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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X40
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X40
管理番号 1228497 
審判番号 不服2010-1952 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-28 
確定日 2010-12-08 
事件の表示 商願2008-19193拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「まねきふだ」の平仮名文字と「招喜札」の漢字を二段に併記してなり、第40類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年3月13日に登録出願され、その後、指定役務については、平成22年1月28日付け手続補正書により、第40類「木材の加工,プラスチックの加工」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において、「本願商標は、『まねきふだ』及び『招喜札』の文字よりなるところ、構成中の『まねき』、『招喜』の文字は、その指定役務中『木材の加工』との関係において、木札に名前等を彫刻する役務が存在し、その名前等の入った木札は、新しいお客を招くところから『招き』とよばれ、『招喜』等の文字をあてて使用されていた事実を確認することができるから、その指定役務中の『木材の加工』に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『招喜(招木)用の木札(木材)への彫刻(加工)に関する役務』であると理解するに止まり、単に役務の質(内容)等を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「招喜札」の漢字と、その漢字の音読みを表したと理解される「まねきふだ」の文字よりなるところ、その構成中「招喜」の文字部分は、「まねき」と読まれ、「新しいお客を招くこと」を意味し、木札等に「招喜札」等の文字をあて、木材等を加工する店舗において加工して提供する商品名の一つを表す語として普通に使用されている実情があり、以下の原審において示された「原審における使用の実情」だけでなく、同様の実情は、「当審におけるインターネット情報」からも優に窺えるものである。
ア 原審における使用の実情(要約)
(ア)江戸文字でいきな和小物 名入れ木札 木札屋岡戸(http://www.kihudaya-okado.com/kihuda12.html)
(イ)粋物 拓馬の招ね木(まねき まねぎ)(http://www.tacfactory.com/mnktop.htm)
イ 当審におけるインターネット情報
(ア)「招ね木札(まねきふだ)」の見出しの下、「招ね木とは江戸の昔、宿場の旅篭や茶屋に旅馴れた馴染みの連中が大山講や富士講の講中名や団体、火消しの組の名を記した、木札や手拭いを表に掲げました。それが、招き看板、招き手拭い、といわれるものです。新しいお客様を招くところから、「招き」とよばれ、「招木」、「招喜」の文字をあてていました。江戸時代の文化文政の頃になると、銘木を選び、文字を彫り込み、漆を差して意匠を凝らした形となり、お客を呼ぶ縁起から商家、粋筋をはじめ、芸界、火消しの内飾りとして縁起棚の脇に飾られました。」(http://rekishi-roman.jp/mikosi-jiten/page-70.html)
(イ)「木札、江戸文字木札、根付木札、梵字木札、家紋木札、招き木札、喧嘩木札 セレブアート多志呂屋」の見出しの下、「幸を呼び込む!手彫り額彫り招き木札 ケヤキの青を使用し額彫りの手法で手彫りしたものです。商売繁栄など縁起を担ぎ招き札と呼びます。」(http://celebart.ld.infoseek.co.jp/)
(ウ)「徳島県立 阿波十郎兵衛屋敷」の見出しの下、「招き札 先日から観覧席に、新しく“招き札”が飾られております。サイズの確認をして数日後・・・・定期上演に出演中の各人形座・太夫部屋の名前が入り綺麗になって戻ってきました。観覧席に、木のいい香りが広がっています。」(http://awajurobeyashiki.blogspot.com/2010/04/blog-post.html)
(エ)「名入れ木札 招き札 やまぐち工房」の見出しの下、「やまぐち工房は、高精度な名入れ札・招き札を安価でご提供いたします。名入れ札は、招き札、喧嘩札などとも呼ばれ縁日やイベントでの実演販売も行ってますが、手軽にお買い求めいただけるようWEBショップをオープンしました。」(ht://yamaguchi401.jp/)
(オ)「江戸美学研究会」の見出しの下、「扁額や看板というと、普通の人には縁のないもののように思うが存外、今人気があるのが招き札だという。『京都南座の顔見世の招きあげを見てもらえるわかりますが、上方の招き札は木に勘亭流の文字を書いただけのもの。江戸では、文字の輪郭を彫り、塗りで仕上げるという違いがあります。長い間、そうした江戸から続く芸能の世界や祭の会などでやりとりされていた招き札ですが、襲名披露などで目にすることも多く、かっこいい! と思われる人も多いようですね』と智雄さん。」(http://www.jlds.co.jp/ebilab/2009/12/post-9.html)
(2)以上の実情を総合考慮すれば、「招喜札」及び「まねきふだ」の文字を併記してなる本願商標を、その指定役務に使用しても、原審説示の如く「木材やプラスチックを、招喜(招き)用の札(木片やプラスチック片)に加工し、そこに文字等を彫刻する役務」であることを看取させるにすぎないから、単に役務の質(提供の用に供する物)を表示したものと理解させるに止まり、自他役務を識別する標識とは認識し得ないというべきであって、かつ、これを前記役務以外の役務に使用したときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
ところで、請求人は、「例えば、『表札』を例にして考えれば、世間常識では、プラスチック製もあり、金属製もあり、セラミック製もあり、石製もある。従って、『招喜札』を『木材の加工』以外に使用する場合は、役務の質の誤認を生じるおそれがあるとする主張は受け入れることができない(即ち、間違い)と考える」旨主張している。
しかしながら、取引者、需要者が誤認を生じさせるおそれがある役務の対象物は「招喜札」を指すのであって、「招喜札」以外の、例えば「ネームプレート等に、文字等を彫刻(加工)する役務」に使用した場合には、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきであるから、請求人のこの主張は認められない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-09-28 
結審通知日 2010-10-01 
審決日 2010-10-15 
出願番号 商願2008-19193(T2008-19193) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X40)
T 1 8・ 13- Z (X40)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行大島 康浩 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 マネキフダ、ショーキフダ、マネキ、ショーキ 
代理人 中前 富士男 

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