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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 |
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管理番号 | 1228577 |
異議申立番号 | 異議2010-900111 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-04-23 |
確定日 | 2010-12-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5297236号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5297236号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5297236号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成21年6月15日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,マフラー」を指定商品として、同22年1月29日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次の(1)ないし(4)のとおりである。 (1)国際登録第844885A号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2004年5月14日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成16年)8月13日に国際商標登録出願し、第3類、第9類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成18年1月13日に設定登録された国際登録第844885号商標について、2007年(平成19年)1月9日に指定締約国の分割移転(本件移転)があった結果、本件に係る国際登録番号が変更されたものであり、現に有効に存続しているものである。 (2)国際登録第951773号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、2007年12月21日に国際登録され、第25類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、我が国において平成21年8月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (3)登録第4903748号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ジャコブ コーエン」の片仮名を横書してなり、平成17年3月15日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、同年10月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (4)登録第4868278号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ジェイコブ コーエン」の片仮名を横書してなり、平成16年11月30日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、同17年6月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。 第3 理由の要点 申立人は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)本件商標は、欧文字「Coohem」を同じ書体で一連に書してなり、欧文字「Coohem」に対応して「コーエン」の称呼が生じる。 一方、引用商標1は、欧文字「JACOB COHEN」(「E」にウムラウト記号が付されている。以下、記号省略。)を一連に書してなり、その背景に欧文字「J」を大書してなる。同じく、引用商標2は、欧文字「JACOB COHEN」と欧文字「COMPANY」とを二段に書してその背景にミシンのような図形を配してなる。同じく、引用商標3は、片仮名「ジャコブ コーエン」を一連に書してなる。そして、引用商標4は、片仮名「ジェイコブ コーエン」を一連に書してなる。 そして、引用商標からは、欧文字「COHEN」及び片仮名「コーエン」に対応して「コーエン」の称呼が生じる。 よって、本件商標と引用商標とを時と場所を異にして離隔観察した場合、互いに相紛らわしく、外観・観念及び称呼を総合的に検討した場合、互いに類似する商標である。 以上に述べた理由により、本件商標は、引用商標と類似の商標である。 また、本件商標は、第25類「洋服,コート,セーター類,マフラー」に使用するものであるのに対し、引用商標は、第25類「被服」等について使用するものであるから、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商品に使用するものである。 (2)引用商標が広く知られていることについて ア 申立人の引用商標は、「ジーンズ」等に使用され(甲第13-1号証ないし-6)、1985年から現在に至るまで高級なテーラードジャケットに合わせることができる高級ジーンズとして認知されており、約4-5万円の価格帯を中心とした高級品である。 イ 申立人の製品はイタリア国内において約800社弱の会社に販売されている(甲第6号証)。また、日本、欧州共同体、スイス、ノルウェー、及び米国における申立人の顧客、特に日本においては伊藤忠商事等が含まれている(甲第7号証)。 ウ 申立人のイタリア国内のライセンシーである「GIADA S.p.A.」から発せられた、日本、ドイツ、スイス、イタリア、オーストリア、オランダ、スペイン、ギリシャ、ロシア、オーストラリア、米国、トルコ、ウクライナ、南アフリカにおける2004年から2008年までのインボイスの一部の写し(伊勢丹、伊藤忠商事宛のものが含まれる 甲第8号証)及び申立人と「GIADA S.p.A.」とのライセンス関係を示す証拠(甲第9号証ないし同第12号証)を提出する。 エ 2007年の雑誌において「ヤコブコーエンは年末までになんと2000本以上売れる勢いですよここ2年間で売り上げは3倍以上。3万円以上するジーンズでこれだけ売れるなんて過去には皆無ですね。」というバイヤーのコメントが紹介されている(甲第14号証)。 オ 世界における広告費は2006年で約55,000ユーロ(約700万円)、2007年で約634,000ユーロ(約8,000万円)、2008年で791,000ユーロ(約1億円)となっている。そして、イタリアにおいて単独のブランドショップを726店舗、イタリア以外で361店舗を有している。 さらに、世界における販売額は2006年で約890万ユーロ(約11億円)、2007年で約1470万ユーロ(約18億5千万円)、2008年で2650万ユーロ(約33億円)となっている(甲第15号証)。 カ 前記のように、1985年以来広範囲にわたって申立人の商標が使用されたことにより、日本のみならず、世界の各国においても申立人の商標は広く知られるところとなっている。 (3)以上のとおり、本件商標は、一般に広く知られている引用商標と類似の商標であり、その指定商品と類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について 前記1(1)において述べたように、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 前記1(1)において述べたように、本件商標は引用商標と類似の商標である。 また、前記1(2)において述べたように、引用商標は申立人の商品を表す商標として一般に広く知られた商標である。 したがって、申立人の引用商標と外観上紛らわしい本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してなされたものである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、別掲(1)のとおり、「Coohem」の欧文字を筆記体で書してなるところ、特定の語義を有しないものであるから、これよりは我が国で最も親しまれている英語の発音に倣い、構成文字に相応して「クーヘム」の称呼を生ずるというのが自然であり、本件商標から、「コーヘン」の称呼が生じるとすべき的確な理由はみいだせない。 したがって、本件商標からは、「クーヘム」のみの称呼を生じ、特定の観念を有しない造語よりなるものというのが相当である。 (2)引用商標について ア 引用商標1は、別掲(2)のとおり、「JACOB COHEN」の欧文字と白抜きで表された「J」を図案化したと思しき図との組み合わせよりなるところ、該文字部分と図形部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情を見出し得ないものである。そして、その構成中央に表示された「JACOB COHEN」の文字部分が、特に看者の目を惹きやすい部分であって、視覚上、該文字部分が分離して認識し、把握される場合があるとみるのが自然であるから、「JACOB COHEN」の文字部分を捉え、これをもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。 そうすると、引用商標は、該文字部分に相応して「ヤコブコーエン」の称呼を生じ、特定の観念を有しないものである。 イ 引用商標2は、別掲(3)のとおり、「JACOB COHEN」の欧文字と「COMPANY」の欧文字を上下二段に横書きし、その下方にアンティーク風な裁縫用のミシンと思しき図を配し、文字部分の「COMPANY」からミシンと思しき図を曲線で囲うように描いた構成からなるものである。 そして、引用商標2は、その図形部分と文字部分とを常に一体のものとしてのみ認識、把握しなければならない格別な事由も見当たらないものであるから、欧文字部分をもって自他商品識別標識としての機能を果たすといえるものである。 そうすると、引用商標2は、該構成文字全体に相応した、「ヤコブコーエンカンパニー」の称呼を生じ、特定の観念を有しないものとみるのが自然である。 ウ 引用商標3は、「ジャコブ コーエン」の片仮名を書してなるものであるから、これより「ジャコブコーエン」の称呼を生ずることは明らかであり、特定の観念を生じないものである。 エ 引用商標4は、「ジェイコブ コーエン」の片仮名を書してなるものであるから、これより「ジェイコブコーエン」の称呼を生ずることは明らかであり、特定の観念を生じないものである。 したがって、引用商標から「コーエン」の称呼を生ずるとした、請求人の主張は採用することができない。 (3)本件商標と引用商標との類否 してみれば、引用商標は、その構成中、「COHEN」,「コーエン」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を有するとし、該文字部分より「コーエン」の称呼を生ずるとした上で、本願商標と引用商標が称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした申立人の主張は、認めることはできない。 その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の事由は存しない。 (4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものではない。 2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について (1)前記1の認定のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の別異の商標と認められるものである。 (2)申立人の主張によれば、引用商標に関して、世界における販売額が2006年で約11億円、2007年で約18億円5千万円、2008年で約33億円程度であるとして甲第15号証を提示しているが、これを認める資料等の提出はなく、また、新聞広告、雑誌広告として甲第13号証及び同第14号証の提出をしているが、日本語で表されたものは、わずかに散見されるにすぎず、この程度の資料をもってしては、申立人の引用商標が本件商標の登録出願時前及び登録査定時において周知、著名であったとは認め難いものである。 また、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、申立人の引用商標を連想、想起させるものとはいえないから、申立人又は申立人と経済的、組織的の関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえないものである。 3 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1) 本願商標 別掲(2) 引用商標1 別掲(3) 引用商標2 |
異議決定日 | 2010-11-24 |
出願番号 | 商願2009-48143(T2009-48143) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(X25)
T 1 651・ 271- Y (X25) T 1 651・ 262- Y (X25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内山 進 |
登録日 | 2010-01-29 |
登録番号 | 商標登録第5297236号(T5297236) |
権利者 | 米富繊維株式会社 |
商標の称呼 | クーヘム |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 向口 浩二 |
代理人 | 深見 久郎 |