ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない X43 審判 査定不服 観念類似 登録しない X43 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X43 |
---|---|
管理番号 | 1234953 |
審判番号 | 不服2010-6292 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-23 |
確定日 | 2011-03-23 |
事件の表示 | 商願2007- 82607拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供,インターネットのホームページ及び電子掲示板・携帯電話を利用した飲食物の提供に関する情報の提供,インターネット・携帯電話を利用した飲食物の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供に関する指導又は助言及びこれに関する情報の提供,飲食物の提供に関する予約の媒介又は取次ぎ,持ち帰り可能なレストランにおける飲食物の提供,仕出しによる飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、平成19年7月25日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第3077958号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月24日に登録出願、第42類「フランス料理・アルコ?ル飲料及び茶・コ?ヒ?・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務とする特例商標として、同7年9月29日に設定登録され、同17年11月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標と引用商標との類否について 本願商標は、別掲1のとおり、「lumiere」の文字(最初の「e」にアクサングラーブが付されている。以下、同じ。)に、薄茶色の下線を付した構成よりなるものである。 そして、本願商標は、当該文字部分に相応して、請求人も述べるように、英語読み風に「ルミエール」、及びフランス語読み風に「リュミエール」の称呼を生ずるといえるものであり、該文字は、「光」を意味する比較的平易なフランス語であるところからすれば「光」の観念を生ずるといえるものである。 他方、引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるところ、昨今、文字の図案化が盛んとなり、商標を構成する文字の一部又は全部を判読できる程度に図案化して用いられることが一般に行われている実情に徴すれば、引用商標の語頭部分は、その一部に植物を絡ませた如き図形が付されているものの、「ル」の片仮名文字を表したものと無理なく認識し得るものである。 そして、引用商標は、図案化された「ル」の文字を、他の文字に比べて大きく書し、その右横に「ミエール」の文字を横書きし、さらにその文字中「エ」の上に小さく「CAFE」の文字(「E」にアクサンテギュが付されている。以下、同じ。)を配した構成よりなるところ、商標全体とすれば、図案化された「ル」と「ミエール」の文字とは、多少その大きさを異にするとはいえ、同じ片仮名文字で横一列に書されているところから、「ルミエール」(以下、単に「ルミエール」という。)と一体的に看取され得るものであり、また、当該文字と「CAFE」の文字とは、その文字の大きさおよび片仮名文字と欧文字とで文字の種類を異にすること、上下に分かれて記載されていることからすれば、視覚上分離され、看取させるものといえる。 また、引用商標の構成文字全体から生ずる「カフェルミエール」の称呼は、やや冗長であるといえるものであり、さらに、「CAFE」の文字は、「主としてコーヒーその他の飲料を供する店。」(広辞苑第六版)を意味する語であり、本願の指定役務中、「飲食物の提供及びこれに関連する役務」との関係においては、役務の質を表示する自他役務識別標識としての機能を果たし得ない部分として認識されるものである。 さらにまた、引用商標の構成文字全体でなんらかの特定の意味合いを看取させる等、これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとするべき特段の事情も認められないものである。 そうとすれば、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標に接する取引者、需要者は、構成中小さく書された「CAFE」の文字部分を捨象し、大きく書された「ルミエール」の文字部分に強く印象を留め、これを捉えて商取引に資する場合も決して少なくないというべきである。 よって、引用商標は、構成文字全体に相応した「カフェルミエール」の一連の称呼のほか、「ルミエール」の文字部分に相応した「ルミエール」の称呼をも生ずるものであり、これよりは、特定の観念は生じないものである。 そこで、本願商標と引用商標との類否について判断するに、本願商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、その外観が全体としては異なるものの、上記したとおり、本願商標と引用商標とは、「ルミエール」の称呼を共通にするものである。 また、引用商標は、特定の意味合いを看取させるものとはいえないものである以上、本願商標と引用商標とは、観念において比較することはできない。 そして、本願の指定役務は、引用商標に係る指定役務と同一または類似の役務を含むものである。 したがって、本願商標と引用商標とは、その外観上異なるものであって、観念上比較し得ないとしても、その称呼を共通にする類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「引用商標の構成中の語頭部分は何らかの文字と認識するのではなく、モノグラム化された図形であると認識されるのが相当である。すると引用商標中、片仮名と思しき部分は図形と文字からなるものであるが、これらを常に一体として捉えるべき理由はなく、当該部分からは「ミエール」の称呼のみが発生する。仮に引用商標の語頭部分が「ル」の文字とされた場合でも、引用商標はその構成から「カフェルミエール」の称呼のみが生じるものである。」旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標の構成中の語頭部分は、「ル」の片仮名文字を表したものと無理なく認識し得るものであって、このことは、その右に配された「ミエール」の文字部分中「ル」の文字とほぼ同様の字形よりなるところからも裏づけられるものであり、そして、引用商標は、その構成全体から「カフェルミエール」の称呼を生ずることを否定するものではないが、その構成中大きく書された「ルミエール」の部分を要部として捉え、該文字より「ルミエール」の称呼をも生ずること、上記(1)のとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。 イ 請求人は、「両商標の外観には顕著な違いがあるため、この一見して把握される外観の相違により、需要者等は異なった印象を抱き、それが記憶されるため、両商標を取違えることは無いと見るのが相当である。従って、例えこれらをその指定役務について使用したとしても、出所についての誤認混同は生じないため、両商標は非類似であると判断されるべきである。というのも、商標は具体的構成を抜きにして存在し得ないものであり、電話等の音声により識別が行われる場合があるとしても、実際の商取引の現場において、音声だけによることは稀である。むしろ、本件両商標が共通する指定役務「飲食物の提供」という分野では、パンフレットや広告等に記載された商標を記憶し、または目視により店名を確認して役務を選択するのが一般的である。」旨主張する。 確かに、「飲食物の提供」という分野において、パンフレットや広告等に記載された商標を記憶し、または目視により店名を確認して役務を選択する場合もあることは、否定するものではない。 しかしながら、昨今、一般にテレビ、ラジオ等による音声を用いた宣伝・広告が広く行われているところ、「飲食物の提供」という分野においても、飲食店の新規開店や店舗紹介等を行うための宣伝・広告は、パンフレット等の紙媒体のみで行われるものではなく、画像や音声を用いた宣伝・広告が広く行われている(平成22年(行ケ)10150 平成22年8月19日判決言渡 参照)ことからすれば、本願商標と引用商標において共通にする「ルミエール」の称呼は、両商標に共通する指定役務「飲食物の提供」に係る取引においても、重要といえるものであって、上記(1)のとおり、両商標は、その称呼を共通にする類似の商標であるといわざるを得ない。 したがって、かかる請求人の主張も採用することができない。 ウ 請求人は、過去の登録例や審決例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例や審決例等は、商標の構成、使用に基づく特例の適用を受けた商標等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例や審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。 (3)まとめ したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 (本願商標) (色彩については原本参照されたい。) 別掲2 (引用商標) |
審理終結日 | 2011-01-26 |
結審通知日 | 2011-01-27 |
審決日 | 2011-02-09 |
出願番号 | 商願2007-82607(T2007-82607) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(X43)
T 1 8・ 261- Z (X43) T 1 8・ 262- Z (X43) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀内 真一、長澤 祥子、山根 まり子 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 小川 きみえ |
商標の称呼 | リュミエール、ルミエール |
代理人 | 小笠原 史朗 |