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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X03 審判 全部申立て 登録を維持 X03 審判 全部申立て 登録を維持 X03 |
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管理番号 | 1235062 |
異議申立番号 | 異議2010-900230 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-08-06 |
確定日 | 2011-02-23 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5320352号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5320352号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5320352号商標(以下「本件商標」という。)は、「LOLAVIE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年4月28日に登録出願、同22年4月16日に登録査定がなされ、第3類「ボディローション,スプレー式ボディオイル,スプレー式ボディ用香水,非薬用の浴用化粧品,香水類,その他の化粧品,ボディソープ,ボディシャンプー,その他のせっけん類,香料類」を指定商品として、同年4月30日に設定登録されたものである。 2 本件登録異議申立ての理由 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。 (1)引用商標 申立人が引用する登録4737108号商標(以下「引用商標」という。)は、「LOLA」の欧文字を標準文字で表してなり、2001年4月3日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張し、平成13年9月28日に登録出願、第3類「スキンクレンザー,肌用せっけん,その他のせっけん類,スキンモイスチュアライザー,スキンローション,日焼け止め用化粧品,ヘアケア用化粧品(医療用のものを除く),つめ手入れ剤,オーデコロン,香水,バスソルト,その他の化粧品,芳香油,香,その他の香料類」、第4類「ろうそく」及び第35類「化粧品・美容用品の販売に関する事務の代行,その他の商品の販売に関する事務の代行,インターネットによる化粧品・美容用品の販売に関する事務の代行,インターネットによるその他の商品の販売に関する事務の代行,化粧品・美容用品の通信販売に関する事務の代行,その他の商品の通信販売に関する事務の代行」を指定商品又は指定役務として、同15年12月26日に設定登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 商品の類似について 本件商標に係る指定商品は、前記1のとおりであり、引用商標に係る指定商品は上記(1)のとおりであるから、本件商標の全ての指定商品が引用商標の指定商品と抵触することは明らかである。 イ 商標の類似について 本件商標は、欧文字で横一連に「LOLAVIE」と書されてなり、その称呼は「ローラビイ」である。 一方、引用商標は、欧文字で横一連に「LOLA」と書されてなり、「ローラ」の称呼が生じる。 そこで、本件商標から生ずる「ローラビイ」の称呼と引用商標から生ずる「ローラ」の称呼とを比較するに、両商標は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含む前半部分において、「ローラ」の称呼を共通にしている。また、引用商標は、以下で説明するように「化粧品」の商標として極めて著名なものであることから、本件商標の語頭部分「LOLA」が先入観念として強く働き、需要者がこれに引きずられて本件商標を引用商標であると誤認混同することは必定である。さらに、簡易・迅速を尊ぶ取引の実際においては、1つの商標から2つ以上の称呼が生じることもあり得る。本件商標中の「LOLA」が指定商品「化粧品」との関係で著名であることを考えあわせると、本件商標は「LOLA」と「VIE」の組み合わさったものであると需要者は認識し、著名な「LOLA」部分に着目して取引に当たる場合も少なくない。 したがって、本件商標よりは「ローラビイ」の称呼に加え、「ローラ」単独の称呼も生じ得る。また、需要者は、本件商標の構成中著名な「LOLA」部分が目に留まるため外観も共通するものである。 ウ 両商標の対比 本件商標の称呼「ローラビイ」と引用商標の称呼「ローラ」を対比すると、両称呼は、ともに称呼における識別上重要な要素を占める語頭音「ローラ」を共通にしている。また、上述したように、本件商標の構成要素中「LOLA」が「化粧品」の商標として極めて著名なものであることから、「LOLAVIE」から「ローラ」単独の称呼も生じ、両商標は「ローラ」の称呼を共通とする相互に相紛らわしいものというべきである。また、両商標は、「化粧品」の商標として極めて著名な「LOLA」部分に目がいくため外観も共通するものである。 エ 取引の実情 商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。ここでいう「取引の実情」には、引用商標の周知・著名性も含まれることは経験則のみならず判決によっても認められるところである(東京高等裁判所平成13年(行ケ)第277号 甲第3号証)。 そして、引用商標の周知・著名性は、具体的な取引状況の下では、出所の混同のおそれを一層増幅させるものとなる。 引用商標は、後述するとおり、商品「化粧品」についてその取引者・需要者間で周知・著名性を獲得していたもので、本件商標の査定時においても継続しているものである。 化粧品はもちろんのこと、それ以外の本件商標の指定商品「ボディローション,スプレー式ボディオイル,スプレー式ボディ用香水,非薬用の浴用化粧品,香水類,ボディソープ,ボディシャンプー,その他のせっけん類,香料類」等も女性をターゲットとした商品という点で、取引者・需要者が重複するものであるから、商品「化粧品」についてのみならず、その他の商品についても出所の混同のおそれを増幅させる可能性は十分ある。 したがって、両商標の称呼・外観の紛らわしさに加えて取引の実情を考慮すれば、両商標の紛らわしさは一層増幅されるのであって、両商標は、称呼上及び外観上類似の商標というべきである。 オ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において類似する商標であり、指定商品においてもそれぞれ上記のとおり相互に同一ないし類似の商品を含むものである。加えて、引用商標の周知・著名性を考慮すれば、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は、「化粧品」について著名な商標である。したがって、本件商標がその指定商品「ボディローション,スプレー式ボディオイル,スプレー式ボディ用香水,非薬用の浴用化粧品,香水類,その他の化粧品,ボディソープ,ボディシャンプー,その他のせっけん類,香料類」について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 ア 引用商標の周知・著名性 申立人は、ハリウッドのセレブが注目するコスメブランドであり、ハリウッドのメイクアップアーティストであるヴィクトリア・ジャクソンを中心として確立されたブランドである(甲第4号証)。申立人は、約10年前から「LOLA」の化粧品販売を始め、本件商標の出願時2009年はもとより現在までの約10年間、引用商標「LOLA」を化粧品に使用し世界各国でブランド展開を行っている。 現在では、コンシーラー、ファンデーション、フェイスパウダー、チークパウダー、チークペンシル、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、口紅、リップグロス、リップペンシル、ボディ用パウダー、化粧用ブラシ、化粧下地、化粧用ペンシル削り、化粧パレット等、豊富なラインアップを誇っている(甲第5号証)。そして、これらの商品は、申立人のホームページからオンラインで購入することが可能である。 申立人の商品は、申立人のホームページ以外でも、楽天、コスメ・コム(cosme.com)といったインターネットサイトで購入することができる。もちろん、マルイシティ上野店、マルイシティ渋谷店、ルミネエスト新宿店、OPAQUE(オペーク)といった店舗でも購入可能である(甲第6号証)。 話題の商品・人気の化粧品のクチコミをランキング形式で見たり検索したりできるインターネットサイト「@cosme(アットコスメ)」等でも、申立人の商品の評判は高く、申立人の商品として69件が紹介されていることからも申立人の商標が周知であることがうかがえる(甲第7号証)。人気のコスメを紹介するコスメ大辞典のサイトにおいても、申立人の商品ラインナップが紹介されている(甲第8号証)。 また、ヒルトン東京は、高層階デラックスフロアとエグゼクティブフロアに、エステなど各種特典を揃えた女性向け宿泊プラン「Urban Girls Escape (アーバン・ガールズ・エスケープ)」を発売した際に、申立人の季節限定ホテルオリジナルアイテムなどの特典をつける等して集客を試みた(甲第9号証)。 さらに、女性をターゲットにした雑誌や美容雑誌などでは、トップブランドの人気コスメに負けない程の高い評価を得ている(甲第10号証)。雑誌以外でも、インターネット上で申立人の商品を紹介するページは、多数見受けられる(甲第11号証ないし甲第14号証)。 以上から明らかなように、引用商標「LOLA」は、ハリウッド発の化粧品ブランドとして取引者・需要者に認識されており、少なくとも本件商標の出願時点においては、「LOLA」は取引者及び需要者間で周知・著名となっていたものである。 イ 本件商標と引用商標の類似性 前記のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音「ローラ」を共通するものであるのみならず、「化粧品」の商標として極めて著名な「LOLA」の文字を語頭に含んでいることから、両商標の類似性は、極めて高いというべきである。 ウ 商品の関連性 申立人は、世界各国で女性をターゲットにした化粧品を製造・販売している。本件商標の指定商品「ボディローション,スプレー式ボディオイル,スプレー式ボディ用香水,非薬用の浴用化粧品,香水類,その他の化粧品,ボディソープ,ボディシャンプー,その他のせっけん類,香料類」も、女性をターゲットにした商品であって、その需要者を共通にする。 エ 混同のおそれ 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、いわゆる狭義の混同のみならず、商品や営業の関連性を想起させる広義の混同が含まれる(最高裁平成10年(行ヒ)第85号、甲第15号証)。さらに、同号の目的からすれば、周知表示又は著名表示へのフリーライドや希釈化(ダイリューション)を防止することも重要であるとされている。 本件の場合、化粧品の分野における引用商標「LOLA」の著名性、申立人が「化粧品」を製造・販売しているという事業実態、ともに女性をターゲットとしているという需要者の共通性等、その商品の提供者や取引者・需要者層の個別・具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも著名ブランドである「LOLA」に係る申立人の提供する商品であるかのごとく誤認され、そうでなくとも何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのごとく誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれは極めて高い。 オ 小括 以上のとおり、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 (4)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、日本国内だけでなく申立人の本拠地であるハリウッドでも広く認識されていたことは、上述したとおりである。本件商標の出願人の本拠地が、申立人の本拠地であるアメリカ合衆国カリフォルニア州ウェストハリウッドのすぐ近くであるアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスであることからも、本件商標の出願人が申立人の商品・商標の存在及びその商品の人気を承知した上で、不正の目的をもって出願・登録をしたことは、容易に推認できる。 以上のとおり、本件商標は申立人の商品を表示するものとして日本国内及び外国において需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標を、不正の目的をもって使用をするものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 3 当審の判断 (1)引用商標の著名性について 引用商標は、「LOLA」の欧文字よりなるものであるところ、申立人提出の甲各号証を徴するに、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第15号証及び甲第16号証は、引用商標の著名性を立証するものではなく、甲第4号証ないし甲第14号証においては、本件商標の出願前より申立人が化粧品について使用する標章は、「Lola COSMETICS」「ローラコスメティクス」などを含む「Lola」(ローラ)であり、これらを一定程度使用していたとしても、その商品の取扱い時期は、申立人の主張によればアメリカ(ハリウッド)などでは約10年前から、日本では2005年から(甲第12号証)で長期にわたるものでなく、その商品の取り扱い店舗数も国内にわずか3店舗であって(甲第6号証)、雑誌による紹介記事も2007年のものがほとんどであり(甲第10号証)、その販売数量等の販売実績も示されていない。また、「Lola」は、しばしば欧米の「女性名」(研究社新英和大辞典 第5版)として使用されているものであるから、独創性もないものであって、申立人提出の証拠によっては、「Lola」が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、日本国内又は外国における需要者の間に広く知られていると認めることはできない。 また、世界10数カ国において「LOLA」などの商標登録をしている(甲第17号証)ことをもって、引用商標が周知・著名であるとすることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「LOLAVIE」の各欧文字を同じ書体、同じ大きさで等間隔でまとまりよく、一体的に表示してなるものであるところ、これは、英語等の成語にはないから、特に観念の生じない造語よりなるものというを相当とし、ローマ字読み、英語読み風にならい、これよりは「ロラビエ」、「ローラビー」の称呼を生じるものというべきであり、前記(1)の認定のとおり、その構成中の「LOLA」が周知・著名なものということもできないから、「LOLA」と「VIE」とに分離して観察すべき特段の理由は見いだせない。 他方、引用商標は、「LOLA」の欧文字よりなるものであるから、「ロラ」又は「ローラ」の称呼を生じ、欧米の「女性名」の観念を生ずるものというべきである。 そこで両商標を比較するに、本件商標と引用商標とは、外観上十分に区別でき、称呼においては、本件商標が「ロラビエ」、「ローラビー」の称呼であるのに対し、引用商標は、「ロラ」、「ローラ」の称呼であるから、両称呼は、構成音及び構成音数に明らかな差異が認められ、これらを一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。 また、観念においては、本件商標から、格別の観念を生じないものであるから、引用商標から欧米の「女性名」の観念が生ずるとしても、比較すべきところがない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号について 前記(2)の認定のとおり、本件商標と引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない、別異の商標であるばかりでなく、(1)の認定のとおり、引用商標「LOLA」が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、需要者の間に広く知られているとまでは認めることができないから、本件商標が著名商標を含む商標ということができず、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者が引用商標を連想、想起するとはいえず、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできないところである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号について 申立人は、「本件商標の出願人の本拠地が、申立人の本拠地であるアメリカ合衆国カリフォルニア州ウェストハリウッドのすぐ近くであるアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスであることからも、本件商標の出願人が申立人の商品・商標の存在及びその商品の人気を承知した上で、不正の目的をもって出願・登録をしたことは容易に推認できる。」と述べているが、「不正の目的」があるとする何らの証拠の提出もなく、また、前記(2)の認定のとおり、本件商標と引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、さらに、(1)の認定のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標「LOLA」が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると認めることもできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。 (5)結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-02-09 |
出願番号 | 商願2009-32354(T2009-32354) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X03)
T 1 651・ 262- Y (X03) T 1 651・ 271- Y (X03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 堀内 真一 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内山 進 |
登録日 | 2010-04-30 |
登録番号 | 商標登録第5320352号(T5320352) |
権利者 | ジェイエイ ライセンシング エルエルシー |
商標の称呼 | ロラビエ、ローラビー |
代理人 | 川島 麻衣 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 景子 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 上原 空也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 稲葉 良幸 |