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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 116
管理番号 1233262 
審判番号 取消2010-300086 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-01-19 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2666007号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2666007号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成2年9月20日に登録出願、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同6年5月31日に設定登録されたものである。その後、同17年3月23日に第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、現に、有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同22年2月5日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品のうち「印刷物」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「印刷物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人が提出している書類からは、本件商標が、商標権者、専用使用権者または通常使用権者によって、日本国内において、使用されていることの証明はなされていない。
(2)弁駁の根拠
ア 乙第1号証ないし乙第5号証について
(ア)被請求人は、答弁書において、本件商標が正規に許諾された通常使用権者により使用されている旨主張し、証拠として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
しかし、乙第1号証ないし乙第5号証は、「サービスに関」する許諾であり、取消対象である「印刷物」、つまり、商品についての商標の使用及びその使用許諾を許すものではない(乙第1号証ないし乙第5号証の抄訳参照)。
また、被請求人は抄訳を提出していないが、乙第1号証の5頁の「d.」では、本許諾はサービスに関しての商標の使用に限定されている(This grant to CSI and its related organizations is limited to use of the Marks in connection with services.)。そして、書籍及びその他の出版物の販売及び販売についてのライセンスには及ばない旨が明記されている(The right to sell,and the right to license others to sell,products embodying or bearing the Marks,including books and other publications are expressly excluded from this grant)。
(イ)被請求人は、本件商標が使用許諾の対象に当然含まれるかの如く述べているが、同事実は被請求人提出の証拠からは明らかでない。すなわち、例えば、乙第1号証において、使用権の対象商標は2頁及び3頁のC.、D.、及びE.に規定されているが、同規定によっては本件商標が使用許諾の対象であることは明らかでない。
乙第2号証は、「the Marks」についての許諾であるが(乙第2号証「1.Granta.」参照)、「the Marks」を規定する「Exhibit A」が乙第2号証に添付されていないので、許諾の対象商標は特定できない。
乙第3号証においては、ライセンス同意書の後に「Exhibit A」が添付されているが、同「EXhibit A」が乙第3号証の添付書面であるかは確認できない。
乙第4号証においては、本件商標が使用許諾の対象となるか不明である。
乙第4号証の抄訳では「特定の商標」の「使用権を許諾」するとあるが、この「特定の商標」中に本件商標を含まれるか否かは不明である。
乙第5号証は、「the Marks」についての許諾であるが(乙第5号証「1.Grant a.」参照)、「the Marks」を規定する「EXhibit A」が(乙第5号証 3頁)、乙第5号証に添付されていないので、許諾の対象商標は特定できない。
また、乙第5号証はサービスについての「the Marks」の使用許諾であり、商品についての使用許諾ではない。
イ 乙第6号証ないし乙第10号証について
(ア)被請求人は、乙第6号証の写真及び乙第7号証ないし乙第10号証の請求書によって、本件商標が「印刷物」について使用されたことを証明しようとしている。
確かに、乙第6号証の書籍には本件商標に類似するマークが付されている。しかし、同マークは書籍の表紙の中心に大きく書されており、書籍のデザインと認められる。すなわち、商品の出所を表示するという商標的使用ではない。
(イ)被請求人は、「乙第6号証は、被請求人が発行し」と述べているが、乙第6号証中には書籍の製作者を特定する記載はない。
したがって、「乙第6号証は、被請求人が発行し」たという被請求人の主張は失当である。
(ウ)被請求人は、請求書(乙第7号証ないし乙第10号証)と乙第6号証を組み合わせることで、乙第6号証の書籍が日本において販売されたことを証明しようとしている。
しかし、請求書に記載された書籍が乙第6号証の書籍と同一であることは証明されていない。共通の書籍の題号(例えば、「NEW GRAMMAR KEY TO LIFE」)が乙第6号証と請求書の双方に記載されていたとしても、両書籍が同一とは限らない。取引対象の同一性を示すには、例えば製造番号や商品管理番号の一致を証明すべきである。
(エ)被請求人は、外国で発行された請求書をもって本件商標を付した書籍が日本に輸入されたことを主張したいのかもしれない。
しかし、請求書によって、書籍が日本国内に実際に輸入されたことは証明されないし、また、本件商標の使用権者が輸入したのかを証明しない。
(オ)被請求人は、「被請求人の通常使用権者を通じて」、「販売(譲渡)され、納品(引き渡し)された。」と述べているが、上記「(2)ア 乙第1号証ないし乙第5号証について」で述べたとおり、被請求人が通常使用権者と称する者が、本件商標を、印刷物(商品)について使用する権限を与えられているかは疑わしい。
ウ 乙第11号証について
乙第11号証中に、本件商標を見つけることはできない。
したがって、乙第11号証は本件商標の使用を証明するものではない。
エ 乙第12号証について
乙第12号証中の写真は鮮明さを全く欠いており、本件商標との同一性を確認できない。
また、乙第12号証は2010年5月11日時点のウェブサイトの写しであり、本件審判請求後の状況を示したものである。
したがって、乙第12号証は、本件商標が本件審判請求登録3年前に使用されていることの証拠とはならない。
オ 乙第13号証について
乙第13号証中に、本件商標を見つけることはできない。また、乙第13号証は、2010年5月11日時点のウェブサイトの写しであり、本件審判請求後の状況を示したものである。したがって、乙第13号証は、本件商標が本件審判請求登録3年前に使用されていることの証拠とはならない。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が、商標権者、専用使用権者または通常使用権者によって、日本国内において、使用されていることの証明はなされていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 はじめに
本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内、すなわち平成19年(2007年)2月5日から平成22年(2010年)2月4日までの間に、日本国内において、その使用を正規に許諾された通常使用権者により、請求に係る指定商品中「印刷物」について継続的に使用されてきた事実がある。
2 通常使用権の存在
被請求人である「レリジヤス テクノロジー センター」は、アメリカ合衆国カリフォルニア州の非営利の宗教法人であって、「Church of Scientology International(CSI)」を母教会とする。そして、上記母教会は、1982年5月18日付けの被請求人との専用使用権の設定契約に基づき(乙第1号証、4頁)、以下の4法人との間で、本件商標に係る商標権について通常使用権の許諾契約を締結し(乙第2号証ないし乙第5号証)、当該4法人を通じて、現在に至るまで「印刷物」について本件商標を使用してきた(乙第7号証ないし乙第10号証)。なお、乙第1号証に記載されている被請求人の住所は、1982年5月18日時点の旧住所であって、被請求人の現住所とは相違する。
(1)東京都豊島区北大塚2-11-7(2-11-7 Kitaootsuka Toshima-Ku、Tokyo、 Japan 170-0004)所在の「サイエントロジー東京(Scientology Tokyo)」
(2)オーストラリア ニュー サウス ウェールズ 2037 グリーブ グリーク ストリート 19-37(19-37 Greekstreet、Glebe NSW 2037)所在の「Church of Scientology AOSH ANZO」
(3)アメリカ合衆国 カリフォルニア州 90022 ロサンゼルス イースト オリンピック ブールバード 5600(5600 E. Olympic Boulevard、Los Angeles、California 90022、U.S、A.)所在の「ブリッジ パブリケーションズ インコーポレイテッド(Bridge Publications,Inc.)」
(4)アメリカ合衆国 フロリダ州 33755 クリアウォーター クリーブランド ストリート 503(503 Cleveland street, Clearwater, Florida 33755, U.S.A.)所在の「Flag Service Organization」
すなわち、上記(1)は、被請求人の東京支部であり、本件商標を含む被請求人所有の商標権について、2004年9月23日付けで通常使用権を許諾されている(乙第2号証、2頁)。
また、オーストラリアに所在する上記(2)は、被請求人のオーストラリア国内統括団体に対する2005年8月8日付けの商標権使用許諾に基づき、当該団体下部組織として、本件商標を使用した著作物の出版及び頒布につき許諾を受けている(乙第3号証、2頁及び11頁)。
上記(3)は、1988年12月31日付けで、本件商標を使用した著作物の出版及び頒布について、サブライセンスを許諾されている(乙第4号証、1頁)。なお、乙第4号証に記載されている住所は、1988年12月31日時点の旧住所であって、移転後の上記(3)の現住所とは相違する。
さらに、上記(4)は、アメリカ合衆国フロリダ州に所在する被請求人の関連団体であり、本件商標を含む被請求人所有の商標権について、1982年5月26日付けで通常使用権を許諾されている(乙第5号証、4頁)。なお、乙第5号証に記載されている住所は、1982年5月26日時点の旧住所であって、2003年の移転後における上記(4)の現住所とは若干相違する。
しかして、被請求人は、自己の宗教哲学に基づき様々な印刷物(教材等)を開発・発行しているところ、上記4法人は、本件商標を付した被請求人の教材用印刷物(乙第6号証)を、我が国の需要者に対し販売又は頒布してきた(乙第7号証ないし乙第10号証)。
3 「印刷物」についての本件商標の使用
(1)被請求人は、自己の宗教哲学に基づく「KEY TO LIFE(キートゥライフ)コース」(乙第11号証)用の教材用印刷物を開発・発行しており、本件商標は、上記コース名「KEY TO LIFE」、すなわち「人生への鍵」をイメージ的に表した商標である。
当該教材用印刷物は、被請求人の日本語によるウェブサイトにも写真が掲載され(乙第12号証)、これを構成する全3巻「HOW TO USE A DICTIONARY PICTURE BOOK(辞書の使い方)」「THE NEW GRAMMAR(新しい文法)」及び「SMALL COMMON WORDS DEFINED(小さな普通の単語の定義)」は、我が国の需要者も入手することができる(乙第13号証)。
(2)乙第6号証は、被請求人が発行し、我が国を含む世界中で販売又は頒布している上記教材用印刷物を撮影した写真である。当該教材用印刷物を構成する全3巻「HOW TO USE A DICTIONARY PICTURE BOOK」「THE NEW GRAMMAR」及び「SMALL COMMON WORDS DEFINED」それぞれの表紙には、本件商標が付されている。また、当該教材用印刷物のカバーにも、若干立体的に表されているものの、外観において同視され得る図形からなる社会通念上同一の商標が付されている。
ここで、上記教材用印刷物が、取消請求に係る指定商品「印刷物」の範疇に属することは明らかである。
(3)また、実際に取引が行われた証明として、被請求人は、上記教材用印刷物の請求書の写し及びその抄訳を提出する(乙第7号証ないし乙第10号証)。これらは、前記2の「Scientology Tokyo」「Church of Scientology AOSH ANZO」「Bridge Publications,Inc.」及び「Flag Service Organization」(以下、併せて「4者の通常使用権者」という。)が、我が国の需要者に対し、上記教材用印刷物を販売し、納品した際に発行した請求書の写しである。
乙第7号証及び乙第8号証中の「Description」欄の「KEY TO LIFE」の記載は、上記「KEY TO LIFE」コース用の教材用印刷物であることを示している。
また、乙第9号証及び乙第10号証中の「Description」欄には、「HOW TO USE A DICTIONARY」「NEW GRAMMAR」及び「SMALL COMMON WORDS」の記載があるが、これらはそれぞれ乙第6号証の写真に示された上記教材用印刷物の各巻の題号「HOW TO USE A DICTIONARY PICTURE BOOK」「THE NEW GRAMMAR」及び「SMALL COMMON WORDS DEFINED」と対応している。
ここで、上記教材用印刷物に本件商標を付する行為、及び、本件商標を付したものを譲渡し、引き渡す行為は、それぞれ商標法第2条第3項第1号及び同第2号の「使用」に該当するものである。
4 本件商標の使用時期
乙第7号証ないし乙第10号証(請求書の写し)に示すとおり、本件商標が付された上記教材用印刷物は、被請求人の4者の通常使用権者を通じて、平成19年3月2日から平成21年9月28日の間に、我が国の需要者に対し販売(譲渡)され、納品(引き渡し)された。
しかして、これらの行為が、いずれも本件商標の「使用」に該当することは前記3のとおりであるから、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内の期間、すなわち、平成19年2月5日から平成22年2月4日までの間に、「使用」されたことは明白である。
5 結語
以上述べたように、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、4者の通常使用権者により、本件審判請求に係る指定商品中「印刷物」について使用されていたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)使用許諾契約書(乙第1号証)によれば、1982年5月18日、被請求人は、国際サイエントロジー教会(以下「CSI」という。)との間で、「CSIにより提供されるサイエントロジーの信仰に関するサービスに関連して、被請求人の所有する全ての商標の使用権及びその使用許諾をすることを許諾する」旨の契約を締結した。
(2)使用許諾契約書(乙第2号証)によれば、2004年9月23日、CSIは、サイエントロジー東京との間で、「被請求人の同意に基づき、サイエントロジー東京により提供されるサイエントロジーの信仰に関するサービスに関連して、被請求人の所有する全ての商標の使用権及びその使用許諾をすることを許諾する」旨の契約を締結した。
(3)使用許諾契約書(乙第3号証)によれば、2005年8月8日、CSIは、サイエントロジー教会・オーストラリアとの間で、上記(2)とほぼ同じ内容の契約を締結した。
(4)使用許諾契約書(乙第5号証)によれば、1982年5月26日、CSIは、フラッグ サ-ビス オーガナイゼイションとの間で、上記(2)とほぼ同じ内容の契約を締結した。
(5)「教材を写した写真」(乙第6号証)の1枚目によれば、教材の上部に「SMALL COMMON WORDS DEFINED」「HOW TO USE A DICTIONARY PICTURE BOOK」「THE NEW GRAMMAR」と題した3冊の書籍があり、これらの表紙の下段には、いずれも、「L RON HUBBARD」の文字が表されている。そして、いずれも、その表紙の中央には、別掲に示すとおりの構成からなる標章が表示されている。
また、同2枚目の写真には、上記3冊の書籍と他の書籍の計4冊を収納した箱(ケース)が示されており、当該箱(ケース)にも、別掲に示すとおりの構成からなる標章が表示されている。
なお、被請求人のホームページ(乙第11号証ないし乙第13号証)によれば、L.ロン ハバートに係る「ハバートキートゥライフコース」教材として、「小さな普通の単語の定義」「新しい文法」「辞書の使い方」がある旨が記載されている。
(6)「INVOICE」(乙第7号証)によれば、2007年10月18日付けで、サイエントロジー東京から葛飾区の「ジュン ナカハラ」宛てに、「HOW TO USE A DICTIONARY」及び「SMALL COMMON WORDS KEY TO LIFE」についての料金が請求されている。同じく、2007年11月23日付けで、同人宛に「SMALL COMMON WORDS KEY TO LIFE」についての料金が請求されている。
さらに、2008年5月13日付けで、サイエントロジー東京から野洲市の「アキノリ シライ」宛てに、「NEW GRAMMAR KEY TO LIFE」についての料金が請求されている。
(7)「INVOICE」(乙第10号証)によれば、2009年1月3日付けで、フラッグ サ-ビス オーガナイゼイションから宇都宮市の「アツコ マラヤマ」宛てに、「NEW GRAMMAR」及び「HOW TO USE A DICTIONARY」についての料金が請求されている。
同じく、2009年5月20日付けで武蔵野市の「コウスケ ヤマガタ」宛てに、同じく、2009年7月12日及び同月18日付けで港区の「マサヒト (マイク)ミワ」宛てに、「NEW GRAMMAR」及び「SMALL COMMON WORDS」についての料金が請求されている。
2 前記(1)ないし(4)によれば、CSIは、被請求人から本件商標を含む商標の使用許諾の権限が与えられた者であり、サイエントロジー東京、サイエントロジー教会・オーストラリアらは、CSIによって本件商標の使用について許諾された者(通常使用権者)であると認められる。
また、前記(6)及び(7)の年月日は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内であり、(5)ないし(7)を総合してみれば、通常使用権者は、本件審判についての要証期間内に、取消請求に係る指定商品中の「印刷物」に含まれる書籍(教材)を需要者に譲渡されたと推認し得るものである。
請求人は、契約(乙第1号証)の条項「1.d」を挙げて、使用の許諾はサービスに関しての商標の使用に限定されており、また、条項には、書籍及びその他の出版物の販売及び販売についてのライセンスには及ばない旨が明記されていると主張する。
しかしながら、当該契約(乙第1号証)の条項「1.a」においては、被請求人は、「CSIによるサイエントロジーの信仰に関するサービスに関連して、被請求人の所有する全ての商標の使用権及びその使用許諾をすることを許諾する」旨契約しており、ここにいう「サービス(services)」について、商標法における「商品」を一切含まず同法の「役務」に限定されると解する合理的理由は見いだせず、CSIが行う事業に関連した商標の使用及びその使用許諾が許諾され、そこには事業に関連した書籍の販売等も含まれると解するのが相当である。
そして、条項「1.d」には、請求人の示した段落に続いて、「expect that CSI and its related organizations may sell such products obtained by or through LRH or another source authorized by LRH or RTC.」との記載から、商品の販売については、サイエントロジー教の創始者であるラファイエット・ロナルド・ハバード(LRH)又は被請求人(RTC)に一任されているとみるのが相当である。
また、契約(乙第2号証)の条項「1.Grant d.」(2枚目)には、「This grant is limited to use of the Marks in connection with services. The right to sell products,including books and other publications, embodying or bearing the Marks, except products obtained by or through LRH or another source authorized by LRH or RTC, is expressly excluded from this grant.」との記載があることからも、前記同様、商品の販売については、サイエントロジー教の創始者であるラファイエット・ロナルド・ハバード(LRH)又は被請求人(RTC)に一任されているとみるのが相当である。
これらからすれば、被請求人は、CSI及びサイエントロジー東京に対して、書籍及びその他の出版物の販売についてのライセンスが及ぶと解するべきである。
また、請求人は、許諾契約内において本件商標の明示がされていない旨の主張をしている。
しかしながら、各契約において許諾の対象を、「被請求人の所有する全ての商標」としていることが明白なうえ、乙第3号証に添付の「EXHIBIT A」には、被請求人の所有する商標が挙げられ、「HUBBARD KEY TO LIFE SYMBOL」として、別掲に示す標章が掲載されていることをも併せみれば、本件商標が当該契約において許諾の対象外にあると解することはできない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 本件商標は、別掲に示すとおりの構成からなるものであり、乙第6号証の書籍には、これと構成がほぼ同一といい得る標章が表示されており、本件商標と社会通念上同一の商標が当該書籍に付されたと認めることができる。
そして、前記1(5)ないし(7)のとおり、当該標章を付した書籍が我が国の需要者に対し譲渡されたと認められるものである。
したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者によって、取消請求に係る指定商品(印刷物)について使用をされたと認められる。
4 請求人は、乙第6号証の書籍に付された本件商標に類似するマークは、書籍の表紙の中心に大きく書されており、書籍のデザインと認められ、商品の出所を表示するという商標的使用ではない旨主張している。
しかしながら、書籍の表紙の中心に大きく書されたことをもって、商標的使用ではないとすることはできないばかりか、意匠的な機能を果たしているとしても、図形が視覚を通じて美感を起こさせる場合に、これに接した取引者、需要者において、当該標章を使用する者の業務に係る商品又は役務であることを認識することは十分に可能であるから、商標と意匠の双方に当たる図形ということに何ら不都合はない。意匠的な機能を果たしているからといって、標章としての自他識別力が当然に否定されるものではなく、これが同時に商標にも該当するということは何ら妨げられるものではない(東京高裁平成15年3月26日・平成14年(行ケ)第500号判決参照)というべきである。
したがって、請求人のこの主張は採用し得ないものである。
5 以上のとおり、乙各号証を総合してみれば、本件商標は、通常使用権者によって、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品に使用していたものと認められる。
したがって、本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る「印刷物」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



審理終結日 2010-11-29 
結審通知日 2010-12-03 
審決日 2010-12-14 
出願番号 商願平2-106911 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (116)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
小畑 恵一
登録日 1994-05-31 
登録番号 商標登録第2666007号(T2666007) 
商標の称呼 ライフ 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 

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