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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X2528
管理番号 1230253 
異議申立番号 異議2010-900140 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-05-21 
確定日 2010-12-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5303482号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5303482号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5303482号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成21年9月8日に登録出願され、第3類「せっけん類,化粧品」、第5類「医療用腕環,医療用ブレスレット,医療用ネックレス,医療用アンクレット,医療用ウエストリング」、第10類「医療用ウエストベルト・その他の医療用機械器具」、第14類「バングル,身飾品(「カフスボタン」を除く。)」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第25類「洋服,コート,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,ウエストベルト,靴の中底・靴の中敷・その他の履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」、第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,ワッペン,腕章,頭飾品」、第27類「敷物」、第28類「運動用サポーター・その他の運動用具」、第29類「加工野菜及び加工果実,加工水産物」及び第30類「穀物の加工品」を指定商品として、平成22年2月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3195571号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成5年8月25日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)同じく登録第5069508号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成18年6月6日に登録出願され、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年8月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)同じく登録第4058440号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成8年3月22日に登録出願され、第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年9月19日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(4)同じく登録第4094171号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成8年3月22日に登録出願され、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年12月19日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(5)同じく登録第5285212号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲6のとおりの構成からなり、平成21年5月18日に登録出願され、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(以下、これらを一括して、単に「引用商標」ということがある。)

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標はその指定商品中の第25類「全指定商品」及び第28類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に該当するため、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第18号証を提出した。
(1)引用商標の著名性について
申立人は、イタリア国パルマ所在のイタリア法人であり、1988年の設立以来、世界各国においてサッカー、バレーボール、バスケットボール等のプロスポーツに関するスポーツウェア等を製造・販売している。そして、上記2の引用商標に表された図形をシンボルとして、少なくとも5大陸36ヶ国に製品を展開している。また、申立人のスポーツウェアは、世界各国の著名・有名なプロスポーツチームのユニフォームとして多数採用されている(甲第8号証)。特にサッカーの分野では、我が国でも刊行物や広告媒体等のマスメディアを通じて広く報道・紹介されていることから、引用商標は、申立人及び申立人の代理人の宣伝活動と相俟って、本件商標の登録出願時である2009年9月4日には、申立人の業務に係る商品を示す商標として我が国の取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものである。
(2)混同を生ずるおそれについて
本件商標と引用商標の構成は、共に二つの菱形を連結した近似した態様であることから、本件商標をその指定商品中、第25類「全指定商品」及び第28類「全指定商品」に使用した場合には、取引者・需要者は、あたかも申立人の業務と一定の関連性があるかの如く認識することとなり、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして世界的に広く認識されている旨主張し、証拠を提出しているので検討する。
ア 甲第7号証は、「エレア公式ホームページ」と題するウェブサイトの写し一葉と認められるところ、その作成者及び作成日が明らかでない。
なお、その左上方には、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が掲載され、その右やや下側に「BRAND HISTORY」の項目及び和文により「イタリア・パルマ生まれのスポーツブランドerreaは、1988年、・・・わずか20年足らずで5大陸36カ国に製品を展開する世界的ブランドへと急成長し、欧州を中心に、プロスポーツチームのサポートも幅広く手がけています。」と記載されているが、具体的な商品等についての説明はない。
また、その下にも「FOOTBALL/TEAM UNIFORM COLOR ORDER」、「ONLINE SHOP」、「Staff Blog」等の項目が設けられているが、これらが直ちに何を意味するのか、何ら説明もなく、不明である。
イ 甲第8号証は、フリー百科事典「Wikipedia」における申立人について記述された頁の写しと認められるところ、全文英文であって、訳文もなく、その内容は必ずしも明らかではないが、申立人に係る標章(ブランド)を採用している各国のスポーツチームの一覧を主とするものであり、具体的な標章の使用態様や商品等は一切不明である。しかも、その作成時期、公表時期も明らかでない。
ウ 甲第9号証は、週刊誌「週刊サッカーダイジェスト」1996年1/3号の表紙写しと認められ、甲第10号証は、週刊誌「サッカーマガジン」1995年12/20号の表紙及び掲載記事の抜粋写しと認められるところ、両表紙及び掲載記事中にはサッカー選手の写真が掲載され、該選手が着用しているウェアの右胸部分に引用商標2及び5と同様の標章が付されていることが認められる。しかしながら、上記写真や記事中に引用商標や申立人についての記述は一切見当たらない。また、上記各週刊誌は、1995年及び1996年に発行されたものと認められるものの、その発行部数、頒布地域等は明らかでない。
エ 甲第11号及び12号証は、申立人の日本代理店による商品カタログの写しと認められるところ、それぞれの表紙に記載された「’94-’95」又は「1995」の数字からすると、これらのカタログは1994年ないし1995年に発行されたものといえるが、その発行・頒布部数、頒布地域、頒布方法等は一切明らかでない。また、これらのカタログには、表紙及び裏表紙に引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示されているほか、その内容として、ヨーロッパを中心としたプロサッカーチームの紹介と該プロサッカーチームが採用しているスポーツシャツ、パンツ、靴下等のモデルの写真が引用商標2及び5と共に掲載され、それぞれの価格等の商品説明が記載されている。なお、該スポーツシャツ、パンツ、靴下等には引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が付されていることが判る。
オ 甲第13号証は、雑誌「WORLD SOCCER GRAPHIC/ワールドサッカーグラフィック」1996年1月号の抜粋写しと認められるところ、その1頁分に申立人代理店の広告が掲載され、プロサッカーチームの写真と共に、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示されているが、写真が不鮮明なため、各選手が着用しているウェアに引用商標が付されているか否かは明らかでない。また、上記雑誌は、1996年に発行されたものと認められるものの、その発行部数、頒布地域等は一切明らかでない。
カ 甲第14号証は、「ギャラリースポーツ」新宿アドホック店による「『GALLERRY』95X’MAS・FAIR」と題する広告の写しと認められ、「95X’MAS」、「12/10(日)?1/15(月)」、「恒例お正月プレゼントセール開催1/3(水)?7(日)」、「UMBROフェアー開催12/10(日)?24(日)」等の記載からすると、1995年12月から1996年1月にかけて販売する商品についての広告と推認されるものの、掲載された写真や文字が不鮮明で引用商標が使用されているかは明らかでなく、上記店舗と申立人の関係も不明である。また、上記広告が雑誌等に掲載されたものか、配布用チラシであるかさえも不明であるばかりでなく、その発行部数、頒布範囲等も一切明らかでない。
キ 甲第15号証は、申立人の商品を取り扱う国内業者のウエブサイトの写しと認められるところ、これらには、トップページの左上に引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示され、引用商標2及び5を付したビーチサッカーボールを初め、トレーニングパンツ、トレーニングジャケット、Tシャツ、帽子等の商品の写真が価格と共に掲載されている。なお、写真が不鮮明なため、トレーニングパンツ、Tシャツ等の被服、帽子に引用商標が付されているか否かは明らかでない。また、これらのウェブサイトの掲載時期も明らかでない。
ク 甲第16号ないし第18号証は、インターネットの検索サイト「Google」による検索結果の写しと認められるところ、これらは各頁の右下に表示された「2010/08/18」と判読できる数字からすると、2010年8月18日にプリントアウトされたものといえる。
これらの検索結果では、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章を表示したものが1件見られるのみで、他は全て「errea」、「ERREA」又は「エレア」の表示のみである。

(2)以上のとおり、ヨーロッパを中心としたプロスポーツチームが引用商標2及び5を付したユニフォームを採用していること、スポーツウェア、靴下等について引用商標2及び5が使用されていることは認められる。
しかしながら、引用商標を構成する図形のみが、「errea」の文字と独立して単独で使用されているものは殆ど見当たらないこと、引用商標を付した商品の取引数量、売上高、市場占有率等を具体的に示す証左はないこと、申立人自ら宣伝広告を行っている事実を示すものは、甲第11号ないし第15号証のみであり、しかも宣伝広告の期間、規模、範囲等も明らかでないこと、などから判断すると、申立人提出の前記証拠によっては、引用商標を構成する図形が、本件商標の登録出願時において取引者、需要者の間に申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていたものと認めることはできない。
他に、引用商標を構成する図形が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足る証拠はない。

(3)次に、本件商標と引用商標を構成する図形との類否について検討するに、本件商標は、別掲1のとおり、肉太で隅を少し丸くした大小2個の四角形を45度傾けて横に並べ、左側の大きな四角形の右上辺の一部を切り欠き、その右側に小さな四角形が入り込むように、大きな四角形の右下辺と小さな四角形の左下辺が接した構成からなるのに対し、引用商標の図形は、別掲2、4及び5のとおり、黒塗りの二つの菱形を横に接着した如き図形とそれを囲む輪郭線からなるものであって、両者間には共通点が殆ど見当たらず、両者は、外観上看者に全く異なった印象を与えるものである。
また、両者とも親しまれた既成の観念を有する事物、事象を表したものともいえず、特定の称呼も生じないものといわざるを得ない。加えて、引用商標2及び5は、「errea」の文字を併記してなるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において判然と区別し得る差異を有するものであり、本件商標が特定の観念及び称呼を生じない以上、観念及び称呼について両者を比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(4)以上を総合すると、本件商標をその指定商品中、第25類「全指定商品」及び第28類「全指定商品」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、また、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(引用商標1)

別掲3(引用商標2)

別掲4(引用商標3)

別掲5(引用商標4)

別掲6(引用商標5)




異議決定日 2010-11-24 
出願番号 商願2009-68722(T2009-68722) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X2528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅沼 結香子手塚 義明 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
田中 亨子
登録日 2010-02-19 
登録番号 商標登録第5303482号(T5303482) 
権利者 小松 克巳
商標の称呼 シイオオ 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所 
代理人 上原 空也 
代理人 黒川 朋也 

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