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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1228334 
審判番号 取消2009-301097 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-09-30 
確定日 2010-11-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2487095号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2487095号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示す構成からなり、平成元年11月24日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成14年12月18日、第30類「菓子及びパン」に書換登録がなされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、答弁に対する弁駁、口頭審理陳述要領書及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
1 請求の理由
請求人が本件商標の使用の有無を調査したところ、本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定商品「第30類 菓子及びパン」について使用されていないことが明らかになった。
したがって、本件商標は、商標法第50条1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
2 弁駁(第1回)
被請求人の提出する乙第1号証ないし同第3号証は、本件取消請求に係る指定商品について本件商標の使用を証明しているものではない。
(1)乙第1号証「商品パンフレット」は、作成日が立証されていない。そればかりか、該パンフレットには、通常、商品の販売促進を目的とする「パンフレット」に含まれる製造・販売者、注文の方法、価格等の情報が一切ない。そのため、乙第1号証がどのような性格の書類であるか明らかではなく、本件審判の予告登録後に複写によって作成されたものと推測される。
よって、乙第1号証の成立に信憑性を欠くものと言わざるをえない。
(2)乙第2号証は、あられの「商品パッケージの写真」2葉であるが、とりわけ、正面写真のパッケージには、通常、写真に写しだされる光と影が認められない。また、パッケージの縁がスケッチのごとく灰色で縁取られているため、乙第2号証を写真というには極めて不自然である。したがって、複写等によって作成されたものと推測せざるをえない。また、これらを写真であると善解したとしても、本件審判の予告登録後に複写によって作成されたものと推測される。よって、乙第2号証の成立は信憑性を欠くものと言わざるをえない。
(3)乙第3号証は、本件商標を付したラベルのコピーである。このラベル上には、商品名、製造年月日及び販売年月日を特定する情報は一切含まれていない。
(4)結論
被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも不自然なものであって、加えて、現実に商品が発売されたことを示す納品書、請求書、領収書等が含まれていない。したがって、本件商標が使用された商品「あられ」が、現実に取引されていたものということはできない。
3 平成22年6月29日付け口頭審理陳述要領書
(1)被請求人の口頭審理陳述要領書によれば、乙第2号証の「商品パッケージの写真」は、本件審判の請求の予告登録(平成21年10月20日)後の平成21年11月13日に撮影されたものである。そして、乙第1号証の商品パンフレット」に掲載された商品の写真は、乙第2号証の写真と同一であることを考慮すると、当該パンフレットも、本件審判の請求の予告登録後に作成されたものと推測される。
(2)乙第4号証の「製作証明書」にある「優マークシール」の納品日の欄には「平成1年11月20日」との記載があり、本件審判の請求の予告登録から遡ること約20年前の日付である。
(3)乙第5号証の「商品カタログ」の裏表紙には、本件審判の請求の予告登録から遡ること約9年前の日付である「平成2年11月発行」との記載がある。
そして、乙第5号証には、製品番号など商品を特定する情報も含まれていないことから、乙第6号証の「請求書」において取引の対象とされた商品との関連性は不明である。
(4)乙第7号証の「商品カタログ」は、本件審判の請求の予告登録から遡ること約18年前の日付である「平成3年6月発行」との記載がある。
(5)乙第8号証の「ギフトセットの箱に貼られている商標用紙」及び乙第9号証の1「ギフトセットの発送用の梱包箱」については、作成時期、使用時期、商品との関連のいずれについて特定する客観的に証明し得る取引書類の提出がない。
(6)乙第9号証の2の「定番のギフトセットの写真」については、撮影の日、撮影者及び撮影の目的のいずれについても不明であり、本件審判の請求の予告登録後に撮影されたものと推測される。
(7)乙第10号証の「ロールケーキ『マヨネーズロール』の写真」については、撮影の日、撮影者及び撮影の目的のいずれについても不明であり、本件審判の請求の予告登録後に撮影されたものと推測される。
また、被請求人には、当該「マヨネーズロール」の製造は有限会社シェ・タカタ(以下「シェ・タカタ」という。)が請け負っており、その「納品書」の一例として乙第11号証を提出している。しかし、当該納品書の品名には、「抹茶もち米ロール」及び「純生ロール」との記載があり、乙第10号証との関連性は不明である。
さらに、乙第10号証として提出された箱入りマヨネーズロールは、箱と中身(マヨネーズロール)のサイズが適合しておらず、商慣行上、贈答用の商品として不自然である。そればかりか、乙第11号証として提出された商品を納入する際に取引者が発行する伝票に、「預り分のゆうシールを貼る事。」「ゆうシール貼付。」と記載すること自体も不自然である。そのため、乙第10号証及び乙第11号証の成立自体の信憑性を欠くものであり、証拠力がないと考える。
(8)以上によれば、乙第1号証及び乙第11号証によっては、本件商標を請求に係る指定商品のいずれかについて、本件審判の請求の予告登録前3年以内に使用していたとする事実を証明する証拠とはなり得ない。
4 口頭審理における陳述
上記2及び3で主張したとおりであるが、加えて、被請求人の主張によっても、本件審判請求の予告登録後のものが混在しているから、本件商標の使用を証明することにはならない。
また、被請求人の主張する本件商標の使用は、いわゆる小売についての使用であるから、本件審判請求に係る商品に本件商標を使用するものではない。
5 弁駁(第2回)
(1)乙第12号証「納品書」は、平成19年5月8日及び平成20年11月2日に、従来商品「あられ」(商品名「京千枚」、「炭焼千枚」、「かおりやき」、「いおりやき」)を、「とくとみ」から被請求人に納品されたことを示すものであって、本件商標が商品に付されている事実、すなわち商標法第2条第1項第1号又は同第2号に定義する使用を証明するものではない。
なお、被請求人は、「とくとみ」のこれらの従来商品を、乙第1号証及び乙第2号証に掲載された商品と同様な包装フィルムを使用して販売していたと主張する。しかし、乙第1号証及び乙第2号証に掲載された商品と乙第12号証に記載された商品には、関連性はみられない。
(2)乙第13号証について
乙第13号証の優マークシール「製作証明書」は、優マークシールが平成16年5月28日、平成17年11月29日、及び平成21年7月1日に、「株式会社からふね屋」から納品されたことを示すものであって、本件商標が商品に付されている事実、すなわち商標法第2条第1項第1号又は同第2号に定義する使用を証明するものではない。
したがって、乙第13号証をもって、本件審判の予告登録前に請求に係る指定商品のいずれかについて使用されたことを証明するに足りるものではない。
(3)乙第14号証及び乙第15号証「請求書」は、商品名「ユーサイドギフト UK-3」が2008年6月16日に、また、商品名「MK-1」が2008年7月4日に、被請求人によって販売されたことを示すものであって、本件商標が商品に付されている事実、すなわち商標法第2条第1項第1号又は同第2号に定義する使用を証明するものではない。
したがって、乙第14号証及び乙第15号証をもって、本件審判の予告登録前に請求に係る指定商品のいずれかについて使用されたことを証明するに足りるものではない。
なお、被請求人は答弁書(第2回)において、当該請求書に記載された商品名(品番)について、「U」はユーサイドのある商品あるいはユーサイドにとって思い入れの強い詰め合わせ、「K」は丸久小山園の商品を主とする詰め合わせ、「M」は有限会社三谷製糖の商品を主とする詰め合わせを示すものであると説明し、抹茶サクレット(丸久小山園「K」)と羽根さぬき(有限会社三谷製糖「M」)の詰め合わせ「ユーサイド セレクションギフト UK-3」を一例として乙第9号証の2を提出している。しかし、この被請求人の説明によって、乙第9号証の2に掲載された商品と乙第14号証に記載された商品を、関連づけるものではない。
(4)乙第1O号証「マヨネーズロール」の写真について
被請求人は答弁書において、予告登録以前から、「シェ・タカタ」のロールケーキに本件商標のシールを付して一見してユーサイド商品を販売していたと主張する。しかし、乙第10号証に掲載された商品「マヨネーズロール」及び「抹茶マヨネーズロール」と予告登録以前に「シェ・タカタ」から納品されたロールケーキには関連性がなく、その主張を裏付ける証拠の提出はない。
(5)なお、被請求人のロ頭陳述において、少なくとも乙第10号証の一部を偽造していたことが明らかとなっており、被請求人の提出した証拠、特に予告登録後に作成又は撮影された乙第1号証、乙第2号証、乙第9号証の1、乙第9号証の2及び乙第10号証に証拠力はなく、これらを採用することができない。
(6)まとめ
以上より、乙第1号証ないし乙第15号証によって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、取消請求に係る指定商品「第30類 菓子及びパン」について、本件商標を、使用していたことを証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁、口頭審理陳述要領書及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第15号証(以上、枝番を含む。また、平成22年6月15日付け口頭審理陳述要領書に添付された乙第9号証及び乙第9号証の1は、乙第9号証を乙第9号証の1とし、乙第9号証の1を乙第9号証の2とする。)を提出した。
1 答弁の理由
商標権者(被請求人)は、取消請求に係る指定商品「第30類 菓子及びパン」に含まれる「あられ」について、本件商標が印刷されたラベルを商品の包装に貼付して使用している。当該商品あられの外観の写真が掲載されたパンフレットを乙第1号証として、当該商品あられのパッケージの写真を乙第2号証として提出する。また、本件商標が印刷されたラベルの現物を乙第3号証として提出する。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品「第30類 菓子及びパン」について、商標権者により継続して使用されているため、商標法第50条に該当しない。
2 平成22年6月15日付け口頭審理陳述要領書
(1)乙第1号証のパンフレット及び乙第2号証の包装フィルム
乙第1号証のパンフレットにある「京あられ」は、おかきのメーカーである「とくとみ」との間で、2009年春から開発した商品であり、商標権者の倉庫を利用した店舗で販売した。その際に、商品説明用に作成したのが乙第1号証のパンフレットである。
乙第2号証の包装フィルムの写真は、平成21年11月13日に、商標権者の社員が撮影したものであり、現在販売している商品として存在することを示すために撮影したものである。
(2)乙第3号証のシール
乙第3号証の優マークシールは、平成元年11月20日にデザイン版下を製作し、その際30,000枚印刷したものであり、その製作証明書を乙第4号証として提出する。乙第3号証の優マークシールは、季節商品、販売ロット数の少ない商品、他社からの仕入れ商品などに、商標権者又は商標権者会社社長久保田の推奨する商品であることを現すために付している。通常のロットの大きい商品にはあらかじめ包装フィルムなどに本件商標を印刷しているが、乙第3号証の優マークシールの使用頻度はかなり高く、毎年又は2年に1度は印刷している。
(4)「京あられ」の取引書類
一般需要者を対象にしていたため、納品書などは残っていない。また、「京あられ」の製造元である「とくとみ」からの納品伝票も残っていない。口頭審理期日に、「とくとみ」の製造証明書を提出する。
(5)指定商品「菓子」についての使用を示すその他の証拠
商標権者は、平成2年11月に商品カタログ「久保田さんの美味しいこだわり」(乙第5号証)を発行しており、その中に丸久小山園が製造する抹茶飴、羽根さぬき本舗が製造する和三盆糖菓子、さらに無添加アイスクリーム詰合せを掲載しているが、これらの内、抹茶飴や和三盆糖菓子については現在も販売を継続している。取引を示す書類の一例として、乙第6号証を提出する。
商標権者は、平成3年6月に商品カタログ「久保田さんのこだわりの特選ギフトセット 一九九一年夏」(乙第7号証)を発行している。そのカタログの中に各種のアイスクリーム・柚子シャーベットの他に、香川・羽根さぬき本舗が製造する和三盆糖菓子「四季の華」を取り扱い商品として掲載している。さらに、その最終ページには「ギフトセット」の組み合わせ例を掲載しているが、そのパッケージの蓋部分や側面に貼られているラベル用紙が乙第8号証である。乙第8号証には明確に本件商標が印刷されていることが分かるが、乙第7号証においても良く観察すると本件商標が印刷されていることが分かる。
その他、ギフトセットの発送用の梱包に乙第9号証の1の本件商標を大きく印刷したダンボール箱を使用している。この乙第9号証の1の箱も平成2年?3年当時から使用しており、乙第7号証の箱と乙第9号証の1の箱は梱包されるギフトセットの内容によって使い分けられている。これら包装用箱に梱包されて上記和三盆糖菓子や抹茶飴、京あられ等が一般需要者に発送されている。なお、乙第9号証の1に、ギフトセットの詰め合わせの一例として丸久小山園の抹茶サクレットと羽根さぬき本舗の和三盆糖菓子の詰め合わせの写真と、羽根さぬき本舗の和三盆糖菓子の写真を示す。顧客の注文によって、詰め合わせ構成はその都度変更される。
商標権者は、自社が提供するマヨネーズを使った商品の開発をしており、京あられ以外に、「シェ・タカタ」との間でロールケーキ「マヨネーズロール」を開発している(乙第10号証)。「マヨネーズロール」の製造は「シェ・タカタ」が請け負っており、その納品書の一例が乙第11号証である。
3 口頭審理における陳述
(1)乙第1号証及び乙第2号証のマヨネーズ味のあられは、2010年春以降に販売した商品である。
(2)乙第10号証のマヨネーズロールは、2010年春以降に販売した商品である。口頭審理陳述要領書での乙第11号証の納品書の商品がマヨネーズロールである旨の記載は、誤りである。また、乙第10号証の箱付きのマヨネーズロールの写真に写っている箱は、ロールケーキに使用していないので、当該写真は販売方法において事実とは異なる。
4 答弁(第2回)
(1)審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書において提出した資料及び記載に誤りがあるので訂正するとともに、改めて使用の証明をする。
(2)乙第1号証及び乙第2号証
乙第1号証のパンフレット及び乙第2号証の包装フィルムは、マヨネーズ味のあられに関するものであり、これは平成22年春に使用したもので、予告登録以前のものではない。このマヨネーズ味のあられは,商標権者と製造元「とくとみ」とが平成21年から共同開発して、1年を要して製品化したものであるが、「とくとみ」の従来製品「あられ」(商品名「京千枚」、「炭焼千枚」、「かおりやき」、「いおりやき」)に、予告登録前3年以内に本件商標のシール(乙第3号証)を付して販売していた(製造元「とくとみ」から商標権者ヘの納品書を乙第12号証として提出する。)。ところが、その時に使用していたパンフレットや包装フィルムは、賞味期限等の関係で商品を売り切るのと同時に使いきっており、現存していない。そこで、その販売当時の状態を示すために、ほぼ同じイメージの乙第1号証のパンフレット及び乙第2号証の包装フィルムを証拠として提出したのである。
(2)乙第3号証のシールの製作証明書として乙第4号証を提出したが、乙第4号証にかかる株式会社フェアウインドはデザイン会社であり、デザイン版下を納品するときに、同シールを30,000枚を印刷して納品した。しかし、その後は、印刷会社である株式会社からふね屋に印刷を依頼しており、2004年、2005年、及び2009年に印刷している。その証明書を乙第13号証として提出する。この乙号証から明らかなように、継続して本件商標が印刷されたシールを商品に付して使用していることが立証された。
(3)乙第5号証及び乙第7号証の商品カタログは、予告登録前3年以内のものではないが、本件商標を商品「菓子」について継続して使用していた根拠に成り得ると考え、提出したものである。フルカラーのカタログは制作費及び印刷費が高くつくことから、その後、製作をしていないが、商品の販売・営業を中止したのではない。商品カタログに掲載している抹茶飴、抹茶サクレット、和三盆糖菓子などについては、単品として、あるいは詰合わせギフトセットとして販売するのにあたり、個々の商品に本件商標のシールを付し、あるいはギフトセット用の箱に乙第8号証にかかるラベルを付している。
商品配送用の箱(乙第9号証の1)やギフトセット用の箱(乙第9号証の2)には本件商標が付されている。これら乙第9号証の1や乙第9号証の2は配送用箱への商品収納あるいはギフトセット用箱への詰め合わせの一例を示すために、本年6月に被請求人が撮影したものである。商品の詰め合わせは顧客からの注文によって異なることが多く、定型のギフトセットに限定しているものではないため、詰め合わせ例の商品カタログが存在しないためである。
品番(例えば、乙第9号証の2における「UK-3」)の付け方は、ユーサイドの商品あるいはユーサイドにとって思い入れの強い詰め合わせ例には「U」、丸久小山園の商品には小山園の頭文字「K」、有限会社三谷製糖(和三盆糖菓子の羽根さぬき本舗の主体:乙第6号証の納品書を参照)の商品には「M」を付しており、例えばユーサイド及び丸久小山園の商品を主とする詰め合わせには「UK」、三谷製糖及び丸久小山園の商品を主とする詰め合わせには「MK」を付している。アルファベットに続く数字は、詰め合わせの個数であったり、おおよその金額の千の位の数字であったり、定型の商品詰め合わせにおいては中身の違いを通し番号で表すなど、第三者には分かり難いものとなっている。
なお、乙第9号証の2の写真の商品は、丸久小山園の抹茶サクレットと、羽根さぬき本舗の和三盆糖菓子と、その下にユーサイドの緑茶(和三盆糖菓子の右側の隙間に見えている)が詰め合わたギフトセットであり、写真外に記入している「UK-3」は、ユーサイドの「U」と丸久小山園の「K」と、3点セットであることを示す「3」を表している。このギフトセットの販売実績を示す請求書の一例を乙第14号証として提出する。その他、有限会社三谷製糖(羽根さぬき本舗)の和三盆糖菓子と、丸久小山園の抹茶サクレットとの詰め合わせギフトセット「MK-1」の販売実績を示す請求書の一例を乙第15号証として提出する。
(4)乙第10号証のロールケーキ
乙第10号証は、商標権者と「シェ・タカタ」とが共同開発し、本年に入ってから商標権者の独自商品として販売している「マヨネーズロール」及び「抹茶マヨネーズロール」の写真であり、これは被請求人が本年6月に撮影したもので、本件審判請求の予告登録前に使用しているものではないため、本審判における証拠とはならない。しかし、商標権者は、上記予告登録以前から、「シェ・タカタ」のロールケーキに本件商標のシールを付し、商標権者の商品として販売していた。その販売態様についてその当時の写真やそれを掲載したカタログを製作していないため、味が異なるのみで、態様が全く同じである、現在販売している「マヨネーズロール」及び「抹茶マヨネーズロール」の写真を乙第10号証として提出したのである。
(5)商標権者は、当初他社商品の中から社長の久保田が厳選した商品を仕入れて販売する小売を主として営業をしていたが、その後独自商品を開発し、一部商品については製造販売業へ変遷してきた。本件商標権を取得した当時は、小売・卸売に対する商標登録は認められておらず、小売・卸売業者は一般にその取り扱い商品について商標登録を受けており、本件商標についても商品について商標登録を受けたのである。商品の小売・卸売についての商標登録が認められるようになったからといって、小売・卸売は商品の使用の態様でなくなるものではない。特に、本件の商標権者は、商品「京あられ」、「ロールケーキ」について、製造元はそれぞれ「とくとみ」、「シェ・タカタ」であるが、販売元はいずれも商標権者であるから、取消請求に係る商品に本件商標を使用するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証は、シール(以下「本件シール」という。)の現物であるところ、その構成は、全体が白色の円形であり、その中央に本件商標と同一の文字及び図形(ただし、「優」の文字及びその右上の図形は金色である。)を配し、その下方に「美味しく安全で真心のこもった食材を厳選したユーサイド推奨のマークです。」の小さな文字が2段に配されてなるものである(以下「使用商標1」という。)。
(2)乙第5号証は、平成2年11月発行の「久保田さんの美味しいこだわり 素敵な食材発見誌・宅配保存版」と題する商標権者の商品カタログであるところ、「羽根さぬき本舗製造」の欄に「羽根さぬき 丸箱入り」があり、「手作りの純正和三盆糖を原料に真心をこめて作られたお茶菓子『和三盆』です。」の説明、価格、写真が掲載されている。
(3)乙第6号証は、「有限会社三谷製糖 羽根さぬき本舗」から、商標権者あて平成20年7月16日付け請求書であり、品名欄及び数量欄にそれぞれ「羽根さぬき 袋入」「50」、「羽根さぬき 丸箱入 2段」「6」、「四季の華わさんぼん」「10」との記載があり、単価、金額等が記載されている。
(4)乙第7号証は、「久保田さんのこだわりの特選ギフトセット 一九九一年 夏」と題する平成3年6月発行の請求人の商品カタログであるところ、ドレッシング等の詰め合わせたAセットないしDセットの各詰め合わせの包装箱には、乙第8号証に示すラベルが表示されている。
(5)乙第8号証は、長方形の輪郭の中に、「こだわりのギフトセット」「U-SIDE」「GIFT SELECTION」の文字などを中央に大きく表してなるラベル(以下「ギフトセットラベル」という。)であり、また、該ラベル輪郭内の右下部分に本件商標及びその右側に「これはユーサイドが推奨するマークです。」の文字からなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されているものである。
(6)乙第9号証の2は、2つの商品画像及びその説明文字からなるものをプリントアウトしたものである。上段の画像は、箱の中味が見えるように上箱とした箱を並べて撮影したものであり、上箱には、ギフトセットラベルが貼付され、下箱に、包装に「抹茶サクレット」「小山園」の記載のある商品、「羽根さぬき」の文字のあるラベルが貼付された透明の袋に包装された商品が2つ及びその「羽根さぬき」の下に袋入りの宇治茶が詰められてなるものである。また、当該画像の説明として「ユーサイドセレクションギフト UK-3」の文字が記載されている。
(7)乙第10号証の1枚目は、5つの商品画像及びその説明文字からなるものをプリントアウトしたものである。上段の2つ画像は、茶色いロールケーキの角度を変えて写したものであり、該ロールケーキの透明包装紙には、本件シールが貼付され、説明として「優彩堂 マヨネーズロール」の記載がある。中段には、上記に同様本件シールがはってある緑色のロールケーキの2つの写真及び説明として、「優彩堂 抹茶マヨネーズロール」の記載がある。
(8)乙第11号証は、「シェ・タカタ」から商標権者あての平成20年4月12日付け納品書及び平成20年10月4日付け納品書であり、前者の納品書には、品名欄及び数量に「抹茶もち米ロール」「12」との記載があり、単価、金額等が記載されている。そして、上記品名の下に「※預り分のゆうシールを貼る事。」の記載がある。また、後者の納品書には、品名欄及び数量に「純米ロール」「12」などの記載の他、上記品名の下に「(注)ゆうシールを貼付。」の記載がある。
(9)乙第13号証は,株式会社からふね屋から、商標権者あての平成22年6月19日付けの「製作証明書」であり、「下記の通り、貴社からご依頼いただきました印刷物に関しまして製造及び納品いたしましたことを証明致します。」とし、「優マークシール」が2004年5月28日に10,000枚、2005年11月29日及び2009年7月1日に各20,000枚納品されたことが記載されている。
(10)乙第14号証は、商標権者の三重県伊賀市在の有限会社はしもとあての2008年6月30日付け請求書(控)であり、6月16日の伝票番号「312919」の商品中の商品名に「ユーサイドギフト UK-3」の記載があり、数量に「4」の記載のほか、単価、買上額等の記載がある。
2 上記1で認定した事実によれば、商標権者は、使用商標1を表示したロールケーキについて、本件審判の請求の登録(平成21年10月20日)前3年以内である平成20年4月12日及び同年10月4日に仕入れたことが認められ、それらの商品を販売、譲渡したものと推認することができる(なお、販売の事実に関する証拠の提出はないが、ケーキなどの菓子は、賞味期間は短いので、納入された時期に販売に供されたものと推認できる)。
また、商標権者は、使用商標2を表示した和三盆菓子(ギフトセット)について、本件審判の請求の登録(平成21年10月20日)前3年以内である2008(平成20)年6月16日に譲渡したことが認められる。
そして、上記使用に係るロールケーキ及び和三盆糖菓子は、本件請求に係る指定商品に含まれる商品であり、かつ、使用商標1及び使用商標2は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第5号証の商品カタログは、「平成2年11月発行」であり、乙第7号証のカタログは「平成3年6月発行」であること、乙第8号証のギフトセットラベルの作成時期や使用時期が不明であること、乙第14号証の請求書の商品「UK-3」が、乙第9号証の2に掲載された商品であると関連づけることはできないこと、などを理由に本件商標の使用をしていたとする事実を証明する証拠となり得ないと主張している。
確かに、ギフトセットラベルについて、作成の時期を示す証拠はなく、該ラベルは、パソコンにより簡単に作成し得る仕様であり、また、乙第9号証の2の写真のギフトセット用包装箱は、ある程度汎用性のある包装箱であって、上記「UK-3」の商品が当該包装箱により包装された商品であることを直接的に示す客観的な証拠はないが、請求人は、平成3年6月には、ギフトセットラベルを表示したギフトセットを販売しており、他の提出された証拠を総合すると、本件商標使用したギフトセットラベルを使用したギフトセットを本件証明期間内において使用したものと推認することができ、また、乙第14号証の商品「UK-3」が乙第9号証の2に掲載されている商品「UK-3」と同一の商品と見て何ら不自然な点は見あたらないし、請求人も具体的にその理由を述べてはいない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(2)請求人は、乙第10号証に掲載された商品は、予告登録日以前に「シェ・タカタ」から納品された乙第11号証の商品とは関連性は不明である、商品を納入する際に取引者が発行する伝票に「優シール」を貼付する旨の記載をすることは不自然である、などとして、乙第10号証及び乙第11号証の成立自体の信ぴょう性を欠くものであり、証拠能力はない、旨主張している。
しかしながら、乙第11号証により、「シェ・タカタ」から本件シールを貼ったロールケーキが納品されたことは優に認められ、その貼付方法は、乙第10号証に示すように本件シールを透明包装紙に貼ってなるものと推認できるものである。さらに、ロールケーキのような商品は、柔らかく取扱いを慎重にしなければならない商品であるから、シールの貼付をロールケーキの製造元において行なうことは何ら不自然とはいえないから、請求人の主張は採用できない。
なお、被請求人の主張、立証において、本件証明期間後の商品を要証明期間内に取り扱われた商品であるとして証拠(乙第1号証、乙第2号証及び乙第10号証)を提出するなど、その主張、立証について不適切な点があるが、その点を考慮しても、上記使用の事実が認めらるものと判断する。
(3)請求人は、被請求人を本件商標をいわゆる小売業務について使用しているのであって、本件審判の請求にかかる商品に使用していない、旨主張している。
確かに、請求人は、前記ロールケーキ及び和三盆糖菓子を買い入れて、消費者等に販売するものであるから、その業務は、いわゆる小売といえなくもない。しかしながら、商品を小売等役務に使用した場合に商品についての使用とは一切みなされないとまではいうことができず、取り扱う商品又は商品の包装に標章を付し、それを譲渡するものであるから、その行為は、商標法第2条第3項第1号ないしは同第2号に該当するものというべきである。したがって、請求人の主張は採用できない。
4 むすび
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品に含まれる「和三盆糖菓子」及び「ロールケーキ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2010-09-16 
結審通知日 2010-09-22 
審決日 2010-10-08 
出願番号 商願平1-133872 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (130)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 井出 英一郎
内山 進
登録日 1992-12-25 
登録番号 商標登録第2487095号(T2487095) 
商標の称呼 アジノレネイセンス、ユウ、アジノルネサンス、ルネサンス、レネイサンス 
代理人 上原 空也 
代理人 楠本 高義 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 森川 邦子 

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