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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X35
審判 査定不服 観念類似 登録しない X35
管理番号 1234877 
審判番号 不服2010-8765 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-23 
確定日 2011-03-08 
事件の表示 商願2009-42498拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成21年6月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下の(1)ないし(9)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1527584号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和52年1月13日に登録出願、第30類「洋菓子」を指定商品として、昭和57年7月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成14年4月24日に指定商品を第30類「洋菓子」とする書換登録がなされたものである。
(2)登録第4211851号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、平成9年2月28日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成10年11月20日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(3)登録第4231610号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成9年2月28日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成11年1月22日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(4)登録第4679521号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成14年9月9日に登録出願、第30類「菓子及びパン」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成15年6月6日に設定登録されたものである。
(5)登録第4680686号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲6のとおりの構成からなり、平成14年9月9日に登録出願、第30類「パン,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」を指定商品として、平成15年6月6日に設定登録されたものである。
(6)登録第4704773号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲7のとおりの構成からなり、平成15年2月3日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,サンドイッチ,すし,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,食用のプロポリス」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成15年8月29日に設定登録されたものである。
(7)登録第4713153号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲8のとおりの構成からなり、平成15年2月21日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,サンドイッチ,すし,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,食用のプロポリス」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成15年9月26日に設定登録されたものである。
(8)登録第4806002号商標は、別掲9のとおりの構成からなり、平成15年11月21日に登録出願、第30類「菓子及びパン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,おむすび,粥,ピロシキ,春巻,食用プロポリス,食用ローヤルゼリー」を指定商品として、平成16年9月24日に設定登録されたものである。
(9)登録第4809783号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲10のとおりの構成からなり、平成15年11月21日に登録出願、第30類「菓子及びパン,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,おむすび,粥,ピロシキ,春巻,食用プロポリス,食用ローヤルゼリー」を指定商品として、平成16年10月15日に設定登録されたものである。
(以下、引用商標1ないし引用商標6について、一括していうときは、「引用商標」という。)

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「神楽坂」の文字と「KIMURAYA」の欧文字とを二段に書してなるところ、かかる構成にあっては、「神楽坂」の文字と「KIMURAYA」の文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そして、その構成中、「神楽坂」の文字部分は、「東京都新宿区東部の地名。」(「大辞泉」小学館発行)を意味する語であり、単に役務の提供場所を表示するにすぎないから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、本願商標は、「KIMURAYA」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るというのが相当である。
してみれば、本願商標は、構成全体から生ずる「カグラザカキムラヤ」の一連の称呼を生ずるほか、「KIMURAYA」の文字部分に相応して、単に「キムラヤ」の称呼をも生ずるものあり、観念については、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。

イ 引用商標について
本願商標と引用商標との類否について検討する。
(ア)引用商標1
引用商標1は、別掲4のとおり、極太線の二重円の図形を描き、その下部の上段に「KIMURAYA」の欧文字及び「GINZA」の欧文字を二段に書してなり、さらにその下部に赤色、青色、緑色で塗られた長方形の図形を配した構成よりなるところ、かかる構成にあっては、各図形部分と各文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上もこれらが常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そこで、その構成中「KIMURAYA」及び「GINZA」の文字部分について考察すると、両文字はその構成が二段に分離し、かつ、その態様及び大きさも異なるものであるから、それぞれが独立して認識されるものと認められる。
そして、下段に小さく表された「GINZA」の文字部分は、「東京都中央区の地名。」(前掲大辞泉)を意味する語である「銀座」を欧文字で表してなるものであるから、単に商品の販売地を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、引用商標1は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標1は、構成文字全体に相応して「ギンザキムラヤ」の一連の称呼が生ずるほか、「KIMURAYA」の文字部分に相応して「キムラヤ」の称呼が生ずるものであり、観念については、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
(イ)引用商標2
引用商標2は、別掲5のとおり、右上がりの赤色の長方形内に、白抜きのドーナツ状の図形を中央に描き、その上部に白抜きの「LEGRAND」の欧文字を横書きし、中央の右側に「GINZA」及び「KIMURAYA」の欧文字を二段に書してなり、下部に「ルグランドゥ」の片仮名文字を配した構成よりなるところ、かかる構成にあっては、図形部分と各文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上も図形部分と「LEGRAND」及び「ルグランドゥ」の文字、「GINZA」及び「KIMURAYA」の各文字が常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そこで、「GINZA」及び「KIMURAYA」の文字部分について考察すると、両文字はその構成が二段に分離して表されているものであるから、それぞれが独立して認識されるものと認められる。
そして、上段の「GINZA」の文字部分は、単に商品の販売地又は役務の提供場所を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、引用商標2は、独立して自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得る「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標2は、「LEGRAND」、「ルグランドゥ」、「GINZA」及び「KIMURAYA」の各文字に相応して「ルグランドゥ」及び「ギンザキムラヤ」の称呼を生ずるほか、「KIMURAYA」の文字部分より「キムラヤ」の称呼をも生ずるものであり、観念については、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
(ウ)引用商標3
引用商標3は、別掲6のとおり、正方形内に茶色の矢印をモチーフとした図形を該正方形の輪郭に沿うように配し、中央には麦の穂を描いたと思しき背景図形、上部に「ginza grill」、及び緑色で「Delicatessen Bread」の文字、中央部に「銀座」及び「グリル」の文字を二段に書してなり、下部に、緑色で「GINZA KIMURAYA」の文字を横書きした構成よりなるところ、かかる構成にあっては、各図形部分と各文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上も各図形部分と「ginza grill」及び「銀座グリル」、「Delicatessen Bread」、「GINZA KIMURAYA」の各文字が常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そして、その構成中の「Delicatessen Bread」の文字部分は、全体として「調整パン」(「ジーニアス英和大辞典」大修館書店発行)程の意味合いを認識させ、「ginza grill」及び「銀座グリル」の文字部分は、「grill」及び「グリル」の各文字部分が「網焼き料理」を意味合いを有する語であることから、全体として「銀座の網焼き料理」程の意味合いを認識させるものであり、その指定商品との関係において、商品の内容を表示するものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認められる。
そこで、「GINZA」及び「KIMURAYA」の文字部分について考察すると、両文字は、同色で横一列に書されてなるものの、両文字の間に半角スペースほどの間隔があり、かつ、文字の大きさも異なるものであるから、それぞれが独立して認識されるものと認められる。
そして、前半にやや小さく書された「GINZA」の文字部分は、単に商品の販売地を表示するにすぎないから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、引用商標3は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標3は、「GINZA KIMURAYA」の文字に相応して「ギンザキムラヤ」の称呼を生ずるほか、「KIMURAYA」の文字部分より「キムラヤ」の称呼をも生ずるであり、観念については、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
(エ)引用商標4
引用商標4は、別掲7のとおり、「BAKERY CAFE」の欧文字と「銀座 木村屋總本店」の文字を二段に書してなり、その下部に極太線の二重円の図形を描き、その下部の上段に「KIMURAYA」及び「GINZA」の欧文字を二段に書した構成よりなるところ、かかる構成にあっては、該図形部分と各文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上もこれらが常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そして、その構成中の「BAKERY CAFE」の文字部分は、「BAKERY」の文字が「製パン所;パン屋、焼いたパン」、「CAFE」の文字が「コーヒー[喫茶店]」(前掲ジーニアス英和大辞典)の意味合いを有する英語であることから、全体として「焼いたパンを提供する喫茶店」程の意味合いを認識させるものであるから、その指定商品及び役務との関係において、商品及び役務の内容を表示するものであるから、自他商品及び役務の識別標識としての機能を有しないものと認められる。
そこで、「KIMURAYA」及び「GINZA」の文字部分について考察すると、両文字はその構成が二段に分離し、かつ、その態様及び大きさも異なるものであるから、それぞれが独立して認識されるものと認められる。
そして、下段に小さく表された「GINZA」の文字部分は、単に商品の販売地又は役務の提供場所を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、本願商標は、独立して自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得る「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標4は、「銀座 木村屋總本店」の文字部分より、「ギンザキムラヤソウホンテン」及び「キムラヤソウホンテン」の称呼を生ずるほか、「KIMURAYA」の文字部分より「キムラヤ」の称呼が生ずるものであり、「木村家總本店」の文字部分中、「家」の文字が「その職業の家またはその人を表す語。」(広辞苑 第六版)を意味する語であることから「木村家なる店の總本店」程の観念を生ずるものとみるのが相当である。
(オ)引用商標5
引用商標5は、別掲8のとおり、「座銀京東」の文字、独特の書体で書された「家村木」の文字を二段に書してなり、その下部に極太線の二重円の図形を描き、その下部の上段に「KIMURAYA」及び「GINZA」の欧文字を二段に横書きした構成よりなるところ、かかる構成にあっては、該図形部分と各文字部分とは視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上も「座銀京東」、「GINZA」、「家村木」及び「KIMURAYA」の文字部分が常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そこで、「KIMURAYA」及び「GINZA」の文字部分について考察すると、両文字はその構成が二段に分離し、かつ、その態様及び大きさも異なるものであるから、それぞれが独立して認識され易いものと認められる。
そして、下段に小さく表された「GINZA」の文字部分は、単に商品の販売地又は役務の提供場所を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
また、その構成中の「東京銀座」の右読みの「座銀京東」及び「GINZA」の各文字部分は、単に商品の販売地又は役務の提供場所を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、引用商標5は、独立して自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得る「木村家」の右読みの「家村木」及び「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標5は、「家村木」及び「KIMURAYA」」の文字部分より「キムラヤ」の称呼が生ずるものであり、「木村家なる店」程の観念を生ずるものとみるのが相当である。
(カ)引用商標6
引用商標6は、別掲10のとおり、「座銀」、独特の書体で書された「家村木」及び「KIMURAYA」の文字を三段に横書きしてなるところ、かかる構成にあっては、「座銀」の文字と「家村木」及び「KIMURAYA」の各文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上、「座銀」の文字部分と「家村木」及び「KIMURAYA」の文字部分とは常に一体不可分のものとしてのみ、看取、把握されなければならない特段の事情も見出せないものである。
そこで、「座銀」、「家村木」及び「KIMURAYA」の文字部分について考察すると、各文字部分は三段に分離し、かつ、その態様及び大きさも異なるものであるから、それぞれが独立して認識され易いものと認められる。
そして、その構成中、上段に書された「銀座」の右読みの「座銀」の文字部分は、単に商品の販売地を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分であるといわざるを得ない。
そうとすると、本願商標は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「木村家」の文字を右から表したものである「家村木」及び「KIMURAYA」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、引用商標6は、「家村木」及び「KIMURAYA」の各文字部分より「キムラヤ」の称呼が生ずるものであり、「木村家なる店」程の観念を生ずると見るのが相当である。

ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標1ないし3とは、それぞれの構成に照らし外観上区別し得るものであり、観念については、両者が特定の意味合いを有しない一種の造語であることから比較できないとしても、本願商標より生ずる「キムラヤ」の称呼と引用商標1ないし3の「KIMURAYA」の文字部分から生ずる「キムラヤ」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本願商標と引用商標4ないし6とは、それぞれの構成に照らし外観上区別し得るものであり、観念については、本願商標が特定の意味合いを有しない一種の造語であるのに対し、引用商標4が「木村家なる店の總本店」、引用商標5及び6が「木村家なる店」程の観念を生ずることから比較することができないとしても、本願商標から生ずる「キムラヤ」の称呼と引用商標4ないし6の「KIMURAYA」及び「家村木」の文字から生ずる「キムラヤ」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
以上よりすれば、本願商標と引用商標とは、それぞれの外観及び観念における差異を考慮してもなお、「キムラヤ」の称呼を共通にする類似の商標というべきであり、かつ、本願商標の指定役務は、引用商標の指定商品及び役務と類似の商品を包含するものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「『KIMURAYA』は、一般的に広く使用されているありふれた名称であり、自他役務の識別標識を十分に発揮する商標とは言えない。」旨主張しているが、「KIMURAYA」の文字は、直ちに特定の観念を想起させるものではなく、当審において職権をもって調査するも、「KIMURAYA」の文字が、本願指定役務を取り扱う分野において、広く一般に使用されているありふれた名称であり、自他役務の識別標識としての機能を有しない文字であるとするという事実及びそのように認識される実情は見出すことはできず、かつ、請求人も前記主張を裏付ける証拠を何ら提出していないから、請求人の該主張を採用することはできない。

イ 請求人は、「約80年間の長きに亘り、近い店舗において、本願出願人が販売するパン等の商品及びパン等の飲食料品を提供する小売役務と引用商標権者が販売するパン等の商品とが、出所の混同を生じることなく識別されてきたことを踏まえると、本願商標と引用商標とは出所の混同を生じるおそれのない非類似の商標である。」旨主張しているが、両商標の商品及び役務の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる具体的な取引の実情を見出すことはできず、かつ、請求人は、該主張を裏付ける具体的な資料も提出していない。
そうとすると、需要者、取引者が両商標に時と所を異にして接した場合、互いに紛れるおそれは極めて高いというべきであり、請求人の該主張を採用することはできない。

ウ 請求人は、「きむらや」の文字を含む商標と引用商標との併存登録例をあげ、「本願商標も登録されるべきである。」旨主張しているが、請求人の挙げた登録例は、対比する商標の構成態様等において本願とは異なるものであるばかりでなく、商標の類否判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、請求人の該主張も採用することはできない。

(3)まとめ
以上よりすれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(登録第1527584号商標)


別掲3(登録第4211851号商標)


別掲4(引用商標1)(色彩については原本参照)


別掲5(引用商標2) (色彩については原本参照)


別掲6(引用商標3)(色彩については原本参照)



別掲7(引用商標4)


別掲8(引用商標5)


別掲9(登録第4806002号商標)


別掲10(引用商標6)


審理終結日 2010-12-22 
結審通知日 2011-01-07 
審決日 2011-01-18 
出願番号 商願2009-42498(T2009-42498) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X35)
T 1 8・ 262- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 カグラザカキムラヤ、キムラヤ 
代理人 長島 繁樹 

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