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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025 |
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管理番号 | 1233394 |
審判番号 | 取消2010-300397 |
総通号数 | 136 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-04-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-04-07 |
確定日 | 2011-02-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4153259号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4153259号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年2月27日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,スカーフ,帽子,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)げた,草履類」を指定商品として、同10年6月5日に設定登録、その後、同20年6月17日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、請求書及び答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されている事実は見いだせない。加えて、登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録もなく、使用権者が使用していることも考えられない。したがって、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録を取り消すとの審決を求める。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は、本審判請求の予告登録前3年以内に本件商標を付した商品を販売した実績があると主張し、その証拠として、在庫商品の写真(乙第1号証)、納品書の写し(乙第2号証)、本件商標の更新申請登録通知書の写し(乙第3号証)及び被請求人の名刺、商品タグ、宅配便の送り状(乙第4号証)を提出しているが、当該証拠は、被請求人が本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において本審判に係る指定商品について本件商標を使用したことを立証するものではない。 (2)乙第1号証及び乙第2号証について 被請求人は、答弁書において、1984年から2001年まで本件商標を使用した後、2001年秋からは、ブランド名をYukikoKawasakiに変更して営業していること、ただし、現在においても、本件商標が付された商品を保有しており、毎年、少量ながらセール等で販売し続けていることを主張している。しかしながら、被請求人が取り扱う商品は、被服やベルト等といったアパレル商品であるところ、アパレル商品は、刻々と流行が変遷してゆくものであり、ある商品が翌年には流行遅れになっていることも全く珍しいことではない。そして、本件商標をブランド名として使用しなくなってから約10年もの日々が経過していることを考え合わせると、約10年前に廃止されたブランドの商品が現在も在庫として残っており、少量ながら販売し続けているというのは、不自然である。 また、乙第1号証に係る商品番号「K-5569-1」「K-4275-l」「K-6201-2」の札が付されたジャケット、ワンピース、コートの3点については、商品番号が乙第2号証の納品書に挙げられているが、残りの帽子11点、ベルト7点、洋服7点については、商品番号が乙第2号証の納品書に挙げられていない(なお、2007年6月30日付け納品書(N0.1889)には、商品番号「KH-107-l」の横に「Kokyu/コキュブランドの帽子」の文字が併記されているが、第1号証に写っている帽子には、商品番号の記載がないため、「KH-107-1」が、本件商標が付された帽子の商品番号である証拠はない。)。よって、上記3点以外の商品については、ただ商品の写真が提出されているのみであり、市場において流通したことを示す証拠は、何一つない。また、乙第1号証には、写真の撮影者、撮影日、撮影場所等が何ら明示されていないため、この点からも、被請求人が在庫として本件商標が付された商品を保有し、かつ流通させたことを示す証拠にはならない。 一方、商品番号「K-5569-1」のジャケットについては、本件商標に係る織ネームと商品タグが使用された状態の写真とともに、2007年1月9日付け納品書が提出されているが、当該納品書の日付は、本審判請求の予告登録日である2010年4月28日(「26日」は「28日」の誤り。)より3年以上前であるため、被請求人が予告登録前3年以内に日本国内において本審判に係る指定商品について本件商標を使用したことを立証するものではない。次に、商品番号「K-4275-l」のワンピースについては、本件商標に係る織ネームと商品タグが使用された状態の写真とともに、2007年8月15日付け納品書が提出されている。しかしながら、写真に写ったプライスタグに記載された金額は、38,000円である一方、納品書の商品番号「K-4275-l」の金額は、3,800円であり、両者の金額は、一致しない。また、納品書の宛名には「中島様」と苗字が記載されているのみであり、中島氏の住所及び名前は不明であるため、商品が流通したことを示す証拠としては信憑性に乏しく、不十分な証拠である。最後に、商品番号「K-6201-2」のコートについては、本件商標に係る織ネームと商品タグが使用された状態の写真とともに、2010年1月21日付け納品書が提出されている。しかしながら、当該納品書には「<仮伝票>」の文字の記載があり、かつ納品書の品名、数量、摘要全てに取り消し線が引かれているため、当該納品書は、正式な納品書ではないことがうかがえる。よって、「K-6201-2」のコートについては、商品が流通したことを示す正式な決済書類の提出はされていない。以上より、「K-5569-1」「K-4275-1」「K-6201-2」の札が付されたジャケット、ワンピース、コートについても、被請求人が在庫として本件商標が付された商品を保有し、かつ流通させたことを示す証拠は提出されておらず、被請求人が本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において本審判に係る指定商品について本件商標を使用したことは証明されていない。 (3)乙第3号証及び乙第4号証について 被請求人は、答弁書において、セカンドブランドあるいは小物部門として本件商標の継続使用の予定があることから、2008年6月に本件商標の更新登録申請を行っていると述べ、乙第3号証の本件商標の更新申請登録通知書の写しを提出しているが、商標法第50条は、審判請求の予告登録前3年以内の日本国内における登録商標の使用の事実の有無により、登録を取り消すか否かを判断するものであり、本件商標の使用の予定があることは、商標法第50条による登録取消しにあたり、何ら考慮されるものではない。 また、被請求人は、乙第4号証として、被請求人の名刺、織ネーム、宅配便の送り状を提出し、本件商標の片仮名表記「コキュ」を被請求人の会社名としても使用していること、被請求人の会社名の英語表記を「Kokyu.co.ltd」としていることを述べているが、名刺及び宅配便の送り状には、本件商標そのものの使用はされていない上、そもそも名刺及び宅配便の送り状についての商標の使用は、商標法上の「商品についての商標の使用」にはあたらない。また、織ネームには、本件商標と同一の商標が使用されているが、本件商標を使用した織ネーム及び商品タグが付された商品が市場において流通した証拠がない以上、当該織ネームは、被請求人が本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において本審判に係る指定商品について本件商標を使用したことの証拠にはなり得ない。 3 口頭審理における陳述 (1)「K-4275-1」(ワンピース)について 被請求人は、当該ワンピースの納品書とプライスダグの金額が一致しないことについて、定価の10%の価格で個人得意先に販売したと主張したうえで、商品が実際に取引された証拠として、出納帳の写しを提出しているが、納品書及び出納帳は、いずれも被請求人側が作成した取引書類であり、「中島」氏が当該商品を実際に購入し受領したことを示す証拠は一切提出されておらず、当該商品が実際に取引されていたことは明確に証明されていない。 また、「中島」氏なる個人の住所及び名前が具体的に特定されていないことから、当該書類は証拠として信ぴょう性に欠けるものである。加えて、商品番号「K-4275-1」が「kokyu」ブランドの商品であることを示す証拠は甲第1号証の写真しかないが、当該左側の写真のワンピースの袖に付けられた商品タグの裏側が、右側の写真(商品番号が示された商品タグ)に写されているわけではない。また、右側の写真は、織ネームが二つに折り曲げられた状態で撮影されているため、本件商標が織ネームに付されていることも明らかでなく、加えて、写真の撮影日時も明らかとなっていない。商品タグを商品に付して写真撮影することは非常に容易であり、当該商品が流通したことを客観的に示す証拠が提出されていないことを考え併せると、商品番号「K-4275-1」の商品が「kokyu」ブランドの商品として実際に流通した事実は証明されていない。 さらに、本件審判請求前に外部の調査会社に依頼した使用調査報告書(甲第3号証)のとおり、被請求人の販売担当者は、「以前は『kokyu』をブランド名として使用していたが、今は代表者の名前を使ったブランド名を使っており、『コキュ』は会社名として使用している。」、「商品は婦人服のみで、ベルトバンド等の小物類は取り扱っていない。」と電話で回答していることからすれば、被請求人自身が「kokyu」ブランドの商品を通常の取引の場では流通させていないことを推測させる証拠である。 (2)「K-6201-2」(コート)について 被請求人は、商品番号「K-6201-2」に係る納品書の「〈仮伝票〉」の文字および取り消し線について、返品された商品であって商品が売り上げられることがなかったため、正式な納品書・請求書にならなかった旨を釈明しているが、これは、「K-6201-2」の商品が、実際に市場において取引されなかったことを示すに他ならず、「K-6201-2」に係る証拠は、本件商標の使用を証明するものではない。 (3)乙第5号証について 被請求人は、乙第5号証として、商品番号「K-4275-1」の取引書類の他にも、納品書、請求書等の取引書類の写しを提出しているが、「K-4275-1」以外の商品番号は、乙第1号証の写真から判別できる商品番号に挙がっていない。よって、前記(1)の商品番号「K-4275-1」の取引書類を含む全ての乙第5号証に係る書類は、「kokyu」ブランドの商品が実際に市場において流通したことを示す証拠とはいえない。 (4)乙第6号証について 乙第6号証は、2010年7月31日付けの納品書等の取引書類の写しであり、予告登録日より後である。 以上のとおり、被請求人の提出する証拠は全て、本件商標が日本国内において本審判請求の登録前3年以内に、本審判請求に係る指定商品について使用していた事実を証明するものではない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 1 請求に対する答弁 (1)被請求人は、本件商標を1984年?2001年まで使用していた。2001年秋よりブランドイメージアップの為、ブランド名をYukikoKawasaki(商標登録4541556号)として営業している。ただし、本件商標の商品は、現在でも保有しており(乙第1号証)、毎年、少量ながら、セール等で販売し続けている。(乙第2号証)。 (2)また、本件商標は、被請求人におけるセカンドブランド、あるいは小物(スカーフ、帽子、ベルト)部門として継続使用を予定しており、その為、平成20年(2008年)6月に更新登録の手続きをしている。(乙第3号証)。 (3)本件商標のカタカナ表記は、弊社の社名でもあり、英字表記の名刺、雑貨等の輸入の際の社名表記は、Kokyu.co.ltdとしており、創業より26年、法人設立より24年、正当な手続きをして保有している商標を侵害されることを認めることはできない。 2 口頭審理における陳述 (1)「K-4275-1」のプライスタグと販売額の不一致について 当該商品は、個人得意先に2007年8月15日に販売した商品であり、6年の歳月がたった2001年夏シーズンの商品であるため、セール品10%で販売した。販売は、当日現金での受け渡しとしたため、入金金額は出納帳での確認となる。 正規のプライスタグと売値が異なっているのは、業者へ卸す際の値段はあくまで卸し値であって、小売業者からお客に販売される時点で正規プライスとなるものであり、通常、被請求人にとっては、正規プライスでの売上げ単価とはならない。また、「kokyu」ブランド商品の取扱いは、セールでの販売となるため、通常時に比べ安価に設定されている。 (2)「K-6201-2」の納品書の仮伝票・消し線について 当該納品書は、2010年1月のイベントの際に納品した商品のひとつであるが、商品が売り上げられることはなかったので、正式な納品書・請求書にはならなかった。 (3)乙第5号証及び乙第6号証として、請求書・納品書の控え、及びそれに対する入金の確認できる資料を提出する。 「kokyu」は10年前の商品であるため、在庫も少なくなってきているが、ここ3年の中でも流通量は少ないものの、全く流通がないものではない。 第4 被請求人に対する通知(審理事項通知) 当審において、被請求人対し「『K-4275-l』(ワンピース)の納品書とプライスタグの金額が一致しないこと及び『K-6201-2』(コート)の納品書についての説明」及び「実際に取引されていたことを明確に証明するための証書の提出」を求める旨の通知を行った。 第5 当審の判断 1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、「本件商標の在庫商品の一部写真」とするものであり、そこには、「帽子」「ベルト」「ブラウス」「ジャケット」「ワンピース」「パーカ」「コート」が示されており、それらの「襟ネーム」「下げ札」に本件商標と同一の構成からなる「kokyu」商標が付されたものが示されている。 (2)乙第2号証は、「本件商標の販売実績伝票の一部」とするものであるが、3枚目上部の、2007年8月15日を作成日とする納品書(控)中に商品番号「K-4275-l」とあり、乙第1号証で示された写真9枚目のワンピースの商品番号に符合する。ただし、本商品は、その商品タグに単価が¥38,000とあるのに対し、納品書では、3800と記載されており、金額が一致していない。なお、この点については、口頭審理における陳述において、「6年の歳月がたった2001年夏シーズンの商品であるため、セール品10%で販売した。」と説明されており、この説明に不自然な点は認められない。 (3)乙第5号証として、乙2号証に対応する取引書類である請求書(控)、当座勘定照合表及び出納帳(写)等が提出されている。このうち、9枚目上部に示された納品書は、乙第2号証の3枚目上部の納品書(控)(乙第1号証で示された写真9枚目のワンピースの商品番号に符合する商品番号「K-4275-l」を含む)と同一のものであり、また、9枚目下部の出納帳(写)には、平成19年8月15日に前記納品書(控)に記入された額の入金があったことが記入されている。 (4)平成22年12月10日の口頭審理において、乙第1号証中のワンピース(「K-4275-1」)について現物を確認した。 これにより、乙第1号証9枚目の写真に示された、当該ワンピースの二つ折りとなっていた織ネームに、本件商標と同一の構成からなる「kokyu」商標が付されていることを確認し、また、ワンピースに付けられている商品タグの表面に当該商標が、裏面に商品番号「K-4275-1」が表示されていることを確認した。なお、当該商品タグは、乙第1号証9枚目の写真のワンピースに付されていたものと同一のものであると認められる。 (5)なお、乙第2号証の一枚目上部の納品書(控)中の商品番号「K-5569-1」は、乙第1号証で示された写真5枚目のジャケットの商品番号と符合するが、納品書の作成日は2007年1月9日であり、本件審判の請求登録前3年以内には該当しない。また、乙第6号証として、請求書(控)等が提出されているが、「kokyu」ブランドの商品とする「No.338」の納品書(控)及び請求書(控)は、その作成日を2010年7月31日とするものであり、本件審判の請求登録日より後のものである。 さらに、乙第2号証の5枚目下部の納品書(控)中の商品番号「K-6201-2」は、乙第1号証で示された写真12枚目のコートの商品番号と符合するが、当該納品書には、「<仮伝票>」の文字の記載があり、かつ納品書の品名、数量、摘要全てに線が引かれていることからすれば、正式な取引があったものとは認められない。 そして、乙第3号証として本件商標の「更新申請登録通知書」及び乙第4号証として名刺、宅配便の伝票等が「本件商標の印刷物の一部」として提出されているが、これらは本件商標の使用の事実を示すものとはいえない。 2 以上の事実認定によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成22年4月28日)前3年以内である平成19年8月15日に、「kokyu」商標が付された商品番号「K-4275-1」のワンピースを販売していたことを認めることができる。 そして、本件商標は別掲のとおりややレタリングされた「kokyu」の文字よりなるところ、乙第1号証9枚目の写真(ワンピース)に付されている「kokyu」商標は、本件商標と同一の構成からなるものであり、社会通念上同一の商標と認められるものである。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中の「洋服」に含まれる「ワンピース」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたものと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審決日 | 2011-01-11 |
出願番号 | 商願平9-19874 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(025)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 野口 美代子 |
登録日 | 1998-06-05 |
登録番号 | 商標登録第4153259号(T4153259) |
商標の称呼 | コキュ |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |