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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X42 |
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管理番号 | 1231595 |
審判番号 | 不服2009-19509 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-13 |
確定日 | 2011-01-13 |
事件の表示 | 商願2007-79807拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「RNAチェック」の文字を標準文字で書してなり、第42類「核酸の試験・検査・解析・分析又は研究並びにこれらに関する情報の提供役務」を指定役務として、平成19年7月17日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において、「本願商標は、『RNAチェック』の文字を書してなるところ、『(細胞やウイルスの遺伝物質として生命現象に重要な役割をもつ)リボ核酸(ribonucleic acid=RNA)を照合する・調べる』程の意味合いを認識させるにすぎないものであるから、これを本願指定役務に使用しても、単にその役務の質(内容)を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記1のとおり、「RNAチェック」の文字を書してなるところ、その構成中前半の「RNA」の欧文字は、「リボ核酸.DNAの遺伝子情報をうつしとり,タンパク質を合成する.」を意味する語である「ribonucleic acid」の略語であって、後半の「チェック」の片仮名文字は、「調べること。検査(調査)すること。」を意味する語(いずれも、例文で読むカタカナ語の辞典 小学館)であることから、これらを一連に「RNAチェック」と書した本願商標よりは、原審説示の如く「リボ核酸(ribonucleic acid)を調べること。検査(調査)すること。」程の意味合いを表したものと、容易に理解、認識されるものというのが相当である。 そして、本願指定役務の業界において、「RNAを検査すること」を意味する用語として、「RNA」及び「チェック」の語が普通に使用されている実情が認められるところ、例えば、以下のインターネット情報からも窺い知ることができるものである。 (1)「株式会社バイオマトリックス研究所」のウェブサイトにおいて、「BMRフィードバックシステム BMRではお客様にお渡しするデータの信頼性を高めるために、実験の各工程において成否を判定するためのチェックポイントを設けており、その判定を元に解析進行を決定しております。」と記載し、前記システムのフローには、「RNA品質チェック」及び「合成cRNAチェック」との記載(http://www.biomatrix.co.jp/product/dna_micro/4.html)。 (2)「九州大学大学院医学研究院 教育・研究支援センター」のウェブサイトの「RNA品質チェック受託について」において、「Bio Rad社Experionを使用して、TotalRNAの電気泳動を行ない、リボソームRNAのバンド比を確認することで、RNAに変性が生じていないか確認いたします。九州大学の研究室また学外(他大学・大学に準じた研究機関)から受託を受付けております。」の記載や、「[ 受託の流れ ] 1、ナノドロップ定量(吸光光度測定)2、Total RNA品質チェック(Bio Rad社Experion)Total RNAサンプル(150ng以上)とRNA品質チェック申込書をご提出下さい。」との記載(http://www.med.kyushu-u.ac.jp/kikicenter/array.html)。 (3)「北海道システム・サイエンス株式会社」のウェブサイトにおいて、「本サービスでは独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター清澤秀孔博士および慶應義塾大学先端生命科学研究所齋藤輪太郎博士により設計されたアンチセンスRNAプローブを搭載したマイクロアレイを使用し、アンチセンスRNAの発現を網羅的に解析することが可能です。アンチセンスRNAとは、センス遺伝子をコードするDNA鎖の逆鎖から読まれるRNAで、センス鎖と部分的に2本鎖RNAを形成することで遺伝子発現制御に関与すると推測されており、現在注目されるnon-codingRNAの1分野として注目が高まっております。これまで知られていなかったアンチセンスRNAを介した生命機能制御機構に関する網羅的研究が可能です。」との記載や、「RNAチェック抽出方法」として、「低分子RNAの回収が可能なTrizol(Invitrogen)、Isogen(和光)等をご利用下さい。A260/A280が1.8以上のサンプルをご用意下さい。当社でのクオリティーチェックにより基準に満たない場合にはサンプルの再送をお願いいたします。」との記載(http://www.hssnet.co.jp/2/2_4_7_1.html)。 (4)「独立行政法人 理化学研究所」の「オミックス基盤研究領域」において、「A. 概要 CAP化された発現RNA分子の5'端配列を決定することにより転写開始点を網羅的に抽出する方法です。」、そして、「C. 作業内容 (1)サンプルの品質チェック 提供されたtotal RNAはbioanalyzerもしくは電気泳動パタ-ンを確認し、もしRNAの分解が疑われた場合は、サンプルの再供与を無償にてお願いすることがあります。(2)実験内容 1.total RNAをテンプレートとして、random primer、oligo dT primerを用いて逆転写反応を行います。2.CAPサイトを化学的手法によりビオチン化します。3.Streptavidin beadsを用いてビオチン化したRNA/cDNA分子を回収します。」との記載(http://www.osc.riken.jp/technicalservice/services/) (5)「ニッポン・ジーン」の「遺伝子工学研究用試薬」において、「ISOGEN PB Kitは、パラフィン包埋組織切片からのRNA抽出Kitで、脱パラフィン→Proteinase K処理→抽出(ISOGEN-LS)という簡単な操作(約2時間)で、パラフィン包埋組織からRNAを抽出することができます。」との記載、及び、「用途」として、「・RT-PCRによるRNAウイルスの検出 ・RT-PCRによるmRNAの検出 ・パラフィン包埋組織切片におけるRNAの保存度チェック等」との記載(http://www.nippongene.com/pages/products/extraction/isogenpb/index.html)。 上記の実情からしても、「RNA」及び「チェック」の文字を一連に「RNAチェック」と表した本願商標は、これに接する需要者に、「リボ核酸(RNA)を検査すること。」程の意味合いを表したものと理解、認識させるに止まり、これをその指定役務について使用しても、単にその役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-11-10 |
結審通知日 | 2010-11-16 |
審決日 | 2010-12-01 |
出願番号 | 商願2007-79807(T2007-79807) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X42)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 矢代 達雄 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 田中 亨子 |
商標の称呼 | アアルエヌエイチェック、アアルエヌエイ |
代理人 | 安田 徹夫 |
代理人 | 平木 康男 |
代理人 | 平木 祐輔 |