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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X35
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X35
管理番号 1228501 
審判番号 不服2009-11994 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-01 
確定日 2010-12-06 
事件の表示 商願2008-12849拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「税理士ドットコム」の文字を横書きしてなり、第35類「インターネット・その他の通信手段を利用した広告,広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,求人情報の提供」を指定役務として、平成20年2月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
(1)本願商標は、税理士法に基づく国家資格を表す「税理士」の文字とインターネットにおけるgTLD(一般トップレベルドメイン)の一つである「.com」の表音文字と認められる「ドットコム」の文字を結合して「税理士ドットコム」と横書きしてなるものであるから、これをその指定役務に使用しても自他役務識別標識として機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)本願商標は、「税理士ドットコム」の文字よりなるところ、その構成中に税理士法第53条の規定により使用が禁止されている名称である「税理士」の文字を有してなるものであるが、その資格を得ることができない法人である出願人がこれを商標として採択使用することは穏当ではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、前記1のとおり「税理士ドットコム」の文字を表してなるところ、「税理士」の文字部分と「ドットコム」の文字部分は、それぞれ漢字と片仮名文字から構成されるものであるから、視覚的に分離して看取されるといえるものである。
そして、その構成中前半の「税理士」の文字部分は、税理士法に定める国家資格であり、「税理士法に従い、顧客の依頼により税務代理・税務書類の作成などを業とする者。」を指称し、また、同後半の「ドットコム」の文字部分は、「インターネットのドメイン名で、企業を表す『.com』。インターネット関連の企業名にも用いる。」(いずれも「広辞苑第六版」)又は「インターネット上で商取引をする会社。」(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2008」)を意味する語として一般に良く知られているものである。
ところで、インターネットを通じて、広告を行ったり、各種の情報を提供することは、商取引上、一般に広く行われていることから、「税理士ドットコム」と一連に書した本願商標に接する取引者、需要者は、「税理士に関する情報を提供するウェブサイト」であることを表したものと理解、認識するに止まり、税理士法業務に付随して行う「財務書類の作成」等に使用する時は、役務の提供に係る者に関するウェブサイトであることを表したにすぎず、自他役務の識別標識とは認識し得ないと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標を、その指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張
請求人は、過去の登録例を挙げ、「本願商標が指定する役務は、第35類であって、税理士関連役務については一切指定されていないから、本願商標を構成する『税理士』の部分がその指定する役務との関係において、自他役務識別機能を果たしていることは明らかである。」旨主張しているが、本願の指定役務中「財務書類の作成」について、例えば、「日本税理士会連合会」のウェブサイト(http://www.nichizeiren.or.jp/taxpayer/about.html)によれば、税理士の業務の一つとして位置づけられていることからすれば、当該役務は、税理士が提供する役務というべきである。
また、商標登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであって、それらの既登録例に拘束される理由はないから、請求人の主張を採用することはできない。
さらに、請求人は、「本願商標は、同一書体、同一間隔にて構成されており、よどみなく一連に発音することができるものであるから、一体不可分に結合する一連の表示と捉えるのが自然である。」旨主張しているが、本願商標が外観、称呼から見て一体的であるとしても、そのことと本願商標に接する需要者がどのように認識するかとは別異のものであり、前述のとおり、本願商標に接する需要者は、「税理士」と「ドットコム」を組み合わせてなるものと容易に認識するというべきであるから、請求人の主張を採用することはできない。

(3)商標法第4条第1項第7号について
本願商標は、「税理士ドットコム」の文字からなるところ、本願商標の構成中「税理士」の語は、税理士法第53条の規定により使用が禁止されている名称であるうえ、「税理士」が、国家資格の中でも一般国民にとって接する機会が多く、一般国民にとって知られている度合いが高い資格といえることからすれば、本願商標に接する需要者は、国家資格である税理士の資格を得た者の取扱いに係る役務であるかの如く誤信する場合があることは否定できないところである。
してみれば、その資格を得ることができない法人である請求人(出願人)が、本願商標を排他的、独占的に採択使用することは、税理士資格をはじめとする各種国家資格の制度等に混乱を生じさせるおそれがあるものであって、一般国民が誤信する場合があることを否定できないから、このような商標を登録することは、社会公共の利益に反するものであって穏当でないといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げ、「本願商標においても、商標法第4条第1項第7号の規定に該当すると考えることはできない。」旨主張しているが、本願商標が登録されるべきか否かは、過去の登録例に拘束されることなく、個別、具体的に検討されるべきものであり、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるべきものではなく、請求人の主張は採用することができない。

(4)まとめ
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-09-14 
結審通知日 2010-09-15 
審決日 2010-09-28 
出願番号 商願2008-12849(T2008-12849) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X35)
T 1 8・ 22- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 三男津金 純子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 田中 亨子
小田 昌子
商標の称呼 ゼーリシドットコム、ゼーリシ 
代理人 西田 研志 

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