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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X25
審判 査定不服 外観類似 登録しない X25
管理番号 1230227 
審判番号 不服2009-650091 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-23 
確定日 2010-11-09 
事件の表示 国際登録第926875号商標にかかる国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2007年3月13日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成19年)5月2日に国際商標登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審における平成20年6月18日付け手続補正書により、第25類「Clothing,namely suits,coats,jackets,trousers,bathing suits,underclothing,sweaters,blouses,cardigans,shirts,tee-shirts,shorts,sportswear,casual clothing,evening wear,ties,scarfs,bandanas,socks,stockings;footwear,namely sports shoes,evening shoes,boots,shoes and slippers;headgear,namely hats and caps.」と補正されたものである。
2 原査定の引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)登録第1943131号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ELEMENT」の欧文字を表してなり、昭和59年5月31日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和62年3月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成19年8月15日に指定商品を第24類「布製身の回り品、敷布、布団、布団カバー、まくらカバー、毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2411677号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ELEMENTS」の欧文字と「エレメント」の片仮名文字を上下二段に表してなり、昭和63年9月16日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年5月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成15年2月5日に指定商品を第6類「アイゼン,カラビナ,ハーケン,金属製飛び込み台,金属製あぶみ,拍車」、第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,メトロノーム」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ」、第18類「乗馬用具」、第19類「飛び込み台(金属製のものを除く。)」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」、第21類「コッフェル」、第22類「ザイル,登山用又はキャンプ用のテント」、第24類「ビリヤードクロス」、第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」、第27類「体操用マット」、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」及び第31類「釣り用餌」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第3334424号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ELEMENT」の欧文字を表してなり、平成7年2月23日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、平成9年7月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。(以下、一括していうときは「引用商標」という。)
3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、上段に太字で「Ermenegildo Zegna」の欧文字を表し、中段には一行分のスペースをあけ、下段には、「成分、要素」等の意味を有する(小学館 ランダムハウス英和辞典)「ELEMENTS」の欧文字及びやや太い直線の下に「All weather conditions」の欧文字を小さく表した構成よりなるものである。
そして、その構成中、下段に表された「All weather conditions」の文字部分は、全体として「あらゆる天候状態」程の意味合いを容易に認識させるところ、様々な天候に適した被服や履物等が製造、販売されている実情からすれば、本願の指定商品との関係において、該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、または、極めて弱い部分といわざるを得ない。
また、「Ermenegildo Zegna」と「ELEMENTS」の文字部分は、その書体及び文字の大きさが明らかに異なることから、視覚上分離して看取されるばかりでなく、観念上も、これらを一体として捉えなければならない特段の事情は見出せないものである。
そうとすると、「Ermenegildo Zegna」と「ELEMENTS」の文字部分は、常に一体不可分のものとしてのみ捉えられるとはいえず、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
ところで、本願商標の構成中「Ermenegildo Zegna」の文字部分は、請求人のハウスマークともいえる中心的商標であって、請求人が商品「被服」に使用した結果、我が国において需要者間に広く知られている商標と認められるものである。
そして、一般的に、企業は、自己の商標を採択、使用するに際して、企業の代表的出所標識(ハウスマーク)とその取り扱いに係る個々の商品に付される識別標識(ペットマーク)とを結合して使用しているのが実情である。
そうとすれば、本願商標を、その指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「Ermenegildo Zegna」の文字を当該商品の主体を表す、いわゆるハウスマークと捉え、また、「ELEMENTS」の文字部分をその商品に係る、いわゆるペットマークと認識し、把握するとみるのが相当である。
そして、ハウスマークとペットマークとを結合してなる商標に接する需要者、取引者は、ハウスマークとペットマークと理解される各文字部分をもって、商取引に資する場合も決して少なくないとものとみるのが相当である。
以上よりすれば、本願商標は、「Ermenegildo Zegna」の文字と「ELEMENTS」の文字とを結合させて生ずる「エルメネジルドゼニアエレメンツ」の称呼、及び「Ermenegildo Zegna」の文字部分に相応して生ずる「エルメネジルドゼニア」の称呼を生ずるほか、「ELEMENTS」の文字部分に着目して、該文字に相応して「エレメンツ」の称呼をも生じ、かつ、観念については「成分、要素」程の観念を生ずるものということができる。
他方、引用商標1及び3は、「ELEMENT」の文字に相応して「エレメント」の称呼が、また、引用商標2は、その構成中「エレメント」の文字部分からも「エレメント」の称呼を生ずることは明らかであり、同構成中の「ELEMENTS」の文字部分からは、「エレメンツ」の称呼が生ずるものであり、かつ、観念については「成分、要素」程の観念を生ずるものである。
そこで、検討するに、本願商標と引用商標2は、「エレメンツ」の称呼を共通にするものである。
そして、本願商標から生ずる「エレメンツ」の称呼と、引用商標から生ずる「エレメント」の称呼とを比較するに、両称呼は、共に5音構成からなり、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音から第4音までの「エレメン」の音を共通にし、異なるところは、わずかに語尾音において「ツ」と「ト」の音の差異に過ぎないものである。
しかして、該差異音「ツ」と「ト」の音は、聴者の印象に残り難い語尾に位置するばかりでなく、共にタ行に属する音であり、該差異が両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいということはできず、それぞれを一連に称呼する場合には、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば、両商標は、その外観において相違することを考慮してもなお、称呼及び観念において、互いに紛らわしい、類似の商標というべきであり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を包含するものである。
(2)なお、請求人は、著名商標と他の語の結合商標の判決例、審決例を挙げて、「『Ermenegildo Zegna』が著名なハウスマークである一方、『ELEMENTS』は品質表示であることから、両語の軽重の差は大きく、出所識別標識としての需要者の注意を強く惹きつける『Ermenegildo Zegna』の文字部分を捨象して『エレメンツ』のみの称呼が生じることはない。」旨主張している。
しかしながら、「ELEMENTS」の文字は、前記したとおり、英語で「成分、要素」等の意味合いを有する語として慣れ親しまれた語であるところ、たとえ、服飾業界において、「element cloth」(第5号証)や「エレメントワンジャケット」(第17号証)の使用例があったとしても、その使用例のみをもって、「ELEMENTS」の文字が、本願商標の指定商品との関係において、商品の品質等を直接的、かつ具体的に表示したものと、直ちに認識させるものとはいい難いものである。
してみれば、「ELEMENTS」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、文字、図形、記号等の結合によりなる商標(いわゆる「結合商標」)の類否の判断に当たっては、「簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって、称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところ」(最高裁昭和38年12月5日判決、昭和37年(オ)第953号)、本願商標は前記したとおり、その構成中の各文字は視覚的に分離して看取されるものであること、その構成文字全体及び「Ermenegildo Zegna」と「ELEMENTS」とを結合させた文字から生ずる称呼が冗長であること、上記各文字部分がそれぞれ十分に自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであること、及び一般的に、企業が自己の商標を採択、使用するに際して、いわゆる、企業のハウスマークとペットマークとを結合して使用しているという取引の実情があることを総合的に勘案すれば、本願商標は、その構成中、「ELEMENTS」の文字部分に着目し、そこから「エレメンツ」の称呼をも生ずるというべきであるから、結局、本願商標と引用商標とは類似するものといわざるを得ない。
そして、このことは、請求人が挙げる判決及び審決の趣旨から逸脱するものではなく、また、これらの事例は、商標の具体的な構成等が本願とは異なるものであり、さらに、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断されるべきものであるから、請求人の該主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2010-06-16 
結審通知日 2010-06-18 
審決日 2010-06-30 
国際登録番号 0926875 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X25)
T 1 8・ 261- Z (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治小林 裕子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 エルメネジルドゼニア、エルメネジルドゼグナ、エルメネジルド、エルメネギルド、ゼニア、ゼグナ、エレメンツ、オールウエザーコンディションズ 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 

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