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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 審判 全部申立て 登録を維持 X30 |
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管理番号 | 1235074 |
異議申立番号 | 異議2010-900255 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-08-23 |
確定日 | 2011-03-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5324655号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5324655号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5324655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、 平成21年9月1日に登録出願、第30類「桜の花びらの形状をしたパイ」を指定商品として、同22年5月6日に登録査定、同年5月21日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりの商標であり(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1335994号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「サクラ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和50年5月13日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同53年7月21日に設定登録され、その後、平成20年12月17日に指定商品を第30類「甘酒,甘酒の素,ゆであずき,シェーク状のアイスクリーム,シェーク状のシャーベット,シェーク状のフローズンヨーグルト,その他のフローズンヨーグルト,フルーツゼリー(菓子),カップ入りゼリー,スナック菓子,いり豆,ムース,レアチーズケーキ,ポテトチップス菓子,その他の菓子,オーツ麦パン,その他のパン」とする書換登録がされたものである。 (2)登録第4420412号商標(以下「引用商標2」という。)は、上段に「さくら」の平仮名と下段に「サクラ」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成6年8月8日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同12年9月29日に設定登録されたものである。 (3)登録第4498849号商標(以下「引用商標3」という。)は、上段に「さくら」の平仮名と下段に「桜」の漢字とを二段に横書きしてなり、平成10年11月27日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同13年8月17日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 本件商標は、「銀のぶどう」及び「さくらパイ」の文字を二行に縦書きしてなる構成態様から、両文字が視覚的に離れたものとして看取されるばかりでなく、これを常に一体不可分のものとする熟語的な特定の意味合いを表現したものと認識しなければいけない特段の理由が存するものとは認められず、本件商標から生じる称呼「ギンノブドウサクラパイ」は冗長であるため、「銀のぶどう」又は「さくらパイ」のいずれかの文字列を捉えて取引に当たると場合も少なくない。 さらに、本件商標中、「銀のぶどう」の文字列は、都内各百貨店等にて、商標権者の店舗名として展開されており、これに接する取引者、需要者をして、商標権者の取扱いに係る商品を表彰する代表的な出所標識として認識され、左側に表した「さくらパイ」の文字列が、独立した商品ごとの出所標識として理解されるのが相当である。例えば、「銀のぶどう」の「さくら」印の「パイ」製品のごとく、「さくら」の部分についても、独立した商品ごとの出所標識として理解されるのが相当であるから、本件商標からは、全体より生ずる「ギンノブドウサクラパイ」の称呼のほか、それぞれ独立して「ギンノブドウ」、「サクラパイ」及び「サクラ」の称呼も生じ、商品を特定する「サクラパイ」あるいは「サクラ」の称呼をもって取引にあたる場合が多いと判断するのが相当である。 そして、商取引においては、簡易迅速が尊ばれ、「さくらパイ」の文字列が独立して自他識別標識としての機能を果たし得るといえるものであり、「さくらパイ」における「パイ」の文字は、「パイ菓子」を指称する語として広く使用され、指定商品との関係において、商品の普通名称を書してなるに過ぎないから、識別力を有する部分は「さくら」の文字にあると見るのが相当である。 よって、本件商標からは、「ギンノブドウサクラパイ」、「ギンノブドウ」及び「サクラパイ」のほかに、本件商標の指定商品「パイ」の部分が捨象され、「サクラ」の称呼、「桜」及び「さくら」の観念が生ずる。 他方、引用各商標からは、「サクラ」の称呼及び「桜」又は「さくら」の観念を生じるものである。 したがって、本件商標は、引用各商標と称呼及び観念において類似する。 また、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品は同一範ちゅうに属する商品である。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)本件商標と引用各商標の類否について 本件商標は、別掲のとおり、右側に「銀のぶどう」の文字を、左側に一文字程度下げて「さくらパイ」の文字を縦二行に書してなるものである。 そして、その構成中の「銀のぶどう」の文字部分は、辞書等に掲載のない造語と認められるものであって、申立人提出の証拠(甲第27号証)によれば、洋菓子などを販売する商標権者の店舗の名称と認められるものであり、また、「さくらパイ」の文字部分は、我が国において植物の名称として良く知られた「桜」に通ずる「さくら」と、商品の普通名称である「パイ」とを結合させたものと容易に認識させるものである。 ところで、本件商標構成中の「さくらパイ」のように、商品名とともに使用される「桜」又は「さくら」の文字は、桜色の色彩、桜の花びら又は花冠の形状、桜の花又は葉の香りを有する商品、あるいは、桜の花や葉の塩漬けを使用した商品であることを表すものとして、食品を扱う業界においては一般的に使用されているものであり、また、本件指定商品が「桜の花びらの形状をしたパイ」であることからすれば、当該文字部分は、取引者・需要者をして商品の品質又は形状を表したと認識させるものであって、自他商品の識別力を有するものとはいえない。 さらに、本件商標は、縦二行からなるものの、各文字は同一の書体、同一の大きさで、全体としてまとまりよく表されているものであるから、その構成上からも、後半の「さくらパイ」あるいは「さくら」の文字部分だけが独立して看者の注意をひくものとは認められない。 したがって、本件商標からは、「ギンノブドウサクラパイ」及び「ギンノブドウ」の称呼のみを生じ、観念については特定の観念を生じないというのが相当である。 他方、引用商標1は「サクラ」の文字を横書きした構成、引用商標2は「さくら」及び「サクラ」の文字を二段に横書きした構成及び引用商標3は「さくら」及び「桜」の文字を二段に横書きした構成からなるものであるから、引用各商標は、いずれも「サクラ」の称呼及び「桜」の観念を生ずるものである。 そこで、本件商標の外観と引用各商標の外観とを比較するに、両者は、外観上構成文字に顕著な差異を有するものであるから十分識別することができ、互い相紛れるおそれのない非類似の商標である。 次に本件商標より生ずる称呼「ギンノブドウサクラパイ」「ギンノブドウ」と引用各商標より生ずる称呼「サクラ」とを比較するに、両者は、称呼上構成音に顕著な差異を有するものであるから十分聴別することができ、互い相紛れるおそれのない非類似の商標である。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、引用各商標とは観念上において比較し得ないものである。 したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
異議決定日 | 2011-02-24 |
出願番号 | 商願2009-66562(T2009-66562) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X30)
T 1 651・ 263- Y (X30) T 1 651・ 261- Y (X30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 孝 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 野口 美代子 |
登録日 | 2010-05-21 |
登録番号 | 商標登録第5324655号(T5324655) |
権利者 | 株式会社グレープストーン |
商標の称呼 | ギンノブドウサクラパイ、ギンノブドーサクラパイ、ギンノブドー、サクラパイ、サクラ |
代理人 | 安彦 元 |
代理人 | 林 信之 |