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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1228516 
審判番号 取消2010-300216 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-02-23 
確定日 2010-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4240614号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4240614号商標(以下「本件商標」という。)は,「Family Dog」の文字を標準文字で表してなり,平成10年1月28日に登録出願,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,タイツ,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」を指定商品として,平成11年2月12日に設定登録され,その商標権は,現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は,「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証によれば,株式会社リソークリエイティブシステムズ(以下「リソークリエイティブステムズ」という。)が2007(平成19)年9月4日から2008(平成20)年12月31日までの間,本件商標について,商品「Tシャツ,パーカー」に関し通常使用権の許諾を受けていたことがわかる。
イ しかしながら,乙第2号証の1?3,乙第3号証の1?3,乙第5号証の1?3に示す商品の写真からは,以下のとおり,本件商標の使用の事実は認められない。
本件商標は,「Family Dog」を横書きしてなるものである(甲第1号証)のに対し,乙第2号証,乙第3号証,乙第5号証に表されたTシャツに使用されているものは,図形であり,そこにかろうじて図案化された「FAMILY」「DOG」の文字が読み取れるのみである。
さらに,乙第2号証の3,乙第5号証の3においては,Tシャツの胸の上部のデザイン中に「FAMILY DOG」の文字が表示されている。しかし,この文字は,他の「VAN MORRISON」等の文字や,図形と一体となって図形を構成し,Tシャツのデザインの一部として使用されているものである。よって,上記「FAMILY DOG」の文字は,商標として使用されているものではない。さらに,もし,商標であるとしたとしても,その態様が図形と一体となっているので,本件商標とは実質的に同一とはいえない。よって,乙第2号証の3及び乙第5号証の3によっても,本件商標の使用の事実は認められない。
したがって,乙第2号証の1?3,乙第3号証の1?3,乙第5号証の1?3に示す「FAMILY DOG」の文字の使用は,商標法第50条第1項のかっこ書きにいう,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって・・当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」には該当しない。
上記と同様の判断は,平成7年(行ケ)124号判決,取消2008-301546,取消2009-300325の各審決にも示されている(甲第3?5号証)。
ウ 上述のとおりであるから,被請求人は,本件商標が,審判の請求の登録前3年以内に指定商品について使用された事実を証明していない。

3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
以下のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,請求に係る指定商品中の「下着」に含まれる「Tシャツ」について,通常使用権者が使用していたものである。
ア 商標権者は,平成19年(2007年)9月4日に,東京都渋谷区代々木2-33-7 アルタス新宿南302所在のリソークリエイティブシステムズとの間で,本件商標について,商標使用許諾契約を締結した(乙第1号証)。
したがって,リソークリエイティブシステムズは,平成19年(2007年)9月4日から平成20年(2008年)12月31日までの間,本件商標の指定商品中の「Tシャツ及びパーカー」について,商標権者から通常使用権の許諾を受けていた通常使用権者であることは明らかである。
イ リソークリエイティブシステムズは,上記契約期間中,本件商標(甲第1号証)の書体にのみ変更を加えた同一のローマ字からなる標章「FAMILY DOG」を人物図形の周囲に上下二段に円弧状に分かち書きした商標(乙第2号証の1?3の各(a)。以下「使用標章1」という。)をTシャツの奥衿付近に付した商品(乙第2号証の1?3の各(c))を企画し(乙第3号証の1?3),同Tシャツを株式会社ネットワークファッション(以下「ネットワークファッション」という。)ほか数社に販売した。また,これらのTシャツは,株式会社パッゾ(PAZZO CO.,LTD.,以下「パッゾ」という。)等に転売され,一般顧客には,例えば,税込み7,245円で販売された(乙第2号証の1及び2の各(b))。
ウ 以下,本件商標の使用の事実の一部を具体的に説明する。
(ア)「エンジェルTシャツ」と称する商品(乙第2号証の1,乙第3号証の1。乙第3号証の1の企画書には「Title:Angel(1967)」の記載がある。)は,平成20年6月24日,リソークリエイティブシステムズからネットワークファッションに,金747,080円で販売された(乙第4号証の1)。乙第4号証の1(No.1078の納品書)は,上記販売の事実を示すものであり,品名欄には「エンジェルTシャツ」の記載がある。また,摘要欄には「(株)パッゾ様分」の記載があり,乙第2号証の1(b)の値札の「PAZZO CO.,LTD.」の表示と符合している。
(イ)「ポットTシャツ」と称する商品(乙第2号証の2,乙第3号証の2及び3。乙第3号証の2の企画書には「Title:Pot(1967)」の記載が,乙第3号証の3の企画書には「ARTIST」欄に「Pot」の記載がある。)は,平成20年9月25日,リソークリエイティブシステムズからネットワークファッションに,金747,418円で販売された(乙第4号証の2)。乙第4号証の2(No.1112の納品書)は,上記販売の事実を示すものであり,品名欄には「ポットTシャツ」の表示がある。また,摘要欄には「(株)パッゾ様分」の記載があり,乙第2号証の2(b)の値札の「PAZZO CO.,LTD.」の表示と符合している。
(ウ)「アパッチTシャツ」と称する商品(乙第2号証の3,乙第3号証の3。乙第3号証の3の企画書には「ARTIST」欄に「Apache」の記載がある。)は,平成20年9月25日,リソークリエイティブシステムズからネットワークファッションに,金737,933円で販売された(乙第4号証の2)。乙第4号証の2(No.1112の納品書)は,上記販売の事実を示すものであり,品名欄には「アパッチTシャツ」の表示がある。
(エ)なお,付言すると,「エンジェルTシャツ」(乙第2号証の1)と「ポットTシャツ」(乙第2号証の2)については,Tシャツの奥衿付近のみならず,Tシャツ正面の図柄中にも,使用標章1と同一の標章が使用されている(乙第2号証の1及び2の各(c)。右側の拡大写真は,左側の全体写真中,白色の点線で囲まれた部分を拡大したものである。)。また,「アパッチTシャツ」(乙第2号証の3)については,Tシャツの奥衿付近に使用されている使用標章1のみならず,Tシャツの正面の図柄中に,横一連の「FAMILY DOG」の文字からなる商標(乙第2号証の3(b),以下「使用標章2」という。拡大写真(b)は,(c)の全体写真中,白色の点線で囲まれた部分を拡大したものである。)も使用されている。
エ リソークリエイティブシステムズから,通常使用権の許諾期間内である平成20年6月24日に,「エンジェルTシャツ」(乙第2号証の1)が販売された事実に相違ないことを,納品先のネットワークファッションの代表取締役が証明している(乙第5号証の1)。また,同じく許諾期間内である平成20年9月25日に,「ポットTシャツ」(乙第2号証の2)及び「アパッチTシャツ」(乙第2号証の3)が販売された事実に相違ないことも,ネットワークファッションの代表取締役が証明している(乙第5号証の2及び3)。
そして,これらの証明書によれば,上記両日に納品されたTシャツには,使用標章1又は使用標章2が使用されていた事実,さらに,納品先のネットワークファッションは東京都渋谷区恵比寿南1-2-11所在の法人であって上記販売は日本国内で行われた事実が明らかである。
オ よって,本件商標は,被請求人が本件商標の使用の事実を立証すべき期間内である平成20年6月24日及び同年9月25日に,日本国内において,請求に係る指定商品中の「下着」に含まれる「Tシャツ」について,通常使用権者が使用していたものであるから(乙第1号証,乙第4号証の1?3,乙第5号証の1?3),商標法第50条第1項の規定に該当しないものである。
(2)商標の同一性等について
本件商標は,単語の先頭のみ大文字で他は小文字とされた「Family Dog」のローマ字を,左から一連に横書きした商標であるのに対し(甲第1号証),使用標章1は,全て大文字の「FAMILY」と「DOG」のローマ字を上下二段に円弧状に分かち書きした商標であり(乙第2号証の1?3,乙第5号証の1?3),また,使用標章2は,全て大文字の「FAMILY DOG」の文字を左から一連に横書きした商標である(乙第2号証の3,乙第5号証の3)。
しかし,本件商標と使用標章1及び2を対比しても,小文字から大文字への変更(使用標章1に関しては更に上下二段書きへの変更)が認められるにすぎず,使用標章1及び2のような態様で使用しても,本件商標と同一の「ファミリードッグ」の称呼と「犬の家族」の観念のみが生じ,本件商標と別異の称呼及び観念が生ずる余地もないから,使用標章1及び2は,いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
また,本件商標の通常使用権者は,使用標章1及び2がTシャツ自体にプリントされた商品を販売していたのであるから,これが商標法第2条第3項第2号に定める「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡・・する行為」に該当することは,言うまでもないところである。
よって,使用標章1及び2を付した商品の販売により,本件商標の使用と認められることは明らかである。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,請求に係る指定商品「下着」に含まれる「Tシャツ」について,通常使用権者が使用していたものであるから,請求人の主張は失当である。

4 当審の判断
(1)被請求人の主張によれば,商標権者は,平成19年9月4日に,リソークリエイティブシステムズとの間で,本件商標についての使用許諾に関する契約を締結し,リソークリエイティブシステムズは,「エンジェルTシャツ」,「ポットTシャツ」,「アパッチTシャツ」なる名称のTシャツの企画・製作をし,これら商品がパッゾなる名称の店舗で一般顧客向けに販売されることを目的として,平成20年6月24日及び平成20年9月25日に,中間業者であるネットワークファッションに販売した,というものである。
乙第1号証によれば,リソークリエイティブシステムズは,本件商標の通常使用権者と認められる(当事者間に争いのない事実。)ところ,リソークリエイティブシステムズが,本件審判の請求の登録(平成22年3月12日)前3年以内に日本国内において,本件請求に係る指定商品中の「Tシャツ」(使用に係るTシャツが本件請求に係る指定商品中に含まれる商品であることについては,当事者間に争いがない。)について,本件商標を使用していたか否かについて検討する。
ア リソークリエイティブシステムズが「Tシャツ」に表示した商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて当事者間に争いがあるので,まず,この点について検討する。
(ア)乙第2号証の1?3(平成22年4月6日付け「写真撮影報告書」)によれば,以下の事実を認めることができる。
a.乙第2号証の1は,「エンジェルTシャツ」なる名称のTシャツであるところ,そのうしろ襟ぐりの内側の下には,別掲のとおりの構成からなる商標(使用標章1)が黒で表示され,使用標章1の下には,「291295=HOMME」の文字が表示されている。また,同Tシャツの前身頃には,青地矩形内に,赤と黄を基調とした抽象的図形が描かれ,赤で描かれた抽象的図形とつながるように,使用標章1が赤で表示されている。同Tシャツに付された値札の下部には,「PAZZO CO.,LTD.」の文字が表示されている。
b.乙第2号証の2は,「ポットTシャツ」なる名称のTシャツであるところ,そのうしろ襟ぐりの内側の下には,使用標章1が黒で表示され,使用標章1の下には,「291295=HOMME」の文字が表示されている。また,同Tシャツの前身頃には,赤地矩形内に,「GOLDRUSH」の文字が大きく横書きされ,その下の中央に描かれた人物等の図形の左右には,それぞれ使用標章1が黒で表示されている。同Tシャツに付された値札の下部には,「PAZZO CO.,LTD.」の文字が表示されている。
c.乙第2号証の3は,「アパッチTシャツ」なる名称のTシャツであるところ,そのうしろ襟ぐりの内側の下には,使用標章1が黒で表示され,使用標章1の下には,「291295=HOMME」の文字が表示されている。また,同Tシャツの前身頃には,赤と黄を基調とした抽象的図形が大きく描かれ,さらに,該抽象的図形の中に人物図形が薄墨色で描かれており,これらの図柄の上部に位置し,かつ,その一部と重なるように,いずれもローマン体風に表した「FAMILY DOG」(使用標章2)及び「VAN MORRISON」,「DAILY LASH」と思しき文字が三段に横書きされている。
(イ)本件商標と使用標章1及び2との同一性
a.本件商標と使用標章1
本件商標は,前記認定のとおり,標準文字で「Family Dog」と書してなるものであるから,その構成文字に相応して,「ファミリードッグ」の称呼及び「家族の犬」なる観念を生ずるものといえる。
これに対して,Tシャツのうしろ襟ぐりの内側の下に表示された使用標章1は,別掲のとおり,中心に人物図形を配し,該人物図形を囲むように黒塗りの幅広楕円輪郭を配し,該黒塗りの幅広楕円輪郭内に白抜きの図案化された文字をもって,上段部分に「FAMILY」の文字を時計回りに,下段部分に「DOG」の文字を時計回りと逆方向に書してなり,さらに,黒塗りの幅広楕円輪郭の下のリボン状図形内に「PRESENTS」の文字を横書きし,これら図形の周り全体に抽象的図形を付着するように配した構成よりなるものである。そして,使用標章1中の「FAMILY」及び「DOG」の文字部分は,上記のとおり,図案化して表され,図形の一部を構成するように図形全体に融合されているものであるから,使用標章1に接する主たる需要者といえる一般の消費者は,構成全体をもって図形商標を表したと認識し,図形全体の特異性に印象づけられるというのが相当である。
そうすると,Tシャツのうしろ襟ぐりの内側の下に表示された使用標章1は,本件商標とは,外観において大きく異なる標章というべきものであり,また,その構成中の「FAMILY」及び「DOG」の文字部分は,これらの文字を表したものと直ちに認識し得ないというべきであるから,これより,「ファミリードッグ」の称呼及び「家族の犬」なる観念は生じないといわなければならない。
さらに,「エンジェルTシャツ」及び「ポットTシャツ」の前身頃に表示された使用標章1は,他の図形部分と一体となってTシャツの図柄を表したものと看取されるから,その構成中の「FAMILY」及び「DOG」の文字部分は,うしろ襟ぐりの内側の下に表示された使用標章1に比べ,なおのこと,商標を表したものとは認識され得ないというべきである。
したがって,使用標章1は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
b.本件商標と使用標章2
前記(ア)c.認定のとおり,使用標章2は,ローマン体風の文字で横書きされた「VAN MORRISON」及び「DAILY LASH」と思しき各文字の上段に,同じくローマン体風の文字で「FAMILY DOG」と横書きに表されているものであり,これらの文字は,外観上一体ものとして看取されるばかりでなく,看者の注意を最も強く引く赤と黄を基調とした抽象的図形の一部と重なるように表示されており,文字と抽象的図形とが一体となって,Tシャツの図柄を表したものと理解され,使用標章2のみが独立して認識されるものではないから,使用標章2は,商標を表したものとは認識され得ないとみるのが相当である。
そうすると,使用標章2は,本件商標とは,外観において大きく異なる標章というべきものであり,また,その構成中の「FAMILY」及び「DOG」の文字部分は,商標を表したものと認識し得ないというべきであるから,これより,「ファミリードッグ」の称呼及び「家族の犬」なる観念は生じないといわなければならない。
したがって,使用標章2は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
イ 次に,取引書類について検討する。
(ア)乙第3号証の3は,2008年8月7日付け商品企画書である(当事者間に争いのない事実。)。その上段左に,ゴチック体で「FAMILY DOG」,「291295=HOMME」,「PAZZO」の文字が表示され,また,その右端に手書きで表された「リソー」の文字が表示されている。
そして,「ART WORK/PRINT」欄の「Apache」の項目には,赤で描かれた抽象的図形及びその内部に黒で描かれた人物図形を表した図柄が掲載され,その下の「BODY STYLE」欄には,同図柄を前身頃に表示したTシャツが掲載されている。また,「ART WORK/PRINT」欄の「Pot」の項目には,赤地矩形内に,大きく横書きされた「GOLDRUSH」の文字と,該文字の下に描かれた人物等の図形を表した図柄が掲載され,その下の「BODY STYLE」欄には,同図柄を前身頃に表示したTシャツが掲載されている。
(イ)乙第4号証の2は,リソークリエイティブシステムがネットワークファッションに宛てた平成20年9月25日付け「納品書(控)」であり,その「品名」欄には「ポットTシャツ」,「アパッチTシャツ」と記載され,また,「摘要」欄には「(株)パッゾ様」と記載されている。
(ウ)以上(ア)及び(イ)によれば,リソークリエイティブシステムは,その取引先であるネットワークファッションに,本件審判の請求の登録(平成22年3月12日)前3年以内である平成20年9月25日に,「ポットTシャツ」及び「アパッチTシャツ」を販売したと推認することができる(当事者間に争いのない事実。)ところ,リソークリエイティブシステムは,少なくとも平成20年9月25日にネットワークファッションに上記「ポットTシャツ」及び「アパッチTシャツ」を販売するに先立ち,これらTシャツのネットワークファッションからの転売先であるパッゾに対し,2008年(平成20年)8月7日に作成された「ポットTシャツ」及び「アパッチTシャツ」の商品企画書を示したものと推認することができ,該商品企画書には,ゴチック体で表した「FAMILY DOG」の文字を表示したものと認めることができる(当事者間に争いのない事実。)。
そして,2008年(平成20年)8月7日付け商品企画書に表示された「FAMILY DOG」(以下「使用標章3」という。)は,前記のとおり,ゴチック体で「FAMILY DOG」と書してなるものであるから,該文字に相応して,「ファミリードッグ」の称呼及び「家族の犬」なる観念を生ずるものであって,該表示は,本件商標の字体を変更し,かつ,本件商標の小文字を大文字に変更したものにすぎないから,本件商標と外観上同視できる商標であって,称呼及び観念を同一にするものである。
したがって,使用標章3は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するものである。
してみると,通常使用権者は,本件審判の請求の登録前3年以内に,同人の発行した取引書類といえる商品「Tシャツ」の商品企画書に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示したものと認めることができ,さらに,通常使用権者は,該商品企画書に基づいて製造した「Tシャツ(ポットTシャツ,アパッチTシャツ)」を,本件審判の請求の登録前3年以内に,中間業者たるネットワークファッションとの間で取引を行ったものと推認することができる。
そして,通常使用権者の上記行為は,「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
(2)むすび
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品に含まれる「Tシャツ」について,本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
使用標章1


審理終結日 2010-10-04 
結審通知日 2010-10-06 
審決日 2010-10-25 
出願番号 商願平10-6759 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
小川 きみえ
登録日 1999-02-12 
登録番号 商標登録第4240614号(T4240614) 
商標の称呼 ファミリードッグ 
代理人 山本 進 
代理人 溝上 哲也 
代理人 岩原 義則 

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