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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X3043
管理番号 1230198 
審判番号 不服2010-16882 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-27 
確定日 2011-01-06 
事件の表示 商願2009-45984拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「patpinsu(パッピンス)」の文字を標準文字により表してなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年6月18日に登録出願されたものである。そして、指定商品及び指定役務については、当審における平成22年9月3日付け手続補正書によって補正された結果、第30類「アズキや果物などを乗せたカキ氷」及び第43類「アズキや果物などを乗せたカキ氷を主とする飲食物の提供」となったものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『patpinsu(パッピンス)』の文字を標準文字で表してなるところ、韓国において『アズキや果物などをのせたかき氷』という氷菓が親しまれ、近時、我が国においても各地で販売されており、これが『パッピンス』又は『パッビンス』と称されている事実がある。そして、本来韓国語であるこの氷菓の名称を欧文字で表記するに際し、発音の理解によって種々の表記がなされている実情にあることが認められるから、本願商標に接する者は『パッピンス』を上記氷菓名称の日本語表示と、『patpinsu』をこの日本語の発音に即した欧文字表記とそれぞれ理解し、本願商標はこれらを結合したものと認識するというのが相当である。よって、これをその指定商品中の『アズキや果物などを乗せたカキ氷』、又は指定役務中の上記氷菓を提供する役務に使用した場合には、これに接する者をして、その商品又は提供に係る上記氷菓を指称する日本語名称とその欧文字表記であることを理解させるにとどまるもので、商品の品質(商品の内容)又は役務の質(提供に係るものの内容)を表示するものと認識されるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「patpinsu(パッピンス)」の文字を書してなるものである。
そして、該構成中「パッピンス」の文字は、「パッビンス」と同意の語であり、「パッピンス」又は「パッビンス」の文字が、アズキや果物などをのせたかき氷を指称するものとして使用され、これが販売・提供されている実情にある。
このことは、例えば、以下の書籍、新聞記事及びインターネットホームページ情報により、うかがい知ることができる。なお、下線は、審判の合議体で加えた。
(1)株式会社三修社2009年2月20日第1刷発行「おいしい韓国語」には、「『パッピンス』・・・アズキ入りカキ氷」と記載されている。
(2)株式会社メディアファクトリー2004年10月22日初版第1刷発行「ロンリープラネットの自由旅行ガイド 韓国」には、「小倉フルーツかき氷 パッピンス」と記載されている。
(3)2010年7月22日付け 南日本新聞 朝刊には、「企画[大波小波]韓流で夏ばて防止/鹿児島市・かごしま県民交流センター」の見出しのもと、「鹿児島市国際交流市民の会は・・・韓国の夏料理を作る講習会を開いた。・・・韓国の人気スイーツ『パッビンス』を作った。」との記載がある。
(4)2008年8月26日付け 朝日新聞 東京夕刊 9頁には、「食 マリオン」の見出しのもと、「東京・有楽町の『ファングム食堂』・・・かき氷に果物やあんこ、ソフトクリームをのせた『パッピンス』(350円)などスイーツも。」との記載がある。
(5)2007年8月6日付け 東京新聞 朝刊 8頁には、「アジアンテイスト かき氷 コツは削る前…水滴浮くまで常温に」の見出しのもと、「東京・新大久保のコリアンタウン。韓国料理店『梁(ヤン)の家』では韓国流かき氷『パッピンス』(五百二十五円)を食後のデザートに提供している。」との記載がある。
(6)2001年8月19日付け 中日新聞 朝刊 21頁には、「紀勢に滞在の韓国の学生 住民招き交流会 合唱など披露 韓国料理楽しむ」の見出しのもと、「用意した韓国風のかき氷『パッビンス』や『チヂミ』と呼ばれるお好み焼き風の料理を味わった。」との記載がある。
(7)「地球の歩き方」と称するホームページにおいて、「地球の歩き方 特派員ブログ」の「韓国/ソウル特派員ブログ」の項目に、「『パッビンス』をご紹介します。『パッ』とは小豆、『ビンス』とは氷のこと。そう、日本で言えば、小倉かき氷でしょうか。・・・韓国では老若男女が夏だけの味『パッビンス』を楽しみます。『パッビンス』の写真が大きく入ったポスターは、喫茶店、パン屋さん、食堂など街の至るところに貼られます。・・・世界共通ファーストフードの店でも、夏だけは『パッビンス』が登場するほど。・・・この『パッビンス』・・・氷と粒あんは基本ですが、それ以外に果物や餅、練乳やきなこなどでトッピングされ・・・」との記載がある。
(http://tokuhain.arukikata.co.jp/seoul/1999/06/post_326.html)
(8)「韓国食品通信販売バイゾーン」と称するホームページにおいて、「パッビンス(韓国風かき氷)材料」の項目に、「『パッ』は小豆、『ビンス』は氷の意味で、『パッピンス』はいわゆる韓国風かき氷です。牛乳を入れた器にかき氷を入れ、かき氷用小豆、韓国風かき氷用餅、韓国風かき氷用ゼリ、果物・・・などを載せて・・・」との記載がある。
(http://www.buyzone.jp/shopdetail/009001000051/)
(9)「コリアうめーや!!」と称するホームページにおいて、「辞典 韓国料理大図鑑」の「パッピンス」の項目に、「説明:アズキ、果物などを乗せたかき氷」、「場所:カフェ、ファストフード、専門店」、「料理概要 アズキ、果物などを乗せたかき氷。パッはアズキ、ピンスは漢字で氷水と書き氷菓の意。・・・各種果物に加え、アズキ、アイスクリーム、ナタデココ、小さなモチまで入っている。・・・主にカフェ、ファストフードなどで夏の季節メニューとして販売されるが、1年を通して販売する専門店もある。またコンビニエンスストアなどでは、カップ入りのパッピンスも売られている。」との記載がある。
(http://www.koparis.com/~hatta/zukan/010930.htm)
そうすると、前記のように、本願の指定商品及び指定役務に係る実際の取引等において、片仮名「パッピンス」、「パッビンス」が「アズキや果物などをのせたかき氷」を指称するものとして普通に使用されている状況にあっては、本願商標を構成する「patpinsu」の文字は、その構成と相俟って、括弧書きで表された「パッピンス」の片仮名を単に欧文字で表したにすぎないと理解させるものであるというのが相当である。
そうとすれば、本願商標全体よりは、「アズキや果物などをのせたかき氷」程の意味合いを看取させるもので、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「アズキや果物などをのせたかき氷」、「アズキや果物などをのせたかき氷を主とする飲食物の提供」であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまるものというのが相当であるから、本願商標は、自他商品・役務の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。
請求人は、「アズキや果物などをのせたかき氷」を指称する語は、「パッピンス(英語:Patbingsuまたはpatbingsoo)」であって、本願商標の構成中の「patpinsu」とは綴りが相違しているとし、本願商標全体で「アズキや果物などをのせたかき氷」を表したとはいい得ず、また、本願商標が商品の品質又は役務の質を表示するものとして取引上普通に使用されている事実はないなどと述べ、自他商品役務の識別標識としての機能を果たしている旨主張している。
しかしながら、本願商標は、「patpinsu」の欧文字と括弧書きで表された「パッピンス」の片仮名とを書してなるものであるところ、その欧文字部分は、上記かき氷を指称する語の英語表記の綴り文字「patbingsu」と中間において僅かに「p」と「b」の相違と「g」の有無の差異があるにすぎず、しかも、その相違する「p」の文字は片仮名で表された「ピ」に対応するもので、「g」の文字は該語において発音されない部分であることに加え、「パッピンス」又は「パッビンス」の文字が、本願指定商品・指定役務を取り扱う業界において前記の意味を有し、使用されている実情がある中、韓国語である該語を欧文字表記した語についてはその綴り文字が必ずしも正確に認識、把握されているとはいい難く、「patpinsu」の文字は「パッピンス」の欧文字表記としてあながち不自然なものとはいえないから、本願商標の構成においては、本願商標をその指定商品・指定役務に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、「patpinsu」の文字部分について「パッピンス」の片仮名を欧文字で表記したものとして把握し、本願商標全体を「アズキや果物などをのせたかき氷」を表すものと理解し、商品の品質・役務の質を表示するものと認識するとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-11-04 
結審通知日 2010-11-09 
審決日 2010-11-24 
出願番号 商願2009-45984(T2009-45984) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X3043)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一大森 健司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
板谷 玲子
商標の称呼 パッピンスパッピンス、パッピンス、パットピンスパッピンス、パットピンス 
代理人 寺田 雅弘 

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