、エアーポンプを「HIBLOW」の商標を使用して販売しており、被請求人のwebサイトの製品情報のページには、取り扱うエアーポンプはその用途に応じて、「屋外用 小-大型」「屋内用 小型」などのタイプごとにそれぞれ「XP」「FP」「SPP」などのローマ文字2から3字程度をもって表したシリーズの表示が記載され、「燃料電池」用には、「FC-8040」、「FC-0520N」及び「FC用制御装置」が記載されている(乙第1号証の2及び同号証の3並びに乙第5号証の1及び同号証の2)。 また、被請求人は、型番が「FC」で始まるものは、すべて使用商品(家庭用燃料電池システム専用ブロア)であり、本件商標を使用している、と主張しているところ、被請求人提出のwebサイトの写し中、「FC」に係る提出webサイトである、「家庭用燃料電池システム専用ブロワ」の見出しのページ(乙第1号証の2)には、その見出しの右側に「HIBLOWFC」(「FC」は赤色で斜体の文字、その他の文字は青色。)の記載があり、説明中にも「HIBLOW シリーズ」の記載は認められるものの、「FLOWMAX」又は「フローマックス」の表記はない。また、「HIBLOW FC カソード空気ブロワ FC-8040」の見出しのページ(乙第5号証の2)にも「FLOWMAX」又は「フローマックス」の表記は見あたらない。 (3)使用商品は、家庭用燃料電池システムに組み込んで使用する商品であり、世界的に少数しか存在しない燃料電池を開発・製造している限られた製造者を顧客とするものであり、また、当該製造者の商品にのみ適合する専用仕様の商品である。 2 前記1において認定した事実をもとに本件商標の使用について検討するに、本件カタログは、その記載内容からは、本件商標と社会通念上同一と認められる「FLOWMAX」を使用した「家庭用燃料システム専用ブロア」に係るものであり、被請求人が2008年8月に500部作成したことを示した表示があることが認められる。 しかしながら、一般に、商品を広告、宣伝するときは、その商品に使用する商標を付して行うところ、被請求人のwebサイトについては、いずれも「HIBLOW」の商標のみを使用し、個別の商品については、シリーズごとに「XP」「FP」等の型番を用いて区別していることが認められるが、本件商品「家庭用燃料電池システム」に係るシリーズの商品である「FC-0520N」(乙第1号証の2)、「FC-8040」(乙第5号証の1)」のページをを含め、本件商標に係る「FLOWMAX」又は「フローマックス」の表記は、いずれのページの広告にも記載されていないし、エアーポンプに関する前記「HIBLOW」の各シリーズの広告には、シリーズごとの商標を記載しているものはない(乙第1号証の2及び同号証の3並びに乙第5号証の1及び同号証の2)。 また、本件商品は、前述のとおり、被請求人の主張によれば、その需要者の範囲は限られ、その製造に係る商品の仕様に合わせて製造されるものであるから、このような商品に関しては、そのシリーズ全体(本件の場合、エアーポンプ)に係る商標以外に用途別に商標を採択することは、一般的とはいえない。 そして、上記のように需要者が限られているにもかかわらず、しかも自社で作成するカタログとしては、一度に500部もの部数を作成することも通常、考えられない。 さらに、原告は、本件カタログを2009年2月25日からの第5回国際水素・燃料電池展において頒布したと主張しているが、配布先は不明であるとし、本件カタログが作成したとする2008年9月から上記展示会開催までの間を含め、その展示会以外における使用については何ら述べていないし、本件カタログを頒布した事実を示すものは提出されていない。 被請求人は、本件カタログに図示した商品(FC-2030G)が実在するものであるとして、その商品の写真を提出し(乙第4号証)、また、当該商品が、本件審判に係る要証明期間内である、2009年6月ころ及び2010年2月ころに輸出したとする証拠を提出している(乙第2号証の1ないし同号証の3、乙第3号証の1及び同号証の2)が、これらの提出された証拠によって、本件カタログにある型番「FC-2030G」の商品が、前記期間内に輸出したことは認められるとしても、この事実によって、本件カタログが作成され、前記展示会において配布したことを直ちに認めることはできない。なお、当該商品には、本件商標に係る商標が付されていないことについては争いはない。 以上のとおりであるから、被請求人の提出した証拠によっては、本件カタログを2008年9月に作成し、2009年2月25日から27日に開催した「第5回国際水素・燃料電池展」において頒布したことを認めることはできない。 3 以上によれば、被請求人が、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る本件商標の指定商品、第7類「風水力機械器具」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を上記請求に係る指定商品に使用をしていなかったことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標は、請求に係る指定商品、第7類「風水力機械器具」についての登録は、商標50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-17 |
結審通知日 | 2011-02-22 |
審決日 | 2011-03-08 |
出願番号 | 商願2006-30769(T2006-30769) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y07)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 薫 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内山 進 |
登録日 | 2006-09-08 |
登録番号 | 商標登録第4986313号(T4986313) |
商標の称呼 | フローマックス |
代理人 | 藤森 洋介 |
代理人 | 河村 洌 |
代理人 | 太田 恵一 |
代理人 | 谷 征史 |