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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1235080 
異議申立番号 異議2010-900266 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-08-26 
確定日 2011-04-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5326543号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5326543号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5326543号商標(以下「本件商標」という。)は、「RANGERS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年9月10日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同22年4月20日に登録査定、同年5月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第8号該当性
本件商標は、メージャーリーグ・ベースボール(以下「MLB」という。)に所属する球団であるTEXAS RANGERS(テキサス・レンジャーズ)の著名な略称である「RANGERS(レンジャーズ)」からなるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、米国MLBの商標権を管理する団体である。MLBに所属する球団「テキサス・レンジャーズ」の著名商標「RANGERS」と本件商標は類似する。さらに、それぞれの商品・役務の需要者層も一致している。しかして、本件商標がその指定商品に使用された場合には、上記商品が申立人、MLB、或いはテキサス・レンジャーズと何らかの関係があるものと誤認されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第8条第1項該当性
本件商標は、申立人に係る平成19年7月2日に登録出願している別掲のとおりの構成からなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とする商願2007-79370号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり、また、本件商標の指定商品は引用商標の指定役務と類似する。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同法第8条第1項に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号及び同第15号該当性
ア 「RANGERS」の周知著名性について
申立人は、「RANGERS」がMLBに属する球団であるテキサス・レンジャーズの著名な略称及び申立人の商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていることを前提に、本件商標が商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当する旨主張しているところ、同条第3項は、同条第1項第8号及び同第15号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に同号に該当しないものについては、この規定は適用しないと規定しているのであるから、本件商標が商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するというためには、本件商標の登録出願時、かつ、登録査定時のいずれにおいても当該各号に該当しなければならないものと解される。
これを踏まえて、申立人が提出した甲第2号証ないし甲第15号証、甲第17号証ないし甲第21号証を検討する。
(ア)甲第6号証は、2010年11月12日にプリントされたウェブページの写し、甲第10号証及び甲第19号証ないし甲第21号証は、平成22年11月26日にプリントアウトされたウェブページの写しであって、いずれも本件商標の登録査定時後のものと認められるところ、本件商標の登録出願時までに記載されたことを認め得る記載がないものであるから、証拠としては採用し得ない。
(イ)甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第7号証、甲第15号証及び甲第17号証には、シアトル・マリナーズ所属のイチローなどの日本人選手が所属する球団の試合が我が国において放送されていたことなどが認められるものの、「RANGERS」及び「レンジャース」の記載は認められない。
(ウ)甲第9号証、甲第11号証及び甲第12号証は、いずれも英文によるウェブページ又は資料の写しであるところ、日本語表記のないウェブページなどが我が国の需要者などを対象としたものとは認め難いものであり、たとえ、MLBに関心を示す我が国の者がこれらを閲覧することがあるとしても、我が国一般の者が頻繁に閲覧したことを認め得る証左もないことから、これらをもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において「RANGERS(レンジャース)」が我が国一般の者に広く知られていたということはできない。
(エ)雑誌記事(甲第4号証)や新聞報道(甲第8号証)などには、「試合中にアスレチックスがレンジャーズに敗れて優勝決定」、野茂英雄に関する見出しの下に「…レンジャーズの伊良部も…」及び「伊良部、仕上が順調」の見出しの下に「…米大リーグ、レンジャーズのキャンプを…」などの記載が認められるほか、ウェブページ(甲第13号証)には、「テキサス・レンジャーズ」の記載が認められるものの、ほかに「レンジャーズ」及び「RANGERS」の記載は見いだすことができない。
(オ)「申立人による宣誓供述書」とする英文により作成された書面(甲第18号証)には、「Exhibit A」ないし「Exhibit JJ」に分けられた書類が添付されているところ、その中の「Exhibit K」に、日本における2004年8月のMLB放送スケジュールに対戦チーム名として「レンジャーズ」の片仮名表記、スカイパーフェクトTVのチラシに「テキサス レンジャーズ」の記載がされていること、及びケロッグ社の販売促進のためのシリアル商品に、「TEXAS RANGERS」、「テキサス・レンジャーズ」の表記と共にテキサスレンジャーズ所属選手がMLB他球団選手と掲載されていること(これら宣伝期間は不明)のほかは、該添付書類の多くは英文によるものであって、それらの書面に「テキサス・レンジャーズ」(球団)に関する記載や球団ロゴマークなどが掲載されているとしても、これらが我が国一般の者に知られる状況にあるようなものということはできない。そして、添付されている邦文の雑誌類や日本のMLBショップ紹介についてのチラシには、「テキサス・レンジャーズ」(球団)に関する記載はにわかに見いだせない。
(カ)以上によれば、我が国で発行された新聞、雑誌などには、主にシアトル・マリナーズ所属のイチローに関する話題のほか、MLB所属の日本人選手に関する掲載もされており、日本人選手が所属する球団の試合が我が国において放送されていたものと認められるから、イチローなどの有名選手の所属する球団及びMLBの存在自体は、我が国一般の者にも知られていたということはできる。
しかし、MLBに所属する球団「TEXAS RANGERS」については、我が国で発行された雑誌、新聞に「レンジャーズ」などの片仮名表記がみられるとしても、その掲載数は極めてわずかなものと認められる。
してみれば、申立人の提出に係る証拠からは、「TEXAS RANGERS」がMLBに所属する球団の一つとして知られているとしても、「RANGERS」又は「レンジャーズ」の略称をもって、本件商標の登録出願時及び査定時において我が国の需要者などの間に広く知られていたものとはいえない。
イ 商標法第4条第1項第8号該当性
前記アのとおり、「RANGERS(レンジャーズ)」は、「TEXAS RANGERS」の著名な略称といえないから、本件商標は、他人の氏名又は他人の名称の著名な略称を含む商標といえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
ウ 商標法第4条第1項第15号該当性
前記アのとおり、「RANGERS(レンジャーズ)」は、MLB所属の「TEXAS RANGERS」の商標として需要者の間に広く認識されているものとはいえないから、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が「TEXAS RANGERS」に係る商標を連想、想起するとはいえないものであって、その商品が「TEXAS RANGERS」又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第8条第1項該当性
ア 本件商標は、前記1のとおり、「RANGERS」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「国立公園管理人」等(「研究社 新英和大辞典第6版」株式会社研究社発行)の意味を有する「ranger」に名詞の複数語尾「s」を付加したものと認められるから、その構成文字に相応して「レーンジャーズ」、「レンジャーズ」の称呼及び「国立公園管理人」の観念が生ずるというのが相当である。
イ 引用商標は、別掲のとおり、野球のボールとやや図案化した「T」の欧文字とを組み合わせた図形の外周に幅広の黒塗りの円を配し、その外周の円内の上部に五稜星に挟まれた「TEXAS」と同下部に「RANGERS」の各欧文字をいずれも白抜きで表した構成からなるものであり、MLB所属チームのシンボルマークを表したものといえる。
そして、該欧文字部分は、独立して自他役務の出所識別標識としての機能を果たすといえるものであるところ、その構成中の「TEXAS」の欧文字がアメリカ合衆国の州を、「RANGERS」の欧文字が上記の意味を理解できるとしても、両語は、同じ書体、同じ大きさをもって円内にまとまりよく表示されており、観念的には一体不可分になる固有の球団名を理解するというのが自然であって、これから生ずると認められる「テキサスレンジャーズ」の称呼も格別冗長というものではなく、語呂よく一気に称呼し得るといえるものである。
そうすると、引用商標は、「テキサスレンジャーズ」の称呼及びMLBのチーム名「テキサスレンジャーズ」の観念を生ずるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否を検討するに、本件商標は、「RANGERS」の欧文字を表してなるものであるのに対し、引用商標は、別掲のとおり、図形と文字とを組合せた構成からなるものであるから、外観においては、判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「レーンジャーズ」、「レンジャーズ」の各称呼と引用商標から生ずる「テキサスレンジャーズ」の称呼とは、「テキサス」の音の有無の相違により顕著な差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。
さらに、本件商標と引用商標の観念は、上記認定のとおりであるから、相違するものである。
ほかに、本件商標と引用商標とが類似すると認めるべき特段の取引の事情は、見いだせない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点からみても非類似の商標といわなければならないから、本件商標の指定商品と引用商標の指定役務の類否について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同法第8条第1項の規定に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標


異議決定日 2011-03-22 
出願番号 商願2009-69573(T2009-69573) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X09)
T 1 651・ 4- Y (X09)
T 1 651・ 271- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 瀬戸 俊晶 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2010-05-28 
登録番号 商標登録第5326543号(T5326543) 
権利者 KDDI株式会社
商標の称呼 レンジャーズ、レーンジャーズ 
代理人 高部 育子 
代理人 松原 伸之 
代理人 村木 清司 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 関口 一秀 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 塚田 美佳子 

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